保険を通じて実現したい世界が会社の理念に
クルーの主体性を伸ばし「事故のない世界」を共創する
イーデザイン損害保険株式会社
取締役社長 桑原茂雄様
更新日 2024.10.312022.07.20
保険を通じて実現したい世界が会社の理念に
クルーの主体性を伸ばし「事故のない世界」を共創する
イーデザイン損害保険株式会社
取締役社長 桑原茂雄様
「事故時の安心だけでなく、事故のない世界そのものを、お客さまと共創する。」をミッションに掲げ、保険会社の新しいかたちを体現するイーデザイン損保。2021年12月には「働きがい認定企業」に認定されました。ここ数年の間に「働きがいのある会社調査」のスコアを向上させている背景にはどのような取り組みがあるのか、同社取締役社長の桑原茂雄様と、HR部・人事担当マネージャーの中村千晶様に伺いました。
<記事のポイント>
✓社会に提供したい価値を考え抜いた結果、理念が生まれた
✓フラットな組織づくりを「社長」自ら創っていく
✓主体的な「アクション」を引き出す環境こそが企業成長の源泉
>>>「働きがいのある会社認定」について詳しい情報を見る
桑原様:東京海上グループで唯一ダイレクトチャネルに特化しているイーデザイン損保は、 東京海上グループのR&D機能として、新しい保険やサービス、組織づくりにいたるまで、新しい挑戦に取り組んできました。例えば、本年4月には、交通事故にあいやすい「魔の7歳(小学1年生)」への対策となるWEBサービスをリリースしました。通学時の事故を防ぐために、親子の目線で危険なポイントをマップ上に登録していくというものです。このように自動車保険に限らず「事故のない世界を共創すること」を目指してサービスを展開しています。
我々保険会社は、一貫してお客さまの体験に責任を持つべきだと考えています。部署の壁があることで、一貫性が損なわれてはなりません。3年ほど前にスタートした「ありたい姿プロジェクト」では、我々はお客さまにとってどうありたいのか、について見直し、改善を重ねてきました。その取り組みと並行して、新たな自動車保険「&e(アンディー)」を開発。「&e(アンディー)」を通じて提供したい価値とはどんなものか、世の中をどうしたいのか、とことん考え抜きました。それがきっかけで生まれたのが「事故時の安心だけでなく、事故のない世界そのものを、お客さまと共創する。」という当社のミッションです。ミッションやビジョンに基づいて商品をつくるというのがよくあるパターンだと思いますが、当社の場合は保険を通じて提供したい普遍的な価値が、ミッションに通じているのです。
中村様:また当社は、ミッション・ビジョン・“アクション”・バリュー(MVAV)という具合に、主体的な「アクション」が不可欠だと考えています。アクションには、「私が変わる、私が変える。」というフレーズがあります。自分自身の成長や変化が大事であり、「会社のパーツではなく主役としてお客さまに寄り添っていこう」という想いが込められているのです。目指したい世界を実現するためには、一人ひとりのアクションが欠かせません。だからこそ、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)にアクションを加えることは当社にとって必然でした。
桑原様:MVAVを浸透させるためには、社長が繰り返し伝えるだけではなく、人事戦略の中にしっかり組み込む必要があると思います。そのため、採用時にもMVAVへの共感を重視していますし、入社後の導入研修をはじめとして節々で振り返る機会を設けて浸透を図っています。また、MVAVに基づく事業戦略と人事戦略は切り離すことができないものです。そのため私は現在、社長とHR部長を兼任しています。MVAVが人事戦略に定着されるまでは兼任を続けるつもりです。
働きがいのある会社にしていくためには、心理的安全性が保たれた状態で、クルー(社員)が自分の意見を自由に伝えられ、不満も言える環境が欠かせません。まずは私が、みんなとオープンにコミュニケーションしたいと思い、社長室を常に開け放ち、誰でも入ってこられるようにしました。すると、「カスタマーセンターでは今、こんなことが起こっています」「繁忙期なのでみんなちょっと疲れ気味です。何かできることはないでしょうか」など、色々な声が寄せられるようになり、これまで以上に一つひとつの声にしっかり向き合うことができるようになりました。ときにはクルーのみなさんと一緒に食事をしながらたわいのない話もしますし、ダジャレで和ませたりすることも。あまりウケないことも多いのですが(笑)。
中村様:実際に社長室から社長とクルーが楽しそうに話している様子が伝わってくることもあります。そのくらい社長とクルーの関係はフラットです。
桑原様:上司と部下のコミュニケーションも大切にしています。ただ単に1on1を推奨するのではなく、マネジメント研修でもフィードバックの仕方をトレーニングするなど、有意義な対話ができるように促しています。また「信頼関係の築き方」などのテーマでHR部よりコラムを発信し、1on1のTipsを社内に共有しています。クルーの「キャリア形成」の意識づけをすることも重要です。上司と部下の1on1では、未来へのベクトルを向けた対話も展開されています。最近は各マネージャーと私の1on1も始めました。お互いに「気づき」が得られる時間になるように心がけています。
桑原様:1on1や新しい商品やサービスを考えるワークショップなどを通じて、相互理解を深めるとともに、社員一人ひとりの主体性を伸ばしていきたいと考えています。組織が大きくなればなるほど、「言われたことだけをそつなくこなせばいい」という考えに陥りがち。主体的に考えてアクションしていくことこそが企業の成長の源泉です。そうした考えから、VOCコミッティやマーケティング会議等、従来は役員や部長しか参加していなかったミーティングを、Zoomを通じてクルー誰でもがオブザーブできるようにしました。会社が今どんな課題と向き合っているか、また、どんな話し合いがされているのか知ることで、自分たちがすべきことも見えてくるはず。「自分はこう思う」という発意も促されるでしょう。クルーの主体性を引き出し、経営に巻き込んでいくことで、組織がより強くなると思っています。
イーデザイン損保は、保険会社であり金融機関です。金融機関としての信頼性はとても大事であり、クルーの力で正しく運営することが求められています。しかしながら、ただそれだけではこの変化の激しい世の中で生き残っていけません。スタートアップ企業のような柔軟性を持ち、一人ひとりがお客さまのことを考えて行動し、多様なサービスを生み出す会社にしたい。そして、クルーにとっては、「この会社で良かった」と思われるような会社にしたい。ただ保険やサービスを提案し、日々の仕事をこなすのではなく、「事故のない世界をつくる」というミッションの実現のために、働きがいを持って働ける会社づくりを、これからも続けていきたいと思います。