社員の声を起点に組織を変革。世界5拠点で認定を取得。 i-PRO株式会社の事例

更新日 2026.10.092026.10.05

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社員の声を起点に組織を変革。世界5拠点で認定を取得。
GPTWの調査を全世界共通の「従業員体験の共通言語」に。

i-PRO株式会社 Chief Human Resources Officer(CHRO) ダヤナ・ヌニェス様
同 Human Resources Vice President, HR i-PRO Japan 清水 利宏様
同 Human Resources Director, Organization Development 岩田 夏海様
同 Human Resources Manager, Talent Acquisition 保科 慶子様

2019年にパナソニックから独立し、セキュリティカメラなどの映像ソリューションをグローバルに展開するi-PRO。ジョブ型雇用への転換をはじめとする変革のなかで始めた「働きがいのある会社」調査は、いまや全世界共通の「従業員体験の共通言語」となり、2024年の調査では、未認定だった日本本社も「働きがいのある会社」認定を取得しました。その後、2025年、2026年の調査でも、グローバル全拠点で連続で認定を取得しています。今回は同社グローバルCHROのダヤナ・ヌニェス様と日本の人事チームの皆様に、調査を軸にした組織づくりの実際を伺いました。

<背景>
✓パナソニックからの独立やジョブ型雇用への転換など、大きな組織変革を推進
✓変革のなかで、社員が会社や施策をどう受け止めているのかを把握する必要があった
✓自社で作成したサーベイだけでは、自分たちの立ち位置を客観的に把握できなかった

<GPTWを選んだ理由>
✓グローバル全拠点で同じ調査を実施できる
✓ベンチマーク企業との比較で組織課題を客観視できる
✓認定という第三者からの評価が社員の自信につながる

<成果>
✓調査結果をもとに組織ごとのアクションプランを策定し、リーダーと社員の対話を重ねることで、社員の声を具体的な組織改善につなげた
✓調査結果を「社員体験の共通言語」とし、グローバルで組織づくりに生かした
✓社員の声に向き合い、改善を重ねた結果、世界5拠点で「働きがいのある会社」認定を取得
✓社員の声を継続的に聴き、改善を積み重ねたことで、組織に対しての建設的な意見が増えた

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組織変革のなか、社員の声を客観的に把握するために調査を導入

GPTW: 「働きがいのある会社」調査に参加された背景と、当時の課題をお聞かせください。

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清水様: 当社は2019年にパナソニックから独立した際、「柔軟・大胆・誠実」というバリュー(ブランドパーソナリティ)を定めて新たなスタートを切りました。成長戦略を支えるために人事制度をグローバルで統一し、日本ではメンバーシップ型からジョブ型雇用へ転換しました。一人ひとりが自ら考えて行動する主体性を重視する組織、日本中心のからグローバル協働への構造転換を図りました。大きなチャレンジですから、変化に対する社員の不安は相当あったと思います。人事施策もドラスティックに変えてきたので、社員が実際どう感じているのかを、まずは日本独自のサーベイで把握していましたが、グローバル全体で客観的に自分たちの立ち位置を把握するために導入したのがGPTWの調査です。

岩田様: 当初は「組織の健康診断」という言葉を使って導入していました。社員の声を把握し、組織の現状を理解するためにスタートしたのです。

GPTW: 数あるサーベイの中で、GPTWの「働きがいのある会社」調査を選ばれた決め手は何だったのでしょうか。

保科様: 一つはグローバル全拠点で同じ調査ができることです。GPTWは世界で展開されているサービスなので、グローバルで実施する際の安心感がありました。もう一つの決め手になったのは、知名度と、認定という仕組みです。当時のCHROが雑談の中で「認定を取得することは難しいだろうが、取得できれば社員が自信を持ってくれる」と話していたのが印象に残っています。パナソニックからの独立直後は心もとなさもありました。だからこそ、客観的に「いい会社」だと認めてもらえる機会が欲しかったのだと思います。

初回調査で課題を可視化。組織ごとに社員の声を聞く仕組みをつくる

GPTW: 初回の調査結果は、どのように受け止められましたか。

清水様: 「働きがいのある会社」調査で上位の結果を出したベンチマーク企業と比較すると大きなギャップ があり、改善の余地を感じましたし、人事施策を変えてきたことへの受け止めも如実に表れていました。ちょうどコロナ禍で、コミュニケーションに課題があった時期でもあり、特に経営層との距離感が結果に出ていたのです。そこでまず組織ごとのリーダーが集まって結果を振り返り、何を改善すべきかを議論して、組織ごとにアクションプランを立てて推進する。それが第一歩でした。

岩田様: 熱心なリーダーが率先して、階層の離れたメンバーと直接話す「ラウンドテーブル」を始めました。

清水様:約300名の技術者を抱える開発部門では、トップがグループ分けをして全員と対話することを毎年続け、聞いた声には「できる・できない」も含めて必ずフィードバックしています。人事としても、経営層との距離を縮めるためランチ会を実施していたこともあります。現在はカジュアルな形での対話会を実施し、リーダーとのコミュニケーションの機会をつくっています。

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また、四半期ごとにグローバルの全社員が参加するグローバルライブミーティングや日本のオールハンズミーティングで、事前に社員から質問を集めて、すべてに答えることも続けています。オープンに、真摯にコミュニケーションを続ける。実施後のアンケートには前向きなコメントが寄せられていて、やってよかったと思える取り組みです。

岩田様:手厳しい質問も来ますが、伏せたり避けたりせず、可能な範囲で透明性高く回答しようとしています。また、コミュニケーションという文脈では、社内広報にも注力しています。きっかけは、コーポレートOKRに「社員の活動が前年より社内外のメディアで多く取り上げられること」が掲げられたこと。私たちのチームは「まずはi-PROファンをi-PROの中で増やそう」と発想を変えました。各部門のちょっとした取り組みを取材して記事にし、社内ポータルで発信し続ける。「Proud of Us!」と題して、自分たちの誇れる活動をまとめたページもつくりました。他の拠点の社員の活躍もわかるようになり、会社への愛着や一体感の醸成につながったと思います。今では「これを記事にしてほしい」と、社員の側から情報が届くようになりました。

GPTW: 調査結果のなかで、意外な発見はありましたか。

清水様:日本では「この会社に来ることは楽しい」という設問のスコアが毎年低くて、少しショックでした。ただ、仕事は楽しいだけのものでもない。では私たちの会社はどうあるべきなのか。一つひとつの設問を自社としてどう解釈すべきかを考えるきっかけになっています。

岩田様:逆に「自分が貢献していると感じるか」というスコアは毎回高いんです。表には出ていなくても、みんなの会社への前向きな気持ちや、仕事へのプライドが隠れているんだと気づけました。自分たちの中にポジティブを見つけるきっかけになりましたね。

調査を「従業員体験の共通言語」に。拠点同士で学び合う

GPTW: ダヤナ様はグローバルCHROとして「働きがいのある会社」調査をどのように位置づけていますか。

ダヤナ様:私たちが目指すのは「One i-PRO」の文化です。全世界に約1,600名。多様な文化、経験、考え方を持つ社員が、さまざまな視点から恩恵を受けながら、同じ目標に向かって一つの会社の一員として働いていると感じられること。その基盤にあるのが「リスペクト」であり、全員が尊重され、話を聞いてもらえていると感じてほしいと思います。そして毎朝目を覚ましたとき、仕事に行くことを前向きに感じてほしいのです。だからこそ「働きがいのある会社」は、私たちにとって大きな意味を持ちます。

また、バリューを日常に根づかせる仕組みも重視しています。年末評価では、何を達成したかだけでなく「柔軟・大胆・誠実」をどう体現して達成したかを問うています。表彰プラットフォーム「Cooleaf」では、世界中どこからでも、バリューを体現した同僚を称え合うことができます。文化はトップダウンだけで強化されるべきではないと考えているからです。

そして、調査の最大のメリットの一つは、従業員体験を理解する「共通言語」が生まれたこと。各国にそれぞれの文化があり、社員の期待も異なりますが、共通のフレームワークがなければ、文化に関する議論はとても主観的になってしまいます。60の設問を全地域共通で使うことが重要です。

GPTW: 各国のスコアは、どのように活用されているのですか。

ダヤナ様: 国同士の競争にはしたくありません。「アメリカが高い、日本が低い」という見方ではなく、「お互いから何を学べるか」を問うのです。ある拠点のスコアが高ければ、何がそれを牽引しているのかを確認し、ベストプラクティスとして他の拠点に共有します。実際、日本で始めた幹部と社員の対話の場「カジュアルカンバセーション」は、アメリカでも同じ形式で実施しました。逆に、表彰プラットフォームは、もともとアメリカで行っていたものを、社員の声を受けてグローバル共通の「Cooleaf」へ移行しました。拠点間で相互に学び合っています。

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自分ごと化してもらうための工夫。社員の声に向き合い、認定を取得

GPTW: 日本本社は2024年実施の調査で「働きがいのある会社」認定を取得されました。

清水様: グローバルで日本だけが認定を受けていない時期があり、認定がゴールではないとしつつも、通過点として「絶対に取ろう」と、正直、私たち人事も燃えました。いい点数をつけてもらいたいのではなく、みんなに「いい会社だ」と思ってもらうにはどうしたらいいか。それを考え続けました。

岩田様: 日本だけ認定されなかったという事実も、社内に透明性高く開示しました。痛い話ですが、率直に伝えるプロセスを踏んできたことが、社員の信頼につながったのではと思います。

保科様: 気をつけてきたのは、社員一人ひとりが自分ごととして捉えられることです。実際には、リーダーの意志や社員の声が様々な人事施策につながっており、発信についても、そのことを丁寧に伝えるよう心掛けてきました。例えば、開発部門が部門独自の新卒採用を始めたのも、全員対話で「後輩がほしい」という若手の声が上がったことがきっかけです。

GPTWのカルチャーコーチングも効果的でした。シニアリーダーをあえて全員呼んで、専門家から直接、自社の結果や強みを伝えてもらう。同じ内容でも、人事が伝えるより説得力がまるで違います。自分の率いる組織を良くしたくないリーダーはいませんから、そこから自分ごと化が進んだと感じています。(※カルチャーコーチング:GPTWのコンサルタントが調査結果の分析や打ち手の検討を支援するサービス)

GPTW: 日本の認定取得を、グローバルではどのように受け止めましたか。

ダヤナ様: 本当に誇りに思います。日本で認定を取得することがいかに難しいかを知っているので、なおさらです。他の拠点が認定を取得するなかで、日本が取得できていない時期がありました。本社である日本の取得は、私たちにとって非常に大きなマイルストーンでした。

認定を採用や社内発信に活用。社員の誇りや一体感にも変化

GPTW: 認定を、どのように活用されていますか。

ダヤナ様: まず大切なのは、認定はゴールではないということです。取得できたことはもちろん嬉しいですが、認定は、どう改善できるか、社員が自らの体験をどう見ているかを確認するための手段です。大切なのは、調査への信頼を築くこと。「これは本当に匿名です」「なぜ必要で、結果をどう活用するのか」を伝え続け、自分たちの声が実際の変化につながっているのを、社員が目にすること。認定を取得できてもできなくても、その後も耳を傾け続けることがとても重要だと思います。

保科様:採用では積極的に活用しています。ロゴの掲出はもちろん、名刺にも認定マークを入れました。面接で自社の取り組みを話すとき、認定という客観的なエビデンスがあることで信頼感が上がると感じます。開発部門の「全員対話を続けたら、認定を取得した年に部門のスコアが大きく上がった」というストーリーは、説得力を持って話せますね。

interview_260929_03.png岩田様: 今年はグローバル共通で、認定バッジ入りのPC壁紙もつくりました。どの国も同じものを使っています。

清水様: 社内の変化も感じます。横のつながりが増えた、仕事がやりやすくなった、一体感を感じるという具体的な声を聞くようになりました。アンケートのフリーコメントも、独立当初は不平不満が書かれることもありましたが、最近では「会社がこうあったらいいね」という建設的な内容に変わってきました。

岩田様: 日本人は、ポジティブなことはあえて言わない傾向がありますが、ポジティブなコメントをあえて書いてくれるようになったのは大きな変化です。社員の声に真摯に向き合っていった結果、リーダーも社員も「組織を構成する一人」として、自分も貢献できるかもしれないと思ってくれるようになったのだと感じています。

調査後に何をするかが重要。声を聞き、改善を続ける組織へ

GPTW: 最後に、取り組みの成功要因と、これから働きがい向上に取り組む企業へのメッセージをお願いします。

ダヤナ様:私たちがうまくやれてきたことを振り返ると、調査を受けた後に何をするかが、調査そのものよりはるかに重要だということです。調査を実施して何もしなければ、社員の信頼を失います。当社ではGPTW調査後に「Voice of Employees」というセッションを設け、部門別・地域別に結果を振り返っています。日本では30〜40セッションを実施しました。声に耳を傾け続け、実際の変化につなげることが大切です。

清水様:まだ成功だとは思っていませんが、一定の通過点として認定をいただけたのは、社員の声に本気で真摯に向き合い続けたからだと思います。これから取り組む企業には、まず客観的に自分たちの現在地を知ることから始めるのをおすすめします。すべてを一気に改善しようとせず、自社が目指す姿に照らして、フォーカスすべきところを見つける。その気づきの一助として活用するのがいいと思います。

ダヤナ様: 私たちのビジョンは、本当に素晴らしい職場をつくることです。数字を達成し、成果を重視しながら、多くの人が「ここで働けて幸せだ」と言ってくれる会社。そこに向けて、これからも社員の声に耳を傾け続けます。

i-PRO株式会社 Chief Human Resources Officer(CHRO) ダヤナ・ヌニェス様

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コロンビア出身。米州地域でキャリアを築いた後、日本へ拠点を移し、現在はi-PROの最高人事責任者(CHRO)として、グローバルかつ多文化的な視点を活かしながら人事戦略をリードしている。i-PRO入社後は、米州地域の人事責任者をはじめ、人事領域において段階的に責任範囲を広げ、現在はグローバル人事部門を統括。i-PROの持続的な成長と変革を支える組織能力および企業文化の構築に注力している。特に、リーダーシップ・人財開発、組織力の強化、従業員エンゲージメント、地域を越えた連携の促進を重点領域とし、世界中の社員一人ひとりが成長し、力を発揮し、活躍できるインクルーシブで高いパフォーマンスを生み出す組織づくりを目指している。

Human Resources Vice President, HR i-PRO Japan 清水 利宏様

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新卒でパナソニックに入社後、製品開発に従事。ソフトウェア技術の責任者を歴任後、事業部門に異動し、カスタマーサポートの責任者を務める。2019年10月にパナソニックから独立し、新会社の立ち上げに参画。2023年4月から、i-PRO株式会社日本法人のHRBP・人事リーダーとして従事。経営幹部をはじめ様々な社員とのコミュニケーションを通じ、働きがいのある会社づくりや職場環境の構築に尽力している。

Human Resources Director, Organization Development 岩田 夏海様

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外資系企業での人事経験を経て、2022年6月にi-PRO株式会社へ入社。現在は人事として、人材開発、組織開発、社内コミュニケーション施策を担当。経営幹部から社員まで幅広いメンバーと連携しながら、グローバル人材育成や学習機会の提供、社員エンゲージメント向上に向けた取り組みを推進し、社員一人ひとりが成長し活躍できる環境づくりに取り組んでいる。

Human Resources Manager, Talent Acquisition 保科 慶子様

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人事領域での経験を経て、現在はi-PRO株式会社にて新卒・中途採用を中心とした人材採用に従事。事業部門や社内外の関係者と連携しながら、採用活動の企画・推進に取り組んでいる。また、「働きがいのある会社」調査の運営や社内への発信にも携わり、社員の声やリーダーの思いを丁寧に伝えることを大切にしている。GPTW認定を採用活動にも活用し、候補者にi-PROの職場づくりを伝えている。

i-PRO株式会社

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2019年にパナソニックから独立した映像ソリューション企業。セキュリティカメラなどを展開し、全世界に約1,600名の従業員を擁する。「柔軟・大胆・誠実(Flexible, Bold, Trusted)」をブランドパーソナリティに掲げ、「働きがいのある会社」調査にグローバル共通で参画。米国・オランダ・中国・シンガポールに続き、2024年の調査で日本本社も「働きがい認定」を取得した。

※ 本内容は2026年9月時点の情報です。

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