楽しくなくては続かない
まずは自社から 「インナーブランディングの達人」を目指す
glassy株式会社
代表取締役社長 工藤 太一 様
社長室マネージャー 吉本 香織 様
更新日 2024.10.312021.05.06
楽しくなくては続かない
まずは自社から 「インナーブランディングの達人」を目指す
glassy株式会社
代表取締役社長 工藤 太一 様
社長室マネージャー 吉本 香織 様
インナーブランディングを通じて企業を「ありたい姿」へと導くクリエイティブカンパニー「glassy株式会社」。Great Place to Work® Institute Japan の2021年版「働きがいのある会社ランキング」にて、小規模部門のベストカンパニーに選出されました。2018年の初参画から、着実にスコアを向上させています。「インナーブランディングの達人」を目指す同社は、どのように働きがいのある職場をつくっているのでしょうか。代表の工藤様と、取り組みの推進役である吉本様にお話を伺いました。
>>>「働きがいのある会社認定」について詳しい情報を見る
工藤 私は36歳で父の跡を継ぎ、印刷会社の社長になりました。それまで私は社員として働きながら印刷のマーケットが縮小し、「刷る」ことの価値が下がっていることを肌身に感じていたのです。印刷ビジネスは同じものをたくさん「刷る」ことで価値を提供していましたが、複製をするのは断然デジタルの方が得意であり、コストもスピードもかないません。
そこで「刷る」ことだけに着目するのではなく、そのもととなる「コンテンツをつくること」に軸足を移す必要があると考えました。コンテンツを作る側になれば、紙であろうがデジタルであろうがメディアを選べるわけで「刷る」以外の方法で収益を上げられる。それならば「価値あるコンテンツを生み出す側になろう」と思ったのです。
現在は社内報だけではなく、社内表彰や理念浸透の支援などさまざまな方法で、インナーブランディングのお手伝いをしています。その中で私たちが願うのは、そこで働く人たちが、「働く意味」を見つけたり、再確認したりしてほしいということです。日々の仕事に追われていると、そこにあるはずの「働く意味」を見失ってしまいがち。そんなときに、社内報を読むことで思い出してもらえれば嬉しいですし、社内報の取材などを通じて改めて「働く意味」を考えるきっかけをつくりたいと考えています。
工藤 2年前に当社のビジョンを再設定しました。それまでミッション・ビジョン・バリューが言語化されていなかったのです。改めて「インナーブランディングの達人」をビジョンに掲げ、「人と組織に関わる全ての働く人の意味をつくる」ことを目指しています。
ブランディングと言えば大手広告代理店が思い浮かぶと思いますが、いずれインナーブランディングも同じようにイメージされる時代がやってくると思います。真っ先に思い浮かんで相談される会社を目指したいからこそ、まず自社のインナーブランディングを成功させねばなりません。そのため、会社が大切にしている価値観を全員で共有するための取り組みを行ってきました。
吉本 当社はミッション・ビジョン・バリューを浸透させる取り組みを多面的に行っています。ミッション・ビジョン・バリューを決めて、発表するだけでは浸透しません。弊社には7つのバリューがありますが、自分たちなりに解釈し、日々の業務に取り組むことや、バリューに沿った行動を評価制度と結びつけることが前提として大事であると考えています。
例えば、経営方針を発表する年1度のビックイベントの「THE DAY」や、四半期単位でチームの活動を全社共有する「Gフォーラム」に加え、Value社内浸透プロジェクト「Gスタ」では、ボトムアップ施策を行っています。面白い施策でいくと、「バリューチャレンジ」は小学生の日直のように、従業員が持ち回りで担当します。毎朝1人がバリューに沿ってどんな取り組みをするのか社内チャット上で発表し、その日の業務終了時に実際にどんな気付きや体験があったのかを同じくチャット上で共有する機会を作っています。
弊社が取り組みの際に意識しているのが「楽しくなくては続かない」ということ。従業員が主体的に取り組める施策を設計してアクションを促したり、音声メディアやYouTubeを用いて気軽に視聴できるような、柔らかいコンテンツを発信したりなど様々な工夫をしています。
工藤 2018年からGPTWの調査に参加しています。これはいわば当社のインナーブランディング施策の一つです。私が経営者になって考えた経営理念は「広く社会から必要とされ、ともに働く社員が誇りに思う企業を創造する」。つまり、世の中に求められる存在であることと、社員が誇りに感じる会社であることの両方が揃って「いい会社」と言えるのではないでしょうか。
当社の経営理念はGPTWの「働きがいのある会社モデル」の考え方と通じるところがあります。健康診断と同じように年1回、第三者の視点で評価されることが経営理念の実現にもつながるはずです。「働きがいのある会社調査」の設問内容にも大事な要素が組み込まれており、調査結果からも示唆があると感じています。
工藤 これまでに3回調査に参加し、スコアを向上させてこられたのは、やはり当社の考える「働きがい」と観点が近しいからだと思います。GPTWのスコアを上げるという意識はしていませんが、インナーブランディングの達人を目指す当社が、自社のインナーブランディングのために近年取り組んでいることが、高評価につながったのではないでしょうか。
ソーシャルディスタンスを保ちながら働くこのコロナ禍では、インナーブランディングの重要性が再確認されているように感じています。納品したWebコンテンツの効果測定をすると、明らかにコロナ前よりもPVが伸びているものもあり、従業員が会社の情報に飢えていることを感じました。これから会社がどんな方向に向かうのか見えず、不安を感じている人も少なくないのでしょう。
インナーブランディングに注力し、従業員に対して情報を発信している企業は、相変わらず結束力があり、組織が落ち着いている印象です。そういった意味で、私たちは社会に価値を提供できていると感じています。さらにいい会社にするためにも、社会に必要とされる価値を創造し続け、また、従業員が仕事の意味と価値を噛み締めながら働ける組織を目指していきたいと思います。