4年連続の認定で日本支社のプレゼンス向上
一人ひとりの可能性を最大限引き出す働きがい改革
DXCテクノロジー・ジャパン
カントリー マネージング ダイレクター
西川 望 様
更新日 2025.07.042025.07.04
4年連続の認定で日本支社のプレゼンス向上
一人ひとりの可能性を最大限引き出す働きがい改革
DXCテクノロジー・ジャパン
カントリー マネージング ダイレクター
西川 望 様
DXCテクノロジー・ジャパンは、世界約13万人の従業員を擁するITサービスカンパニーの日本法人として、特定のプロダクトやソリューションを売り込むのではなく、お客さまのビジネスや業務においての課題や目標を、ITを活用して解決しています。Great Place To Work(R)の「働きがいのある会社」認定を4年連続で取得したその裏側には、社員の個性や価値観を活かす“タレントドリブン”なカルチャーと、地道な組織改善の積み重ねがありました。日本支社の存在感をグローバルでも高めつつあるDXCは、どのように“人”の力をビジネスの成長につなげているのか。同社代表・西川望氏に話を伺いました。
<抱えていた課題>
✓業界として「ハードワーク」のイメージが強く、実際のカルチャーや働きやすさが魅力的に伝わりにくいと感じていた
<導入の決め手>
✓働きがい認定取得により、採用活動やブランディングなど外部への発信効果を期待した
✓海外支社でも実施している調査を使うことで、グローバルで共通言語もって組織改善ができると考えた
GPTW 御社の事業概要とその特色を教えてください。
西川様 当社は、グローバルに約13万人以上の従業員を擁するITサービスカンパニーです。日本法人は2017年に設立され、1,300名以上の従業員が活躍しています。アプリケーション開発からインフラ運用まで、いわゆるフルスタックで対応し、データ分析やセキュリティなど多様なニーズにも応えています。こうした包括的なサービスにより、大手企業と長期的なパートナーシップを築いてきました。
そんな当社のビジネスの根幹は「タレントドリブン」です。従業員一人ひとりの能力や個性を最大限に活かし、成長を後押ししながら、お客様に最適な価値提供を目指しています。理系・文系を問わず多様なバックグラウンドを持つ従業員が在籍しており、女性比率は約3割、外国籍従業員も約2割。誰もが自分の強みを活かし、積極的に挑戦できる環境を整えてきました。また、従業員の約20%が部門を越えた業務経験を積み、専門性を広げながら成長する機会を得ています。こうして従業員一人ひとりの成長を支え続けることで、お客様に高品質なサービスを提供し続ける好循環を生み出しています。
GPTW 御社にとっての働きがいの位置づけを教えてください。
西川様 どれだけテクノロジーが進化しても、最前線で課題解決にあたるのは従業員です。「この会社で働いていて良かった」と感じられることが、お客様へのサービス品質に直結すると言っても過言ではありません。従業員がやりがいを持ち、成長を実感して働くことで、そのエネルギーはお客様にも伝わり、より良い関係を築くことができるからです。
私たちは「タレントドリブン」を掲げ、従業員の能力や個性を最大限に活かしてお客様に価値を提供してきました。だからこそ、従業員一人ひとりの誇りや価値観を尊重し、強みややりたいことを活かせるよう柔軟に仕事をアサインしています。これがカルチャーとして根付き、「自分の成長」と「お客様への価値提供」という好循環を生んでいると考えています。
GPTW 働きがいのある会社調査に参画したきっかけを教えてください。
西川様 当初は、採用活動やブランディングなど外部への発信効果を期待していました。日本のITサービス業界は「ハードワーク」のイメージが強く、実際のカルチャーや働きやすさがなかなか伝わりにくいのが課題。GPTWの「働きがい認定」があれば、「外部の信頼できる機関から働きやすい会社と認められている」という証明になり、求職者やその親御さん、転職エージェントに安心感を届けられると考えたのです。
また、働きがいのある会社調査は海外支社でも実施しており、各国の状況を比較・共有しながら改善を進めています。国によって文化や評価基準は異なりますが、同じ調査枠組みを使うことで、グローバル全体で「働きがい」という共通言語を持ち、組織改善に役立てられることも選択した理由の一つです。
GPTW 働きがいを高めるために、具体的にどんな取り組みをしていますか。
西川様 代表的な取り組みの一つが、「Your COLOR面談」です。これは従業員一人ひとりのカラー(個性・価値観)を引き出し、それを活かせるように支援するためのもの。「最近嬉しかったこと」「これから挑戦したいこと」など、業務だけでなく個人の想いや経験を大切にし、マネージャーと対話を重ねています。話題はキャリアの話からプライベートの価値観まで多岐にわたります。
さらに、一人ひとりが自分自身を見つめ直す場として、学習者が主体的に、能動的に学習に取り組む「アクティブラーニング」を導入しています。代表的なものに「DXCバリューカードゲーム」があります。これは従業員が自分自身の価値観や誇りを気づき、他者理解を深めるためのものです。このゲームは、仕事やプライベートに関わるさまざまな価値観が書かれたカードを5枚引き、必要に応じて交換しながら、自分にとって大切な価値観を絞り込んでいく形式です。最後にそのカードをみんなで共有し、「どうしてこれを選んだの?」「これを捨てたの?」と話し合うことで、お互いの違いや自分の大切にしたいものを再確認できます。ゲーム感覚で自己理解と他者理解を深めることができるツールです。
また、調査結果をもとに、有志の従業員たちが「タスクフォース」を組織し、課題解決に取り組んでいます。たとえば、「経営陣からの情報発信が少ない」という指摘を受け、タウンホールで経営陣自らがメッセージを届ける仕組みを整えました。タスクフォースのテーマやメンバーは毎年変わり、より多くの従業員が主体的に会社づくりに関わっています。この積み重ねが「自分たちの手で会社を変えられる」という実感を生み、働きがいの向上につながっています。なお、調査の導入時には、採用ブランディングと社内の組織改善の効果を8:2の割合で期待していましたが、今ではその比重が逆転し、社内改善への活用が中心となっています。
GPTW 「働きがいのある会社認定」をどのように活用していますか。
西川様 GPTWの認定があることで「外部機関から認められた働きやすい会社」であることを示し、求職者やその親御さん、転職エージェントに安心感を与えています。
先ほども申し上げましたが、社内では、調査結果を単なる外向けアピールにとどめず、社内改善の指標として活用しています。タスクフォースが課題を洗い出し、小さな改善を積み重ねることで、従業員が主体的に会社を良くする風土が根付き、スコアも着実に上昇してきました。この取り組みは、従業員の誇りや挑戦心を育む大きな要因になっていると実感しています。
特に私たちは「誇り」のスコア向上に注力してきました。最初はカルチャーを示すことで誇りが高まると考えていましたが、一人ひとりの感じ方は異なると気づき、従業員の声を丁寧に拾い上げ、各チームで小さな改善を繰り返してきました。その結果、スコアにも成果が表れ、誇りを持てる職場づくりが進んでいます。
GPTW 「働きがいのある会社認定」の影響を感じていますか?
西川様 もちろん感じていますし、面白い影響もありました。あるとき、DXCのメンバーが集結する海外のリージョンタウンホールで日本の取り組み事例を紹介したところ、「日本で働きたい」という履歴書が海外から多数送られてきたんです。日本語ができないと実務は難しいのですが、それだけ、 Great Place To Work(R)への注目度が海外でも高いと実感しました。実際、日本の成長が著しいので、海外からの経験者を日本に呼び、一緒に働く機会も増えています。
通常、海外も含めた従業員満足度サーベイを実施すると、国によって文化的なバイアスが出ます。日本は、諸外国に比べてスコアが低くなる傾向があると思っています。その点、Great Place To Work(R)の調査は、グローバルで共通する指標でありながら、「働きがい認定」は日本における基準で評価されます。「今年も認定を取得しました」と胸を張って言えることが、社内の信頼感や誇りに繋がります。認定が発表されるたびに「おめでとう!」という祝福の声が全社から上がり、みんなが喜んでくれるんです。働きがい認定は単なる外向きの称号ではなく、社内のモチベーション向上にも大きく寄与していると思っています。
GPTW これから働きがいを高めていきたい企業に向けてメッセージをお願いします。
西川様 本当に働きがいを高めていくには、一度きりの取り組みで完結するものではありません。今年認定を取れたからといって、来年はまた別の課題が出てくる。私たち経営者はつい年単位、四半期単位で物事を見がちですが、従業員は30年以上も会社に在籍し続ける人もいます。だからこそ、そういった人たちと一緒になって会社という「箱」を一つひとつ作っていくことが大切だと思っています。
そのために、毎年調査結果を活用して課題を見つけ、スコアが上がった下がったで終わらせるのではなく、「なぜスコアが上がったのか」「どこを改善すればいいのか」「誰が何をするのか」と具体的に考え、実行し、その結果また改善するというサイクルを絶え間なく回していく必要があると思っています。働きがいの向上には終わりがなく、そうした取り組みこそが企業として大切なのではないでしょうか。