海外の働きがいの高い企業がコロナ禍において従業員に対して行っていること
更新日 2020.09.102020.09.10コラム
新型コロナウィルス感染症の流行が世界中で始まり、多くのお客様がこの新型コロナウィルス感染症の流行下にさらされています。半年以上経ちますが、まだ収束は見えない状況となっています。そのような中でもリモートワークの推進、フレキシブルに働ける制度の強化など、様々な取り組みが進めることで、従業員の働きがいを維持し、さらに高めようと尽力されている企業が多くあります。GPTWは世界約60カ国以上で展開していることから、今回は米国本部や英国にて情報収集した、コロナ禍での従業員に対する取り組みについてご紹介します。「会社と従業員のつながり」「従業員の心身の健康維持」「人事制度の充実」の3つのテーマでお届けします。
会社(経営・管理者層)と従業員のつながりを維持・強化する
先が見えない状況であり、かつ、在宅勤務の機会の増加などにより従業員と会社との距離は希薄になりがちです。これまで以上に経営・管理者層と従業員のつながりを意識した取り組みは重要です。
● 経営陣が主催する毎週の全社ウェブミーティング(全社集会)の開催
ある企業では、グローバル展開する巨大企業でありながら、経営陣自ら毎週全社向けのウェブミーティング(全社集会)を実施し、今重要なことは何なのかを従業員と話し合い、質問に答えることを行っています。
● 日々の従業員の状態を把握するためのパルスサーベイの実施
ある企業では、通常行う意識調査に加え、健康面や現状を従業員がどう感じているかを問う新しいアンケートを頻繁に行い、次に何をすべきかを随時判断できる環境を整備しています。
従業員の心身の健康をサポートする
コロナ禍においては、慣れない在宅での勤務の増加、将来の自身の仕事への不安など、従業員は多くのストレスにさらされています。従業員のケアはこれまで以上に重要です。
● 従業員が「セルフケア」できるように支援する
ある企業では、定期的に従業員が「セルフケア」の時間をもてるよう支援しています。定期的に「セルフケア」の時間をとるよう促し、例えばヨガや瞑想に取り組めるようなコンテンツを提供しています。また、対面で行われていた上司と部下の1on1をバーチャル環境下でも維持し、従業員の変化に気を配っています。
● 従業員同士で、働き方や過ごし方を共有し合う
在宅勤務の機会が増えたり、家族と過ごす時間が増えるなど、以前より働き方に変化が生じているケースが多くあります。そのような状況をより前向きに過ごし、改善していくため、ある企業ではオンライン上で随時情報を交換できる場を設け、従業員同士で情報を交換しています。「どのように1日の仕事を組み立てているか」「家族との時間をどうすごしているか」など、仕事内容にかかわらず情報を交換し合い、お互いのヒントにしています。
人事施策や福利厚生の充実化を図る
コロナ禍で離れて働く従業員同士のコミュニケーションを支援したり、子供をもつ従業員への支援を追加するなど、これまでの制度や人事施策を強化するような取り組みが行われています。
● リモートワークの状況で活躍した社員の表彰制度
ある企業では、通常の表彰制度に加え、より頻度高く気軽に表彰をする機会として、新たにリモートワーク環境で活躍した従業員の表彰(リモートワークでありながら業績の高い営業社員の工夫ポイントや、業務効率化の提案・実現した例など)を毎週行っています。会社が従業員に感謝を示す機会になることに加え、離れていてもお互いの仕事を知る良い機会にもなります。
● 子供向けのバーチャルラーニング環境の提供
ある企業では、企業の保育所、デイケアセンターを設けていましたが、コロナ禍によって閉鎖することとなりました。その代わりとして、家で過ごす従業員の子供がオンラインで学べるバーチャルラーニング環境を提供しています。
● 子供をもつ従業員への金銭的な補助
ある企業では、仕事と家庭の両立に苦労をしている従業員を労うべく、毎月少額の補助が追加で支給されるようになりました。子供向けの教育や家族でのディナーなどに使用され、従業員がより充実した日々を送れるように支援しています。
(まとめ)コロナ禍をうまく乗り切るために、これらの企業が重要視していること
米国、英国での働きがいの高い企業の取り組みをご紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。
これらの企業が共通して大切にしている観点は、従業員との「信頼関係」です。このような状況であるため、まずは「従業員の心身の安全とスムーズに働ける環境づくり」を大切にし、メッセージを発信し、従業員の声に耳を傾けています。日々様々な変化があり、物理的に組織と従業員が離れることも多い状況では、信頼関係を壊さない、より向上させることがとても重要です。日本企業の経営層は、海外と比べるとメッセージを従業員に対して頻繁に、かつ直接語り掛けることが苦手な印象がありますが、働き方が大きく変わっている中、従業員とのコミュニケーションはこれまで以上に大切にしていただきたい点です。
そして、従業員との「信頼関係」をうまく保つためには「柔軟性」のあるコミュニケーションもポイントとなります。新型コロナウィルス感染症の流行状況も日々変化しており、経営陣も何を伝えるべきか、何をすべきか答えが得られないことも多いでしょう。しかし「何も言わない」、「何も伝えない」ことは最も避けるべきことです。無理にゴールや期限を約束する必要はなく、考えていることや真実を従業員に明らかにし、常に最新の情報が伝わるようにすることが重要です。
<参照>
How to Recognize Remote Employees During COVID-19
Real Stories of How Best Workplaces™ Are Supporting Parents During COVID-19
Coronavirus Advice From Our Blog
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