「信長」「秀吉」「家康」。働きがいのある会社を創るのは誰?

2018.08.07

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「鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス 織田信長」
「鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ホトトギス 豊臣秀吉」
「鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス 徳川家康」

これは、「信長」、「秀吉」、「家康」の3人の戦国武将の性格を端的に表していると言われている有名な言葉です。ご存知の方も多いでしょう。「家康」が徳川家という15代も続く長期政権の礎を築いたことから、“成功には、強引・拙速(せっそく)に事を起こすのではなく、辛抱強く機が熟すのを待つのがポイントである”ということの例えとして使われることが多いようです。

さて、この3人をリーダーとして迎えたときに、働きがいのある会社づくりにおいて成功を収めるのは果たして誰なのでしょうか。(尚、あくまでもこの句から想定される人物イメージによる仮説です。実際の人物とは異なりますので、悪しからず!)

「家康」は働きがいのある会社を創るのに不向き

まず、戦国時代において、最も成功を収めたとされる「家康」から考えてみましょう。結論から言うと、鳴かないホトトギスを前にして、じっと鳴く時を待っている(=変わらない会社や従業員に対して、変わることを期待しながらひたすら待つ)ようでは、働きがいのある会社を創ることは難しいでしょう。

働きがいのある会社づくりとは、働きがいのある会社のカルチャーづくりのことを指します。カルチャーとは、組織に共有されている価値観の集合体です。私たちGPTWの創始者であるロバート・レベリングは、「働きがいのある会社が存在することは“偶然の産物”ではない。働きがいのある会社を創ることとは、働きがいのあるカルチャーを創ることであり、それはマネジメントからの意図的・意識的な働きかけによって実現される。」という主旨の事を説いています。「時間の経過とともに、自然と望ましいカルチャーに変わる」、「忍耐強く待つと、従業員がそのうち行動を起こし、働きがいのある会社になる」ということはまずありません。

ベストカンパニー(「働きがいのある会社」ランキングに選出された企業)・ノンベストカンパニー(同ランキングに選出されなかった企業)に関わらず、多くのお客様は、可能であれば、自社の働きがいをもっと高めたいと考えています。しかし、そう考えながら、そのための行動を速やかに起こすことができる企業は、案外少ないのです。

特に、ノンベストカンパニーは、課題を感じていながらも、問題の分析や解決のための施策検討に多くの時間をかけすぎてしまったり、場合によっては失敗を恐れて何もアクションをとることができないという傾向が見られます。

時間が過ぎるのを待っても何も解決しません。「家康」のようにホトトギスが鳴くのを待っていては、働きがいのある会社を創るリーダーにはなれないでしょう。

最も期待できるのは、努力を続ける「秀吉」

一方、この中で、働きがいのある会社を創るのに最も期待できるリーダーは、「秀吉」ではないでしょうか。ホトトギスが鳴かないのであれば、鳴いてもらうために、あれこれ手を尽くし、鳴いてもらえるように試行錯誤を行います。つまり、会社のカルチャーが望ましくない状況であるのであれば、様々な施策や取り組みを通じて、従業員に言動を変えてもらうように働きかけを行う必要があります。

先ほど、ノンベストカンパニーでは、アクションを起こすのが遅すぎるか、何もしないという特徴があるというお話をしました。翻って言うと、働きがいのあるベストカンパニーは、施策検討からアクションを起こすまで、そしてアクションを起こした後のレビュー(振り返り)が非常に早いという特徴があります。

なぜベストカンパニーではそれが実現できるのでしょうか。すると、“結果ではなく、挑戦することそのものを奨励し、結果に対する失敗は振り返りの材料として歓迎する”という取り組み姿勢が浮かび上がってきます。「失敗事例の共有大会」、「(結果を問わない)ナイストライに対する表彰」などを、楽しみながら行っている事例も多く見られます。働きがいのある会社になるための新しい挑戦やアクションには失敗はつきものです。「失敗したらやめればよい、また違うことにトライすればよいだけだ」という、少し気軽な気持ちでまずは行動を起こすことが大事です。

さらに、施策や取り組みというのは、何か一つを行えばおしまいというわけではありません。様々なシチュエーションにおいて従業員を刺激し、自社のカルチャーを変えるために必要な努力をたゆまずに続けていくことは、働きがいのある会社づくりに欠かせません。

「秀吉」のように、ホトトギスが鳴くまで粘り強く様々な手を尽くすリーダーが、最も働きがいのあるカルチャーを創れる可能性があるのです。

「信長」はダメなのか?

それでは、「信長」はどうでしょうか。この中で、短気で強気な、最もダメリーダーに見えるのは「信長」ではないでしょうか。何せ、鳴かなければ殺されてしまうのですから、ホトトギスであったらたまったものではありません。しかし、これを働きがいのあるカルチャー作りという組織変革に当てはめて考えてみると、少し異なった見方ができます。

“鳴かなければ殺してしまう”、つまり、「自社が大事にしている行動をとらない場合には、辞めてもらう」というのは、カルチャー変革の過程において必要となるケースもゼロではありません。もちろん、人が辞めるということは、一般的にはネガティブな印象があります。実際に、次から次へと人が辞めるような組織というのは、人が十分に育たず、残った人にとっても疲労感や負担感が蓄積していくものです。しかし、何度会社や周囲が望ましい行動をとるように求めたとしても、その行動を取らず、周囲や組織全体の変革の妨げになっているような場合においては、より本人の指向や価値観と合致した場所(会社)に移ってもらうという選択肢も一つの方法です。

しかしもちろん、「辞めてもらう」前に、やるべきことはあります。まずは、採用の段階で、望ましいカルチャーにフィットするかどうかをしっかり見極めることです。ベストカンパニーの多くは、事業・人事戦略における採用の大切さを、口をそろえて語ります。それを実現するためには、自社において育みたいカルチャーを明確にし、採用に携わるメンバー同士でしっかりと共有することが不可欠です。

「信長」のようにホトトギスを殺さなくて済むよう、「辞めてもらう」というのは、あくまでも最終的な手段としたいものです。

大事なことは対話によって相手を知ること

ここまで、戦国時代の三英傑になぞらえて、働きがいのあるカルチャーを作ることのできる会社やリーダーについてお話をしてきました。この観点からいくと、「秀吉」が最も成功を収め、「信長」は時と場合によっては必要とされ、「家康」は働きがいのある会社を創るリーダーとしては物足りないという仮説が成り立つのではないでしょうか。

これを読んでいるみなさんには、是非「諦めずに鳴かせてみせよう!」という、“「秀吉」の心意気”を持って、組織開発に励んでいただきたいと思います。

そしてさらに、「秀吉」型リーダーシップを発揮する上で、ベースとして大事にしたいことがあります。それはホトトギス(=従業員)の事をよく「知る」ということです。従業員の事を知らなければ、何が一体相手の心を動かし、行動変革につながるのか、望ましいカルチャーを作ることができるのかはわかりません。

「知る」ためには、対話が重要です。ホトトギスのような鳥とは異なり、会社のメンバーとは言葉での対話が可能です。対話によって十分に相手を理解した上で、トライアンドエラーの旅を続けていくことが、「秀吉」型リーダーシップの効果を高めるための鍵と言えるでしょう。

「鳴かぬなら 理由(わけ)をきかせて ホトトギス」。

こんな気持ちでメンバーと接することが、働きがいのあるカルチャーをつくるリーダーへの第一歩なのかもしれません。

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