株式会社日建設計

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強みの「誇り」を伸ばし、課題の「連帯感」を強める
建築設計業界の雄が取り組む「働きがい」づくり

株式会社日建設計
コーポレート部門 理事 副代表 堀井 一孝 様
広報室長 降籏 哲人 様

東京スカイツリー®や東京ミッドタウン、海外ではサッカークラブFCバルセロナのホームスタジアム「新カンプ・ノウ」など、国内外で建築の設計監理、都市デザインおよびこれらに関する調査・企画・コンサルティングを行う株式会社日建設計。GPTWの調査には2010年から参画しており、「働きがいのある会社」ランキング大企業部門(従業員1000名以上)におけるベストカンパニーの常連企業になっています。同社がいかにして「働きがいのある職場づくり」においての強みと弱みを把握し、対策を講じているのか、コーポレート部門 理事副代表を務める堀井 一孝様と、広報室長を務める降籏哲人様にお話を伺いました。

「働きがい」の客観的評価を求めてGPTWに参画

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降籏 当社は117年を超える実績と経験を礎に、都市や社会にインパクトの大きいプロジェクトを多数手掛けてきました。社員たちはプロジェクトの構想段階からかかわることも多く、クライアントと共に社会や人々に必要とされるものをつくってきたという自負があります。

社員はそれぞれの持ち場で仕事に対するやりがいを感じていると思いますが、それを可視化するのは難しいことです。そのため、当社は約10年前にESアンケートの実施を試みました。しかしながら、いざ実施する段階になり、アンケート内容について多方面から様々な意見が入ったりして、なかなかまとまりませんでした。

GPTWが行っている「働きがいのある会社調査」の存在を知ったのはちょうどそのころでした。アメリカで多くの実績がある調査ですし、どの企業に対しても共通の項目で行われる客観的な評価なので、そこから得られた結果は冷静に受け止められるのではないかと考えました。

そして2010年から、「働きがいのある会社調査」に参画。初回から25位以内のベストカンパニー(当時は11位から25位まで順位非公表)に選出されて、それから今に至るまで6回選ばれています。

「誇り」をより高め、「連帯感」を強めるための取り組みを開始

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堀井様 2010年の調査結果から分かったことは、「誇り」のスコアがベストカンパニーのなかでもかなり高いということ。建築設計業界の中でも大手の立場にあり、企画・設計という重要な立ち位置で、社会的にも影響力のある大規模なプロジェクトにかかわっている実感があるからだと思います。仕事に対する社会からの評価も、「誇り」につながっているのでしょう。

会社も社員の仕事を公正に評価しています。当社の評価制度では、社員は直属の上司のほかに、プロジェクトメンバーなどから関係評価者を指名することができるのです。たとえば、直属の上司は意匠設計のことはわかるけれど、設備設計のことは詳しくわからないという場合でも、評価者のコメントを見ればその仕事ぶりをうかがい知ることができます。当然ながら、社員は自分の仕事ぶりを理解してくれる人を関係評価者に選びますから、評価への納得感、会社への信頼感も高まるはずです。こうした評価制度も、「誇り」や「働きがい」につながっていると考えています。

一方、「働きがいのある会社調査」の結果から課題として浮かび上がったのは、「連帯感」のスコアの低さです。ほとんどの社員はプロジェクト単位で動いているので、クライアントや社会に目を向けています。もちろんそれは正しいことですが、一方でプロジェクト単位で動いているために会社組織に対する帰属意識や連帯感が弱まってしまうことも。社内には、設計者、エンジニア、プランナー、コンサルタントなど様々な人間がいますが、専門分野の枠組みを越えて連携を強めることができればより強い組織になるはずです。

四半期に一度、経営陣と社員が意見交換

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降籏様 「連帯感」を強めるための取り組みとして注力しているのが、亀井社長が2015年に就任したときからスタートした「Quarterly Message」という経営方針を共有するためのイベントです。四半期に1回のペースで、経営層と部門長が東名阪および九州の拠点を訪問し、社員と意見交換しています。「Quarterly Message」は各地区をライブで中継し、リアルタイムで見られない社員は、イントラネットから動画視聴することも可能です。

最初のころは経営側からの説明事項が中心で、参加した社員と活発な意見が交わされているとは言えない状態でした。一昨年からはテーマを設けて討議する形にすることで社員からも突っ込んだ質問が出てくるようになりました。「Quarterly Message」は自由参加ですが、東京では約250名、そのほかの地域とあわせて約500名は参加しています。当社は2000名弱の組織ですから、4分の1にあたる社員が、意見交換に参加している計算になります。

堀井様 社内の情報共有を目的として「ナレッジマネジメント」にも力を入れています。これまでも技能や知識を伝承するために、プロジェクトにアサインをする際にもベテラン社員と若手を組み合わせることを意識的に行ってきました。しかしながら、ベテランの教え方にはばらつきがあります。特に年配の場合は、背中を見て覚えろというスタンスで教えることが多い。価値観が多様化するなかで、職人型の教育スタイルは通用しにくくなっています。イントラネットなどをつかって、社内のさまざまなナレッジを検索閲覧できるようにするなど、情報共有するための仕組みを整えていますが、これに加えて社員が主体的に学べる仕掛けも考えていきたいと思います。

多様な取り組みで「斜めの関係」や「社会とのつながり」を築く

堀井様 新入社員と4年目の社員をペアにして行う「環境整備委員」も、「連帯感」を育むための取り組みです。たとえば、夏のお盆前に「夏祭り」を企画・運営したり、社内の美化運動をしたり、様々な社内イベントを担当役員と相談しながら委員が主体的に行っています。新入社員と4年目の社員の絆が生まれるだけではなく、イベントを通じて組織横断的なコミュニケーションができるので、「斜めの関係」をつくるきっかけにもなっています。今年は、もともとライブラリだった場所をカフェスペースに改修し、社員交流の場をつくりました。特に外国人の社員はここを上手に活用しているようです。

降籏様 社会との連帯につながる取り組みとしては、中高生向けの職業体験や課外学習があります。授業の内容も、教材も、すべて自分たちで用意します。中高生のキラキラした瞳の前で、専門的な話をいかに分かりやすく伝えていくのか。準備は大変ですが、やってよかったという声が多いですね。社会と触れ合いながら自分たちの仕事を知ってもらうことは社員の「誇り」にもつながっていると思います。

同じ狙いの取り組みとして、建築関連のアワードに応募することを奨励しています。社会的に価値があるアワードを獲得すれば、モチベーションアップにつながりますし、仕事の評価にも反映されます。本社ビルの1階にはギャラリーがあり、年に数回の企画展を開催しています。ここは一般の方も自由に入場できるため、自分の仕事を広く知ってもらう良い機会になっています。

堀井様 2017年に行ったブランディングの再構築においても、「連帯感」への想いが込められています。新しいタグライン「EXPERIENCE, INTEGRATED」は、EXPERIENCEという言葉からもわかるように「経験価値」をコアバリューに据えています。

当社の様々な専門分野で培った経験や知見をクライアントの想いや経験と融合させて、社員が働きがいを感じながらのびのびと力を発揮し、社会や人々に豊かな体験を提供し続ける企業を目指していきます。そして、それこそが当社の強みである「誇り」をより大きく育てて、力強い「連帯感」にもつながっていくと信じています。

株式会社日建設計 コーポレート部門 理事 副代表 堀井 一孝 様 プロフィール

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京都大学工学研究科建築学専攻修士課程を修了し、1988年日建設計へ入社。まちづくり、PPP/PFI、CRE等のコンサルティング業務を経験し、経営的側面と建築やワークプレイスなどの物的側面をつなぐ仕事を展開。2008年より日建設計マネジメントソリューションズ(現日建設計NWD室)取締役を兼任し、ワークプレイス分野に従事。 2015年より日建設計経営企画室長。2018年3月より、日建スペースデザイン取締役を兼任。経営企画担当。

株式会社日建設計 広報室長 降籏 哲人 様 プロフィール

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早稲田大学建築学科大学院修士課程を修了し、1988年日建設計へ入社。大小規模、多種な用途のプロジェクト企画に従事。某民間ビルのコンペから建物完成・運営立ち上げまでのオーナーズコンサル業務、都心部の再開発や大規模工場跡地の都市計画から建築計画を担当。2007年より経営企画室長、2009年より設計部門統括補佐として設計部門の仕事と人のマネジメントを支援。2015年1月より、広報室長 兼 グローバルPR部長。

株式会社日建設計

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建築の設計監理、都市デザインおよびこれらに関連する調査・企画・コンサルティング業務を行うプロフェッショナル・サービス・ファーム。これまでに手がけたプロジェクトは、日建グループ全体で約25,000件を超え、世界約50カ国250都市におよぶ。

調査・ランキング参加