東京海上日動システムズ株式会社

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3社合併が契機となった働き方改革の変遷
閉塞感漂う縦割り組織からベストカンパニーへ

東京海上日動システムズ株式会社
常務取締役 三宅 晃 様

ITで東京海上日動グループを支える東京海上日動システムズ株式会社。2018年版日本における「働きがいのある会社」ランキング(Great Place to Work® Institute Japan)では大企業部門14位であり、10年連続のベストカンパニー入りを果たしました。その10年の間に、同社は組織活性化や、女性活躍促進、次世代人材育成など、時代や外部環境の変化に対応するため、さまざまなテーマと向き合ってきました。具体的に、これまでどのような課題があり、その課題に対してどんな打ち手を出してきたのか、同社の常務取締役、三宅 晃氏にうかがいました。

「こんな縦割りの組織は見たことがない」改革の起点となった耳の痛い一言

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当社が10年連続でベストカンパニーに選ばれることができたのは、調査結果を真摯に受け止め、自社の足元を見直しながら、会社の課題に取り組んできたからだと考えています。課題に対する取り組みが結果的に、当社における「働き方改革」につながり、会社を成長させる大きな原動力になりました。

働く環境を見つめなおすきっかけになったのは、2004年の東京海上システム開発、日動火災システム開発、東京海上コンピュータサービスによる3社合併です。合併作業というものは、それぞれの会社が納得する最適解を見つけ出すための検討に非常に時間がかかる上、出身会社によってシステム開発の進め方も異なるため、誰もが疲弊している状況でした。

また何とか合併を乗り切った後も、合併により会社組織が大きくなり、組織ごとの連携がうまくいかず、コンサルティング会社から「こんなにひどい縦割り組織は見たことがない」と耳の痛い指摘をされたほどでした。そんな中で「なんとかしなくてはならない」という危機感を持つ社員が立ち上がり、「ワークスタイル改革委員会」というコミュニティが発足。まずは、社員同士の心の交流を増やすための仕組みづくりをはじめました。

代表的な取り組みの一つが「サンクスカード」です。当社は、感謝の気持ちを持つことを大切にしており、すべての業務プロセスにおいて感謝の機会があると考えています。その感謝をしっかり届けるための仕組みが「サンクスカード」というわけです。感謝したい社員はサンクスカードに気持ちを綴り、専用のポストに入れます。それをワークスタイル改革委員会が集配し、社員に代わって届けるのです。当社は約1300人の会社ですが、毎年1000枚前後のサンクスカードが配られています。

社員の交流機会を増やすために、運動会と社員の子供たちを招待するこども職場見学会をはじめたのもこの頃からです。個人的には土日に会社の行事を行うことに乗り気でなかったのですが、やってみるとこれが意外と楽しく、「お酒もありの大人の運動会」という感じで毎年盛り上がっています。こども職場見学会では、子供といるときの社員の表情を見るのが面白いです。社員たちの家族と過ごすいつもと違う表情を見たら、お互いをより尊重しあえるようになるではないかと思います。

男性も女性も、いきいきとしなやかに働ける職場へ

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合併後の閉塞感は、取り組みをスタートして3年か4年くらいで、ずいぶん改善しました。一方で、2007年からは外部環境も大きく変化し、グループ全体で商品や業務プロセスの抜本的な改革を行いました。誰もが経験したことのないチャレンジの連続で、会社としてもとても忙しく、全社員がフル稼働な状況でした。誰もが先行きの見えない不安な状況で、少しでも安心して働ける環境を整えたい…そんな想いを持つ社員たちが結集し、ハッピーワーク&ライフスタイルプロジェクト(通称ハピプロ委員会)が誕生しました。

まずは女性活躍の推進からスタートすることとし、ハピプロ委員会は、女性が安心して長く働くうえでの課題を10の提言にまとめ、社長に提案しました。当時の社長がすべての提言を受け入れて実施することに。女性が育児をしながらいきいきとしなやかに働くためのさまざまな施策を企画し、今も引き続き取り組みを続けています。

取り組みの例として、育児中の社員を対象とした座談会があります。下校後に子供を預けることが困難になる「小1の壁」や、学童がなくなり、時短勤務からフルタイムに戻ることで生活環境が大きく変わり問題が起こりやすくなる「小4の壁」などをテーマに開催しました。それぞれの課題に対して、育児中の社員はどんな不安を感じているのか、その壁を乗り越えた先輩社員はどんな工夫をしたのかを話し合います。その他にも、育休中の社員や復職直後の社員を対象とした座談会を開催しており、同じ悩みを抱える社員同士でつながりを持つことができると、非常に好評です。

そのほか、仕事と育児を両立している社員のインタビュー記事(密着24時間シリーズ)を紹介したりしています。密着24時間シリーズは、育児している社員のリアル状況がわかると、社内でも反響を呼びました。個人的に興味深かったのはいろんな価値観を持つ社員がざっくばらんに本音で話す覆面座談会。「同じ会社で働いている夫より偉くなりたくない」「育児が忙しいと、難しそうな仕事はなんとなく断ってしまうけれど、本当はやりたい気持ちもある。背中を一押ししてもらえたら、頑張ろうと思えるかも」「僕たち男性は上昇志向が強いけど、女性はリーダーをやりたがらないよね」など、社員の本音が垣間見えて面白かったです。

ハピプロ委員会の活動が始まったころは、女性管理職の割合が3%ほどでした。それが今は10%まで伸びてきています。女性活躍推進活動はまだ道半ばですが、少しずつ手ごたえが感じられるようになりましたし、自ら会社を変えようと奮闘する社員たちの成長も感じています。

変化の時代を乗り越えるための学習支援と人事制度

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AIやIoTなどテクノロジーが急速に発展している今の時代、社員がつねに学び続けることが非常に重要です。もちろん、すぐに業務に必要な内容は研修をしますが、将来役に立つかもしれない内容に関しては、社員の自主性に委ねるかたちになってしまいがち。とはいえ、新しいことを学ぶには時間もコストも必要なので、学習したくてもできない社員も少なくありません。そこで、最新技術の情報をはじめとする新しい知識を吸収したい社員を集めてコミュニティをつくり、会社が学びに必要な環境を与えるようにしました。毎年40名くらいの社員が、コミュニティ活動を通じて最新技術などを学び、社内に発信しています。

学習支援と並行して進めているのが社員の個性や強みを伸ばし、ITのプロとして育てていくための人事制度づくりです。これまで当社は、ゼネラリスト寄りの人材を育ててきました。その考え方を改め、自分の強みを把握した上で、目指すべきキャリアを明確化する仕組みに変更しました。上司と部下が定期的に面談し、理想のキャリアを掴むために、本人に足りない点や、足りない点を補うための研修などについて話し合います。さらに、若手にあえて背伸びしないとできないようなチャレンジングな仕事を与え、しっかりとやり遂げたら、それに見合う処遇を与えるように制度を見直しました。

そして、最近はじめた取り組みのなかで好評なのが、「That’s談with P」です。Pはプレジデントの意味で、週1回から2回、社長の時間をおさえ、「That’s談with P」にエントリーした社員と雑談する機会をつくっています。社員と社長の双方の想いや考えを共有することが目的です。自分の課題認識を資料にまとめてきて、社長の意見を聞こうとする社員もいれば、本当に手ぶらで訪れて純粋に雑談を楽しむ社員もいるといった感じで、社員の参加の仕方はさまざまです。社員のモチベーションやエンゲージメントを高めることにつながる取り組みなので、これからも継続していくつもりです。

ほかにもご紹介したい取り組みがありますが、根本にあるのは「社員ひとり一人のやりがいを高めることで、東京海上日動システムズの付加価値を向上させ、その結果としてお客様から選ばれ続ける会社にしたい」という想いです。10年先も、100年先も働きがいのある会社であり続けられるように、これからも改善・改革を続けていきたいと考えています。

東京海上日動システムズ株式会社 常務取締役 三宅 晃 様 プロフィール

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1984年東京海上火災保険(現東京海上日動火災保険)に入社し、システム部に配属。以後一貫してIT部門に所属し、会社の商品・事務・システムを三位一体で改革する、「抜本改革プロジェクト」のPMO(ProjectManagementOffice)、ITを活用した新しいビジネスプロセスの企画・立案、デジタル戦略の推進などを担当し、2018年より現職。現在は東京海上日動システムズで経営企画・人事・総務・コンプライアンス等のコーポレート部門を担当、従来から持つ会社の強みをより一層深化させると共に、環境変化に応じて未来に向けて会社を進化させる事で、働きがいのある会社No.1を目指している。

東京海上日動システムズ株式会社

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1983年9月、東京海上システム開発として設立。2004年に東京海上システム開発、日動火災システム開発、東京海上コンピュータサービスの3社が合併し、東京海上日動システムズとして新たなスタートを切る。東京海上日動火災保険をはじめとする東京海上グループのIT戦略の中核を担い、ITソリューション全般にわたって、システムのライフサイクル全体を通したトータルサービスを提供している。

本内容は2018年5月時点の情報です。

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