アクセンチュア株式会社

更新日 2022.04.262020.10.05

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コロナ禍でも活きた、アクセンチュアの働き方改革「Project PRIDE」
改善活動には必ずKPIを設定し、PDCAを回し続ける

アクセンチュア株式会社
執行役員 人事本部 本部長 瀧澤 明良 様
人事本部 人材戦略統括 増永 加奈子 様

51カ国200都市以上で、「ストラテジー & コンサルティング」「インタラクティブ」「テクノロジー」「オペレーションズ」の4つの領域で先進的なソリューションを提供しているアクセンチュア。 その日本法人であるアクセンチュア株式会社は、2020年版日本における「働きがいのある会社」ランキング(Great Place to Work® Institute Japan)大規模部門(従業員1000人以上)にて、4年連続でベストカンパニーに選出されています。今回は同社の執行役員であり人事本部 本部長の瀧澤明良様と人事本部 人材戦略統括の増永加奈子様に、コロナ禍において連帯感を高めるコミュニケーションのあり方や、同社独自の働き方改革「Project PRIDE」の成功の秘訣について伺いました。

ソーシャルディスタンスを超えて結びつきを強めるために

survey_201007_01.jpg瀧澤様 当社は2008年から在宅勤務を一部導入しており、2016年には全社に導入しています。また、コアタイムのないフレックスタイムを導入しているなど、リモート勤務をしやすい環境がすでに整っていました。新型コロナウイルスの影響が大きく出始めた2月末には原則として全員が在宅勤務をスタートし、3月以降は入社手続きやトレーニングも全てオンラインに切り替えています。そもそもアクセンチュアでは全社でバーチャルなコラボレーションを実践しています。経営陣は一つのオフィスを本拠地とすることなく世界中に分散しており、常にオンラインでつながって意思決定をおこなう体制を、数十年にわたって続けています。このような企業文化があったことあり、在宅勤務へのスムースな移行ができたものの、直接顔を合わせない中でいかにモチベーションの維持を図るかなどの課題はありました。そのため、離れた場所で働くからこそ「繋がり」を保つためのメッセージのやりとりを意識しています。

会社から従業員に向けてのメッセージとして重点を置いたのは「従業員の心身の安全」の確認です。3月から毎日、安否確認のメッセージのやりとりを続けています。また、全社サーベイも定期的に実施して、会社からの情報提供の改善や健康・安全の促進と改善、コラボレーションと生産性向上を図っています。従業員の声をしっかりと拾い上げて、改善に向けたアクションを適宜実施しています。

増永様 会社としての現状や将来への展望をリーダーシップから直接伝えるため、また、経営陣と従業員をつなぐために、経営メンバーからビデオメッセージも発信しています。テーマとしては、経営陣が考える「リーダーシップ」や「Never Normal(全く新しい日常)」「ビジネスの成長領域」などさまざまです。ただし、形式ばった内容のものだけでなく、例えば、自宅の書斎でリモートワークをしている様子を紹介しながらカジュアルに伝えるメッセージもあれば、在宅中はどんな息抜きをしているのか伝えるメッセージもありました。従業員が忙しい中でもすぐにみられるよう時間も1人5分程度のものにしています。会社ではなかなか見ることができない経営陣の新たな一面に触れる機会にもなったと思います。

瀧澤様 これからの「Never Normal(全く新しい日常)」を見据えて、より一層求められるのはコラボレーションやイノベーションを通じて世の中に価値を与える経験だと考えています。コンサルティングの分野は仕事が複雑化し、社内外のエキスパートと協力しないことには、さまざまな課題を解決できません。コロナ禍においてもMicrosoft TeamsやMURALといったツールを活用してコラボレーションを促進するとともに、ベストプラクティスの共有をおこなうことで士気を高めています。弊社ではベストプラクティスへのアクセス数も随時モニタリングしています。

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全社員に展開されている、実際のオフィス写真を用いたバーチャル背景

トップが「Project PRIDE」を牽引し、人が集い定着する組織へ進化

survey_201007_03.jpg瀧澤様 ハードワークで知られていた以前の当社の働き方のままだったら、コロナ禍での対応も今回ほどスムースではなかったかもしれません。当社独自の働き方改革「Project PRIDE」がスタートしたのは2015年のこと。当社代表の江川の号令で動き出したプロジェクトで、彼のコミットメントがなければここまで浸透することはなかったと思います。

代表的な取り組みの一つ、「ワークスタイル・チャレンジ」では、従来と同じアウトプットを、より短い時間で実現することを目指しました。「ワークスタイル・チャレンジ」はフェーズ2に突入しており、現在は限られた時間内にこれまで以上のアウトプットを実現することを目指しています。また、これと並行して、「挨拶」や「マナー向上」、「ハラスメント防止」などを徹底。心理的安全を確保して、パフォーマンスを発揮できる環境をつくることが目的です。

「ワークスタイル・チャレンジ」では、これまでと同じアウトプットをより限られた時間で出さなくてはならないわけですから、従業員から戸惑いの声も上がりました。また、プロジェクトそのものに対して当初から経営陣の全員が前向きに捉えていたわけでもありません。それでもなぜ「Project PRIDE」を推進するのか。実は、デジタル化への対応が目的なのです。システム開発などデジタル関連の職種だけでも30種類くらいありますし、システムのU IやUXの部分ではデザイナーの力が必要。つまり、多様な人たちが一緒に協業できる環境でなければ、デジタル化への対応に遅れてしまうのです。だからこそ、誰もがパフォーマンスを発揮し、自己実現を果たし、そのことによって世の中にインパクト与えていくためには、従来の働き方を見直すことが不可欠でした。ところが、「なぜ我々はこの活動を始めたのか」という根本のところが、時間が経つに連れて薄れてしまうこともあります。そのため、折に触れて活動の意義を伝えることを大事にしてきました。全社会議などでも必ず「Project PRIDE」のトピックを盛り込むようにしています。おかげで2年程で活動自体が社内に浸透してきたことを実感することができました。今では「“PRIDE”的にそれは良くないと思う」という言葉が社員から頻繁に出てきます

survey_201007_04.jpg増永様 率直にいうと、当社はハードワークが当たり前の企業だと思われていました。しかしながら「Project PRIDE」による改革が進み、現在は多様な人たちが、多様な働き方ができる環境になり、採用活動におけるアプローチの幅も広がっています。ちなみに、コロナ禍の対応として3月には従業員のみならず候補者様の安全も考え、選考をすべてオンライン化したのですが、候補者の方からも当社がいち早くすべての選考をオンライン化していることに対して驚きと感謝の声を頂いたこともあります。「Project PRIDE」の活動がこのような場面でも生かされています。

組織変革には「客観的な指標に基づく定点観測」が不可欠

survey_201007_05.jpg瀧澤様 課題解決活動を行う際には、必ずKPIを設定し、定期的にサーベイを実施して、成果を測定しています。これは「Project PRIDE」についても同様です。しかしながら、社内調査だけでなく、客観的な指標をもとに毎年観測していくことの重要性も感じていました。GPTWの「働きがいのある会社調査」に参画したのはそのためです。調査結果をもとにベストカンパニーと比較することができますし、アクセンチュアの他国でも参加しているので、グローバルで同じ指標で比較できる点も有効ですね。

GPTWの調査でベストカンパニーに選ばれたことは、採用の成果に結びつくとともに、離職率の低下にも寄与しています。従業員がアクセンチュアで働きがいを感じながら自己実現を追求し続けることが、組織の拡大や強化に繋がり、ビジネスが伸びるというポジティブなサイクルを生み出しているのです。

増永様 当社は毎年1,000人以上の優秀な人材を国内外から採用しており、新卒では女性の採用比率が50%を超えるまでに向上したのですが、これは「Project PRIDE」の取り組みや成果を、世界で実施されているGPTW の調査においてもベストカンパニーという形で評価頂けたことも影響していると思っています。

我々人事が大切にしていることの1つに「Compassionate」というものがあります。従業員が日々ベストを尽くせるよう従業員の心に寄り添う、というものです。従業員が今、何をどう感じているのか、サーベイも一度だけではなく、定点で継続実施し、その指標をもとにアクションをしています。

これはGPTWに限らず、すべてのサーベイやヒアリングに共通することですが、答えてくれた従業員の何かしらの想いを、きちんと経営陣に届けることが重要です。そして、その声をPDCAのサイクルに組み込む。「従業員があげてくれた声には真摯に向き合う」というのが、アクセンチュアが持っているマインドセットなのです。働き方改革「Project PRIDE」は、我々にとって終わりなき旅の取り組み。これからも課題解決に向けて明確なKPIを立て、PDCAサイクルを回し続けます。

アクセンチュア株式会社 執行役員 人事本部 本部長 瀧澤 明良様 プロフィール

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1997年に大学卒業後、採用エージェントに入社。その後渡米しMBA取得、米国にて人事コンサルティング会社に入社。2004年にアクセンチュア 人事部へ入社し、
タレントアクイジション、ワークフォース・タレントプランニング、HRビジネスパートナー、M&A HRデューデリジェンス・PMI、タレントデベロップメント&トレーニング、給与・福利厚生働き方改革、人事戦略などを経験。2020年3月より現職。

アクセンチュア株式会社 人事本部 人材戦略統括 増永 加奈子様 プロフィール

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1999年アクセンチュアに入社し、通信・ハイテク領域のコンサルティング部門に配属。2002年に一度退職し、2004年に人事として再入社。アクセンチュア・ジャパンの採用リードやアクセンチュア・フィリピンでのJapanese speaking talentの採用・育成リード、HR Business partner等を担当し、2020年3月より現職。

アクセンチュア株式会社(Accenture Japan Ltd)

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グループ全体では、全世界で50 万人以上の従業員、世界51カ国 200都市以上に拠点を持ち、120カ国以上のクライアントに、「ストラテジー & コンサルティング」「インタラクティブ」「テクノロジー」「オペレーションズ」の4つの領域で幅広いサービスとソリューションを提供。日本国内においても同様に、多種多様な業界、業務領域、テクノロジーのプロフェッショナルを結集し、新規事業の創出から業界の変革など、クラアントの成長を支援。日経WOMAN「女性が活躍する会社Best100」総合2位、2020年版「働きがいのある会社」ランキングで14位など、働く環境も高く評価されている。

本内容は2020年10月時点の情報です。

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