IT企業の価値創造は、人づくりから始まる
働きがいを可視化し、能力×気力×組織力を最大化
株式会社中電シーティーアイ 代表取締役 社長執行役員 伊藤 久德様
更新日 2026.01.202026.01.19
IT企業の価値創造は、人づくりから始まる
働きがいを可視化し、能力×気力×組織力を最大化
株式会社中電シーティーアイ 代表取締役 社長執行役員 伊藤 久德様
中部電力グループ唯一のIT企業として、社会インフラを支え続けてきた中電シーティーアイ。公共性の高い事業を担う同社では近年、「働きがい」を軸にした組織づくりに力を注いでいます。能力・気力・組織力の掛け算を重視し、対話と可視化を重ねながら、エンゲージメントの向上に取り組んできました。その背景にある経営の考え方や、具体的な取り組みについて、代表取締役 社長執行役員 伊藤久德様にお話を伺いました。
<抱えていた課題>
✓個々の能力と気力を引き出し、組織全体の力を底上げしたい
✓働きがいを感覚ではなく、共通の尺度で把握したい
<導入の決め手>
✓働きがいを第三者の指標で客観的に可視化できる
✓調査結果を起点に、継続的な組織改善サイクルを回せる
GPTW 御社の事業概要とその特色を教えてください。
伊藤様 当社は、中部電力グループ唯一のIT企業として、電力の安定供給をITの側面から支えてきました。電力会社の業務は、社会インフラとして高い信頼性と安全性が求められます。その基盤となる情報システムの開発・運用・保守を一貫して担ってきました。
現在は、中部電力およびグループ各社向けの基幹システムを中心に、アプリケーション開発からインフラ構築、セキュリティ対応まで、ITに関わるサービスを総合的に提供しています。いわば「電力事業を止めないためのIT」を支える存在です。
また、当社の成り立ちの中には、高度な数値解析やシミュレーション技術を強みとする系譜もあり、航空機解析や原子炉解析といった分野で培われた技術力が、現在の技術基盤にも活かされています。こうした高度技術を内包している点も当社の特徴です。
公共性の高い使命を果たしながら、ITを通じて新たな価値を創出し、地域社会の発展に貢献していく。それが、中電シーティーアイが目指すところです。
GPTW 御社にとっての「働きがい」の位置づけを教えてください。
伊藤様 私は、組織力は「個々の能力」「仕事に向き合う気力」、そして「組織としての一体感や心理的安全性」、この三つの掛け算で決まると考えています。どれか一つが欠けても、組織として十分な力は発揮できません。
電力会社の業務、そしてそれを支えるITの仕事は、個人プレーではなく、チームで取り組むことがほとんど。システム開発も運用も、複数の人が関わり、長期間にわたって責任を持ち続ける仕事です。だからこそ、個々の能力だけでなく「この仕事に意味を感じられるか」「安心して意見を言えるか」といった要素が、成果に直結します。
働きがいが高まると、人は自ら成長しようとしますし、仕事に向き合うエネルギーも高まります。さらに、組織内の関係性が良くなり、結果として組織全体の生産性や業績にも好影響を与えます。これは情緒的な話ではなく、経営として非常に合理的な考え方だと思っています。IT企業は人がすべて。だからこそ、働きがいを高めることは、経営の中核に据えるべきテーマと言えると思います。
GPTW 「働きがいのある会社」調査に参画したきっかけを教えてください。
伊藤様 自社の組織状態を客観的に把握し、経営に活かしたいと考えたからです。当社では2020年から「働きがいのある会社」調査を継続して実施しており、年々スコアは着実に改善してきました。2025年に「働きがいのある会社」認定に選出されたことは、これまでの取り組みが評価された結果であり、従業員にとっても励みになったと感じています。
ただし、私たちはスコアや認定そのものを目的にしているわけではありません。この調査の最大の価値は、従業員の声を通じて、自社の強みと弱みが可視化される点にあります。特に、弱みとして表れた項目は、経営として真正面から向き合うべき課題を示してくれる重要なサインだと捉えています。
その一環として、GPTWのカルチャーコーチングも活用しました。調査結果をもとに、組織やマネジメントの特性を第三者の視点で整理し、どこに改善の余地があるのかを具体的に言語化してもらうことで、現場での行動につなげやすくなったと感じています。
調査で現状を把握し、対話や施策に落とし込み、実行し、次の調査で検証する。このPDCAを回し続けることこそが、組織力を高める近道だと考えています。
GPTW 「働きがい」を高めるために、具体的にどんな取り組みをしていますか。
伊藤様 特に重視している取り組みは、働く環境の改善と、コミュニケーションの質を高めることです。まず環境面では、オフィスの移転・リニューアルに力を入れてきました。現在の本社は駅直結の立地にあり、通勤の利便性が高く、天候の影響を受けにくい点も特徴です。従業員が「ここで働いていることを誇れる」と感じられる空間であること、そしてご家族にも自慢できる職場であることを意識し、環境整備を進めてきました。
そのうえで、今もっとも注力しているのがコミュニケーションです。社長就任以降、できる限り多くの従業員と直接対話することを重視し、部長クラスとは一人一時間の1on1を全員と実施。その後、グループマネジャー層とも同様に時間を設け、業務に限らず、ランチミーティングなどを通じて率直に意見を交わせる関係づくりを心がけています。
さらに、タウンホールミーティングを定期的に開催し、経営の考えや会社の方向性を直接伝えるとともに、従業員からの質問を制限なく受け付けています。ディスカッションでは、「レガシーシステムの維持コストが増え続けている」といった、あえて難しい経営課題をテーマにすることも少なくありません。従業員の率直な声を受け止めたうえで、私自身の考えや目指す方向性を丁寧に共有することを大切にしています。
こうしたミーティングの内容はすべてアーカイブし、社内イントラネットでいつでも視聴できるようにしています。対話の積み重ねと可視化によって、経営と従業員の距離は着実に縮まり、安心して意見を交わせる風土が育まれてきました。その積み重ねが、結果として働きがいの向上につながっていると感じています。
GPTW 「働きがいのある会社」認定を取得したことで変化はございましたか。
伊藤様 GPTWの認定マークを名刺につけている企業も世の中には多く「見たことがありますね」と話が広がるケースもありますが、中部電力の親会社やグループ会社では、まだこの取り組み自体の認知が高いとは言えず、その価値を十分に理解してもらうのはこれからの課題であると感じています。
一方で、社内においては確かな変化があります。スコアが年々改善していることを、新年の挨拶をはじめ、さまざまな場面で繰り返し伝えてきました。認定そのもの以上に、「働きがいが着実に高まっている」という事実が共有されることで、自分がこの会社に属していることへのやりがいや誇りにつながっていると感じています。
また、採用面でも変化を感じています。認定の取得だけが理由とは言い切れませんが、応募の量・質ともに明らかに向上しました。学生の皆さんは非常によく企業研究をしており、ホワイト500などの認定とあわせて、当社の取り組みを理解したうえで応募してくれています。成長を続けている企業であることや、口コミでの「働きやすい」という評価も含め、これまで継続してきた取り組みの成果が表れてきたようです。

GPTW これから働きがいを高めていきたい企業に向けてメッセージをお願いします。
伊藤様 働きがいが高まると、会社は確実に良くなると感じています。個々のパフォーマンスが向上し、生産性も着実に高まっていく。その結果、一人ひとりの成果が積み重なり、組織全体の力として表れていきます。だからこそ、働きがいを高めることは、経営者として最優先で取り組むべきテーマの一つではないでしょうか。
働きがいが高まると、従業員一人ひとりが「自分の能力をもっと高めたい」という前向きな動機を持つようになります。仕事に主体的に向き合う姿勢が生まれ、組織の中の風通しも良くなっていく。意見が自然と交わされるようになり、結果として、さまざまな場面で良い循環が広がっていきます。
日本企業は元気がないと言われ続けていますが、働きがいを高める取り組みを地道に、継続していけば、企業は必ず変わります。その積み重ねが、やがて日本経済全体を良い方向へと導いていく。私はそう信じています。
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