「働き方改革」は「働きがい」を高めるのか

更新日 2018.10.042017.07.31コラム

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「働き方改革」が謳われるようになってからしばらく経ちます。新聞やニュース等で関連する話題を目にしない日はないと言っても過言ではないでしょう。

この“働き方改革ブーム“とも言える状況の中、様々な方から私たちの活動に関心を寄せていただくことが増えています。

ところで、「働き方改革」と「働きがい」は、どのような関係にあるのでしょうか。私たちがどのように考えているのか、本日はそれをご紹介したいと思います。

満足を感じる要因と不満足を感じる要因は異なる

フレデリック・ハーズバーグというアメリカの臨床心理学者が唱えた「二要因理論(動機付け理論)」をご存知の方も多いのではないでしょうか。これは“満足を感じる要因と不満足を感じる要因は別のものである”とする考えです。満足を感じる要因は“動機づけ要因”、一方で、不満足を感じる要因は“衛生要因”と呼ばれています。

ハーズバーグによると、“動機づけ要因”には、「仕事の達成感」、「責任範囲の拡大」、「能力向上や自己成長」、「チャレンジングな仕事」などが含まれ、“衛生要因”には、「会社の方針」、「管理方法」、「労働環境」、「作業条件(給与・時間・役職)」などが含まれるとされています。これらは不満足な状態を解消したからといって、必ずしも満足につながらないといわれています。

「働き方改革」の主要テーマは衛生要因に対するアプローチ

現在の働き方改革のテーマは、働く時間、休暇の取得、生産性向上に関する議論が中心となっています。実際に多くのお客様から、“全社あげて残業削減に取り組んでいます”、“有給取得率をあげることが今年のテーマです”、“生産性をあげるための業務改革を行っています”というようなお話をよくうかがいます。

これらは、ハーズバーグの二要因理論で言うところの「管理方法」や「作業条件」に関連するテーマであり、“衛生要因の一部”であると言えます。つまり、「働き方改革」をいくら進めたところで、不満足の一端を取り除くことはできても、それ“だけ”では満足度をあげ、モチベーションを高めることは難しいのではないでしょうか。

「働き方改革」は「働きがい」に必要な要素のひとつ

ところで、「働き方改革」と私たちの提唱する「働きがい」は一体どのような関係にあるのでしょうか。ひとことで言うと、私たちは「働き方改革」は「働きがい」に必要な要素のひとつであると考えています。

下記の図表の通り、働きがいを高めるためには“衛生要因”に対応するだけではなく、“動機づけ要因”にも同時にアプローチをしていく必要があります。この両者を含めて施策をうっていくことが、「働きがい」につながっていくのです。

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「働き方改革」だけを進めても「働きがい」は高まらない

ある小売業のお客様は、「働き方改革」に熱心に取り組みました。元々仕事熱心な従業員が集まっていたうえに、仕事柄、土日や深夜も出勤となることが多く、長時間労働が常態化していましたが、仕事に対する面白さやお客様から感謝されるやりがいを感じ、従業員は生き生きと元気に仕事をしていました。

しかし、昨今の「働き方改革」の流れを受け、急に“休みをとれ“、“早く帰れ”、ということが会社から声高に叫ばれるようになりました。なぜ休みをとらなくてはいけないのか、早く帰らなくてはならないのかが十分に語られないままに、現場では半強制的に長時間労働を削減するための施策が打たれました。

そして一方的なコミュニケーションによる現場の不満がたまっていくのと反比例するように、労働時間は削減していきました。結果として、「働き方改革」は進んだものの、現場では会社に対する信用や自分達の事業に対する誇りが低下し、「働きがい」は低下するという事態となってしまったのです。

何のための「働き方改革」なのかを改めて考える

「働き方改革」は進め方を間違えると、場合によっては「働きがい」を損ねる結果にもなりかねません。この事例のように“働き方改革を進めた結果、働きがいが下がってしまった”というような事になっては、本末転倒です。

「働き方改革」そのものを目的とするのではなく、“「働き方改革」をなぜ進めるのか”、“従業員には何を期待するのか”、“会社は何を実現したいのか”について、もう一度自社なりの考え方を整理することが重要です。そして、従業員にもそれを丁寧に共有することが求められています。

さて、みなさんの会社の「働き方改革」はどのように進んでいるでしょうか。「働きがい」を損ねてはいませんでしょうか。本来の目的を見据え、「働きがい」の向上につながる「働き方改革」を是非実現していただきたいと思います。

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