日置電機株式会社

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「人間性の尊重経営」を推進する地方製造業
イノベーションを実現するため、社員に提示する「五つの指針」

日置電機株式会社
代表取締役社長 岡澤 尊宏 様

日置電機株式会社は、研究開発、生産ラインなどあらゆる場面で不可欠な「産業のマザーツール」と呼ばれる電気計測器メーカーです。Great Place to Work® Institute Japan 2021年版日本における「働きがいのある会社」ランキングの中規模部門にてベストカンパニーに選出されています。イノベーティブな組織を目指す同社代表の岡澤様より、その取り組みを紹介していただきました。

※本記事は2021年5月28日に開催したGPTW主催セミナー『イノベーションを創出するカルチャーは、「働きがい」の高い会社にある』の講演抄録です。

二つの理念に基づき「多様な働き方」を実現する環境を整備

interview_210628_01.jpg当社は電気計測器の開発、生産、販売・サービスを手掛けるメーカーです。1935年に創業し、今年で86年。当初から理念経営を追求してきた会社です。「HIOKIの理念」は二つあります。まず一つは「人間性の尊重」。社員が仕事に生きがいや喜びを感じ、自己実現の場として自由闊達な環境があること。そして個人の性格や適性を尊重し、育成することで、その可能性と組織の目標との高い調和を実現していく。これが弊社の人間性尊重の基本的な考え方です。もう一つは「社会への貢献」。電気計測器メーカーとして、高品質な製品と最高のサービスにより社会に貢献すること。地域社会の一員として地域社会の発展、環境保全の活動に積極的に参加し、持続可能な社会の実現にも貢献することを目指しています。

社内の環境づくりでは多様な働き方の実現を主眼に置いて取り組んできました。フレックスタイムや時短勤務はもちろん、社員とその配偶者の人間ドックを会社負担で毎年受診が可能です。年間休日は128日、有給休暇は20日。脳を活性化するためには非日常に身を置くことが大切と考えて連続休暇の取得を推奨しています。弊社ではこれを「脳活休暇制度」と名付けています。教育面では、世代別、階層別、キャリア別で教育体系を構築し、それを毎年更新・拡充しています。自分の仕事が第三者に評価されることは内発的動機につながるため、社内での表彰や、外部のコンテストに申し込みをして、外部の評価を得る取り組みもあります。またキャリアパスの支援では、本人の自主性を重んじ、一つ上の職位へのチャレンジやグローバルでビジネスを経験したい社員に向けて、キャリアパスのマネジメントコースとステップアップコースを設けています。

人事制度は、3年前に相対評価から絶対評価へ切り替えました。短期の成果については業績連動賞与というかたちで還元し、仕事と向き合う姿勢などは昇格などの評価に反映するというのが基本的な考え方です。管理職向けの人事制度では役割に基づく職位制度にすべく年俸制へ移行。定年も65歳まで引き上げ、70歳まで継続雇用ができるようにしました。生涯現役でイキイキと働ける環境をつくりたいと考えています。

日々の仕事を少しずつ変化させることでイノベーションが生まれる

interview_210628_02.jpg世の中の変化が非常に激しくなる中でも、「HIOKIの理念」をベースに10年先のありたい姿を改めて明示しようということで、長期ビジョンを掲げています。電気計測のソリューションを通じて、お客さまにどのように貢献していくのか。グループ全社員、海外も含めて「これが私たちの目指す方向です」とキービジュアルをつくって提示しました。「電気計測を通して、お客様の安全で有効なエネルギー活用を促進し、社会の安心と発展に私達が貢献する」。これが「HIOKIの理念」を具現化した価値です。

イノベーションは言い換えればお客様の創造です。「お客様を創造するには、日々の仕事の組み合わせを変えることで、必ず生み出せるもの」と繰り返し言っています。今日1日の仕事の中で少し工夫をする。組み合わせを変えて新しい結合を生み出す。それがイノベーションにつながると考えています。2015年にはイノベーションセンターという施設を本社工場に増設しました。技術開発系の人材を中心に、一堂に集まりコミュニケーションが発生する場となっています。イノベーションの促進を目的に、「未来創造の時間」という仕組みもつくりました。これは総就業時間の10%を、未来のために自由に使っていいというものです。毎週金曜日の午後に設定し、誰と組んでも、何を調べても良いし、予算も付与することとしました。1人が予算の範囲内でやることも、複数の人が予算を合わせてやることもあります。取り組みはまだ道半ばですが「技術の組み合わせ方によって新しいアプリケーションの提案ができるんじゃないか」「自分の事業の商品群ではないもので、お客さまにお役立ちできるのではないか」など、若い人たちが主体的に動き出しています。

技術部以外ではアイディア月間をつくり「こういう計測器があったらおもしろいのでは」というアイディアを募集。社員が主体的に行う改善活動も活発で、社内の仕組みとして定着しつつあります。営業部門はコロナ禍でお客様の元に行くことができず、在宅勤務をしていました。そのような中、自分の仕事の自慢をしようということで、YouTubeを活用した仕事紹介をしています。日常のプロセスにある意外な工夫や、オンラインセミナーを活用した新しい営業手法など、個々の取り組みを見える化することで、社内に良い刺激を与えています。

理念に則りイノベーションを創出するための「五つの指針」

interview_210628_03.jpgイノベーションの実現に向けて社内で五つ明示しています。一つ目は「顧客価値の構築」。「今の世の中DXだよね」ということで、社員が集まって、「Bluetoothのドングルをつくり、複数の製品に付け替えられるようにすればお客さんの価値に繋がるのでは」と興味深い提案が生まれました。そこから派生したチームが開発チームになり、実際に製品化して発売しています。二つ目は「生産方法の構築」です。当社の製品は一人生産方式を基本としています。生産は国内ですが、海外売上比率は50%以上。こうした中、リードタイムをいかに縮めるかが課題であり、生産体制のフレキシビリティーを高めるためにまさに今チャレンジしているところです。

三つ目は「新しい社会をつくるために協創する関係構築」。その実現に向け、社内で「ソリューション・クリエイター」という言葉を意識的に使っています。営業もプロダクトを売り出す販売スタイルから、お困りごとを解決する提案型営業をスタートしました。四つ目は「サプライチェーンの構築」。ゼロエミッションファクトリーに向けて、上田の本社工場は電力をCO2フリーに切り替えました。五つ目は「新しい組織の実現」。私たちは「10年先になりたい姿」を見定め、初期3年でイノベーションを起こすことを決めました。これを“Hi-CEO”という重点方針に据えています。Hiは「HIOKI」。我々は独立独歩の企業として未来永劫存在し続ける決意を頭に据えています。CEOのCは「カスタマーファースト」。Eは「エクセレンス・イン・バランス」。二者択一ではなく高い次元で両方を実現させるために知恵を出します。そしてOは「ワンチーム」。全員がオーナーシップを持って世の中の変化を成長の機会と捉えます。「お客様に選ばれる存在になるためにはどうすべきか」「4年後ありたい姿に対して今何をするのか」。まずは経営が先陣を切り、自発性を促していきたいです。

日置電機株式会社 代表取締役社長 岡澤 尊宏 様 プロフィール

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1987年、当時社長の新聞記事から企業理念に共感し日置電機に入社。製造部で自動試験装置の生産に携わり、管理職として製造、営業を経て製造部長を歴任。2011年取締役に就任。製造・営業部長として販売会社支援で年の半分が海外出張の日々を送る。2017年に専務。2021年1月から代表取締役社長(現任)。長野県長野市出身。座右の銘は「我以外皆我師」。

日置電機株式会社

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1935年に創業。研究開発、生産ライン、および保守サービスなど、あらゆる場面で不可欠であり、産業のマザーツールと呼ばれる電気計測器の専門メーカー。全社員の3分の1が開発・技術者という研究開発型企業。現在は、お客様と共に持続可能な社会の実現に貢献すべく、新しい社会システムを構成する電気自動車(EV/PHEV)やバッテリーといった重要市場に開発資源を集中している。

本内容は2021年5月時点の情報です。

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