働きがいに効く「フィードバック」

更新日 2018.10.042018.05.28コラム

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職場で「フィードバック」という言葉を聞いたとき、あなたはどのようなイメージを持ちますか?好意的に感じる人もいれば、「自分や仕事についてあれこれ言われるのは苦手だ」、「社会人にもなってダメ出しされるなんて遠慮したい」、そんな消極的な思いを持ってしまう人も少なくないのではないでしょうか。ともすると単なる「振り返り」が「反省会」のようなイメージと結びついてしまうフィードバック。しかしGPTWが毎年発表している「働きがいのある会社」(ベストカンパニー)では、積極的に企業文化に取り入れ、日常業務において習慣化している会社が多いのです。

フィードバックに苦手意識が生じる理由

フィードバックに苦手意識を感じるのは、特に耳の痛いコメントをもらったときでしょう。なんとなく自分自身が否定されたような気分、嫌われているのではと不安を感じることもあるかもしれません。しかし、これは受け手だけの感情ではなく、与える側も同じであると言えそうです。日本人はそもそも人との対立を避けたがる傾向があるので、他者に対する率直なコメントの中でも、特に相手の弱みや改善点を伝えるときには、ある種の葛藤を感じたり、勇気さえ奮い立たせる必要があるのです。

このように「する方」も「受ける方」も、双方にパワーを要するフィードバック。しかし、改めて辞典で調べてみると、「改善や変化の為にあるアクションやプロセスについてコメントすること」といった説明が書かれています。正しい方法について学ぶ研修では、「相手の性格や人格ではなく、あくまで行動に着目することで、相手の気づきを助ける」と伝えられるようです。つまり、前向きで建設的な変化を起こすためのものであり、相手を嫌うどころか、むしろ思いやりを土台としていなければできそうにない関わりであることが分かります。

ベストカンパニーで行われているフィードバック

ベストカンパニーでは、フィードバックを推奨している会社が多く、企業文化として浸透させている会社もあります。よい面を褒めるときもあれば、少々手厳しく課題点を指摘することもあります。こうした企業では、「あらゆる機会」を通じて、「さまざまなステークホルダーの間」で、「形式を問わず」、率直なフィードバックが飛び交っています。

例えば、面談時に上司から部下へ業務や将来のキャリアについて行うアドバイス、社内行事が終了した後の社員アンケート、顧客からもらった商品やサービスに対する感想や意見、職場についての従業員への意識調査、一緒に働く上司や同僚の仕事ぶりについての評価、など多種多様です。上司、同僚、部下など、様々な立場の人が回答する多面評価(360度評価)もフィードバックツールのひとつと言えますが、実際、ベストカンパニーの大規模部門では、その導入率が70%を超えています。(2018年版「働きがいのある会社」従業員アンケート結果より)

参考図:2018年ベストカンパニーにおける「多面評価」の導入率(規模別)

GPTW質問「多面評価制度を導入していますか?」

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よいフィードバックの“特徴”とは

ベストカンパニーで、フィードバックを積極的に行っているのには理由があります。それが個人や組織の未来にとって有効であるからです。

例えば、面談の中で上司からアドバイスを受けた部下が、素晴らしいキャリアを歩んだなら「上司への信頼」につながるでしょう。また、短期的にも部下の行動変容を起こし、望ましい成果を得たならば、それは「個人の成長」をもたらしたともいえます。日頃言いたいことを言い合えるような職場であれば、忙しいときには自然とお互いの状況を思いやり、助け合うような関係性ができているでしょう。失敗やミスが起きても隠し立てする心配がなく、正しい判断が速やかに成されていくでしょう。よい「チームワーク」づくりに役立っていると考えられます。

ベストカンパニーでは、フィードバックは、「評価」という側面よりも個人の「成長」、職場における「改善」や「一体感」を目的として行われることが多い印象があります。多面評価も会社のバリューに照らした行動・ふるまいについて、周囲の見え方を伝えていくという趣旨が強く、本人に気づきを与えることでより職場の風土に合った人材育成を実現しているのです。

フィードバックに慣れていない職場はどうしたらよいか

そうはいっても、なかなかうまく使いこなせていない職場の場合、どのようなことに注意したらよいでしょうか。そのヒントはベストカンパニーの取り組み中に見出すことができます。

具体的には、「フィードバックを行う際には、必ずよいところを言ってから今後の期待したいところを言う」、「フィードバックは相手へのプレゼントであるという考え方を大切にし、伝え方にも細心の注意を払う」、「フィードバックを受けたら相手に感謝の言葉を忘れない」といったことが挙げられます。すでに企業文化の一つになっているような会社でも経営者は常にその大切さを語り、自分へのフィードバックさえも気軽にどんどん行えるような仕組みを整えています。

これまであまり実践してこなかった会社の場合には、まずは周囲へ「感謝」を伝えることから始めてみてはいかがでしょうか。例えば業務の中でちょっとした手助けをしてくれた同僚に「ありがとうカード」を渡してみる。これは、ある意味で同僚の親切(よい行動)に対するフィードバックといえるでしょう。お互いの関係性がまだ築かれていない間柄では、こうした日頃のありがとうの気持ちを交換しあうといったことから取り組んでみるのもよいかもしれません。

このように、ベストカンパニーでは、フィードバックを組織の活性化にうまく活かしています。それは、対立や葛藤を生み出すものではなく、むしろお互いを思いやり、働きがいを高め合う有効なコミュニケーションです。

ぜひあなたの職場でも工夫して取り入れてみてはいかがでしょうか。

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