株式会社CKサンエツ

interview_210311_main.jpg

「夜勤レス」「年間賞与額固定」「働き方選択」など
独自の取り組みで会社と従業員の信頼を育む

株式会社CKサンエツ
代表取締役社長 釣谷 宏行 様

日本最大の黄銅棒、黄銅線メーカーであるサンエツ金属株式会社と、地球環境に配慮した配管機器と溶融亜鉛鍍金の加工メーカーであるシーケー金属株式会社をグループの中核とする純粋持株会社、株式会社CKサンエツ。「働きがいのある会社」ランキングには2017年から連続でランクインしており、2021年版ランキング(中規模部門)では3位に選ばれています。同グループ代表の釣谷 宏行様に、働きがいのある職場づくりのヒントと、より働きがいを高めることに繋がったコロナ禍での取り組みについて伺いました。

積極的に情報公開することで、会社と従業員の信頼関係を形成

interview_210311_01.png当社は東京証券取引所市場第一部に上場するときに作られた純粋持株会社です。創業は今から101年前の1920年、鉄管継手の生産から始まりました。2021年現在、連結従業員数は約1000名で、グループの中核企業としては、サンエツ金属株式会社、日本伸銅株式会社、シーケー金属株式会社があります。

主要事業は「伸銅事業」「精密部品事業」「配管・鍍金事業」です。「伸銅事業」では、黄銅棒、黄銅線、めっき線を製造しており生産量はいずれも国内随一。「精密部品事業」では一眼レフカメラの黄銅製カメラマウントが世界シェア90%となっており、そのほかマニュアル自動車のシンクロナイザーリングなどを生産しています。「配管・鍍金事業」では水道やガスの配管に使用される鉄管継手の国内シェアはトップクラスであり、鋼材の錆止めなどで使われる融解亜鉛鍍金は北陸地域では最大級の生産量です。

経営方針としては、常に情報をオープンにすることで、会社と従業員の信頼関係を構築する好循環を形成してきました。会社が従業員に努力を要求すると生産性は向上し、製品や製法、商法の差別化が実現します。売上が増えて利益が増加したら、正しい評価によって待遇の改善を行います。従業員は一層努力し、さらには人材確保もできるというサイクルをつくり上げてきました。

そんな当社がGPTWに参画したのは求人用パンフレット作成を依頼した企業から、参画を強く勧められたことがきっかけです。2017年度の調査では41位でしたが、2018年度は5位、2019年度は7位、2020年度は7位で、2020年度は7位、そして2021年度は3位となっています。

当社が働きがいのある会社調査に参画し続けている理由は4つあります。まずは従業員に待遇面の優位性を再発見してもらうこと。せっかくの好待遇も「あって当たり前の既得権」になってしまってはもったいないからです。二つ目は、待遇は他流試合によって第三者認証を得なければ客観的なポジションはわからないと考えるから。三つ目は調査結果を待遇改善効果の指標として活用し、定点観測をすることが重要だと考えるからです。そして4つ目。社員アンケートでのスコアシートが一覧表形式で集計されるので、他社との詳細な優劣比較ができる点も改善につなげています。

従業員や地域の人たちに認められたコロナ禍での冷静な対応

interview_210311_02.png2020年のコロナ禍でも、働きがいを高める取り組みをしてきました。2020年2月、月例会という全体集会の社長訓示でコロナ対応について予告しました。「会社が赤字になっても従業員の収入は変わらないので心配せず、業務に集中してください」と。

また、4月8日に従業員が新型コロナウィルスに感染しました。即日、従業員全員を集めて説明し、地域住民にも説明しました。新聞、テレビ、ネットにも情報を提供。富山県ではまだ14件目の発症ということで大きく取り上げられました。詳細な情報提供をした甲斐があり、風評被害を受けることはありませんでした。

6月には従来通り従業員一人あたり120万円の賞与を支給。東証一部上場以来初の経常赤字を開示しましたが、12月にも予定通り120万円の賞与を支給しました。コロナ禍での学びとしては、きちんと情報開示すれば従業員も地域も信頼してくれるということです。リーマンショックや東日本大震災のときと同じように、過剰反応しないことを心がけました。こうした非常時にこそ、落ち着いて対処することが大事だと思います。

2020年12月には半導体産業や自動車産業の景気が急回復し、一時的に工場での生産が追いつかない状況に陥りました。年末年始を返上しての対応が必要となりましたが、従業員が気持ちよく応じてくれたことに感謝しています。

interview_210311_03.png働き方の改善施策はコロナ禍でも継続に取り組んでおり、代表的なものに「夜勤レス」があります。これは最近耳にすることが増えた言葉ですが、おそらく当社の造語が起源です。夜勤がなくなれば従業員の生活リズムが整いますし、意思疎通が円滑化し、分業や協業などのメリットを享受できます。そのため深夜勤の全廃を目指す取り組みをしてきました。

夜勤レスにはデメリットもあります。設備生産ラインを夜間動かさないため、2倍から3倍の設備能力が必要になります。この問題は、M&Aを積極的に行うことによって他社が保有していた設備をそのまま有効活用して解決しました。安価な夜間の電力を使用できず、コストが上がるというデメリットもあります。こちらは入札を行うことによって新電力から安く電力を調達することにより解決しています。最大のネックだった稼働を止めることができない電気炉・焼鈍炉についても、夜間の一時停止を可能にしたり、無人操業を実現したりして解消しました。

賞与額固定、働き方選択など独自の取り組みを展開

interview_210311_04.png2010年から賞与支給額を固定にしました。賞与は上がることはあっても下がることはないというルールで運営しています。これらの取り組みの結果、労使交渉がなくなり、組合は次々と自主解散しました。

2017年には賞与支給額を110万円(年2回)、2020年からは120万円(年2回)に改定しました。また、基本的に毎年社員旅行を催行しています。リーマンショック後に国内旅行に切り替えた時期もありましたが、コロナで渡航が制限された2020年以前は隔年で海外旅行をしていました。もちろん、全額会社負担で、おこづかいも支給しています。

働き方改革という言葉が流行語になりましたが、当社はそれ以前から「働き方選択」という制度を運用してきました。働き方は4パターンに分けられます。①仕事最優先で超高待遇希望②仕事優先で高待遇希望③私生活優先で低待遇希望④私生活最優先で超低待遇希望です。社員の構成比は①が15%、②が70%、③が15%となっています。

社員寮と社宅の整備にも力を入れてきました。各工場の敷地の中に、必ず社員寮が一つ設置されており、全部で122室、3DK社宅は18戸あります。家賃は社員寮が月額3000円、社宅は月7000円で利用可能です。これらの取り組みが社員に評価され、働きがいの向上につながったと考えておりますが、改善活動には終わりがありません。さらなる向上を目指したいと思います。

インタビュー(GPTW代表 荒川より)

GPTW荒川 社員の安全と生活を守るマネジメントを実践されていると感じました。従業員のみなさまと相互信頼のコミュニケーションをはかる上で、大切にしていることをお教えください。

釣谷様 従業員が自由に投書できるように社内のあちこちに投書箱を設置しています。コロナ禍でも迷ったこと、わからないことをどんどん投書で質問してくれたので、公開質問状のようなカタチで、質問の内容とそれに対する会社側の回答を掲示しました。感染者が出たときの注意事項などの緊急で対応してほしいことについては一斉にメール送信することで共有しています。

GPTW荒川 双方向のコミュニケーションを生み出す工夫がよくわかりました。工場勤務者のテレワーク化は非常に難しいポイントであり、多くの製造業で悩まれている点であると思います。工場勤務者のモチベーションを保つためにしていた工夫などありましたらお教えください。

釣谷様 工場勤務者のモチベーションを損ねる要因は2つほどあると考えました。一つは、コロナ禍で仕事の需要がなくなるということは、「自分はいらなくなってしまったんじゃないか」という誤解を生むことです。だからといって、仕事を与えるために本業と異なる雑用をあてがうことはしませんでした。従業員のプロとしての尊厳を守るためです。

また、在宅勤務ができない工場勤務の従業員には在宅休養をしてもらいました。給与や賞与その他の待遇も一切手をつけないまま通常通り支給しているため、休むことで損をすることもありません。これにより従業員のプライドと生活を守ることができたと考えています。

GPTW荒川 人間として、従業員として、一人ひとりを心の底から尊重していることが伝わってきました。本日はどうもありがとうございました。

株式会社CKサンエツ 代表取締役社長 釣谷宏行 様 プロフィール

interview_210311_profile.jpg

富山県出身。信州大学経済学部経済学科卒業後、株式会社北陸銀行に入社。昭和61年 シーケー金属株式会社に入社し、本社(富山県高岡市)、東京支店に勤務。平成 9年 シーケー金属株式会社の代表取締役社長(現任)に就任。平成12年 サンエツ金属株式会社代表取締役社長(現任)。平成23年株式会社CKサンエツ代表取締役社長(現任)。平成23年12月 株式会社リケンCKJV代表取締役社長(現任)。平成27年 日本伸銅株式会社代表取締役会長(現任)。中小企業診断士(平成5年4月)、中小企業診断協会会長賞(平成8年10月 中小企業経営診断シンポジウム)。

株式会社CKサンエツ

cksanetsu_logo.png

グループ純粋持株会社。東京証券取引所市場第一部上場。シーケー金属株式会社とサンエツ金属株式会社を中核とし、事業会社10社を子会社化。グループの年間売上高は約800億円で、従業員数は約1,000名。シーケー金属株式会社は地球環境に配慮した配管機器をCKブランドで提供し、世界で初めて環境対応を実現した溶融亜鉛鍍金の加工メーカー。サンエツ金属株式会社は日本最大の黄銅棒メーカーであると同時に、日本最大の黄銅線メーカー。

本内容は2021年3月時点の情報です。

あなたの会社の働きがいを調査してみませんか? 詳細はこちら