Z世代の特徴や性格とは?仕事や働き方に対する価値観やその向き合い方を紹介
更新日 2024.11.262023.10.20コラム
「Z世代」と呼ばれる世代が社会で働き始める時代となりました。生まれ育った時代背景が異なれば、世代間での価値観も当然異なります。最近では、管理職やリーダーの方々が頭を悩ませる問題として、「最近の若者に対して、どうアプローチするのが正解なのかわからない」という声が多く挙がります。Z世代を理解し彼らの強みを発揮してもらうためにも、本記事ではそうした悩みを持つ皆様に向けて、職場におけるZ世代との向き合い方のヒントをいくつか提示します。
目次
Z世代とは
Z世代の由来
「Z世代」という言葉の発祥はアメリカです。当時、アメリカで1960年から70年に生まれた人を指す言葉として使われていた「ジェネレーションX(Generation X)」という言葉が由来といわれています。その後、1世代ごとにX,Y,Zと、アルファベットで世代を表現するようになりました。
Z世代の年齢は?
Z世代とは、生まれたときからインターネットが普及しているデジタルネイティブ世代です。一般的には、1990年代後半から2000年代に生まれた世代を指すことが多いですが、明確な定義があるわけではありません。
Z世代の特徴
Z世代は生まれた頃からインターネットやデジタルデバイスが一般的に普及している世代のため、子どもの頃からパソコンなどのデジタル機器を使いこなしています。テレビや雑誌よりもインターネットでの情報収集がメインで、SNSを利用したコミュニケーションを行います。
生活の中にSNSが溶け込んでおり、学びを得たい場合は「YouTube」、トレンドや時事を知りたい場合は「X(Twitter)」、空き時間を埋めたい場合は「TikTok」とそれぞれのSNSが持つ特徴をうまく使いこなしている世代です。
これまでの世代の価値観
X世代・Y世代(ミレニアル世代)の価値観
Z世代の他にも、「X世代」「Y世代(ミレニアル世代)」という言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。こちらも明確な定義はありませんが、一般的に「X世代」は1960年代後半~1980年頃に生まれた世代、「Y世代(ミレニアル世代)」は1980年代~1990年代前半頃に生まれた世代を指します。人の価値観は、生まれ育った時代背景や環境に影響を受けるため、それぞれの世代が持つ価値観も当然傾向としての違いがあります。
たとえば、X世代は高度経済成長期やバブル期といった”右肩上がり”の日本経済と共にキャリアを築いてきており、キャリアの成功体験も強く「頑張れば報われる」という考えが比較的根強い傾向があると言われています。一方で、Y世代(ミレニアル世代)は、離職率が高い・不安定な雇用などの時代背景もあり”右肩上がり”という神話に疑問を持っている世代です。人口ピラミッドのボリュームゾーンでもあるので常に競争にさらされてきており、またベテラン世代からの叱咤激励のもとで育てられてきた世代でもあります。
Z世代の価値観
先述したように、Z世代はデジタルネイティブであり、インターネットやSNSを通じてリアルタイムで世界の情報を知る機会が多い世代です。そのため、社会問題への関心が高く、多様な価値観に触れる機会も多いです。また、少子化による人口減少世代であるため、上の世代のような厳しい競争を経験していません。生まれた頃から低成長の時代が続いている世代でもあるので、現実主義的な面があり、また”コスパ” (コストパフォーマンス)、”タイパ”(タイムパフォーマンス)を重視する傾向が相対的に強いです。
Z世代が注目される理由
世代間の壁というのはそれぞれある中で、殊さらにZ世代との世代間ギャップを強く感じがちである(よく取り沙汰される)のは、以下のような大きな社会環境の変化が背景にあると考えられます。
- デジタルコミュニケーションの進化
- 少子化による人口構造の変化
- 1つの会社に勤め上げるという従来型のキャリアロールモデルの喪失
- 多様な価値観の広がりや接点の増加
現在、Z世代が新入社員として仕事・職場環境で働く時代になっています。Z世代は上記のような社会構造の変化の中でこれまでの世代とはまた別の価値観を持っており、時に上の世代からは何かと扱いづらい存在というネガティブな文脈で捉えられることも少なくありません。
Z世代はこれからの時代を担っていく世代であり、どう活躍の場を広げていけるかは社会にとっても、会社・組織にとっても重要なテーマです。ただし当然、世代間の価値観ギャップによって職場でのコミュニケーションの齟齬・関係構築の失敗などが起きてしまえば、早期離職や成長の鈍化などを引き起こしかねません。だからこそ、Z世代の価値観や考え方を、上の世代も理解する(しようとする)ことが大事になってきます。
Z世代が考える仕事の価値観
それでは、Z世代が持つ仕事面における価値観はどのようなものなのでしょうか。様々ある中で3つほど紹介したいと思います。
内発的動機を重視
以下の図表は、リクルートマネジメントソリューションズがZ世代である新入社員に対して「仕事をするうえで重視すること」を聞いたアンケートの結果です。いわゆる金銭や競争といったような外発的動機よりも、貢献・成長・やりがいといった内発的動機を重視する傾向が強いことがわかります。生まれたときからモノやサービスが溢れる時代を生きてきたZ世代における金銭などへの重視度合いは、上の世代よりも相対的に低くなりつつあると言われています。
自分に合うものを選択する志向
一時期、「配属ガチャ」というキーワードが話題になったことがありました。入社後の配属に選択権がないケースというのは今に始まった話ではないにも関わらず、こうした言葉が生まれたのは、それだけZ世代を中心とする今の若い世代にとって、「自分に合うものを選ぶ」ことが当たり前であることの裏返しでもあります。ネット・SNSとの親和性が高いZ世代は、私生活などで目にする情報は自身に最適化されているものばかりであり、例えば何か購入する際でも、多くのモノやサービスの選択肢の中から自由に自分が好きなものを選択できることが当たり前と考えている世代です。そのため、自分に合わないと感じた役割や仕事に対して、違う選択肢や場所を探しがちな面もあります。若手の早期離職の増加の背景のひとつには、こうした価値観もあるかもしれません。
チャレンジへの苦手意識
Z世代は、「失われた30年」と言われるような低成長の時代を過ごしてきた世代です。そのため、堅実さを重んじ現実主義的である一方で、冒険やリスクを避ける傾向があるといわれます。同じくリクルートマネジメントソリューションズが実施したアンケート調査で、Z世代の新入社員に仕事をするうえで得意なスタンス・苦手意識のあるスタンスについて聞いた結果が以下の図です。「得意だな」「強みとしてさらに活かしたい」と思うスタンスとして、「試行」が最下位となっています。一方で、「不安・苦手意識があるけど大事だな」「意識的に取り組みたい」と思うスタンスとしては「試行」が2番目に多く選択されたのは注目したいポイントです。
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この資料では、若手ランキング企業の特徴を通じて、組織で若手がイキイキと活躍するためのポイントを解説し、「働きがいのある会社」ランキング上位に選出された企業の実際の取り組み事例を紹介します。
Z世代の力を引き出す職場での関わり方
それでは、Z世代を部下や後輩に持つ上の世代から、彼ら彼女らに対しどのような関わり方をしていくべきでしょうか。3つのポイントを紹介します。
フラットなコミュニケーション
先述したように、動機づけのベクトルが外発的動機から内発的動機へ移行しつつある中で、どう指揮命令に従わせるか、ではなくいかにクリエイティブさを発揮させるかが重要になってきています。そのためには、まずはフラットに相談がしやすいような心理的な安心感を本人が持てている必要があります。例えば働きがい認定企業の事例では、最近では多くの会社で行われている1on1ミーティングを、業務報告ではなくざっくばらんにいろんな話ができる・部下側が自由に話すテーマを決めてよい場として設定しているケースもあります。
関連記事:1on1ミーティングとは?目的や進め方、話すことのテーマを紹介
「WHAT」だけでなく「WHY」を伝える
何らかのミッションを与える・業務指示をするような場面で、何を(WHAT)するのかという情報だけではなく、何故(WHY)それをしなければならないのか、目的・意義は何なのか、も合わせてメッセージすることが重要です。Z世代は、物事の意味や背景を重視していて、かつ社会・組織貢献意欲も高い傾向があります。もちろんコミュニケーション負担はその分増えますが、業務そのものの目的、そして自分自身にとってのそのミッションに取り組む意義をきちんと理解できている状態は、本人のモチベーションにもつながります。
承認・期待のフィードバック
内発的動機を重視するZ世代には、取り組みのプロセスやアウトプットなどが周囲からはどう受け止められているか、自分にどのような期待をされているのかをきちんとフィードバックすることは有効です。その人の強みや長所を言葉にして伝え、自信をつけさせることで、本人のポテンシャルを引き出す手助けをしましょう。チャレンジへの苦手意識を克服するための後押しにもつながります。
Z世代にしてはいけないNG対応3選
価値観の否定
Z世代は価値観や個性を重視する傾向にあります。当然、あからさまに本人の価値観を否定するようなコミュニケーションはNGです。重要なのは、傾聴のスタンスを持って接することです。なぜ本人がそう考えているのか、その背景を知ることです。その際、無理やり共感までする必要はありません。しっかりと相手の話に耳を傾け、理解をしようとする姿勢を示しましょう。
失敗に対する過度な批判・叱責
先述したように、Z世代はリスクをとってチャレンジすることに苦手意識を持っています。チャレンジした結果がうまく行かなかった際の過度な批判は、その後も継続的にチャレンジのスタンスを持ち続けることへの妨げとなってしまう恐れがあります。なぜ失敗したのかの分析はもちろん必要ですが、チャレンジしたこと自体への承認のコミュニケーションも同時に行っていけるとよいでしょう。
カテゴライズを個人に当てはめた発言
Z世代の人と向き合う上で、Z世代の価値観や特徴を把握しておくことは重要です。ただし、それは全体の傾向でしかなく、実際には一人ひとり価値観は異なります。Z世代は多様な価値観を是とするスタンスの人が多く、カテゴライズやレッテル貼りには敏感な世代です。間違っても個人に対して全体の傾向を当てはめるような発言(「〇〇さんはZ世代だから、~~だよね。」)をしてはいけません。
働きがい認定企業における1on1ミーティング事例
職場で部下(あるいは後輩)であるZ世代との1on1ミーティングの機会がある方もいると思います。これまで述べてきたようなポイントを踏まえ、どのように1on1ミーティングを行っていくとよいでしょうか。
ある働きがい認定企業では、1on1ミーティングを、上司側が管理する側・指示する側として関わるのではなく、相手のWillをもとにフラットに成長のサポートをする存在として向き合う場と置いています。一方的な業務指示をするのではなく、本人のWillに今の業務がどうつながっているのか(あるいはつながりを感じられないのであれば、どうすればつながりを感じられるようになるか)ということをすり合わせていきます。それはまさしく、本人に対しその業務をやる本人にとっての“WHY”を伝えることにもつながります。また、こうした1on1ミーティングをできるだけ頻度高く定期的に行うことで、そのプロセスを認める・さらなる期待を伝える場にもなります。
目の前の人の個性に目を向けることが大切
ここまで、Z世代の特徴や向き合い方についてお伝えしてきました。
最後に改めてお伝えしたいのは、世代観というのはあくまでも特徴・傾向であって、必ずしもすべての人に当てはまるわけではないということです。「~世代」というカテゴライズが、該当者に対するステレオタイプを植え付けてしまうという意見もあると思います。ただその一方で、異なる世代の理解促進の第一歩として、こうしたカテゴライズがその一助となる面もあります。あくまで本稿の目的は、傾向としてのZ世代の特徴を理解する手助けです。ぜひ職場等での実践の場面では、目の前のその人の個性に目を向けてあげてほしいと思います。
また、組織として各年齢層別で会社・職場にどんなことを感じているのかを知りたい場合は、エンゲージメントサーベイ等のツールを活用することもおすすめです。GPTWでは、従業員の働きがいの度合いを測る組織サーベイを提供しています。年齢別などのスコアも確認することができるので、世代別での組織に対する感じ方の違いを明らかにすることができますので、ご関心があればぜひご活用ください。
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Great Place To Work® Institute Japan コンサルタント 岡部 宏章
2021年にGreat Place To Work(R) Institute Japanに参画し、営業を担当。「働きがいのある会社」調査の提供や、認定・ランキングの普及に努める。