「働きがいのある会社」認定をDX人材獲得に活用 ANAシステムズの事例

更新日 2025.01.142025.01.10

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激化するIT業界の採用競争に「働きがい」で勝つ
エアラインDXを牽引するANAシステムズの人材戦略

ANAシステムズ株式会社
代表取締役社長 大家 正嗣様

2022年から3年連続「働きがいのある会社」認定を獲得しているANAシステムズ。ANAグループDXを担う中核企業である同社は、まさに今、人材確保や競争力強化を図っているところです。そんなANAシステムズがなぜ「働きがい」を追い求めるのか。その理由と、「働きがい」を高める具体的な取り組み内容について、代表取締役社長の大家 正嗣様に伺いました。

<記事のポイント>
✓ANAグループのDX推進の中核を担う企業として、「働きがい」は事業の源泉
✓GPTWのサーベイを活用し、課題の特定と改善を実施した結果、スコアは大きく改善
✓コミュニケーション強化やチャレンジ促進により、新たな価値創造とモチベーション向上を図る

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ANAグループのデジタルイノベーションに貢献

GPTW ANAシステムズの事業概要を教えてください。

大家様 当社はANAグループのDX推進を担う企業です。たとえば、飛行機で旅行に行く場合、フライトの料金を調べてご予約いただく際や、搭乗手続きなども我々が手掛けたシステムが使われています。また、顧客対応以外の領域でも、グループ各社の経理システムなど、ANAグループ各社に対して幅広い分野でIT・デジタル技術を展開。さらに、エアライン事業で培ったノウハウと地域拠点を活用し、企業や自治体、教育機関に向けたIT・デジタル活用・DX推進支援にも取り組んでいるところです。

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事業拡大にあわせて組織規模も拡大してきましたが、コロナ禍で一時的に退職者が増加しました。その後、コロナを乗り越えた現在は、将来の成長を見据えながら組織を補強するため、積極的な採用を続けています。

ANAグループ全体が積極的にシステム開発やDX投資を拡大する中、当社はグループの中でも中心的な役割を担う存在として期待されており、従業員数はまもなく1000名を超える見通しです。

一人ひとりの働きがいと幸せが事業成長の源泉

GPTW DX人材を育成していく中で、働きがいを高めることにも非常に注力されています。働きがいを高めることの必要性をどのように位置づけていますか?

大家様 2018年に経済産業省が発表したDXレポートで「働きがい」というキーワードが取り上げられ、同時に2025年の見通しとして生産人口の減少が指摘されました。また、IT業界では、2025年に大企業が利用するSAP ERPソリューションの更新時期を迎えるなど、IT人材の確保が業界全体の課題となっています。

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当社としてもグループ全体で人材確保が急務となる中、ANAシステムズの未来のありたい姿をテーマに900名を超える全従業員と対話を行い、社員の想いを紡いだ言葉で、2023年に経営理念を見直し、ミッションを「わたしたちは、人とデジタルの力で、幸せで豊かな未来をつくります」、ビジョンを「みんなが健康でやりがいを持って楽しく働き、お客さまに寄り添うことで、ANAグループと社会・地域の持続的発展を実現します」と定めました。従業員一人ひとりが幸せでやりがいを感じることで事業活動が成立し、ひいては会社の競争力強化にもつながると考えているからです。

かつてのIT部門は、事業会社や事業部門の要望に応える受動的な役割が中心でしたが、変化の激しい時代にはIT部門自らが提案し、事業側と連携して変革を推進する姿勢が求められます。そのためには人材確保が不可欠であり、従業員がいきいきとやりがいを持って働ける環境づくりこそが経営戦略の中核とも言っていいでしょう。

これまでANAグループ全体でもエンゲージメントサーベイを用いて働きがい向上への取り組みを行っていましたが、質問項目の改善や他社との比較の必要性から、GPTWの「働きがいのある会社調査」を活用しています。

サーベイ結果を元に4つの課題を特定し、確実に改善を続ける

GPTW 数あるエンゲージメントサーベイのなかから、GPTWの「働きがいのある会社調査」を選ばれた理由を教えてください。

大家様 GPTWが提示する「働きがい」の定義に共感したことが決め手です。私たちは「働きやすさ」にとどまらず、「やりがい」を実感できる環境づくりが重要だと考えています。調査導入前は、当社の考える「働きがい」を従業員へ明確に伝えることが難しかったのですが、GPTWによる定義が従業員間での共通理解を促し、大きな成果となりました。

2022年に調査を開始して以降、毎年「働きがいのある会社」認定を受けていますが、私たちは現状に満足していません。IT業界のベンチマークでは平均的な水準であり、さらなる「働きがい」向上の余地を感じています。また、定期的なアンケート実施によって進捗を可視化することで、改善を重ねていく考えです。

GPTW 「働きがいのある会社調査」のスコアも2022年から大幅に改善していますが、その背景にはどのような取り組みがありますか?

大家様 まず、調査スコアが低かった領域を分析し、「人材確保」「評価制度の見直し」「連帯感の醸成」「コミュニケーション強化」の4つを課題として特定しました。これらに対応するため、当社はより公平で透明な評価制度への改善や、部門間の連帯感向上に向けた施策、全社的なコミュニケーション促進に注力しています。また、人材確保では、働きがいのある環境を整えることで優秀な人材を惹きつけ、増大する当社への需要に応えられる組織基盤づくりを進めています。

新卒採用は2040名規模から60名規模へと拡大しており、中途採用も戦略的なチャネル強化や給与水準の改善、事業部への採用裁量移譲など新たな手法を取り入れています。DX人材争奪戦が激化する中、採用数は右肩上がりで推移。業務分担や人材配置においても厳格なマッチング基準を設け、課題解消に取り組んでいます。

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コミュニケーション強化とチャレンジを促進

大家様 コミュニケーション強化施策の代表例は、経営陣と従業員が気軽に交流できる「ひまわりトーク」です。これは、趣味やプライベートなど仕事以外の話題を共有し、リラックスして話せる場を創出する取り組みです。コロナ禍で対面機会が減少する中、事前に自己紹介シートを用意することで共通の話題をつくり、従業員同士のつながりや連帯感を強化しています。まずは、従業員と役員の関係性を考慮し、固い雰囲気にならないよう、役員側から気軽な質問を投げかけるようにしています。もちろん、従業員からの意見や提案があれば真摯に受け止めますが、基本的には雑談を通じた気軽な交流が主旨ですね。

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身近なサービスにつながった取り組みもあります。たとえば、Web上で気になったスポットをANAアプリのお気に入り情報として保存できる「旅のしおり」というアプリが社内で開発されました。これはワクワクチャレンジ(社内PoC)という施策からつながったものです。

従業員の挑戦意欲を引き出すことが狙いの取り組みで、たとえば「生成AIを活用して新たな取り組みができないか」などの自由なアイデアを発表します。了承が得られれば実際に挑戦することができ、結果の振り返りまでしっかり行う。こうした場づくりによって、新たな価値創造と従業員のモチベーション向上を図り、組織全体の働きがいをさらに高めていきたいと考えています。

従業員の幸せを追求することが、組織全体の活力向上に直結する

GPTW 「働きがいのある会社」認定をどのようにご活用されていますか?

大家様 採用活動において社会的信頼を高め、候補者に安心感を与えるとともに、企業の魅力を訴求する手段となっています。特に中途採用では、競合が激しい市場環境の中で有利に働き、新卒採用ではまだ認知度が低いものの、中途採用においては大きな効果を発揮しているように感じますね。

GPTW 働きがいを高めたいと考えている企業に対してメッセージをお願いします。

大家様 ANAシステムズでは、従業員一人ひとりの幸せとやりがいを最優先に考える姿勢を貫いています。経営陣が「自分の幸せのために働く」というメッセージを日頃から発信し、その考え方を従業員へ着実に浸透させてきました。私自身も長年の経験から、従業員の幸せが会社全体の成長へと直結することを実感しています。従業員が自らの人生を大切にし、幸せを感じながら働ける環境を整えれば、モチベーションは高まり、組織全体の活力へとつながるはずです。

これから「働きがい」を高めたい経営者の方には、まず従業員の声に耳を傾け、彼らの幸せを最優先に考える経営姿勢をお勧めします。継続的な取り組みにより、「働きがいのある会社」認定を取得すれば、外部からの信頼向上や優秀な人材獲得にもつながります。ぜひ、従業員の幸せを追求してみてください。

ANAシステムズ株式会社 代表取締役社長 大家 正嗣様

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東京工業大学卒業後、全日本空輸株式会社入社。ANAグループ内で、IT関連部門やシステム戦略部門にて長年従事。 2024年4月、ANAシステムズ株式会社の代表取締役社長に就任。ANAグループのDX推進、クラウドサービスやAI・データ解析技術の活用拡大、セキュリティ強化などを通じ、デジタル基盤強化に注力。

ANAシステムズ株式会社

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エアライン分野に精通した「ITのスペシャリスト集団」。エアラインビジネスを中心としたシステム企画・開発、空港施設・インフラ展開から稼働後のシステム運用、ANAグループ各社のDX推進支援、地域創生への取り組みなど、幅広く品質の高いトータルサービスを提供している。

本内容は2025年1月時点の情報です。

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