「あらゆる人にとって働きがいのある会社」は存在しない ~ベストカンパニーに共通する「価値観」の明確さ~
更新日 2024.11.262020.04.28コラム
あなたにとって「働きがいのある会社」とは、どんな会社でしょうか。
「会社のビジョンに共感できる」、「裁量があり、責任ある仕事を任せてもらえる」、「福利厚生が充実していて働きやすい」、「評価や報酬に納得感がある」、「会社の知名度がある」など、具体的にイメージしたことはあるでしょうか。
今回は、働きがいというのは何かということを改めて考えた上で、働きがいのある会社をつくる為にはまず何から始めるべきなのか、ベストカンパニーの特徴を踏まえて考えていきます。
働きがいは人それぞれ異なる
働きがいというのは、なかなかとらえどころがないものではありますが、一つだけ明らかなことがあります。それは“働きがいは一人ひとり異なる”という点です。私たちは、色々な会社の様々な方々に、自分や自分の組織における働きがいについてお聞きすることがありますが、同じ会社・部署・職種の方であっても、働きがいとして出てくる意見はまさに百人百様です。
例えば、仕事の内容に関して、ゼロから何かを生み出すことが働きがいになる人もいれば、決められたことを効率的に行うことが働きがいになる人もいます。仕事の環境であれば、明るくて会話が飛び交う職場に働きがいを感じる人もいれば、静かな空間で一人で集中できる職場に働きがいを感じる人もいます。自己成長につながることに働きがいを感じる人もいれば、仲間やお客様への貢献につながることに働きがいを感じる人もいます。このように働きがいは非常に個別性の高いものであり、各自が働きがいに感じている点は、誰がなんと言おうと尊重されるべきものなのです。
【ホワイトペーパー】働きがいとは何か?~これを読めば、「働きがい」のあれこれが分かる!~
「働きがい」は漠然とした言葉であるため、その実態はよく分からないという方も多いのではないでしょうか。 本資料では、働きがいを構成する要素や、その中でも特に働きがいに影響の強い要素、また企業が働きがいを高めることのメリットなどについて、データとともに紹介します。
あらゆる人にとって働きがいのある会社は存在しない
GPTWは毎年、「働きがいのある会社」を選出し、ベストカンパニーとして発表しています。ベストカンパニーは、いずれも素晴らしい会社であることに間違いはありませんが、『その会社に所属をしていないあらゆる人から見ても働きがいのある会社か』というと、それは違います。試しにGPTWのランキングをご覧ください。
https://hatarakigai.info/ranking/japan/2020.html
ここで選出されている数々の会社が、あなたにとっても働きがいのある会社だと言えるでしょうか。「いきいき働くイメージが湧く」、「ぜひ働いてみたい」という会社もあれば、きっと「社風が合わなさそうだな」、「ここで働くイメージは湧かないな」という会社もあるのではないでしょうか。そのように感じるのは至極当然です。あなたの考える働きがいとその会社が考える働きがいとの間に、ギャップが生じているのです。
つまり私たちが選出している働きがいのある会社は、必ずしも万人にとって働きがいのある会社というわけではなく、会社の大切にする価値観と、そこで働く人の価値観がうまく合致している、“そこで働いている人たちにとって働きがいが感じられる会社”なのです。
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働きがいのある会社は「価値観」がはっきりしている
「価値観」はわかりやすく言い換えると好き嫌いのようなものであり、意思決定や行動の指標となります。そしてベストカンパニーに選ばれる会社の多くは、自社の価値観がはっきりしていて、会社の様々な施策、日常のコミュニケーションにまで浸透しているという特徴があります。
特に、採用の場面において自社の価値観に合うか極めて慎重にスクリーニングしています。人の価値観はその人のそれまでの経験から培われるものであり、そう簡単に変わるものではありません。仮に無理に会社の価値観に合わせて入社をしてもらったとしても、違和感が拭えず結局会社を離れてしてしまうケースが少なくありません。そのため採用フローの中で様々な方法を用いて応募者の価値観と自社の価値観がマッチするか見極めています。たとえ経験や知識が豊富で即戦力になる人が現れても、会社の大切にする価値観とズレがある場合は不採用にしているのです。
様々な方法で「価値観」を見極めて採用する
あるベストカンパニーは、“価値観の合う人材を見つけること”を目的に採用サイトを新設しました。就活生や転職希望者は、採用エントリーをする際に数問の選択式質問に回答する必要があり、会社の価値観に100%合致した場合のみ、エントリーできる仕組みになっています。これによりエントリー前に会社の価値観と合っているか診断することで、希望者とのミスマッチをなくすことができます。
また別の会社では、価値観にマッチした母集団を形成するために、会社説明会のほとんどの時間を、会社概要ではなく自社の価値観や風土の説明に費やしています。その他にも選考の途中で自分のキャリアプランや将来の夢についてプレゼンをしてもらう会社や、最終面接を合宿形式で実施し一日寝食を共にすることでフィット感を確認する会社があります。採用側(採用担当者)に対して、面接(スキル)トレーニングを毎年実施している会社も増えています。トレーニングでは、効果的な質問方法、面接の進め方、価値観がマッチするかどうかの見極め方を徹底して磨き上げています。
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いかがでしたでしょうか。ベストカンパニーは、自社の大切にする価値観を明確に打ち出し、特に採用場面でのすり合わせを重要視しています。また採用後も、育成や教育、制度にまで一貫して価値観を浸透させることで、自社(の価値観)にフィットする人材を惹きつけ続けています。あなたの会社で大切にしている価値観はなんでしょうか。採用や教育、制度など日々の行動にまで、その価値観は浸透しているでしょうか。是非チェックしてみてください。