ありたい姿を言語化・共有し、組織拡大の壁を突破
ペルソナ設計と理念共感型採用でミスマッチをなくす
株式会社プレシャスパートナーズ
代表取締役社長 CEO 髙﨑 誠司様
更新日 2024.10.102024.04.25
ありたい姿を言語化・共有し、組織拡大の壁を突破
ペルソナ設計と理念共感型採用でミスマッチをなくす
株式会社プレシャスパートナーズ
代表取締役社長 CEO 髙﨑 誠司様
2024年版 日本における「働きがいのある会社」ランキング ベスト100の中規模部門(従業員100名から999名)に選出された株式会社プレシャスパートナーズ。7年連続でベストカンパニーに選出されています。現在は名実ともに働きがいのある会社である同社も、組織拡大に際して何度も壁にぶつかってきたそうです。今回は代表取締役社長を務める髙崎様に「組織拡大の壁を突破するためのヒント」や「採用コンサルティング企業が自社で実践している採用戦略」などについて語っていただきました。
<記事のポイント>
✓「100人の壁」を乗り越えるために必要なのはMVVの言語化と浸透
✓「明日会社に行くことが楽しみ」な社員を増やす
✓採用活動はペルソナ設計を徹底的に行う
>>>「働きがいのある会社認定」について詳しい情報を見る
GPTW 株式会社プレシャスパートナーズの成り立ちと事業内容を教えてください。
髙﨑様 2008年に設立し、求人広告の代理店事業からスタートをしました。求人広告や採用サービスの選定など、採用コンサルティングの領域まで事業を拡大してきましたが、私たちがやりたいのは、働くことをポジティブに捉え、ワクワクする人を増やすことです。その先にあるのは、入社した人を定着させること。例えば、経営者が自らともに働く人の人生を想い、直接学生と向き合って採用する新卒採用サービス「WinC」を展開しています。
「WinC」は学生が福利厚生や労働条件だけではなく、企業理念やビジョンなどから企業を選択することができ、企業側は理念に共感した人材を採用することができます。社長・経営者の想いに共感して入社をすることで、入社後のミスマッチの軽減につながります。企業の魅力も課題も全てオープンにした上で採用活動をしてもらうことで、新卒社員の入社後のギャップを減らしていきたいのです。このほか、アルバイト採用業務の自動化サービスRECRAC(リクラク)や、就職・転職フェアのサポートなどさまざまなサービスを展開しています。
GPTW 御社は5名でスタートし、現在は180名を超える組織となりました。事業成長と組織マネジメントの関係性をどう捉えていますか。
髙﨑様 2008年に会社を立ち上げてすぐリーマン・ショックが来ました。人材業界が一気に萎んで苦しかったのですが、サービスを良くするためには人を増やさなければ絶対にできないと思っていました。その後も、東日本大震災、新型コロナなどの外部環境の影響を受けながら人材確保に悪戦苦闘してきた歴史があります。
5人の会社が30人、50人、100人と増えていくと、従業員を管理職に引き上げる必要があります。しかし、従業員からすると人数が増えて自分の役割が変わるとは思っていないもので、「仕事がきつくなるだけ」と感じた従業員もいたと思います。一番苦しかったのは30人くらいの規模のときですね。元々渋谷にあったオフィスを新宿に移転したのですが、移転の目的は会社の成長を感じてもらうためでした。大きなオフィスに移転し、そのタイミングで事業計画や会社の見通しを伝えました。会社が大きくなれば、給料も上がり、より幅広い仕事にチャレンジできると未来を信じた従業員が、現在では中核メンバーに育ってくれています。オフィス移転は大きな投資でしたが、それに見合う効果があったと思います。
GPTW 組織拡大に立ちはだかる「100人の壁」をどのように乗り越えましたか。
髙﨑様 社員が100人ともなるとビジョンを示して、一人ひとりに落とし込むことが大変になります。そこで手掛けたのは、ミッション・ビジョン・バリューをつくること。どういう世界をつくるのかを言語化したのです。そして、会社が描く未来を折に触れて話したり、SNSで自分の考えを発信したりすることで浸透させています。
2021年には「働きがいのある会社調査」の結果を考慮しながら、評価制度を変更しました。2017年には従業員主体の社内改善チームを立ち上げ、現場の業務改善だけではなく、評価制度も当社の価値観に合うものに変更しています。年功ではなく成果に対して評価できるものとしました。また「社内部活」も盛んになり、部署を越えたコミュニケーションも強まっています。生き生きと働く人が増えたと感じていますし、離職者は減少しています。
GPTW 働きがいのある会社調査で特に重視している設問はありますか。
髙﨑様 「明日会社に行くことが楽しみ」という設問です。働きがいのある会社かどうかは、この言葉に尽きると思っています。カルチャーの浸透や働きやすい環境づくりも大事ですが、究極的には「会社に行きたい」と思う従業員で埋め尽くしたいです。
GPTW 働きがいのある会社調査のベストカンパニーに選ばれたことによるメリットはありましたか。
髙﨑様 当社は採用のプロであり、採用と定着のコンサルティングをしているため、お手本でなければならないと感じています。ベストカンパニーに選ばれたことで説得力が生まれ、差別化にも繋がっていると思います。
GPTW 御社の採用コンサルティングのノウハウは、自社の採用でも生かされていますか。
髙﨑様 当社が採用活動を行なう上で大事にしているのはペルソナの設計です。たとえば、「体育会選抜採用」という採用では、大学でキャプテン・主将・部長の役職についた経験があり、全国大会にも出場経験があり、目標に向かって努力を続けることができる、などのペルソナを描きました。「インフルエンサー採用」という採用では、1つのSNSメディアでフォロワーが1万人以上いることを応募条件とし、SNSが大好きでトレンドに敏感で、目標に向かってストイックに努力できる人をペルソナとして設定しました。こうした経験やスペックだけではなく、どんな趣味を持っているのか、どんなファッションブランドが好きなのか、という具合にパーソナルな部分まで落とし込みます。こういう人を採用したいと絞った上で、その人に向けてラブレターを出していくイメージです。その上で、「プレシャスパートナーズでもいい」ではなく、我々の企業理念に共感し「プレシャスパートナーズで働きたい」と思っている人を採用します。極端な話、募集人員が一人なら、我々のペルソナに合致する一人の応募でもいいのです。
GPTW まさに今組織マネジメントに苦労されている経営者に向けてのメッセージをお願いします。
髙﨑様 100社あれば100社の考え方があるので、一つの正解があるわけではありません。まず、自分がどんな会社をつくりたいのかを、言葉と数字に落とし込むことが第一だと思います。当社の場合は、ミッション・ビジョン・バリューを軸に組織づくりをしているので、そこを明確にしました。
利益だけを生み出すのではなく、会社を通じてどんな価値を生み出したいのか、今働いている従業員のみなさんに何を返していきたいのかをしっかりと決める必要があるのではないかと思っています。そこに共感している従業員は、少々環境が変わったり、上司が変わったりしても辞めないと思います。会社は社長のものではないですし、みんなで会社をつくっていく姿勢を崩さないことが大事だと思います。