エンゲージメントを高めるリーダーシップの4タイプ
~「組織フェーズ」×「メンバーの成長ステージ」との相性~

2020.01.30

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「昔と同じようにマネジメントしているはずなのに、なぜか最近、部下がついてきてくれない」、「前の組織では組織運営に手ごたえを感じなかったけれど、今の組織に異動してからは何だか反応がいい」…そんな経験をしたことはありませんでしょうか?そうしたことが起こるのは、リーダーシップのタイプには人や組織との相性があるからです。それではどんなリーダーシップが、メンバーからの信頼を集め、働きがいやエンゲージメントが高い組織づくりを行うことができるのでしょうか?今回はそんなテーマを考えてみました。

これまで私たちは、働きがいのある会社(ベストカンパニー)の特徴について研究してきました。そのひとつとして、“経営・管理者層が、効果的なリーダーシップを発揮し、従業員からの「信用」を得ている”という特徴があげられます。そうした経営・管理職層は、従業員のエンゲージメントを高め、働きがいのある組織を作ることができています。

しかし、様々なベストカンパニーと話を重ねるうちに、そのリーダーシップの発揮の仕方は決して一様ではないということが分かってきました。

「自らが真っ先に動き、周囲をどんどん引っ張っていくリーダー」、「メンバーの意見や考えを大事にし、組織の力を引き出すリーダー」、「メンバーに具体的な仕事のやり方を指導し、育てていくリーダー」・・・など、様々です。それぞれのやり方でリーダーシップを発揮しています。

さて、それでは各組織には一体どんなリーダーシップが適しているのでしょうか?私たちは、「組織の成長ステージ」と「メンバーの能力」によって、適したタイプがある程度決まってくるということを発見しました。ここでは、私たちが発見した4つのタイプをご紹介します。

【図:リーダーシップの4タイプ ~「組織フェーズ」×「メンバーの成長ステージ」別~】
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まず、成長フェーズとメンバー能力によって、組織を4つのタイプに分けてみました。そのうえで、適したリーダーシップスタイルを分類すると、以下のようになりました。

① 触発タイプ(Inspiring型)リーダー:「組織立ち上げ・変革期」×「一人前メンバー」
② 陣頭タイプ(Leading型)リーダー:「組織立ち上げ・変革期」×「成長過程メンバー」
③ 支援タイプ(Servant型)リーダー:「組織成長期」×「一人前メンバー」
④ 先生タイプ(Teaching型)リーダー:「組織成長期」×「成長過程メンバー」

① 触発タイプ(Inspiring型):「立ち上げ・変革期」×「一人前メンバー」

組織が立ち上げ・変革期にあり、メンバーが一人前として自律している組織においては、「触発タイプリーダー」が有効です。触発タイプリーダーとは、目指すゴールを示し、メンバーをその気にさせ、鼓舞するリーダーです。このリーダーが重視すべきことは、『どこを目指すかということをはっきりさせること』、『それを魅力的に語り続けること』です。変革期においては、リーダー自身も何をすべきかという正解は分かりません。そのため、夢やビジョンを大いに語り、一人ひとりが持てる力を発揮し、ゴールに向かって模索するよう、要望し続ける必要があります。こうした状況下では、メンバーやその夢やビジョンを発信するリーダーに共感を覚えます。そしてメンバー同士が知恵を出し合い、状況を打開していこうと奮闘する中から、イノベーションの種が育ちます。また、「自分達の組織を自分達で育てている」という自負心や誇りが、働きがい・エンゲージメントの向上につながります。

② 陣頭タイプ(Leadingタイプ):「立ち上げ・変革期」×「成長過程メンバー」

次に、組織が立ち上げ・変革期にあり、メンバーが成長過程にある場合には、リーダーが自ら先頭に立ち、率先垂範して動く、「陣頭タイプリーダー」が有効です。なぜならば、変化が求められる局面においては、メンバーの成長をじっくりと促している時間はないからです。メンバーが育つのを待っていては、一刻を争う厳しい競争では負けてしまいます。自らが先頭に立ち、周囲を巻き込みながら手探りで力強く業務を推進することで、事業成長の糸口を見つける必要があります。また、メンバーはそうした組織全体の試行錯誤の中で力強く突き進むリーダーの姿に信頼を寄せていきます。そうしてリーダー自身が切り開いた、次なる事業の芽や新しい仕事の機会は、メンバーの成長を強力に後押しします。事業の成長と自らの成長を重ね合わせ、その中から働きがいを見出すのです。

③ 支援タイプ(Servant型):「成長期」×「一人前メンバー」

また、組織が成長期にあり、メンバーがすでに十分な力を持っている場合には、「支援タイプリーダー」が有効です。支援タイプリーダーとは、メンバーが持てる力を最大限に発揮できるよう、環境を整えることに力を尽くすリーダーです。リーダーはできる限りメンバーの声に耳を傾け、一人ひとりの特性や要望を把握していく必要があります。そして、そうしたメンバーの状況や希望を踏まえた上で、どうすればさらにメンバーがその能力を遺憾なく発揮し、組織としての能力を最大化することができるのかを必死に考え、手を打っていく必要があります。それによってメンバーは能力をさらに開花させ、自由な発想で仕事を楽しみながら成果をあげることにコミットすることができます。そしてそうした仕事環境を与え、信頼して任せてくれるリーダーに感謝し、このリーダーや組織のためにもより高い成果をあげたいと、尽力をするようになります。

④ 先生タイプ(Teaching型):「成長期」×「成長過程メンバー」

最後に、組織が成長期にあり、メンバーも成長過程にある場合には、リーダーがメンバーにやり方を教えながら仕事を進めていく、「先生タイプ」が有効です。成長期の組織には、試行錯誤の中から生まれた、ある種の正解や成功パターンが存在します。そのやり方をまずはしっかりとリーダー(先生)がメンバーに教えていく(teaching)ことが、事業にとっても個人にとっても成長の近道です。このタイプのリーダーはメンバーの強みや成長課題を把握するとともに、組織の成長の秘訣やポイントを言語化し、相手のレベルに合わせながら確実に教えていくことが求められます。そのことで、メンバーは組織として蓄えられた知恵や知識を効率的・効果的に学ぶことができます。そして、リーダーの惜しみない適切な指導・教育に、メンバーは尊敬の気持ちを抱きます。だからこそ、その尊敬するリーダーの知識やスキルを早く吸収し、力を発揮できるようになろうと努力をするのです。

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ここまで、4つのリーダータイプを分類してみましたが、実際の状況はもっともっと複雑です。組織の成長ステージは絶えず変化していますし、組織には様々な成長段階のメンバーが存在します。そのため、リーダーは、上記①~④の各リーダーシップを組み合わせ、それを駆使していくことが求められます。常に組織のステージや一人ひとりの状況を見極めながら、自分の言動を見つめ、調整をかけなければなりません。

自らが慣れ親しんだやり方を変えていくというのは、そう簡単なことではありませんが、環境変化に適用しながら自分のリーダーシップに磨きをかけていってください。それができるリーダーが、メンバーからの信頼を集め、エンゲージメントや働きがいを高めることができるリーダーなのです。

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