調査を用いて自社の働きがいを仮説検証し ウェザーニューズの「3つの文化」を大切にする

更新日 2024.10.102024.04.10

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調査を用いて自社の働きがいを仮説検証し
ウェザーニューズの「3つの文化」を大切にする

株式会社ウェザーニューズ 
代表取締役社長 最高経営責任者 草開 千仁 様

2022年12月に初めて「働きがい認定企業」として認定され、先日発表された2024年版 日本における「働きがいのある会社」ランキング(中規模部門:従業員100~999名)では見事40位に選出された株式会社ウェザーニューズ。同社代表の草開氏は、創業以来、ウェザーニューズのカルチャーを大切にしながら、「働きがいのある会社づくり」に励んできたと言います。「働きがいのある会社調査」に参画した理由や、課題改善にどのように役立てているのかを、「ウェザーニューズの文化」と照らし合わせながら語っていただきました。

<本記事のポイント>
✓創業のきっかけとなった「船乗りの命を救いたい」という思いが、カルチャーとして根付いている
✓働きがいを高めるための仮説は、従業員アンケート調査結果に照らして検証する
✓ウェザーニューズの文化を磨き上げ「大切な人に勧めたい会社」をつくる

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「船乗りの命を救いたい」という想いが出発点

GPTW ウェザーニューズの成り立ちと事業概要を教えてください。

草開様 1970年、福島県の小名浜沖に停泊中だった貨物船が、爆弾低気圧によって海難事故を起こし、15名の船乗りが亡くなりました。その当時、商社に勤めて貨物船と連絡を取っていたウェザーニューズ創業者の石橋が「本当に役立つ気象情報があれば、この事故は防げたかもしれない」と考えたことが、創業のきっかけです。やがて、1986年にウェザーニューズを設立しました。

ちなみに、私は初の新入社員です。ウェザーニューズは海運に始まり、航空、道路、鉄道、防災、地方自治体、エネルギー事業者や流通業・小売業などの法人、またスマートフォンアプリ、Web、YouTubeなどを通じて個人にも情報を提供しています。さらに全国の放送局に対して、気象情報に関する部分で幅広くサポートしてきました。

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GPTW ウェザーニューズは、どのような組織風土なのでしょうか。

草開様 当社には3つの文化があります。1つめは「イニシアティブ」です。社内では「1匹目のペンギン」と表現しています。氷上の群れをなすペンギンの中で最初に飛び込む存在であろうという意味です。ウェザーニューズ自体が、1匹目のペンギンそのものでした。1986年ごろは気象と水はタダだからビジネスにならないと言われていたんです。失敗してもいいからまず自分たちが始めようというカルチャーはそのころから続いています。

2つめは「ミューチュアルトラスト」です。日本語でいう相互信頼ですが、私たちは「手の内を明かす」という意味で使っています。具体的には、毎週月曜日にSSMSpeed & Scope Merit)会といって、30分から1時間くらいかけて全社で新しいサービスの提案や好事例を報告し、シェアする場を設けています。社内報「Contrail(飛行機雲)」でも必ず必要な情報が共有されます。

 ちなみに、失敗事例は「ZUKKOKE会(ズッコケ会)」で共有しています。誰もが失敗を隠したがるものですが、失敗を隠すと相互信頼が崩れていくからです。誰が何をやっているか見えることも大事です。例えば、社長室が閉ざされていたら「社長室の中で実はゴルフやっているんじゃないの?」などと不信感が募るものです。ウェザーニューズの社長室はガラス張りで、常に開放されています。

 そして3つめの文化は「共同体の一員としての自己認識」。言い換えるとチームワークです。ウェザーニューズにはそれぞれ役割はありますが、それはあくまで仕事のトッププライオリティを定めたに過ぎません。2024年2月の大雪では、全社ミーティングで、「防災上重要な局面だからみんな手伝ってくれ。おにぎりを用意するだけでもいいから」と号令を出して、バックオフィスのスタッフを含め、誰もが主体的に手伝えるようにしました。このように役職にとらわれず、主体的に働く文化を大事にしています。

働きがいを高めるための仮説を、調査結果に照らして検証する

GPTW 3つの文化のお話から、「働きがい」のある職場がイメージできました。ところで、草開社長が考える「働きがい」とはどのようなものですか。

草開様 「働きがい」について考えるとき、まず大事だと思うのは「自分の仕事が社会に貢献している手ごたえを感じられること」です。ウェザーニューズで働いているスタッフは、その事業特性からして社会への貢献を感じやすいと思います。

もう一つ大事なのは働く環境です。ウェザーニューズの文化を踏まえ、時代の変化にも対応しながら、働く環境や評価制度を整えていく必要があると考えています。実は「働きがいのある会社調査」に参画したのは、客観的に見てウェザーニューズの環境は充実していると言えるのか確かめるためでした。特に、働く環境や評価制度などは、社会の影響が大きいので「社会と照らしてみてどうなのか」を見極めることが大事です。もちろん、当社は常に働きがいを高めるためのアクション続けていますが、調査結果を通じてアクションの正しさを確認できました。

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GPTW 草開社長は働きがいのある会社調査の結果についてどのように受け止めましたか。

草開様 仕事に対するやりがいは想像通り高いスコアであり、一人ひとりが使命感を抱いて仕事に打ち込んでいることがわかりました。

そのほか、「失敗が許される」と感じているスタッフが多いことは、ウェザーニューズの文化「1匹目ペンギン」を象徴する結果だと感じました。実際に新しいプロジェクトやコンテンツも10個やって23個上手くいけばいいほうです。私自身「失敗してもいい」としつこく言い続けています。

「仕事を通じて社会に貢献している」と感じているスタッフが多いことも確認できました。あらゆる分野で気象情報が必要であるため、直接的に社会貢献している手ごたえを得られます。「ウェザーニューズの情報のおかげで、最終便に搭乗することができ、無事に帰宅できました」などの感謝の声が直接届くこともあるほどです。

 また調査をしてよかったと感じたのは、チームによって、調査結果に差があることを確認できたことです。これはGPTW Japanのコンサルタントの報告会でも指摘されたことでした。私たちとしても、部署ごとに仕事のやりがいを感じる度合いは違うと感じていました。そこを重点的に改善すべく1年間アクションし、次の調査で改善傾向が見えてきたので、取り組みの方向性の正しさを確認できました。

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ウェザーニューズの文化を磨き上げ「大切な人に勧めたい会社」をつくる

GPTW 「働きがいのある会社調査」を通じて、新しい発見はありましたか。

草開様 世の中では今、リスキリングを会社が応援する流れがあります。ウェザーニューズの文化的にも、やりたいことや挑戦したいことがあるなら、1匹目のペンギンになってもらいたいと思うのですが、二の足を踏むスタッフが意外と多いのです。アンケートにも「学びの機会を増やしてほしい」という声がありました。そのため、多くのスタッフが関心を持っているビジネス英語やプログラミングなど、学びやすい環境を整え、社内にも発信しています。

また、ウェザーニューズは昔から年齢・性別・国籍一切関係なく評価をするダイバーシティ経営をしてきました。ところが「ダイバーシティ経営を明確にしてほしい」という声もあったのです。ダイバーシティ経営を明文化することも必要だろうと感じました。

さらにもう一つ、評価制度の見直しも検討しています。ウェザーニューズには小結・関脇・大関・横綱のような番付表があり、四半期ごとの評価にあわせて名前を番付表に貼りだします。ただ、番付表の顔ぶれがあまり変わらず、それがモチベーションに影響している可能性があるとわかりました。もう少し番付表を細分化して、昇格のチャンスを広げるべきか検討しているところです。

GPTW 働きがいのある会社づくりを通じて、会社がどういう状態になることが理想でしょうか。

草開様 自分の子どもや友だちに対して「ぜひウェザーニューズで働いてもらいたい」と自信を持って言える会社にしたいと思っています。気象が好きな人間は、寝食を忘れて仕事に没頭してしまいがちです。台風が来ているときに「時間が来たので帰ります」と言いたくない人たちなのですね。自分が好きで働いているからそれで良いわけではなく、それを支える家族はどう感じているのかも考えなくてはならないし、働きすぎて品質が下がったらお客様にとってマイナスであることも考えなくてはいけません。10年ほど前から働き方改革を進めていますが、さらに進化させ、「事業内容も働く環境も素晴らしい、大切な人に勧めたい会社」にしたいですね。

株式会社ウェザーニューズ 代表取締役社長 最高経営責任者 草開千仁様 プロフィール

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1965年生まれ、東京都出身。87年青山学院大理工学部卒、新卒入社一期生としてウェザーニューズ入社。営業本部CSS事業部長、営業総本部航空事業部長、防災・航空事業本部長などを経て、1996年に取締役就任。1997年に常務取締役、1999年に代表取締役副社長を経て、2006年に代表取締役社長就任。2016年より現職。

株式会社ウェザーニューズ

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1970年の海難事故を経験した創業者・石橋博良の「船乗りの命を守りたい」という想いがきっかけで誕生。海から始まった気象サービスの市場は、空・陸へと広がり、「いざというときに人の役に立ちたい」を合い言葉に、現在、世界約50カ国のお客様へ、24時間365日、リスクコミュニケーションサービスを行っている。各地で発生する気象・地象現象を正しく把握するための独自の観測インフラの開発や、各国の気象・地象リスクを深く理解することで全世界一人ひとりに本当に役立つ気象サービスを、地域の方々とともに提供していく。

本内容は2024年2月時点の情報です。

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