従業員の円満な退職が社内の「働きがい」を高める?

2019.09.12

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先日、高い顧客サービスで有名なホテルに滞在した時のこと。ロビーで人を待っていると、正面玄関で働く一人のスタッフが目に飛び込んできました。多くのゲストがせわしなく行き来する度に、重厚なガラスのドアを開け笑顔で話しかけています。ホテルに初めて足を踏み入れた人ばかりでなく、滞在を終えて立ち去る人もみな嬉しそうです。

会社組織においても、新しく職場にきた従業員の歓迎ばかりでなく、退職で職場を去る従業員を送り出すことがあります。そんな時、このドアパーソンのように気持ちよく送り出したいものです。

そこで今回はベストカンパニーにおける退職者の送り出しについて紹介したいと思います。

お別れではなく、感謝とエールを伝える

従業員の退職に際して、送別会を開く職場は比較的多いと思われますが、呼び名の通り、会としてはこれまでの労をねぎらい、お別れするといった意味合いが一般的でしょう。

ベストカンパニーでは、ひと味違った場を演出します。退職を“卒業”と呼び、他社へ転職する場合でも、次のステージを称え、新天地での成功を祈って祝います。送別会というより壮行会といった方がふさわしく、お別れのメッセージではなく感謝とエールを送るのです。

管理職が退職前に「エグジットインタビュー」といわれる面談を行う会社もあります。ここでは、上司や人事部門の管理職が、改めて退職理由や会社への要望、退職後の仕事や生活について情報収集します。ヒアリングを職場改善に活かすねらいもありますが、今後もよい関係で居続けるために、場を通じてこれまでの感謝を丁寧に伝えます。

退職後も会社とのよい関係を維持するために

さらにベストカンパニーの中には、お互いの関係維持の仕組みを整えている会社があります。

例えば、ある会社の「アラムナイ(同窓会)」は退職した社員が集うネットワークで、会社が活動を積極的に支援しています。すでに数千人規模のコミュニティを形成していて、会員は起業する時に必要なサポートを受けられたり、勉強会に参加することができます。元従業員にとっては、“退職後も成し遂げたい夢”のために、有益な情報収集や人脈を得られることが最大のメリットとなっているそうです。

「カムバック制度」を導入している企業も多くあります。これは、一定の条件をクリアした従業員に対し、再入社できるパスを提供する仕組みです。パスの保持者には会社の情報を定期的に配信し、いつでも復帰しやすくしているのも素晴らしい工夫といえます。

退職時のフォローが大切である理由

日本には、客人へのおもてなしの心得として“出迎え三歩、見送り七歩”という言葉があります。これは、お客様を迎えるときには、三歩前に出て歓迎し、反対にお見送りするときは少し多めの歩数寄り添って、より丁寧にお送りするという意味が込められているそうです。

ベストカンパニーが退職者の見送りを大事にするのも同様で、会社として新たな関係性を期待しているという意思表示といえます。彼らとのよい関係性を維持することは、会社にとっても大きなメリットがあります。

例えば、会社の商品やサービスを購入する“お客様”となることが考えられます。あるいはカムバック制度を通じて、再び“従業員”になってくれる(人材獲得)可能性があります。先に紹介したコミュニティでは、スタートアップを立ち上げた際に退職者が“出資者”になるケースもあるそうです。つまり、あらゆる場面において重要なステークホルダーになる可能性が考えられるのです。

またコミュニティには、現役社員も参加できる場合もあり、ビジネス上の有益な情報交換ができます。共に学べる環境があることは相互に効果的だといえます。

人として個人を尊重するカルチャーがもたらすもの

そもそもベストカンパニーには、人を尊重するカルチャーが根づいているので、職場を去る仲間を気持ちよく送り出すことは、カルチャーに照らし合わせれば、むしろ当たり前の振る舞いかもしれません。

退職の理由は必ずしもポジティブなものばかりとは限りませんが、事由に関わらず本人に対して尊重を示すことは、実は職場に残る他のメンバーに対しても、職場への“信頼感”や“安心感”を醸成するというよい影響を及ぼします。

ぜひあなたの職場でも従業員の卒業のシーンを、新しい関係性の始まりとしてとらえてみてはいかがでしょうか。

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