休んで高める働きがい

2018.12.05

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2019年4月より有給休暇の一部の取得が義務化されます。働き方改革の一環として、なかなか進まない休暇取得を促すねらいがありますが、休みベタと言われる日本人に、もっと休んでもらうにはどうしたらよいのでしょう。ベストカンパニーは休暇取得を促し、従業員の働きがいも引き出しています。

日本人の有給休暇取得率は世界最低レベル

日本の労働者の有給取得率は50%となっており、世界の国々と比較してかなり低い状況です。2017年エクスペディアジャパンによる有給休暇の国際比較によると日本は調査国の中で最下位となりました。

同調査によると、日本人が休みをとらない理由として、1.緊急時のためにとっておく、2.人手不足、3.他の同僚がとっていない、という結果が出ているようです。

ちなみに他国では、アメリカ80%、フランス100%、シンガポール93%と高い水準になっています。
時間あたりの労働生産性が世界でも高く評価されているドイツでも、大半の企業は有給休暇を30日間と長めに設けていて、休暇を取るのは当然だというカルチャーが浸透しています。

日本でも休暇取得にポジティブな動きが出ている

しかしながら近年、日本においてもGPTW調査で働きがいのある会社(ベストカンパニー)に選ばれている企業においては、休暇取得に対する意識は高まっています。
実際、従業員の休暇に対するアンケート結果は、ここ3年間でポジティブに変化しています。(下図参照)

GPTW従業員へのアンケート(ベストカンパニー結果)
『私は、この会社において必要なときに休暇がとれる』
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休暇をとってもらうには工夫が必要

では、ベストカンパニーでは、どのように休暇を促しているのでしょうか。大別すると、“制度の工夫”と“職場の雰囲気”の両方に注力されています。“制度の工夫”としては、「1日単位ではなく時間単位でとれる」、「祝日や年末年始休暇など連続した休日の前後に奨励日を設定する」などがあります。「期初に計画表を出してもらう」ことも有効で、ある会社では、管理職に対して“職場のメンバーを休ませることも仕事である”という啓蒙を行い、必ず部下と相談して半年分の計画を全員分作成しています。

“職場の雰囲気”を盛り上げていく方法としては、「管理職が積極的に長めの休みをとる」、「休暇中の経験をSNSで共有し話題にする」などがあります。まず、休むことに対するポジティブなイメージを職場で育て、心理的な負担を少なくしています。

特別休暇を設けている場合には、特徴的な名称をつけて、従業員にとって“なじみやすく”、“周知されやすい”ようにしています。「誕生日休暇」、「ファミリーサポート休暇」、「永年勤続休暇」などは、代表的な例です。名称から“休暇の目的や時期が周囲に理解されやすく”、“本人も計画しやすい”ということが大きいようです。

さらに「休暇を取得するとお小遣いが支給される」、「仕事の進捗管理シートを共有することで、休暇時に他の人がフォローできるようにしておく」など、もう一工夫を施すことで取得を促しています。

休暇を奨励する理由

ベストカンパニーが休暇取得を後押ししているのは、従業員のワークライフバランスを尊重し、健康やプライベートの充実を図るために他なりませんが、最近では、職場にいるだけではなかなか得がたい“新しい体験をしてもらう”ことをねらいとし、休暇を新設する会社が増えています。

たとえば、「サバティカル休暇」は、従業員の能力開発やスキルアップを目的として、外部研修などに参加するために認められた休暇です。期間は会社によってさまざまですが、現在の業務や役割とは関係のない学びでも支援される場合もあります。

有給休暇としての導入例はまだ少ないですが、「ボランティア休暇」もその一例です。自分がやりたいボランティア活動を申請するケースもあれば、会社で企画されたボランティアに参加するケースもあります。会社のナレッジや自分のスキルを社会貢献に生かせる機会として注目されています。

こうした新しい体験を通じて広い視野を得た社員は、心身ともにリフレッシュされるばかりではなく、仕事へのやる気が高まったり、業務の改善ポイントに気づくことができたり、自分の仕事の意義を再確認したりなど、多くの収穫を得ることができています。ボランティアの場合は同僚と参加することもできるので、お互いをより理解し合える絶好の機会にもなるようです。

実際、充実した時間を過ごした従業員は、機会をつくってくれた会社への感謝の言葉を口にするほどです。休暇が働きがいを感じるきっかけになったとも言えるでしょう。

質のよい休暇を過ごすことが働きがいにつながる

近い将来、日本においても、諸外国のようにオン・オフの切り替えがうまいビジネスパーソンが増えることを願いつつも、まずはなにか大義名分のある休みをとりながら、自由な時間の使い方に慣れていくのも方法の一つです。

その意味で会社が趣向をこらし、意味のある休暇を提供していくことは、従業員のクオリティ・オブ・ライフ向上の一助となります。質のよい休暇を過ごすことで、学び、社会的ネットワークを広げられた人は働きがいも高まり、職場でもこれまでにない価値をもたらすことと思います。

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