年100人採用の急成長企業「働きがい」の見える化と採用ブランディング
株式会社テラスカイ・テクノロジーズ 取締役執行役員 宮内 修 様
更新日 2025.09.032025.09.03
年100人採用の急成長企業「働きがい」の見える化と採用ブランディング
株式会社テラスカイ・テクノロジーズ 取締役執行役員 宮内 修 様
SalesforceやAWSのスペシャリスト人材を育成し、企業のDX推進における活性化、定着化、内製化を支援する株式会社テラスカイ・テクノロジーズ。同社は急成長に伴い社員数が急増するなか、「働きがいのある会社」調査を導入しました。今回は、その導入背景や具体的な活用法について、取締役執行役員・宮内 修様にお話を伺いました。
<抱えていた課題>
✓社員数が急増したことで、一体感やエンゲージメントの維持が難しくなっていた
✓プロジェクトや配属先が異なり、働きがいやモチベーションに差が生じやすい状況だった
<導入の決め手>
✓「働きやすさ」「やりがい」両方があることは重要というコンセプトに共感した
✓第三者の認定を得ることで、採用ブランディングや応募者からの信頼につながると期待した
✓社員の本音や会社の強み・課題を客観的に把握し、改善につなげられる調査であると感じた
GPTW 御社の事業概要とその特色を教えてください。
宮内様 当社はクラウドコンピューティング分野で、SalesforceやAWSといった世界的プラットフォームのスペシャリストを育成・輩出しています。企業のDX推進におけるエンジニア派遣やエンジニアリングサービスを中心に展開しており、強みはエンジニアの育成力です。文系出身者も多く、約8割はIT未経験で入社しますが、入社後3〜4カ月間の実践的研修で資格取得と即戦力スキルを身につけます。
親会社である株式会社テラスカイがSalesforceの導入・開発の大手であるため、クライアントは業種を問わず大手企業が中心です。事業開始から4年で社員数は400名を超え、年100名以上が新たに加わるなど急成長を続けています。
GPTW 御社にとっての「働きがい」の位置づけを教えてください。
宮内様 「働きがい」は、事業成長を支える中核的な要素です。エンジニア派遣やエンジニアリングサービスは、社員一人ひとりのスキルや姿勢がそのままサービス品質に直結します。特に当社は未経験で入社するメンバーが多いため、成長意欲やモチベーションといった“内的なエンジン”の存在が欠かせません。せっかく仲間になってくれた社員には、長く高いモチベーションを維持しながら働いてほしい。そのために、働きやすさだけでなく、やりがいを実感できる環境づくりを重視しています。
また、ここ数年で毎年100名以上が加わる急成長により、顔を合わせられる規模から一気に大所帯へと変化しました。その結果、会社全体の一体感やエンゲージメントの維持が課題となっています。
さらに、各エンジニアは配属先のプロジェクトやクライアントが異なるため、働きがいの感じ方やモチベーションにも差が生じやすい状況です。こうした中で、方向性を共有し、全員が前向きな気持ちを持ち続けられるようにするためには、仕組みや施策によって働きがいを高めていく必要があると感じています。
GPTW 「働きがいのある会社」調査に参画したきっかけを教えてください。
宮内様 「働きやすさ」と「働きがい」は似て非なるものだと考えています。働きやすさは大切です。しかし、それだけでは社員も会社も成長し続けることは難しく、必ずしも高い成果に直結しません。大事なのは、社員一人ひとりがやりがいや誇りを持てること。だからこそ、私たちは「働きやすさ」と「やりがい」の両立を重視しており、この考え方が「働きがいのある会社」の理念と強く合致していると感じました。
また、この調査は全世界で実施されている実績のあるもので、自社の位置づけを国際的な基準の中で把握できる点にも大きな意義があります。社内だけで評価していると視野が狭くなりがちですが、信頼性の高いデータとして外部の尺度に照らし合わせることで、私たちの取り組みの強みや改善点を客観的に把握できると考えました。さらに調査で一定の評価を得られれば、「働きがいのある会社」認定として社外に公表できます。これは採用ブランディングにおいて非常に有効な証明となり、働きやすさややりがいを求める優秀な人材に安心感を与えることにつながる期待もありました。
なお、当社では毎月パルスサーベイを行い、日々変化する従業員のコンディションを把握しています。ただし、それはあくまで短期的な状態を確認するもの。一方で、「働きがいのある会社」調査は年に1度の健康診断のように、より深いレベルで社員の本音を知ることができる機会です。たとえば、人事施策や経営方針の浸透度が本当に社員にポジティブな効果をもたらしているのか、それとも形骸化してしまっているのか。そうした点を定量的に測定できます。一部の大きな声に流されず、調査によって「やはり全体としてこうだったんだ」と数字で裏付けを得られるのが大きな価値だと実感しています。次年度の施策検討にも活かせる、重要な羅針盤です。
GPTW 「働きがい」を高めるために、具体的にどんな取り組みをしていますか。
宮内様 私たちが「働きがい」を高めるうえで最も重視しているのは、エンジニア一人ひとりに“スキル”を持ってもらうことです。入社後3〜4カ月間は現場に出ず、SalesforceやAWSの実践的研修を集中的に行い、資格取得と即戦力スキルを習得。これにより選択肢が広がり、「これを極めたい」という意欲が自然に芽生えます。
会社としては、社員が本部に戻ったとき“実家”のように安心できる職場を目指し、研修期間中から関係構築に力を入れています。3カ月に1度のウェルカムパーティーや、研修最終日の「卒業ランチ」を通じて同期・先輩・役員とのつながりを形成。配属後も同期交流や経営陣との座談会、勉強会やナレッジシェアを継続し、月次のAll Hands Meetingで全員に最新情報や活躍事例を共有しています。
さらに、二カ月に一度の1on1を行う「リレーションシップパートナー制度」で、メンターが技術や業務だけでなく人間関係・キャリア相談まで幅広くサポートし、担当営業とも連携して現場の働きやすさをケアする取り組みも始めました。
こうした取り組みは調査結果にも表れています。「専門性を高めるための研修や能力開発の機会がある」との回答は89%、「入社した人を歓迎する雰囲気がある」との回答は92%に到達。私たちが大切にしてきた育成・交流・情報共有の仕組みは、確かに社員の働きがいへとつながっていると確認できました。
GPTW 「働きがいのある会社」認定をどのように活用していますか。
宮内様 採用面では、新卒・中途ともに強力なブランディング材料となっています。説明会では調査結果から特にポジティブな項目を3つ取り上げ、「入社した人を歓迎する雰囲気」「専門性を高めるための研修・能力開発の機会」「しっかり休暇が取れる環境」など、調査で裏付けられた強みをアピールしています。
社内向けには、タウンホールミーティングで社長が「みなさんの頑張りが認定につながりました」と直接メッセージを送り、誇りや一体感を醸成。さらに、アンケート結果に基づき、社員に向けて「こう改善していきます」という具体的アクションと併せて発信。このサイクルが社員の信頼感や働きがいの向上を後押ししています。
そのほか、オンラインミーティング用の背景にも「働きがいのある会社」認定のロゴを取り入れるなど、日常のさまざまなシーンで活用しています。
GPTW 「働きがいのある会社」認定の影響をどのように感じていますか?
宮内様 新卒採用では、説明会で調査結果の中から特にポジティブな項目を紹介することで、学生の安心感や興味を引き出せるようになりました。その効果もあってか、説明会参加者の選考希望率は前年比で約10ポイント上昇。さらに、リクルーティングサイトのページにロゴを掲載したのち、半年間で前年1年間の参加者数をすでに超える成果を上げています。もちろん、「働きがいのある会社」認定だけの効果だとは考えていませんが、影響は大きいです。
中途採用でも効果は顕著です。応募前に十分な情報収集を行う方が増え、その中で「認定されている会社」という事実を安心材料として捉えるケースが目立ちます。私たちが「いい会社です」と直接伝えるよりも、第三者による認定で証明されているほうが説得力もあり、信頼の向上にもつながるのではないでしょうか。
GPTW これから働きがいを高めていきたい企業に向けてメッセージをお願いします。
宮内様 私からお伝えしたいのは、まずは社員の声を数字で「見える化」してほしいということです。こうしたサーベイは、経営者にとって正直ドキドキする部分もあります。望ましくない結果に直面するのは辛いものですが、同時に会社の強みや、社員がどう受け止めているのかといったポジティブな面も必ず見えてきます。そこは自信を持ってさらに伸ばし、弱みについては必要以上に悲観せず押さえるべきところを押さえる。そのための有効な材料が「働きがいのある会社」調査の結果です。
私たちも福利厚生の弱さはある程度認識していましたが、調査によって「どの程度の規模感なのか」が明確になりました。「働きがいのある会社」調査は、まさに健康診断のようなものです。入院が必要なレベルなのか、軽い改善で済むのかがわかれば、打つべき対策も定めやすくなります。「働きがい」を高める第一歩は、現状を正しく知ること。数字と事実を土台に一歩ずつ改善を重ねていけば、組織は必ず良い方向へ進んでいきます。