福利厚生を職場にもっと宣伝していこう
更新日 2024.11.262019.04.25コラム
みなさんの職場にはどんな福利厚生がありますか。働き方改革の影響もあり、“最近これまでになかったユニークな制度を導入した”という企業も多いかもしれません。ところで、それらのプログラムは従業員に好意的に受け入れられていますか。よく利用されているでしょうか。
実はせっかくの制度があってもなかなか利用されていないという人事の方の悩みもよく聞きます。福利厚生を多くの従業員に有効的に使ってもらうにはどうしたらよいのでしょう。
メニューは時代とともに進化している
本題に入る前に、福利厚生について最近のトレンドを見てみたいと思います。
GPTWでは、働きがいのある会社調査において、「会社へのアンケート」(カルチャーや人事制度についての質問)を行っています。それによると、企業によってさまざまな制度・プログラムが提供されていることが分かります。
特にベストカンパニー(働きがいのある会社)では、以前であれば「大企業にしかできないような大掛かりな施設や豊富な資金を活かした」プログラムでも、発想を変えることで企業規模に関わらず導入を可能とし、さらに現代のニーズに合った形に進化させることで従業員からの好感も集めています。
たとえば、「社員の健康」への配慮として、以前は社員食堂、専用の運動場やプールなどが設備されていましたが、ベストカンパニーでは、オフィスのカフェスペースにブッフェスタイルのランチやフレッシュジュースを用意したり、お惣菜の自動販売機を設置しています。新鮮な野菜を自宅に届けている例もあります。
また、オフィスには疲れにくい椅子を配置したり、昼寝ができるリラックスルームを設置している会社もあります。
「レクリエーション」としては、会社の所有する保養所や宿泊施設の利用などが典型的でしたが、今は会社が提携している施設の中から国内外のホテルや旅館を利用することができたり、社員旅行を企画して費用負担をするという企業が増えています。
また新人を歓迎するためのランチや職場の交流会などを目的とした会の費用を支援している企業も多くあります。
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まずは「知ってもらう」ことを目指す
こうしたメリットの多いプログラムが存在しているにも関わらず、企業からは“あまり活用されていない”、“利用されたとしても同じ人に限られている”といった声を聞くことがあります。
“利用したいけど手続きがわかりにくい”、“魅力的な内容ではない”、“今は必要ではない”など、利用しない理由は1つとは限りませんが、そもそも“福利厚生の内容は従業員に周知されているか”という観点で点検してみることは大きな意義があるでしょう。
なぜなら、より充実した内容にするための努力をする企業は多いものの、その後、それを社内の隅々にまで広報することに力を注ぐ企業は案外少ないからです。従業員側も(報酬の一部でありながら非金銭的な側面もあるためか)、積極的に情報をとりにいかないという点にも注意が必要なのです。
社内に福利厚生を知ってもらうコツ
では、ベストカンパニーではどのような方法で周知しているのでしょうか。ポイントを3つにまとめてみます。
① 伝える「場」を多くつくる
多くの企業では入社時のオリエンテーションで説明する場合が多いようです。しかし、結婚などのライフイベント関連は、すぐには必要としない場合が想定されます。
そこでベストカンパニーでは、育児・介護などの休暇の申請があったときに改めて個別に案内をしたり、面談を行います。また、ある年齢を迎えた従業員を一斉に集めて説明会を行う会社もあります。
新しいメニューが追加された場合には、社員総会など全員が集まる場で社長からお披露目してもらうことも有効です。
② 伝える「手段」のバリエーションを増やす
伝える方法は、入社オリエンテーションや個別面談など「直接的なもの」、またイントラネット、メール、社内SNSなど「間接的なもの」と両方をうまく組み合わせることで、多様にすることができます。
ある金融機関のベストカンパニーでは、健康増進を目的としたイベントを行う際に、社内広報として、社内メールを配信し、カフェテリアや廊下にもポスターを掲示するなど告知に工夫を行ったそうです。
会社に社内報があれば、福利厚生についてのプチ情報を定期的に発信し、実際に利用した従業員のインタビューを掲載することで、より身近に感じてもらうこともできるでしょう。
③ 職場レベルで「宣伝パーソン(口コミ)」を増やす
会社規模が大きくなるほど、福利厚生の担当である人事部や総務部がすべての従業員の状況にタイムリーに対応することは難しい場合があります。しかしながら、各職場に福利厚生について少しでも詳しい人が存在していれば、伝達パワーは増強します。身近な人の口コミは信頼性も高いはずです。
そのために、ベストカンパニーでは、管理職に対して説明会を行ったり、メニューが詳細に書かれた資料を定期的に更新し、配布しています。中堅社員でメンターやバディの役割を持つ場合には、事前の研修プログラムの中に福利厚生についての情報提供も盛り込み、よりよく理解してもらう機会としています。
質のよい福利厚生は従業員の働きがいにつながる
従業員のニーズに合った福利厚生を整え、しっかり使ってもらうことは、彼らの日々の仕事や生活の質を高めることとなり、働きがいにつながります。
あるベストカンパニーでは、育児休暇が取得できる対象として「育児を主体的に行う人」と定めており、「養子」を迎え入れた時にも適用されます。このような素晴らしい制度を利用するかどうかの選択は従業員に委ねられていますが、もし知らずに機会を逃しているとしたらならば、それは実にもったいないことです。
せっかくよいプログラムがあるのに利用率が芳しくないという状況であれば、まずは1つでもよいので、「会社から受けられるお得情報」としての福利厚生をもっと宣伝していきましょう。