本気で繰り返し「語り続ける」ことの重要性
更新日 2024.11.262018.01.05コラム
新年明けましておめでとうございます。新しい年を迎え、気持ちも新たにスタートを切られていらっしゃることでしょう。みなさんの会社でも、始業に伴い、経営トップや管理職から様々な挨拶やメッセージが発信されたことと思います。
さて、そこではどんな事が語られたのでしょうか。そして従業員のみなさんはそこから何を感じ、受け止めたのでしょうか。
GPTWの考える「働きがいのある会社」を作るための9つのエリア(機会)のひとつに、「語りかける」というエリアがあります。このエリアは、「経営・管理者層が組織のミッション・ビジョン・方針などの重要事項を共有化する仕組み、取り組み」を指します。
日本企業での取り組みを見ていると、「語りかける」というエリアに対する取り組みは必ずしも十分とは言えないようです。一方で、日本でも、ダイバーシティはますます進んでいます。非正規社員・女性・シニア・外国人など、これまで以上に色々な背景や価値観を持つメンバーをリードするために、相手に伝わる形で「語りかける」ことの重要性は日増しに高まっています。
私たちはしばしば、お客様が「メンバーには色々と伝えてきたつもりなのに・・・」「方針やビジョンは結構語っているんですけれどね・・・」と、従業員に会社や組織の方針やメッセージが伝わっていないことを嘆く声を耳にします。しかし残念ながら、コミュニケーションはよく言われる通り、「相手に伝わらなければ、伝えていないことと同じ」なのです。「語りかける」エリアは、従業員に組織が向かう方向性を示し、エネルギーを結集させるために必要不可欠なエリアです。
今回は、その「語りかける」ためのポイントをお伝えしたいと思います。
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「何を」語るのか?
メンバーに「何を語るのか」というのは最も重要なことのひとつです。それでは、ここで「語るべきこと」はどんな事なのでしょうか。
ひとことで言えば、それは「会社や組織の存在意義・ミッション」であると考えます。世の中にどのような価値を届けるのか、それによって、どのようなことが実現されているのかが想像できるよう、その状態を豊かにイメージし、言語化することがポイントとなります。それによって、メンバーは自分の会社や仕事の意味や価値を理解することができるようになります。
時々、「会社のミッションや方針は伝えているよ」と言いながら、伝える内容の多くが、会社や組織の売上・利益・KPI等の目標数字の羅列になっているケースもあります。数字はあくまでもお客様や社会に価値をお届けした状態を測るひとつの指標に過ぎず、目標数字の羅列だけでは、メンバーを動機づけ、やる気にさせることは難しいでしょう。
また、あれこれと伝えたいことがありすぎて、言いたいことが散漫になっている場合も注意が必要です。「シンプルにメッセージにする」ということに留意するとよいでしょう。
「どのように」語るのか?
ミッションや方針を語る上では、それを必ず実現できるということを、メッセージの発信者である経営者や管理者自身が本気で信じることが重要です。上辺だけの言葉は、聞き手には伝わってしまいますし、発信者自身が本気で信じていないものを、聞き手が実現しようという気にはならないからです。発信者自身の本気を示すためには、気持ちや考えを含めた自分なりのストーリーとして伝えていくことがポイントです。他者からの借り物ではない、語り手の生きた言葉が聞き手の心を動かし、メンバーの行動を引き出すことができるからです。
尚、思いや考えを物語として語るということは、経営トップを含め、あらゆる階層の組織のリーダーに求められます。各組織のリーダーが、上位組織のミッションやビジョンを噛み砕き、自組織における意味や求められる動きを自身の考えとともに伝えていくことで、各組織はより自律的に、能動的な動きをとることができるようになります。
また、できる限り具体的に伝えるということも同時に重要です。思いはもちろん重要ですが、それに具体的な内容が伴わなくては、メンバーは結局何をしていいのかが分からないからです。
鍵は“しつこさ”にあり!
ここまで、従業員に語りかける内容や語りかける方法についてお話してきましたが、ベストカンパニーが他の会社と最も異なる点は、その“しつこさ”にあると言っても過言ではありません。どんなに心を揺さぶられるメッセージを受け取ったとしても、時間が経つにつれ、人間はやがて忘れ、その熱量も落ちていくのが通常です。そのため、メンバーからどんなに「またか」と思われても、尚、繰り返し繰り返し語り続けていくことが、本当の意味でのメッセージの浸透につながっていきます。
あるベストカンパニーでは、経営トップ自らが年間約60回も様々な現場に出向き、会社の方針や経営者の考えを直接伝えています。また、それだけに留まらず、それを受けた各組織のリーダーが、自分の組織のミッションや方針に展開し、自らの言葉で語りかけることを、リーダーの責務として義務付けています。「これだけやってはじめて、現場に会社の方針が浸透していく」ということのようです。
繰り返し語ることは、経営やリーダーの本気を示すことに他なりません。従業員が根負けするぐらいに必死で伝えようとする努力は、いつかメンバーに伝わっていきます。
昨年は「忖度(そんたく)」という言葉が流行しました。日本ではこうした言葉に代表されるとおり、従業員は上位者からはっきり語られなくとも、その意を汲んで動くことをよしとしてきた向きがありました。しかし、ダイバーシティの進展とともに、こうした「忖度」の期待を前提としたマネジメントは通用しなくなっているばかりか、企業のリスクにつながる時代となっています。このマネジメントスタイルは少しずつ変えていくタイミングにきていると言えるでしょう。
さぁ、新しい年となりました。これまでより一歩踏み込んでメッセージの受け手に思いをはせ、自身の思いをこめて繰り返しミッションやビジョンを声に出して語ってみてはいかがでしょうか。それはやがてメンバーに伝わり、より強い組織づくりへとつながっていくはずです。
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