株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ

更新日 2022.09.132022.09.12

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コロナで大打撃を受けても高い働きがいを維持
苦しいときこそ社員にコミットすべき

株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ
代表取締役社長 岩瀬賢治様

2022年版 日本における「働きがいのある会社」ランキング(Great Place to Work® Institute Japan)大規模部門(従業員1000名以上)においてベストカンパニーに選出された株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ(以降、T&G)。国内のウェディング事業大手であり、ホスピタリティ業界の旗手ともいえる企業です。ここ数年はコロナ禍で大きな打撃を受けながらも、高い働きがいを維持しています。同社代表の岩瀬賢治様に「働きがいのある会社を目指す理由」や「働きがい向上につながるアクション」について伺いました。

<記事のポイント>
✓なぜその経営判断をしたのか「心の動き」まで伝える
✓苦しいコロナ禍でも社員たちは会社を信用してくれた
✓有事のときこそ会社の本性が出る

なぜその経営判断をしたのか「心の動き」まで伝える

interview_220912_01.jpg当社は、全館貸切の施設でオリジナリティの高いウェディングをつくる「国内ハウスウェディング事業」、高いクリエイティビティとサスティナビリティの要素を取り入れた「ホテル事業」、ウェディングのノウハウを生かした「コンサルティング事業」、これらの周辺事業を展開しています。移動や多くの人が集うことが制限されたコロナ禍で、非常に苦しい舵取りが求められました。そのような中で、現場の従業員たちが、お客様の不安を受け止め、感染対策を徹底して最高のサービスを提供する様子に感動しました。

我々の業界は、緊急事態宣言下で休業要請の対象ではありませんでしたが、お客様と従業員の安全を守るために2020年4月の最初の宣言発出時に全国の式場で結婚式の施行中止を決断しています。このとき一番苦しく、不安だったのは、全国各地で頑張っていた社員たちです。そこで、離れていても会社と全従業員がダイレクトにコミュニケーションが取れるようにビジネスチャットツールを導入。「マスクが足りない」などの困りごとを集めて、会社が応えました。

経営判断の背景を伝える上でも、このツールは有用でした。コロナ禍で極めて難しい経営判断がいくつもありましたが、判断基準は「人の心を、人生を豊かにする」という理念と照らし合わせて正しいのか、そして「社員たちがその判断に共感してくれるか」でした。ホスピタリティ業界を見渡すと、コロナ禍でコストカットを余儀なくされ、人件費に手をつける企業も少なくありませんでした。しかしながら私たちは、社員の給与賞与は満額支払うと決めたのです。「賞与カットは多くの企業がしているし、払わない理由はいくらでも考えられる。ただ、T&Gにとってどうなのか。外部環境の影響をみんなに負わせていいのかと考え、払うと決めた」と、決定に至るまでの心の内まで伝えました。そうすることで、社員の賛同を得られましたし、「社長、本当に大丈夫なんですか?」と心配してくれる社員がいたほどです。

苦しいコロナ禍でも社員たちは会社を信用してくれた

経営陣が心の内を明らかにし、次々と手を打ったことが、経営への信用・信頼に繋がったのでしょう。現場の社員からも「この会社に骨を埋めます」などのコメントが届きました。元々業界内で比較すると離職率は低かったのですが、コロナ禍の2020年、2021年は離職率が平時よりも下がっています。

また自発的に「世の中に役立つことをしよう」「人が喜ぶことをしよう」とアクションしてくれる社員がいたことも印象的でした。例えば、緊急事態宣言で結婚式の施行を中止していた時期には、賞味期限が切れてしまう食材やドリンクを「きちんと衛生に配慮した上で、近隣の幼稚園や保育園に提供したら喜ばれるかもしれない」と主体的に考え、行動してくれた社員たちがいたのです。「人の心を、人生を豊かにする」という理念が、仕事に紐づいているからこそ、有事のときもそれに沿った行動ができるのかもしれません。

当社はコロナ前に2027年までの長期経営計画を発表していました。その当時は国内ウェディング事業と海外リゾートウェディング事業とホテル事業の3つで1000億円の売上規模を目標としていました。それがコロナ禍での渡航制限など外部環境の変化を受けて海外ウェディング事業を売却し、事業ポートフォリオを再構築することに。現在は2030年に向けてウェディング事業とホテル事業を軸に展開することを打ち出しています。そこで改めて、世の中に向けて当社の存在意義を明らかにするために「ホスピタリティ業界にイノベーションを起こし 日本を躍動させる」というPURPOSEを作りました。観光立国を目指す日本において、ウェディングに限らずホスピタリティ業界をリードしていくという強い意志が込められています。

interview_220912_02.png長期計画を実現する上での当社の強みの一つは社員であり、それを支える人事制度・教育制度などが充実しています。2020年12月、コロナ禍で人事制度を改定しました。その目玉の一つは、若年層の給与のベースアップ。年収ベースで50万円ほど上げました。当社は若手が主体の業務も多いですし、勤務年数の長短に関わらずお客様に信頼されなくてはなりません。そこで若手の士気を高めて組織を活性化するために決断しました。働き方の選択肢も広がっています。かつては全国転勤が前提でしたが地域限定職も設定しました。また、総合職に加えて、ウェディングプランナーなど特定の職種に特化してキャリア構築ができる専門職の制度も設けています。これらはコロナ前から課題感を持っていたことでしたが、コロナを理由に棚上げするわけにはいかないと考えました。

有事のときこそ会社の本性が出る

2021年3月期決算は営業利益が赤字でしたが、2022年3月期は約21億円の黒字となりました。テクノロジーを活用して社員の労働負荷を減らすなど、変革を進めてきた結果であり、それに加えて、働きがいのある職場づくりを進めたことも影響していると考えています。

ここまでお話ししてきた取り組みの効果もあり、コロナ禍でも「働きがいのある会社調査」の高いスコアを維持することができました。調査結果は、会社の通信簿のようなものです。会社が良かれと思って人事制度を変えても、それが社員に受け入れられるかわかりません。調査結果が良ければ受け入れられたんだなと安心しますし、「働きがいのある会社調査」のベストカンパニーに刺激を受け、現状に満足せず上を目指す決意が生まれます。

interview_220912_03.jpg当社に限らず、厳しい外部環境のなか、難しい経営判断に迫られている企業は多いと思います。私が思うのは、そうした「有事のときこそ会社の本性が出る」ということです。私たちの判断は企業理念が一つの軸になっています。また、その判断が目の前だけでなく、未来にどのような影響を与えるか考えます。多くのサービス業は、それぞれ料理が美味しいとか、サービスの品質が高いなど、強みがあると思います。しかしながらその強みを生み出しているのは、社員であるはずです。それは私たちも同じこと。だからこそ腹を括って社員にコミットしました。私たちが結婚式をストップしたときに、人を辞めさせていたら、今のような回復はなかったでしょう。どの企業も、業績が良いときはキレイなことを言います。苦しい時こそ本音が出る。だからこそ、いつどんなときも自分たちが決めたことをやり切ることが、社員と社会からの信用につながるのだと思います。

株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ 代表取締役社長 岩瀬 賢治様 プロフィール

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愛知県出身。1990年大学卒業後、名古屋観光ホテルに入社し、ホテル運営の経験を積む。2002年にテイクアンドギヴ・ニーズに入社。支配人、グループマネージャーを経て、各セクションの統括部長を歴任し、2015年に代表取締役社長に就任。

株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ

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「国内ウェディング」を主とし、「その他 婚礼に関わる周辺サービス」を事業として展開。
創業以来、多様化するお客様ニーズに迅速に対応するために顧客満足を高める取り組みを実践しながら、新しい市場価値を創り出している。ウェディングに限らずホスピタリティ業界をリードすべく、ユニークなコンセプトや独自のデザイン、高いクリエイティビティをセールスポイントに持つ、高価格帯のホテル「ブティックホテル」を展開するのホテル事業にも注力。

本内容は2022年8月時点の情報です。

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