人事労務SaaSのユニコーン企業が「働きがい」を求める理由 株式会社SmartHRの事例

更新日 2025.02.272025.02.25

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4年半で従業員が6倍に! MVV浸透と教育、
フィードバック文化醸成で組織の急成長を支える

株式会社SmartHR
執行役員 兼 人事統括本部長 宮下 竜蔵様

人事・労務の効率化を支えるSaaSを提供し、急成長を遂げるユニコーン企業、株式会社SmartHR。同社は2024年「働きがいのある会社調査」に初参画し、「働きがいのある会社認定」を獲得しました。「労働にまつわる社会課題をなくし、 誰もがその人らしく働ける社会をつくる」というコーポレートミッションを掲げる同社は、なぜ「働きがい」を重視しているのか。「働きがい」を高めるための取り組みや、「人事・組織戦略の要諦」などの話題と絡めて、人事統括本部長の宮下 竜蔵様にお話しいただきました。

<記事のポイント>
✓「働きやすさ」だけではない「働きがい」の追求
✓働きがいを高めるための“フィードバック文化”の醸成
✓調査をきっかけにして社員の本音を社外に公開

>>>「エンゲージメントサーベイ」について詳しい情報を見る


人事・労務の効率化を通じ、働くすべての人の生産性向上を支える

GPTW 御社の事業概要とその特色を教えてください。

宮下様 当社は、6万社を超える企業にクラウド人事労務ソフトSmartHR」を提供しています。従業員データベースを基盤とし、人事・労務の業務効率化とタレントマネジメントにおけるデータ活用の双方を実現して、 働くすべての人の生産性向上を支えることが我々のミッションです。

2021年には日本に6社しかないユニコーン企業の仲間入りを果たしました。2020年時点では200名程度の組織でしたが、ここ4年半ほどで6倍ほどに拡大し、2025年現在では1300名を突破。今も毎月30人程度採用しています。従業員が増えると、マネジメントが複雑化し、課題も増えていくものです。当社は創業時からカルチャーとバリューに基づいた意思決定を大切にしてきました。そもそも、採用時点でカルチャーフィットを重視して決定していますが、それだけにとどまらず、カルチャーを広く深く浸透させることが目下の課題となっています。

GPTW 「働きがい」を重視している理由を教えてください。

宮下様 私たちは、“well-working”をキャッチフレーズに、「労働にまつわる社会課題をなくし、誰もがその人らしく働ける社会をつくる」をミッションに掲げています 。誰もがその人らしく働ける社会をつくるためには、やはり自分たちが自分らしく、働きがいをもって働くことが大事です。社員一人ひとりが日々の成長を実感し、自己実現に誇りをもって働くことができる状態が、当社にとっての「well-working」だと考えています。

interview_20250224_01.jpg私が当社に入社時に感じたのは、働きがいよりも「働きやすさ」に重きを置いた環境づくりをしていたことです。もちろん、働きやすさも大切ですが、それだけでは私たちが目指す「well-working」に到達しないという危機感がありました。

やはり、仕事そのものの「やりがい」を通じて従業員のエンゲージメントを高めていき、さらに生産性も上げることによって、「労働にまつわる社会課題をなくし、誰もがその人らしく働ける社会をつくる」という「ありたい姿」に近づけるのだと考えています。だからこそ、「働きやすさ」と「やりがい」を合わせた「働きがい」が欠かせないのです。

「働きがいのある会社調査」は、会社の「人間ドック」

GPTW 「働きがいのある会社調査」に参画したきっかけを教えてください。

宮下様 これまで自社でエンゲージメントサーベイを実施していましたが、「働きがい」をより高めていくためには、第三者機関に評価してもらうことが有効だと思いました。GPTWは「働きがいのある会社」を調査し、ランキングを発表するだけではなく、「働きがい」を構成する要素の細かいところまで確認ができます。そのため、当社にとっての人間ドックのような位置づけで、組織の改善のPDCAを回すために役立てられると考えました。

また、第三者機関からの評価が得られれば、従業員のさらなる誇りにも繋がると考えています。

GPTW 初回の調査結果についてはどう受け止めましたか?

宮下様とても良い結果だったと感じています。もともと会社が好きという従業員が多く、採用時にカルチャーフィットを重視していることも要因となっているようです。

一方で、課題も浮き彫りになりました。当社は中途採用100%で即戦力を重視してきたことから、教育や育成投資が後回しになっていた実態があります。その結果として、一番低かった数値が「育成投資」に関する項目で、従業員も不足を感じていることが伺えました。そのため、研修体制を整備するなど、現場改善の必要性を認識し、まさに育成面の施策を打っているところです。

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フィードバック研修で、実務とOJTの質を高める

GPTW 「働きがい」を高めるための具体的な施策にはどのようなものがありますか。

宮下様 まず一つは、ミッション・バリュー の浸透です。具体的には、全従業員を対象として、毎週水曜日の決まった時間に30分程度、会社の状況やメッセージを共有する「SYNK(シンク)」という時間を設けています。ボードメンバーが事業や組織の課題・重要トピックに対する考えや想いを発信する企画もあります。ライブ感を持ちながら、テレビ番組のようにオンラインで公開しているのが特徴ですね。

成長機会を提供するために、タレント会議という施策もスタートさせました。将来の経営幹部候補や部長候補、マネージャー候補などを見える化し、責任者同士が膝を突き合わせてディスカッションする場を設ける、というものです。

そのほか、フィードバックカルチャーを醸成するための全社員に向けた研修を実施しています。人の成長には仕事上の経験を通じた学びが7割と言われますが、経験の質を高めるには他者からのフィードバックが有効です。フィードバック研修では、ロールプレイなどを交えながら、どのような目的でフィードバックを行うのか、どのタイミングが適切か、どのような伝え方をすれば効果的か、といった基礎知識を学ます。

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フィードバックは行う側だけでなく、受ける側にも基礎的な知識が必要です。そうでなければ、アドバイスを正しく受け取り活用することは難しいでしょう。研修受講者は現時点で1100名程度まで増え、お互いにフィードバックしやすい環境作りという土台を築くことができつつあると感じています。

さらに、弊社では毎月サーベイを実施しており、社員のメンタル面やコンディションを定期的に確認しています。もしネガティブな回答があったときは、ご本人の了承を得て上司に共有したり、本人が望まない場合は人事のみでフォローしたりしています。こうして、社員の状態を見逃さないようにを張っているわけです。

人事戦略と経営戦略の一体化が組織改革のカギ

GPTW 働きがいのある会社認定をどのように活用していますか?

宮下様 プレスリリースで発信したり、会社の資料に盛り込んだりしています。たとえば、認定を受けたことをきっかけとして、SmartHR社員が感じている「働きがい」と、業務のパフォーマンスにつながる「働きやすさ」について、より深く実情を探るためアンケート調査を行いました。

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GPTW これから働きがいを高めていきたい企業に向けてのメッセージをお願いします。

宮下様  「働きがい」を高めるためには経営陣の巻き込みが不可欠です。経営戦略と人事戦略は一体化して初めて意味がある、と考えています。経営者はどうしても孤独になりがちで、周りの事例を気にするケースも多いです。たとえば「競合他社はどんな取り組みをしているのか?」など、興味を示すことが多いですよね。

ただ、他社の事例をいくら集めて提示しても、それだけでは意味がないと私は思っています。その情報と自社の現状や課題を照らし合わせ、「自社が5年後、10年後にどうありたいのか」というビジョンを踏まえたうえで、人事がどのような具体策を提案できるのかが重要です。

他社事例・自社のビジョン・現状の課題の3点を整理することで、経営陣を巻き込みやすくなります。ですから、まずは他社の情報収集を行うこと、次に経営陣と将来像をしっかり共有すること、そしてそこから見えたギャップを埋めるための課題を洗い出し、具体的な施策を提案する。この一連の流れが大切なのではないでしょうか。

株式会社SmartHR 執行役員 兼 人事統括本部長 宮下 竜蔵様

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関西学院大学卒業、神戸大学大学院(MBAプログラム)修了。大学卒業後、外資系製薬会社に入社し、営業や研修業務を経験。その後、複数の事業会社にて人事業務(採用・教育・HRBP等)を経験。前職では、Head of HRとして人事全体のマネジメントを担当。2023年11月にSmartHRに入社し、人事戦略の策定、タレントマネジメント導入等、人事業務に幅広く携わる。

株式会社SmartHR

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2013年1月23日設立。2015年11月にクラウド人事労務ソフト「SmartHR」を提供開始。人事・労務業務をペーパーレス化し業務効率化を叶える機能にくわえ、蓄積された情報を活用し組織戦略を支援する「人事評価」、「配置シミュレーション」などのタレントマネジメント機能や採用活動から従業員登録までを一元化する「採用管理」機能を提供。急速な成長と高い評価を受け、ユニコーン企業としても知られるクラウド人事・労務管理分野のリーディングカンパニー。

本内容は2025年1月時点の情報です。

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