株式会社ディスコ

更新日 2023.10.052022.10.21

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2022年版 日本における「働きがいのある会社」シニアランキング 発表会
<企業講演>
大規模部門1位 株式会社ディスコ

株式会社ディスコ
サポート本部人財部長 渡辺肇人 様

Great Place to Work® Institute Japan(GPTWジャパン)は、「働きがい認定企業」(2020年7月~2021年9月調査実施)の中から、特にシニア(管理職を除く55歳以上)の働きがいに優れた企業を各企業規模部門別に選出しました。シニアランキングは今回が初めての発表となります。
大規模部門1位になった株式会社ディスコの取り組み事例を、サポート本部人財部長 渡辺肇人様にご講演いただきました。

<記事のポイント>
✓DISCO VALUESを軸とするミッション・オリエンテッド経営
✓個人の自由と組織の一体性を両立するWill統治
✓年間で約4800試合展開されるPIM活動
✓シニアこそがDISCO VALUESを体現し続けた存在

※本記事は2022年版日本における「働きがいのある会社」シニアランキングオンライン発表会の抄録です。

DISCO VALUESを軸とするミッション・オリエンテッド経営

当社は半導体・電子部品に関わるBtoBビジネスを展開しています。創業80年を超えて事業をしており、時価総額1兆円を超える規模まで成長しました。みなさまがお持ちのスマートフォンには、約1000個の半導体部品が入っていますが、その半導体の中のパーツを、私たちが切って削って磨くことで、性能を高めることに一役買っています。当社の強みは、高度な領域における「切る・削る・磨く」であり、そのための「装置」と「加工ツール」の両方を持つことから、これらを組み合わせた最適な加工ソリューションを提供することができます。髪の毛1本の断面を34分割したり、シャープペンシルの芯で5段のピラミッドを形成したり、硬くて割れやすいシリコンウエハーを光が透けて見えるほどの薄さである5μまで削ったりなど、高難度加工を得意としています。

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そんな私たちディスコは、ミッション・オリエンテッド経営をしています。組織経営の核となるのは『DISCO VALUES』です。あるべき姿を明確にした企業理念、企業として目指すべき方向性、経営の基本的な在り方が明示されています。それらを一人ひとりが日々の活動に展開できるように体系化し、200を超える項目が明文化され、共有と実践が図られているのです。ディスコの人的資源像は、ディスコの価値観に共感し、実践する人々の集まりであると明確に定義され、浸透と共有に関する取り組み活動は全社累計で毎年2万時間を超えています。

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個人の自由と組織の一体性を両立するWill統治

ディスコのミッションは「高度なKiru・Kezuru・Migaku技術によって遠い科学を身近な快適につなぐ」です。全てのエネルギーをここに投入しています。どんなに儲かる商売が目の前に現れても、ミッション以外の領域にディスコが参入することはありません。また、「ミッションの実現性の向上および価値交換性の向上」を「成長」と明確に定義しています。そのステークホルダーには従業員も含まれており、お互いに価値交換をする関係と位置付けられているのです。

interview_221021_04.pngDISCO VALUESと並んで大切なのが、「脱官僚統治」です。私たちはこれを「Will統治」と呼んでいます。一般的にはルールや命令による官僚統治により経営資源の効率化を目指すことが多いと思いますが、ディスコはメンバーの自由裁量によって経営資源の価値の極大化を目指します。なぜそれができるのか。それは、DISCO VALUESを中心とした「使命治」「原則治」「オピニオン治」、仲間との関係の質を高めていくためにも大切な「信頼治」そして、個人別管理会計「Will」を用いた「経済治」により、個人の自由と組織の一体性を両立できているからです。

全ての仕事の価値を「Will」で可視化する

続いて事業経営について説明します。Will統治の趣旨の通り、ディスコは社内の仕事を全て自由経済化しています。一般的には、仕事のアサインメントは会社や上司からの指示によりますが、ディスコは自分の仕事は自分で決めます。さらに一般的には、仕事の価値や価格もわからなかったり、気にしなかったりすると思いますが、当社では仕事の価値や価格はWillという単位に置き換えられ、オークションや受益者との直接取引がなされます。仕事に必要な道具や材料、情報や場所も個人がWillで支払い、必要なものを必要なだけ調達します。そのため、個人単位での収支が明確になっており、仕事の成果による売上と、必要なコストを差し引いて毎月の収支が出されるのです。これにより、受益者のない仕事や、価値の小さい仕事は淘汰され、リソースは適切な状態に収斂していきます。

そして、収支をよりプラスにしたい動機が働くことから、コストは会社が指示しなくても自ら削減、効率化されます。自らの価値を高めればより対価が多い仕事を得られるため、必要な能力向上のための自己研鑽がなされます。通常は経費削減や付加価値向上活動は、会社が主導しておこなうことが多いと思いますが、当社では会社や上司が指示しなくても、全従業員が主体的に取り組んでくれるというわけです。

年間で約4800試合展開されるPIM活動

interview_221021_05.png多くの企業が改善活動やイノベーション推進活動に取り組んでいますが、ディスコではそれを「PIM活動」と呼びます。パフォーマンス・イノベーション・マネジメントの頭文字をとったものであり、全部署・全員参加で実施しています。全部署がその月のベストな取り組みを全従業員・役員の前で、4~5例発表します。それを部署対抗の対戦形式で実施。この対戦は、年間4800試合ほど展開されています。PowerPoint1枚の一本勝負で、各部署の凝縮された知の創造が発表されるというものです。

これを自社開発した専用アプリを使い、Willを投じて勝つと思うほうに投票します。勝てば配当が入り、負ければ掛け金がなくなるため、見る側も真剣勝負の知の格闘です。発表内容は投票結果や経営陣からのコメントで即座にフィードバックされます。これを日本だけではなく世界でおこなっているため、グローバルに知が共有されているのです。

ディスコの働きがいをドライブするもの

働きがいを高める上で大事なキーポイントは「何でも自由」という文化です。キャリアは探すのではなく作り上げるものであり、ワークライフバランスを点ではなく、人生のストーリーで考えることが重要です。だから、私たちは「ライフタイム・ワークライフバランス」という言葉を使っています。

仕事は全て自由であり、非独占的なもの。どの部署がどんな仕事をしても良いのです。例えば、私たち人財部は人事機能を基本ファンクションとしていますが、技術開発部が作った製品を人財部が展開してビジネスになっているユニークな例もあります

仕事の自由以前に、配属や異動すらも自由です。新卒も希望部署の同意を得ればそこで働くことができるため、いわゆる「配属ガチャ」は起きません。配属後も、異動先が合意すればどこに異動しても構いません。一方で、異動元はそれを止めることができません。そのため、どうやって自部署が魅力的になるかを部長陣は日々考えています。「勤務事業所の自由」という制度もあります。所属部署はそのままで、例えば東京の本社の業務を広島や長野の工場で服務することも可能です。

処遇に関するところでは、春夏秋冬の年4回の賞与があります。支給原資は会社業績に連動するため、全員が自ら稼いで原資を増やす動機となります。さらに個人成績連動で上司の査定ランクが反映されます。そして、個人Willの収支業績にも連動しているため、いかに付加価値のあるサービスを生み出し、売上を上げるか考え、コストを最適化して収益向上させる行動に結びつくのです。

シニアこそがDISCO VALUESを体現し続けた存在

最後にシニアとディスコの関係について紹介します。従業員とディスコは互いにより良い価値交換の実現を目指す関係であり、働き方や仕事の内容は、個人の意思と仕事の価値観に基づいています。結果として、属性ごとの特徴や傾向があっても、ディスコが何かを規定することはございません。シニアというところで着目すると、ディスコで最も大事なDISCO VALUESへの共感と実践を体現しつづけた貴重な存在であります。

これは一例ですが、YouTubeのように社内動画が自由に配信されていて、これも閲覧数等によってWillが払われています。シニアも内発的動機や、部下後輩に引っ張られて、自分の価値を社内に動画で発信する取り組みがおこなわれており、これも当社とシニアの関係性を顕著に表していると感じています。

株式会社ディスコ サポート本部人財部長 渡辺肇人 様 プロフィール

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石油精製専門会社の人事を経て、1999年ディスコに入社、人財部に配属。2007年DISCO HI-TEC台湾設立(代表取締役社長)。2012年DISCO HI-TEC韓国設立(代表取締役社長)。2020年人財部長として13年振りに日本帰任。世界半導体マーケットにおいてアジアが急拡大する中で、代理店に任せていた台湾、韓国に現地法人を立ち上げ。中国と並ぶ世界最大マーケットを支える現地法人に成長させた。その鍵は、人事経験を活かし、台湾、韓国に於いても、ディスコ独自の組織経営、事業経営を現地メンバーと共に推進したこと。その活動は、現地の大学や企業にても注目され、講演も数々。

株式会社ディスコ

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東証一部上場。高度な Kiru(切る)・Kezuru(削る)・Migaku(磨く)の3つの技術を軸に、最先端を追求し続ける。大半の製品で7-8割の世界シェアを誇る。営業利益率20%超が続く高収益企業。

本内容は2022年9月時点の情報です。

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