ミッション、ビジョン、バリューとは?違いや組織浸透について解説

更新日 2022.04.142022.04.08コラム

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GPTWジャパンが発表する働きがいのある認定企業は、卓越した企業文化(カルチャー)を持っています。その多くは長い時間をかけて、意図的に築き上げられてきました。この素晴らしいカルチャーを支えているのが、ミッション、ビジョン、バリューの存在です。ある研究によればこれらが明確化され組織に浸透している企業の方が、従業員の組織へのコミットメントが高く、経常利益が高いそうです。本コラムでは、ミッション、ビジョン、バリューとはなにか、違いや作り方について解説したいと思います。

ミッション、ビジョン、バリューとはなにか

ミッション、ビジョン、バリューは、経営理念と言われることもありますが、会社の考え方を社内外に示す重要なものです。それぞれどういうことを意味するのでしょうか。

ミッションとは

ミッションとは、企業が果たすべき“会社の使命”ということができます。ピーター・ドラッカーは、「リーダーが初めに行うべきは、自らの組織のミッションを考え抜き、定義することである」と述べています。最近、類似の概念として“パーパス”という言葉があります。企業の存在意義について“社会とのつながり”をより意識したものと区別されます。

ビジョンとは

ミッションを実現するために、将来に向かって“ありたい姿”を描いたものです。企業として実現したい未来像のことです。社会情勢などの外部環境変化により柔軟に変更していくことが大切です。

バリューとは

世の中に対して“約束すること”、“従業員に求められる行動指針、判断基準”を言葉にしたものです。ビジョンとは異なり、環境の変化などによって変えていくものではなく、基本的な価値観として大事にしていくものです。

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ミッション、ビジョン、バリューはなぜ重要なのか

ミッション、ビジョン、バリューとは、会社の基本的な考えや方針を言葉にしたものです。世の中に公開されていることが多く、顧客や株主など様々なステークホルダーに向けて掲げられています。 同時に従業員を束ねるための重要な役割を果たしています。ミッション、ビジョン、バリューを明文化することで自社の考えに共感した応募者を採用したり、組織の一体感を高めたりすることができるからです。

会社経営においては、ときに既知の情報や過去の経験で解決できない問題が起きます。経営者ばかりでなく、従業員も日常業務において経験したことのないトラブルに直面するときがあります。そうしたとき、「自分たちは何者か」「どう行動すべきなのか」、改めて立ち返るものがあることでよりよい解決策を考えることができるのです。いざというときに立ち返る行動や判断の基準とも言えます。

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ミッション、ビジョン、バリューをどう作り、組織に落とし込んでいくのか

会社のありたい姿や基本的な考え方はどのように作り、組織にとって有効なものに変えていくとよいのでしょうか。5つのステップをご紹介したいと思います。

1.現在の場所を確認し、ありたい姿を描く

伝統的な企業でもスタートアップでも、従業員の人数に関わらず、スタート地点は“今”です。ミッション、ビジョン、バリューについて考える前に、今の職場の状況についてアウトプットしてみましょう。現在の職場の特徴、他社と違いを生み出している自社らしさについて考えます。職場で暗黙的に合意されていること、何が機能していて、何が疎外要因(成功を阻止している)なのか、率直に意見を出してみます。そうした材料からありたい姿を描いてみましょう。例えば、経営・管理者層は従業員と語り合う機会をつくり、年齢、役職、勤続年数、仕事の内容に関わらず、多様な従業員の声に耳を傾けるとよいでしょう。合宿などオフィスを離れた環境でじっくり考えることをお勧めします。

2.正しい行動を明確にする

次に職場では、従業員にどのような経験をして欲しいのか、顧客からどのような評価を得たいのか、またどのような行動が許され、どのような行動が許されないのかを明確にします。働きがいのある認定企業では、従業員の声をもとに行動指針をまとめている企業があります。

3.リーダーのふるまいを考える

正しい行動を理解して率先して示していくのはリーダーの役割です。ミッション、ビジョン、バリューによってどのような企業目標を達成していくのか、行動で示し周囲への影響力を発揮します。例えば、“誠実さ”がバリューであるならば、誠実さをもって行動することの意味を伝えたり、“透明性”がバリューであるなら、透明性とはどのようなものかをメンバーに示したりします。GPTWの働きがいのある会社調査でもリーダーのふるまいについて問うている設問があります。

<GPTW質問項目例(表現に変更あり)>

信用:経営・管理者層の示すビジョンが明確

信用:経営・管理者層の言行が一致している

信用:経営層は会社の価値観を体現している

4.人事マネジメントに組み込み一貫して実践する

優れた企業では、ミッション、ビジョン、バリューの実践について複数のストーリーを持っています。それらは、人材マネジメントの重要な場面、例えば、採用、能力開発の機会、昇進の決定などに反映されています。会社では、何が評価され、注目され、称賛されるかについて明確にしており、その姿勢は一貫していることが大切です。

5.浸透施策を継続し、浸透度合いを確認する

組織の隅々まで浸透していくための施策を実行し、従業員の理解度を定期的に確認していくことが重要です。浸透しているかどうかを確認するのは、従業員に直接聞いてみるとよいでしょう。アンケートなどのツールも有効です。内容のアップデートも必要でしょう。特にビジョンは環境の変化に伴い短期的に変更していきます。

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ミッション、ビジョン、バリューの組織浸透3つのフェーズとは

一般的にミッション、ビジョン、バリューの浸透には、「認識する」→「納得・共感する」→「行動に反映する」と3つのフェーズがあると言われています。「認識する」とは、ミッション、ビジョン、バリューを覚えたり、象徴する事例を知っていたりするレベルを意味します。「納得・共感する」とは、自分の言葉で表現でき、自分なりの解釈を行うことができるレベルを意味します。最後の「行動に反映する」とは、実際に自らの職務において必要な際に適切な行動ができるレベルを意味します。

ミッション、ビジョン、バリューの組織浸透プロセス

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働きがい認定企業の浸透事例

では、働きがい認定企業では、従業員にどのような働きかけを行っているのか。3つの組織浸透フェーズに添って、実際の取り組みをご紹介します。

「認識する」フェーズ

バリューについての冊子配布:会社のアイデンティティとなるバリューの要素をすべてカバーした冊子を作成し全従業員へ配布しています。「守るべきことは何か」「自分たちの仕事とは何か」、従業員が深く思考できるきっかけづくりとしています。新しく入社する従業員にも配布しています。

ビジョン合宿:全社員をいくつかのグループに分けて1泊2日で合宿を行います。毎年発表される経営方針について中長期ビジョンと照らしながら各部門横断で、どう実現するか議論し合います。そのプロセスにおいて会社のミッションやバリューも改めて確認することもあります。テーマを決めて関連する読書やディスカッションなど複数の方法があります。

「納得・共感する」フェーズ

全従業員で学ぶ研修:従業員全員が集まり、ミッション、ビジョン、バリューについて話し合います。必要であれば内容を変えることもあります。異なる部門の従業員で構成された様々な立場のメンバーを巻き込んで議論したり、会社の未来を創る当事者として大切にしたいことを語ってもらったりします。従業員一人ひとりが自身の仕事の意義、他者の仕事の意義について深く思考します。

社長と従業員との語り合いの場:社員が経営陣の前で自分の仕事を通じてどのようにミッション、ビジョン、バリューを体現しているのか説明する大会を行っている企業があります。毎回テーマを変えてトップが講演を行い予め収集した従業員からの質問に直接回答してもらいます。従業員がミッション、ビジョン、バリューについて深く考える機会になっています。

「行動に反映する」フェーズ

表彰:社員総会の重要なコンテンツである社員表彰では様々な称賛をしています。称賛内容は、よい行動、よい功績、よい成果であり、全員の前で称えることを大事にしています。日頃からなにが望ましい行動なのか、会社の考え方について言語化し、表彰することにより共通認識を再確認できるものと考えています。仮に高い成果を上げていても、ミッション・ビジョン・バリューに照らして望ましくないふるまいがあった場合には、表彰対象にはなれません。

バリューに基づいた評価制度:会社で大事にしたいバリューとして、「均等な機会と貢献に基づき公平に」と明記され従業員に提供される報酬は公平分配を掲げています。こういった考えに基づき評価制度が設計されていて、会社との関係で従業員が公平感を感じられるようにさまざまな工夫がされています。

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組織の隅々まで浸透させる効果とは

ミッション、ビジョン、バリューの浸透は企業規模が大きくなるほど簡単ではありませんが、うまくいくと組織にポジティブな効果をもたらします。暗黙のうちに共有している行動規範があるので、従業員を規則で拘束したり、管理職が細かく管理したりする必要がなくなります。その結果、従業員は自主性を持って仕事に向き合うことができ、職務満足度やコミットメントが高くなるのです。

GPTW調査においても、働きがい認定企業ほど自律的に働く従業員が多いという結果が出ているのですが、そのために行っている施策を人事部に聞いたところ、最も多い回答は、「会社のミッション・ビジョン・バリューの共有と浸透」となりました。会社が大事にしたい価値観が共有できていると、すべてを上司や周囲に確認することなく、各人で判断や行動することができ、裁量を持って働くこともできるようになるのです。

関連資料:2022年版調査全体傾向レポート

働きがい認定企業・不認定企業別 従業員自律度

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従業員の自律度を高めることにつながっている施策

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ミッション、ビジョン、バリューに関するまとめ

働きがいのある会社とはどのような会社をイメージしますか。GPTWでは、全員が働きがいの高い状態であることを目指し以下のように定義しています。

「マネジメントと従業員との間に「信頼」があり、一人ひとりの能力が最大限に生かされている(For All)会社のこと。優れた価値観(バリュー)やリーダーシップがあり、イノベーションを通じて財務的な成長を果たすことができる。」(全員型「働きがいのある会社」モデル)(下図参照)。

定義にもあるように「バリュー」は、組織の働きがいを測定する重要な尺度の1つになっています。また「信頼」の尺度では、ビジョンや実現プロセスの明確さについても従業員の実感を測定しています。ミッション、ビジョン、バリューが組織にどのように活用されているのかを確認していくことは、組織の働きがいレベルを見る上で重要と考えています。

全員型「働きがいのある会社」モデル

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ミッション、ビジョン、バリューは存在しているがあまり役立ててはいない、あるいは、自社の従業員にどの程度理解されているのか疑問であるといった場合には、この機会にぜひその価値を見直してみてはいかがでしょうか。従業員の実感値をアンケートで測定してみることもお勧めします。

働きがい認定企業のミッション、ビジョン、バリューはこちらから

ミッション、ビジョン、バリューを見直すための従業員アンケート

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