「働きがいワークショップ」で課題と向き合い
「連帯感」を高めるアクションを隅々まで浸透させる
内海産業株式会社
代表取締役社長 長野 慎 様
更新日 2024.10.312019.08.26
「働きがいワークショップ」で課題と向き合い
「連帯感」を高めるアクションを隅々まで浸透させる
内海産業株式会社
代表取締役社長 長野 慎 様
ノベルティグッズ提供などの購買促進事業で豊富な実績を持つ、内海産業株式会社。
「100年愛される企業」の実現に向け、典型的なトップダウン型組織からボトムアップ型組織への進化を目指しています。その取り組みの一環として、2018年度版の「働きがいのある会社調査」に参加しました。さらにフォローアップ施策としてGPTWが提供する「働きがいワークショップ」を実施。同社の長野社長に「働きがいワークショップ」の導入背景や、それを組織づくりにどう役立てているのかを伺いました。
>>>「働きがいのある会社認定」について詳しい情報を見る
内海産業は「買い物ゴコロに、火をつける。」をスローガンに、家電業界、自動車業界、住宅業界、化粧品業界などさまざまな業界において、ノベルティグッズやプレミアムグッズの提供を通じた購買促進事業を展開しています。セールスプロモーションにおけるパイオニア的な存在であり、顧客は1万社以上、ご相談いただく案件は大小合わせて年間1万7000件程度。豊富な実績と蓄積されたナレッジが強みです。
一方で、5年ほど前までは人事制度が整っておらず、離職率が10%を超えていました。人事制度を整備する目的で行った無記名アンケート調査では「経営陣の能力に不満」「自分の提案が生かされる気がしない」など辛辣な言葉が並んでいたそうです。内海産業の代表の長野慎社長は、当時の会社組織についてこう振り返ります。
「お取引先から『内海産業さんは軍隊みたいですよね』と言われたことがあります。上意下達で統制が取れており、きっちり結果を出していくという意味です。しかしながら、ビジョンのないトップダウン型組織ではいけない。私は5年前、社長に就任した時から「100年愛される企業」の基盤をつくる事が自分の使命と考えてやってきました。その実現のためには、理念に基づき各人が主体的に考え、行動する“社員が主役”の組織を目指すべきだと考えたのです。」
そこで、「企業理念」の策定・浸透プロジェクトを皮切りに、社員と一緒に組織改革をスタートしました。組織改革に伴うインナーブランディングを支援していたのは、「働きがいのある会社」ランキングにも選出されている企業。長野社長は同社のホームページを見てGPTWの「働きがいのある会社調査」を知ったのだそうです。
「我が社の事業は裏方なので、一般の方々に社名を知っていただく機会はあまりありません。自分たちの会社も『働きがいのある会社』に選ばれたら、社員の誇りにつながると感じました。また、GPTWの調査では、従業員と会社側の両方にアンケートを実施し、評価のウェイトが2(従業員):1(会社)となっています。社員の声の比重が大きいからこそ、その評価に価値があると感じました。」
内海産業は、2018年度版の「働きがいのある会社調査」から参加しました。初回の調査結果は、想像以上に厳しいものだったそうです。
「正直、結果を見てかなり落ち込みました。自分が想像している以上に『この会社はまだまだなんだ』と思い知りましたね。」
そのため、「働きがい」向上にむけた課題と、改善策を検討する「働きがいワークショップ」を導入。それぞれが所属している組織で影響力があり、周りを巻き込む力を持ったメンバーを集めたプロジェクトチームが、社員の代表としてワークショップに参加しました。プロジェクトチームの名前はワークスタイル・エボリューションの頭文字をとって「Team WE(ウィ)」。長野社長はワークショップの冒頭で、WEのメンバーに向けてプロジェクトに対する期待を語りました。
「2:6:2の法則に当てはめた場合、このプロジェクトメンバーは先頭の2割の集団にいます。後ろの2割の温度差に気を取られすぎたり、または6割が動くのを待っていたりしたら前に進むことはできません。どんどん突き進んで行けば、みんなが必ず着いて来ると信じて前進してください。」
「働きがいワークショップ」では、「働きがいのある会社調査」の結果を共有し、課題のある項目の中から優先テーマをピックアップして、その具体的な対策について議論します。同社の場合は「連帯感」のスコアが悪かったため、一体感をつくり出すための意見が交わされました。
ワークショップでの話し合いだけで終わらず、できるだけ多くの社員を巻き込み、その意見に基づいて働きがいのある会社づくりを行うために、参加メンバーはそれぞれの職場でも働きがいワークショップを実施。働きがいのある会社を目指すための取り組みを、社内の隅々まで浸透させていきました。
「WEのメンバーの発案で、さまざまな取り組みがスタートしています。例えば、買促の日(8月4日)に、全社員で内海産業のビジョン『”購買促進”を、日本の常識に。』について熱く語る『買促フェス』を開催。これもWEのメンバー主導で行っています。そのほか、全社員のビジョン・パーパスを集めた動画の作成、全国の拠点・部門の仲間を結ぶ社内報『うつみん』の創刊など、まさに今、一体感を高める取り組みが次々と生まれているところです。」
「働きがいワークショップ」を導入してから約2年経ちますが、今もWEのメンバーを中心に働きがいのある組織をつくるための取り組みは続いています。現在は、「承認文化の醸成」を重要なテーマとして掲げているそうです。
「理念に沿った行動をした社員を褒める目的で、社内システムを通じてバッジのやりとりをする仕組みがあります。2018年は7000個程度でしたが、2019年は9000個を超えるペースで増えていますね。さらに、バッジ数×20円をアフリカの子どもたちに給食を届ける団体TABLE FOR TWOに寄付することで、社員を褒める仕組みを社会貢献にも結びつけました。こうした取り組みを通じて、連帯感や誇りを高めながら『承認文化』をつくっていきたいですね。」
同社は全員参加型の組織改革を行っている最中ですが、その一方で、決して社員に無理強いしないことも大切だと長野社長は話します。
「取り組みに乗り気ではない社員を無理矢理巻き込んでも、反発を生むだけです。価値観を変えようとするのではなく、受け入れることこそがダイバーシティだと考えています。とにかく、先頭にいるメンバーたちが走り続けることが大事。そうすれば、後ろからついてくる社員が増えてくると思います。いろいろな角度から社員を褒める仕組みをつくったり、取り組みを進化させることで共感する社員を増やしたりなど、地道にやっていきたいですね。」
「働きがいワークショップ」を含むさまざまな取り組みの結果、かつて10%以上あった離職率は4%台まで低下しました。GPTWの働きがいのある会社ランキングにランクインするという目標に向けて、着実にスコアは向上しています。
「短期的には働きがいのある会社としてランクインすることが目標ですが、将来的には会社のメンバーが『自分の子どもを入社させたい』と思えるような会社にしたいです。またその子どもが、『自分の子どもをここで働かせたい』と考える循環をつくり、代々受け継がれていくのが究極のゴールですね。その実現に向けて、社員が主役の取り組みを継続していきたいと考えています。」
内海産業の働きがいのある会社づくりは、まだまだ始まったばかりです。