新人の育成は「働きがい」を高める機会?
更新日 2024.11.262017.02.24コラム
4月まであと約一ヶ月となり、新入社員を迎える時期になりますね。忙しい職場の皆様にとってはつい、「ただでさえ忙しいのに、新人の指導は出来るのか・・・。」、「即戦力がほしいのに・・・。」といった思いがよぎることもあるでしょう。また、世代の違いに戸惑いを感じることもあるかもしれません。
しかし、「働きがいのある会社」では新人の育成を職場の「働きがい」を高めることに繋げています。
今回は、新人の育成を職場の「働きがい」向上に繋げるための3つのポイントをお伝えします。
1. 仕事を見つめ直す機会とする
入社式が終わると、多くの企業が新入社員導入研修を行うかと思います。その中で、ビジネスマナーや業務知識を習得する研修が詰め込まれてきます。加えて、配属前に職場実習を行う企業も多いでしょう。最初のうちは習得してもらうことが多いため、教えることだけに専念してしまい、新人が感じている疑問や違和感、思いついたアイディアに耳を傾けていないことはないでしょうか。
新人はまっさらだからこそ、余計な先入観を持たずに仕事の流れを見ることが出来ます。もちろん、瑣末なこともあるでしょうが、新人が見て、感じたことの中に、普段は当たり前だと思っていたことに対する発見があるかも知れません。むしろ、新入社員のほうが、最新のリテラシーや感性を持っているということがあります。こうした宝を生かさない手はありません。
「働きがいのある会社」の中には、新人の意見や提案でさえも生かされています。新人が現場研修を終えた後、職場環境の改善や業務内容の効率化というテーマで役員に対して提案させる制度を設けている企業もあります。この取り組みは、新人の意見や提案を聞くことで、新人の会社に対する参画意識を高めるとともに、会社にとっては自組織の業務を見直していくことに繋がる取り組みとして効果を上げています。
また、別の企業では、役員のメンターを新人が請け負う「リバースメンタリング」という制度を設けています。役員が新人の新しい感性に触れることで企業経営に生かしていくとともに、風通しのよい風土醸成にも繋がっています。
このように、新人だからこそ見えてくる視点や新しい感性を受け入れていくことは、職場の人たちが、自分たちの仕事の価値や目的を見直す機会となるのです。
2. 先輩社員育成の機会とする
新人が職場に配属されるとまずは実際の業務知識を習得させるために、職場での育成や指導が始まります。配属先の管理職が指導員となり、新人にはまずはルーティンワークから仕事を与え、実際の仕事内容を覚えさせるために、先輩社員に付き添わせるといったことが行われるでしょう。
これらは、新人が早期に仕事の内容を習得していくためには、重要なステップとなります。しかし、「働きがいのある会社」においては、もうひと工夫が行われています。それは、新人の育成を通じて、職場の若手を育成する機会にしているということです。
現場の管理職が新人の指導責任者となり、その上で、新人と相性が良さそうな現場の先輩社員を育成担当者に任命し、新人の指導を任せていきます。その際、管理職から、半年や一年後の新人育成のゴールイメージを共有するとともに、先輩社員に対しての期待やサポート体制を明確に伝えることが重要です。
先輩社員は育成担当者に任命されたことによって、自分自身が認められたという自覚や誇りにも繋がるでしょう。 また、先輩社員が新人を指導するに当たり、これまでの自分の仕事の振り返りを行い、業務を進めるに当たってのポイントを再整理する機会ともなります。その上、先輩社員にとって、新人を育成するという擬似マネジメント体験を積むことができます。その中に、コーチングスキルや傾聴力の向上に繋がります。
このように、新人の育成を通じて先輩社員の動機付けや育成の機会に繋げていくことで、先輩社員自体の成長感を高めていくことが重要なのです。
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3. 職場の連帯感を高める機会とする
新人が配属されることで、当然、職場の人員構成に変化が生まれます。新人が配属されることで、多くの職場では歓迎会が実施され、誰しもが「今年はどんな人間が入ってきたのだろうか」と始めは関心を持つものです。
しかし、放っておくと、その関心は薄らいでしまいます。新人への関心をいかにして職場の連帯感を高めることに繋げていくのかが、最後のポイントです。
「働きがいのある会社」では、新人の自己紹介の場面でも工夫がされています。朝礼の場などで新人が自己紹介をする場面が用意されている会社は多いと思います。しかし、「働きがいのある会社」では、それだけにとどまりません。
自己紹介以外の場面でも、職場のメンバーが集まり、ランチをとりながら自分たちも紹介し合う様な場面も用意されています。その中で、新人と交流を深めつつ、メンバー同士の相互理解を深める場となっています。
また、上記で挙げた育成担当者の任命とは別に他メンバーや他部署からの社員で構成されるファミリーメンター制度を導入している企業もあります。ファミリーメンターは、チームで新人の育成をサポートしていきます。その過程において、定期的にチームで会合を開き、お互いの思いや考えを共有することでチーム内の交流が促されています。
その他、新人の業務日誌にもひと工夫がされています。管理職や育成担当だけが新人の業務日誌を閲覧できるのではなく、職場の全員が閲覧できるようにしています。新人がどのようなことを習得しているのかを共有するとともに、その他のメンバーからのアドバイスや激励や応援のメッセージなどのコメントを記入することが出来るのです。
このように、新人の育成を職場全体で取り組んでいくことによって、職場の仲間の連帯感が高まる機会となるのです。
いかがでしたでしょうか?
新人の育成は、短期的には時間と手間がかかります。しかし、新人を育成していくことを通じて、仕事に対する見方を変え、人材の育成や職場力の向上に繋げることで、職場の「働きがい」を高めることができます。さらに、この機会を生かして「働きがい」を高められるか否かが、中長期的な企業成長の差になってくるのです。
新人の育成は「働きがい」を高める絶好の機会となります。ぜひ、皆様の職場でも、この機会を生かして、「働きがい」を高めてください。
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