モルガン・スタンレー

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「ダイバーシティ&インクルージョンへのコミットメント」を企業指針に追加
多面的なアプローチでジェンダー平等の実現を目指す

モルガン・スタンレー・ホールディングス株式会社
代表取締役社長 田村 アルベルト 様

Great Place to Work® Institute Japan(GPTWジャパン)は、2021年版 日本における「働きがいのある会社」ランキングのベストカンパニー160社の中から、特に女性の働きがいに優れた企業を各部門別に上位5社を選出しました。大規模部門では、2007年から15年連続でベストカンパニーに選出されているモルガン・スタンレーが3位にランクされました。女性の働きがいを高めるヒントはどこにあるのか。同社の日本法人代表取締役社長の田村アルベルト様にお話をいただきました。

※本記事は2021年3月16日に開催した2021 年版日本における「働きがいのある会社」女性ランキング 記者発表会の講演抄録を基に、補足情報を追加して作成されました。

新たなコア・バリュー「ダイバーシティ&インクルージョンへのコミットメント」

interview_210419_01.jpgモルガン・スタンレーは、投資銀行業務や証券業務、ウェルス・マネジメント、資産運用事業を含む幅広い金融サービスをグローバルに展開しており、現在41カ国の拠点で、約6万8000人の従業員が勤務しています。2020年は米国本社の創立85周年、日本においては東京に駐在員事務所を開設してから50周年、と大変意義深い年でした。日本では三菱UFJフィナンシャル・グループと証券合弁事業を行っており、2020年には、その合弁事業も10周年を迎えました。モルガン・スタンレーの日本における従業員数は約1300名、そのうち42%は女性です。また、モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社の経営会議のメンバーも43%が女性です(2021年3月22日時点)。弊社は「一流のビジネスを、一流のやり方で」お届けすることを設立以来の理念にかかげ、国内外のお客様に付加価値の高い金融サービスを提供し、また、日本の資本市場とグローバル市場をつなぐ架け橋としての役割を担ってきました。

当社の最大の財産および競争力は社員と、社員が守り育てている企業文化です。この企業文化こそが私たちを競合会社から差別化できるものであり、この企業文化によって私たちが強固なブランド力と信頼を築いてこられたと信じています。私たちの企業文化は「5つのコア・バリュー」と呼ばれる企業指針に基づいています。そのコア・バリューとは、「正しいことをする(Do the Right Thing)」「顧客を第一に(Put Clients First)」「卓越したアイディアで主導(Lead with Exceptional Ideas)」「ダイバーシティ&インクルージョンへのコミットメント(Commit to Diversity and Inclusion)」「還元する(Give Back)」という5つです。「ダイバーシティ&インクルージョンへのコミットメント(Commit to Diversity and Inclusion)」は、2020年に新たに加えられたコア・バリューです。ダイバーシティ&インクルージョンは「Do the Right Thing」にすでに含まれていたのですが、世界中でますます多様性の重要性が高まる中、より明確にダイバーシティ&インクルージョンに対する当社の姿勢を打ち出し、内外に向けて表明するために、新たに加えることになりました。

優れた実力主義においては年齢や性別は関係がない

当社の85年の歴史の中で学んだことですが、顧客や株主の利益を最大化し、ビジネスで成功を収めるためには、優れた実力主義に基づいて組織を束ねることが不可欠です。
優れた実力主義とは、個人の実績とスキルに基づいて機会を与えることであり、そこに性別や年齢、学歴は関係ありません。

ダイバーシティの概念には、様々な要素が含まれていますし、人によって意味や捉え方も異なります。これは私見ですが、現在の日本の状況を鑑みると、日本においてはジェンダーにおける平等が非常に重要だと思います。では、どうやって女性を後押ししていくのか。それは「女性のために色々と工夫をしなければいけない」という考え方ではなく、「誰もが平等にチャンスを与えられるべき」という考え方で取り組むべきことなのです。

当社では様々な異なる価値観が尊重され、社員一人ひとりが自分らしくいられる環境によって、個々人の能力が最大限に引き出されると考えており、多様性や個々の「違い」を尊重する企業文化の育成に注力しています。そして、こうした取り組みにより、柔軟で寛大な職場環境を整え、社員が仕事とプライベートのバランスをとりながら充分に力を発揮することを目指しています。

多くの場合、一つの問題を解決するために、一つの方向から取り組むだけで問題が解決することはありません。ジェンダーにおける平等という容易ではない課題に取り組むには、やはり多角的に事象や問題点を理解し、多方向から複数の施策を実施することが必要だと考えています。ダイバーシティは、人事部だけが担う課題ではありません。全社、特にすべての経営陣が自分事と捉え、責任を果たすべきだと考えています。

当社はこのような取り組みを一層推進するために、「ダイバーシティ・アンド・インクルージョン・カウンシル」を日本拠点で設立しました。このカウンシルは、多様性に富んだ優れた人材を当社が採用し、育成し、維持するために何をすべきかを提案し、アクションにつなげることを目的としており、経営会議メンバーでもある3名の部門長が同カウンシルの共同代表を務め、様々な部署からの代表、社員ネットワークのリーダー達と人事部がその構成メンバーになっており、部門を越えた協働を行っています。

同カウンシルには、Accountability, Representation, Advancement, Cultureの4つのワーキング・グループがあり、それぞれのフォーカスに沿って、全社に展開可能な新しい施策の策定や従来の慣習や制度の見直しを行っています。カウンシルは、経営会議のメンバーに彼らの取り組みの進捗を報告するだけでなく、経営会議メンバーに対してのアドバイサリーボードとしての役割も担います。社内の状況を部門横断的に分析し、経営レベルで取り組むべき課題を提言するのです。これには経営陣にプレッシャーをかける狙いがあります。カウンシルが取り組む課題は、企業文化全体に関わるプライオリティの高い問題だと言えます。そしてそれらについては、経営会議レベルで継続的に考える必要があります。経営陣が積極的に動きながら、直すべきところは直し、従業員からの提案も受け入れて実行することが経営者の責任だと考え、取り組んでいます。

ジェンダー平等を目指すために社員が主体的に取り組む

interview_210419_02.jpg多様性に対する理解の醸成とインクルーシブな職場環境作りのために当社が公式にスポンサーする社員ネットワークは、個人と文化の多様性を尊重する取り組みとして、ダイバーシティ推進の中核のひとつになっています。社員の有志により運営されているネットワークは毎年一度、活動報告および翌年の活動計画を会社に提出しますが、日々の活動に関しては社員の完全な自主性に任されています。現在東京には、disABILITY Network、Family Network、Pride & Allies Network (LGBT)とWomen’s Business Alliance があります。社員ネットワークは、経営陣から多大な理解とサポートを得ており、多くの経営陣がスピーカーとして登壇し、自身のキャリア形成にあたり学んだことや転機となったことなどを語るイベントに参加し、スポンサーあるいはアドバイザリー・ボードとしてネットワークの運営に関わっています。

日本でも女性の登用や活躍の議論は活発になってきてはいるものの、日本政府や地域がさらに積極的に取り組まなければならないと感じます。当社としても、ますます女性の活躍の場を広げ、会社全体としての平等を実現するべく努力し続けます。今は経営陣の43%が女性ですが、これを50%もしくはそれ以上にもっていきたい。お客さまから当社の状況を聞かれることもあり、そのときは全体の女性の割合や経営メンバーにおける割合などもお伝えしています。

また、これは日本だけの問題ではありませんが、ESGの流れは止まりません。ESGのG(ガバナンス)の意味でも女性の役員の割合をあげていく取り組みもあります。E(環境)とS(社会)はかなりの勢いで話題になっていますが、この流れは必ずジェンダー平等にも繋がります。日本でも時間の問題だと思います。

モルガン・スタンレーでは、様々な強みを持つ多様な人材が集まり、常に一流のビジネスを一流のやり方で行える組織でありたいと考えています。そのようにして、他社の模範になるような取り組みを明示していきたいと考えています。

モルガン・スタンレー・ホールディングス株式会社 代表取締役社長 田村 アルベルト 様 プロフィール

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88年(昭63年)米ブラウン大卒。96年モルガン・スタンレー・ジャパン・リミテッド(現モルガン・スタンレーMUFG証券)入社、08年取締役株式統括本部長。19年より現職。コロンビア生まれ。

モルガン・スタンレー

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投資銀行業務、証券業務、ウェルス・マネジメント、資産運用業務を含む幅広い金融サービスにおいてグローバルに業界をリードしており、日本で事業展開する外資系金融企業としても最大級の規模を誇る。

本内容は2021年4月時点の情報です。

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