働きがいを高める3つの前提 ~「施策の効果がない」と嘆く前に~
更新日 2024.11.262017.01.25コラム
2017年もスタートしました。“1年の計は元旦にあり”という言葉にもある通り、このブログを読んでいる方の中には、「今年こそ従業員の働きがいを高めたい!」と、新年を迎えて気持ち新たに色々な計画を練られている経営・人事の方も多いと思います。
しかしちょっと待ってください。施策を考える前に、押さえておきたい重要なポイントがあります。
「せっかく色々と手を打ったのに、従業員にちっとも響かなかった…」なんていうことがないよう、気をつけたいものです。今回は「働きがい」を高める活動を行う前提となる、“当たり前だけれども重要”な3つのポイントを改めてご紹介します。
1. 「働きがい」を高める理由・目的が共有されているか?
まず大前提として、「なぜ働きがいを高める必要があるのか?」が、従業員との間で共有されている必要があります。実はこれが最も重要なポイントだと言っても過言ではありません。「働きがいを高める」という言葉はポジティブな響きを含んでいるため、総論として賛同を得やすく、スタート時にはその必要性が確認されないまま進んでいることもあります。つまり、“「働きがい」を高める理由・目的の共有”が行われていないケースは意外に多いのです。
しかし、ひとたび働きがいを高める活動が進み出すと、その活動には想定よりも手間や時間がかかることが明らかになってきます。現場にも、ある種のストレスさえかかることがあります。すると、「そもそも働きがいって何で追求しなくちゃいけないんだっけ?」と、活動を根底から覆すような意見が出てくることになりがちです。
以前にこのブログでもお話した通り、働きがいを高めるという活動は、会社のカルチャーを変える活動に他ならず、非常に時間のかかる取り組みです。それだけに、長い活動期間に必ず訪れる困難を乗り越えるだけの、明確な理由・目的が必要です。
実際に、働きがいの高いベストカンパニーにおいても、その理由は、「働きがいを高めることがイノベーションにつながり、変化に対応できる組織になるから」、「働きがいを高めることが顧客満足、ひいては業績向上につながるから」、「従業員の働きがいを高め、幸せを追求することが経営の目的そのものであるから」など、実に様々です。
そこにはその会社や経営者の価値観・哲学が色濃く反映されていきます。また、そうでなければ従業員の心を動かすことは難しいでしょう。
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「働きがい」は漠然とした言葉であるため、その実態はよく分からないという方も多いのではないでしょうか。 本資料では、働きがいを構成する要素や、その中でも特に働きがいに影響の強い要素、また企業が働きがいを高めることのメリットなどについて、データとともに紹介します。
2. 自社における「働きがいが高い状態」がイメージできているか?
「働きがいが高い状態」と一言でいっても、そのイメージは人によってそれぞれ異なります。実際に、私達が実施するワークショップなどで、参加者の皆様に働きがいのある会社のイメージをお聞きすると、“雑然としてわいわいと議論をしながら仕事をしている状態”という人もいれば、“静かな環境で各人が仕事に集中・没頭している状態”と答える人もいます。もちろん、この質問に正解はありません。だからこそ、それだけに、自社としての「働きがいが高い状態」について、価値観をすりあわせていく必要があります。事業部や部門によって異なる場合には、各組織単位でまとめていくのもよいでしょう。
人が想像できないものは実現することはできません。よって、「自分たちは、どんな会話がなされているときに働きがいを感じるのか?」、「どんな行動をとっているときに意欲的になれるのか?」ということから、自分たちの会社・職場における「働きがいが高い状態」のイメージを具体的に固め、働きがいのある職場作りの足がかりとすることが重要です。
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この資料では、働きがいを高めるうえで起こりがちなネガティブな状態を、職種ごとに分析・解説します。あわせて、職種ごとに起こりがちなネガティブ状態に合わせた対応策も方針として示しているため、ぜひ参考にしてみてください。
3. 職場の現状や自社のカルチャーを十分に知っているか?
そして、職場の実態や自社のカルチャーをよく把握しておくことも不可欠です。それによって、メッセージの伝え方や施策や打ち手そのものを変えていく必要があるからです。
職場の実態やカルチャーは、「従業員への意識調査・アンケート」や「職場インタビュー」などを通じて把握できます。往々にして経営層と従業員の思いや考えには多少なりともギャップがあるものですが、その乖離の程度は思っているよりも大きいことが少なくありません。そのギャップをしっかりと把握し、また、自分たちの価値基準やカルチャーを踏まえた上で施策や対応を考えることが重要です。
そうでないと、「経営・人事は現場のことを分かっていない」、「こんな事をやっても意味がない」と、現場の反感を買ってしまうこともあるでしょう。
例えば、同じ「連帯感を高めるための施策をうつ」としても、“知的好奇心が強く、専門家志向の強いベテラン組織”と、“ノリがよく、体育会系の若い組織”では、随分と異なることでしょう。前者は「ナレッジ交流会」のようなものが好まれるかもしれませんし、後者は「大運動会」のようなものが士気を高めるのに役立つかもしれません。
いずれにせよ、施策の成否は従業員にかかっています。従業員から支持されなければ、苦労して導入した施策も無駄に終わってしまうことでしょう。
いかがでしたでしょうか?
今年も「働きがい」を高めて強い組織にしていくために、各社様々な施策を検討されることと思います。「これまで色々と努力を重ねてきたが、なかなか効果があがらなかった。どうすればよいのだろうか」と嘆く前に、この3つの前提が十分にそろっているかどうかを、一度点検されてはいかがでしょうか?きっとヒントが見つかることと思います。
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