採用ブランディングにも「働きがい」が必要な理由

2020.06.12

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採用ブランディングは、「中小企業だから・・」「無名だから・・」と諦めてしまいがちな優秀人材の獲得において、また採用計画も求職者のニーズも変わってくるwith/afterコロナ時代において、今まさに取り組むべき重要事項です。今回は、働きがいと採用ブランディングの関係性についてお話しします。

採用ブランディングとは自社のファンを増やすこと―なぜ採用にもファンが必要なのか?

日本の労働市場における人手不足が年々深刻になっていくのと比例するように、「採用ブランディング」の注目度は高まっています。注目されているのは「従来のやり方では立ち行かなくなってきている」ということの表れでもありますが、ここで改めて採用ブランディングの必要性について整理してみたいと思います。

採用ブランディングとは一言で表すと、「求職者のなかに自社のファンを増やす活動」です。ここでいう「ファン」とは、「自社の魅力をよく理解し、そのうえで自社で働くことを好意的に感じてくれる人」と定義します。

ファンづくりによる採用ブランディングの最大のメリットは、「カルチャーフィットする人材を集められる」ということです。それによって、離職率の低下/定着率の向上、採用コストの削減といった非常に大きなメリットがあります。

この「ファンを作る」という視点を意識してみると、これまでの採用フローに矛盾を感じる点は出てこないでしょうか?現在多くの企業での採用フローは、いわゆる採用メディアを活用し、業務内容・報酬・福利厚生など決まった型の要件を並べ、求職者からのエントリーを待つ形が主流になっています。これはブランディングにはなっていません。他社と似たような情報が載っている採用ページを見ただけで、いきなり求職者が「この企業、好き!」と思うことはないからです。

しかし、それでもエントリーをする求職者は一定数います。彼らは自社に「好き」という感情があるわけではなく、「何となく面白そうだから」「条件が良いから」といった理由でエントリーをするでしょう。そのために「カルチャーフィットしない」という問題が起きてしまうのです。GPTWの「働きがいのある会社」ランキングに選出されている多くの企業も、「採用に最も重要なのはカルチャーフィットだ」と口をそろえて言います。しかし既存の採用フローによって「何となくやってきた求職者」は、自社のカルチャー、経営者の想いなど知る由もありません。仮に面接官がその違和感に気付き不採用にしたとしても、面接の準備や本番に費やした時間というコストは無駄になります。または面接官がカルチャーフィットを考慮せず、スキルやコミュニケーション能力だけを見て採用をしたとして、そういった人材が早期に離職する確率は高くなります。

母集団形成の時点で、自社のファン、すなわち自社をよく理解したうえで「良いな」と思ってくれる求職者を集めることは、カルチャーフィットする人材を集めることに繋がるので、時間と費用、どちらのコストも節約することに繋がります。また、入社前から自社を理解しているがゆえに、入社後に違和感を持つことが少なく、定着率が高まります。

採用ブランディングは「手法」ではなく「中身」から考える

とはいえ、自社のファンになってもらうというのは、そう簡単なことではありません。採用ブランディングを始めるにあたって、どのような点から考え始めるべきでしょうか。

やってしまいがちな間違いが、「手法から考え始める」ということです。

心が揺さぶられるようなPRツールを作ろう。
SNSで就活生とたくさんコミュニケーションを取ろう。
体験入社が出来る機会を提供しよう。

上記はすべて「手法」の話です。もちろん、そういった手法を吟味するのも実践の過程では必要なことですが、伝える内容そのものが求職者の心に響かなければ、それらの手法も無駄な努力になってしまいます。すなわち何よりもまず始めに考えるべきは「中身」の部分、つまり自社の「魅力」を言語化することです。

採用ブランディングに「働きがい向上」が有効な理由

採用ブランディングにおいて伝えていく自社の魅力(コンセプト)は、すぐに思い浮かぶでしょうか?コンセプトづくりにおいては「他社との差別化」が大切です。ありきたりなコンセプトでは、自社のファンになってもらうことはできません。

「そうは言ってもうちは中小企業だから、無名だから、大企業相手に差別化なんて難しい。そうなると結局優秀人材は大企業に行ってしまうのでは」と感じられる方がいるかもしれません。しかし、それは不要な心配です。

大企業が有利になる点があるとすれば、それは給与や福利厚生といった条件面の話が多いのではないでしょうか。そうではなく、どんな企業にも平等に成功の機会がある採用ブランディングの戦略があります。それが、自社の「働きがい」を高めるということです。多様な規模・業種の企業が働きがいを高める活動に取り組んでいることは、GPTWが発表している「働きがいのある会社」ランキングを見てもお分かりいただけると思います。

そして、まさに働きがいのある会社づくりの取り組みそのものが、採用ブランディングにつながるのです。その理由を以下に述べます。

●「働きがいのある会社」づくりは価値観(バリュー)の浸透を通じて行われる

繰り返しにはなりますが、採用ブランディングは「ファンを作る」ことが目的です。したがって、魅力として押し出すコンセプトは価値観(バリュー)や経営理念に通ずるものであるべきでしょう。それらに良く共感してファンになってくれた人は、入社してからも自社を愛し、長く活躍してくれるはずです。

ただしその価値観(バリュー)は、従業員一人ひとりが日々の仕事で常に意識しているほど浸透しているものでなければ意味がありません。実は、働きがいのある会社づくりにおいても、価値観(バリュー)を明確にし、経営・管理者層がそれらを自ら体現し、社内に浸透させていくことは欠かせないのです。

具体的には、まず自社の価値観(バリュー)を従業員の心に残るようなかたちで改めて言語化し、そしてそれを採用だけでなく研修や合宿の場など、折に触れて従業員と共有することです。それを徹底することで自然と組織にはその価値観(バリュー)に共感する者が残り、同時に同じバリューに共感する者同士だからこその信頼関係が生まれ、組織全体の働きがい向上に繋がります。

●「働きがいのある会社」づくりは自社の推薦者を増やす

近年、従業員の職場に対する推薦度を測る「eNPS(Employee Net Promoter Score)」を経営指標の一つとして採用する企業が増えています。働きがいを向上させることはeNPSの向上に直結し、そして自社を推薦する従業員が増えることは採用ブランディングで「一貫性」を担保するために不可欠です。

今や、実際にそこで働いている人の声というのは、企業の採用ホームページやパンフレットよりも信頼される実情があります。自社の魅力として謳っている内容に反することを従業員が言っているような状況では、コンセプトが一貫しておらず、採用ブランディングの失敗に繋がります。

また、ここ数年、採用コストを押さえつつマッチ度の高い人材を採用できる手法として「リファラル採用」が注目されています。これもある意味、従業員自身が媒体となって自社の魅力(コンセプト)を伝える、採用ブランディングの手法の一つと言えるでしょう。しかしこのリファラル採用も、自社が友人におすすめしたいと思えるような職場であることが前提の話です。そういう意味でも、まず従業員に「働きがい」を感じてもらうことから採用ブランディングはスタートするといえます。

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「採用ブランディング」と「働きがい」が密接に関係することを、ご理解頂けたでしょうか。「働きがいのある会社づくり」は採用担当者だけではなく、経営者や人事全体が一丸となって取り組む必要があります。手軽なことではありませんが、採用ブランディングで本気で効果を出そうと考えるのであれば、遅かれ早かれ「働きがい」に目を向ける時がやってくるでしょう。是非これを機会に、働きがい向上を軸として採用ブランディングを進めることを検討されるのはいかがでしょうか。

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