株式会社ミクセル

更新日 2022.07.132022.07.13

interview_220714_main.jpg

広島に本社を置く「働きがいのある地域優秀企業」
社員が主役の理念経営で一体感のある組織をつくる

株式会社ミクセル 
代表取締役 島 幸司様

2022年度「働きがいのある会社調査」(Great Place to Work® Institute Japan)に初参画で小規模部門(従業員100名以下)においてベストカンパニーに選出され、同時に地域優秀企業にも選ばれた株式会社ミクセル。広島県に本社を置き、医科学分野の研究支援事業と介護ヘルスケア事業を展開しています。代表を務める島 幸司様に、「働きがいを高める理念経営」や「地方企業ならでは働きがいのある会社のつくり方」などについて聞きました。

<記事のポイント>
✓大切な人を亡くして自分たちの「使命」に気付いた
✓一人ひとりが経営理念に沿った行動を続ければ、自ずと業績は上がる
✓従業員の家族との交流も大事にする「大家族主義」。家族のためにもいい会社を作りたい

モノ売りから「科学技術の発展と普及を使命とする研究支援企業」へ

当社の創業メンバーは、以前私が勤めた会社の部下たちです。リーマンショックで経営不振に陥ったとき、幹部だった私は部下たちの働く場をつくるために会社を設立しました。理化学機器を販売する「モノ売り」の感覚で事業を展開していましたが、創業3年目に、私たちのミッション・ビジョンが生まれるきっかけとなる出来事があったのです。それは、身近にいる大切な人がガンで亡くなったこと。孫のために1分1秒でも生きたいと願う中、どんどん痩せていく姿を目の当たりにしました。

私は医療現場に近いところで働いていたので、「あの先生の研究が実っていたら、ガンを治せたかもしれない」など、思うことがたくさんあったのです。そのとき自分たちの使命に気づきました。「モノを売る会社」ではなく、「科学技術の発展と普及を使命とする研究支援企業」という位置付けで会社を捉えるようになったのです。

当社の経営理念は「人々の健康な日々と大切な人の笑顔の為に、自らの心と力を磨き、新しい価値づくりに挑み続ける」です。当時のビジョンも「研究成果と社会の架け橋へ」と明文化し、社員に共有しました。経営理念とビジョンを掲げたばかりのころは、共感してくれることなく去っていった社員もいました。今のように経営理念が浸透するまでに、10年以上かかっていると思います。私の経営者仲間にも経営理念が浸透せず、挫折する人が多いです。社員から「理想論だ」と言われることが続いたりすると、次第に社長の心が削られていき、「普通の会社」に落ち着いてしまいます。共感を得られるまで続けることが理念経営のカギなのです。

interview_220714_01.png

一人ひとりが経営理念に沿った行動を続ければ、自ずと業績は上がる

interview_220714_02.jpgもちろん、経営理念を日頃から口にしているだけでは、社員の「じぶんごと」になりません。社員が経営理念を意識する機会をつくることが大事です。例えば、「日替わり社長」という社長の代わりに社員が朝礼でスピーチをするという取り組みをしています。経営理念に基づいたスピーチをしてもらうので、当然理念に沿った言動を意識するようになるものです。理念浸透を続けると、やがて「経営理念に基づく行動をすることで業績も上がる」ということに社員が気づいてくれます。当社に限らず、企業の経営理念には「社会に与える価値」が明示されています。社会に価値を与える企業が評価されないはずがないし、社会に価値を与えている実感があるから、働きがいも上がります。この好循環が業績向上につながるのです。

また、私は10年くらい社員として雇われていたので、「会社員時代に嫌だなと思っていたことを排除する」という考えに基づいて会社づくりをしています。経営幹部だったころに感じていたのは、結果責任は負うけれど、権限はもらえないという矛盾です。同じ思いをさせたくないので、社員に権限移譲を進めてきました。チームごとにOKRを設定し、達成までのプロセスは現場に任せているので、かなり自律型組織に近づいてきたと感じています。

会社員時代は、現場で改善点を見つけても、それを聞いてもらえないなど、「意見が経営に反映されないこと」にも不満がありました。社員の主体性を伸ばしながら、意見を吸い上げる仕組みとしては、社員主導で展開している「同好会活動」があります。社員が自ら能力開発の機会をつくり、得たものを共有する「能力開発同好会」や、社員の主体的な経営参加につながる「経営勉強会」、さらには会社のビジョンを語り、未来の計画を立てる「未来開発倶楽部」などがあり、会社としてそこに資金的な支援をしたり、私や幹部が一緒に参加したりしています。とはいってもあまり堅苦しいものではなく、特に「未来開発倶楽部」は、お酒を飲んだりしながら、会社に忖度することなく自由に語れる場です。これらの同好会活動から生まれたアイディアを、新サービスや人事制度に落とし込むこともあります。

それからもう一つ、私が会社員時代に感じていたのは業務の無駄、非効率でした。インフラ面では、業務ソフトをフルクラウドに移行しています。顧客情報を一元管理するマーケティングオートメーションの活用もスタートしました。業務フローも見直して、紙でのやりとりや、その他の無駄な手続きを排除。業務時間を短縮する効果だけでなく、社員が生産性を強く意識するようになったという点でも取り組みの成果を感じています。

地方だからこそつくることができる「働きがいのある会社」がある

interview_220714_03.jpg社員には、会社だけではなく家庭でも主体性を発揮して、良い人生を送ってほしいと願っています。家庭に問題を抱えていると仕事にも影響しますし、身近な人を幸せにできない人が、より良い社会をつくることは難しいからです。私自身、家庭円満で充実しているから仕事も安定しています。だからこそ、設立当初から子育て支援をしてきましたし、女性が働きやすい環境づくりにも注力してきました。当社には、「ワーク・ライフ・バランス」よりも「ワーク・イン・ライフ」という言葉が似合います。

育児休業中の社員が赤ちゃんを連れて職場にやってくるのも当社ならではの光景だと思います。社員の子どもを抱っこするたび、「この子のためにもいい会社をつくろう!」と心に誓うのです。社員は家族とは言いますが、社員の家族も自分の家族と同じです。このような「大家族主義」は、会社がスケールしていくと失われがちなものだと思いますが、なんとか残していきたいと考えています。

「東京と違いリソースが限られている地方で働きがいのある会社をつくることは難しい」と思われがちと聞きます。当社は、広島に本社を置いており、東京に支店を構えているので自信を持って言えるのですが、働きがいのある会社をつくるという点においては、広島のほうがやりやすいです。「機会を与える」という点では東京の方が有利かもしれませんが、「愛着のある地元で働く」であるとか「共感できる仲間と一体感を持って働く」などは地方の小さな組織だからこそ実現しやすいと思っています。家族や友人を大切にしながら働きたいという価値観は会社の価値観と親和性が高いし、だからこそ濃密な関係づくりをしやすいのです。「家族のために戦う」もしくは「仲間のために戦う」という気持ちを、みんなが持っている組織は強いと思います。ですから今のミクセルのコンセプトを維持し、中央集権的にならぬよう権限移譲をしながら、世の中の変化に反応できる組織にしていきたいですね。

株式会社ミクセル 代表取締役 島 幸司様 プロフィール

interview_220714_profile.jpg

長崎県出身広島市在住。経営学修士(MBA)。前職の企業の経営存続が危ぶまれたとき、部下の生活を守るために2008年に株式会社ミクセル設立。研究者の皆様へ常に最適なソリューションを提供し、そこから生まれる成果を通じて社会に貢献することを目指す。理念経営を推進し、働きがいのある会社調査の2022年版 中部・四国地域における「働きがいのある会社」優秀企業に選出される。

株式会社ミクセル

mixell_logo.png

ミクセルは科学技術の発展と普及を使命とする研究支援企業です。研究支援事業では研究に最適な機材の販売や新しい技術の提案、専門的な研究コンサルティングを通じて、科学立国日本を影で支える最強の黒子集団となるべく、日夜業務に取り組んでいます。ヘルスケア事業ではますます広がる超高齢化社会に対し、最先端ロボットを用いたリハビリサービスの提供など、健康寿命を延ばすことを目的とした新しい介護事業を行っています。日本を世界一幸せな超高齢化社会とするために真心と最新の医療技術を提供します。

本内容は2022年7月時点の情報です。

「働きがいのある会社」を
目指しませんか?

GPTWは世界約150ヶ国・年間 10,000社以上の導入実績を活かし、企業の働きがい向上や広報をサポートします。

  • 自社の働きがいの現状を可視化したい
  • 働きがい向上の取り組みを強化したい
  • 採用力・ブランド力を向上させたい