働き方改革の目印に!注目の企業認定制度5選と取得メリット
更新日 2025.03.032025.02.28コラム

近年、企業の取り組みや実績を評価し、一定の基準を満たした企業を認定する「企業認定制度」が注目を集めています。これらの制度は、働き方改革の推進や多様な人材の活躍支援など、様々な観点から企業の取り組みを評価しています。
また、企業認定制度の多くは企業の社会的責任(CSR)を促進し、労働環境の改善や生産性の向上を図るとともに、企業のブランド価値向上や人材確保に大きな影響を与え、ひいては社会全体の持続的な発展に寄与することを目的としています。
特に、少子高齢化や労働力人口の減少が進む日本において、これらの認定制度は企業の競争力強化はもちろん、女性活躍等の社会課題解決に向けた重要な指標となっています。第三者 機関による認定を受けることで、企業は自社の取り組みを客観的に評価し、改善点を明確にすることができます。また、認定取得は求職者や顧客、従業員に対して企業の姿勢や価値観を効果的にアピールする手段ともなり、企業価値の向上にもつながります。
本記事では、特に注目される企業認定制度について、その特徴や取得メリットについて解説します。
企業認定制度とは
企業認定制度とは、一定の基準を満たした企業に対して国や地方自治体、民間団体等の第三者機関が認定を与える制度です。企業の優れた取り組みを評価し社会的に認知することで、企業のさらなる成長を促し、社会全体の発展につなげることを目的としています。認定を受けることで、企業は自らの取り組みを可視化し、外部からの信頼を高める効果が期待できます。
働き方改革と親和性の高い企業認定制度
企業を認定する制度は数多くありますが、今回は昨今の「働き方改革」に関連し、その重要性が高まっている企業認定制度を5つ紹介します。
女性活躍推進を示す「えるぼし認定・プラチナえるぼし認定」(厚生労働省)
「えるぼし認定」は、女性の活躍を推進する企業に対して与えられる認定制度です。この認定は、女性の登用や活躍を支援する環境を整えた企業を認定するものであり、企業の社会的責任やダイバーシティの重要性が高まる現代において、特に注目されています。
「えるぼし認定」には、①採用、②継続就業、③労働時間等の働き方、④管理職比率、⑤多様なキャリアコースという5つの評価項目があり、認定を得るためには、各項目に設けられた一定の要件を満たす必要があります。
また、「えるぼし認定」を受けた企業のうち、女性活躍推進に関する取組の実施状況が特に優良である企業は「プラチナえるぼし」として認定されます。
認定を取得することで、企業は優良企業としてのイメージを強化し、採用活動にも好影響を与えることができます。「えるぼし認定」を取得している企業は、その取り組みが社会から評価されているため、応募者に対して魅力的に映ります。
さらに、「えるぼし認定」の取得は、社内の女性活躍推進に向けた取り組みを可視化する手段ともなります。例えば、「えるぼし認定」を取得した企業は、社内での意識改革や制度改善を通じて、より一層の推進を図ることができます。これにより、優良企業の資質を持った企業として、社会的な信用を獲得し、更なる成長を促進することが期待されています。
▼「えるぼし認定・プラチナえるぼし認定」の詳細はこちらから
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091025.html
子育て支援の証「くるみん認定・プラチナくるみん認定」(厚生労働省)
「くるみん認定(くるみんマーク)」と「プラチナくるみん認定(プラチナくるみんマーク)」は、企業が子育て支援に積極的に取り組む姿勢を示す証です。これらの認定は、育児休業や短時間勤務制度、育児支援制度の充実といった施策を実施している優良企業を評価するものです。
「くるみん認定」は、仕事と育児の両立を促進するものであり、その取得を通じて企業は従業員のライフスタイルに配慮した働きやすい環境を整えることが求められます。また、その中でもさらに高い水準で取り組みを行っている企業には「プラチナくるみん認定」が与えられます。
「くるみん認定」により、従業員はより安心して子育てと仕事の両立を図ることができ、優良企業としてのイメージも強化されます。
「くるみん認定」を取得した企業は、優秀な人材の確保や従業員の定着率向上が期待でき、競争力を維持する上でも有利な状況を生み出します。
▼「くるみん認定・プラチナくるみん認定」の詳細はこちらから
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/kurumin/index.html
若者を大切にする中小企業の目印「ユースエール認定」(厚生労働省)
「ユースエール認定」は、若者の採用や育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業を評価・認定する制度です。この制度は、若者の雇用促進と中小企業の人材確保を支援することを目的としています。
「ユースエール認定」を受けるためには、具体的な基準を満たす必要があります。この基準には、若者の定着やワークライフバランスの確保などが含まれています。そのため、認定を受けた企業は、若者に対して良質な雇用環境を提供していることが証明されます。
さらに、「ユースエール認定」を受けた企業は、採用活動においても有利です。特に若者に対して「この企業は若者を大切にしている」との信頼感を与えることができ、優秀な人材を引き寄せやすくなります。これは、企業が求めるスキルや適性を持つ若者を集めるための強力な武器となります。
結果的に、「ユースエール認定」は企業のブランディングや競争力の向上にも寄与し、優良企業としての地位を確立する手助けとなります。この制度を活用することで、雇用の質を向上させ、企業と従業員双方にとって良好な関係を築くことが可能になります。
▼「ユースエール認定」の詳細はこちらから
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000100266.html
健康的に働ける職場「健康経営優良法人認定」(経済産業省)
「健康経営優良法人認定」は、企業が従業員の健康管理に取り組み、健康経営を推進することを目的とした認定制度です。この制度では、企業がどのように従業員の健康を支え、健康促進に取り組んでいるかを評価します。
評価基準としては、企業の健康経営に関する方針や現状、取り組み内容、そしてその成果がポイントとなります。
この制度を活用することで、企業は従業員の健康を重視する姿勢を示し、結果として企業全体の生産性向上や離職率の低下を図ることができます。また、認定により社会的な信頼を得られるほか、自治体や金融機関からさまざまなインセンティブを受けることもできます。
「健康経営優良法人認定」は、従業員の健康を守りながら企業の成長を実現していく上での効果的な指標として、今後その役割はますます大きくなると考えられます。
▼「健康経営優良法人認定」の詳細はこちらから
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenkoukeiei_yuryouhouzin.html
働きやすさとやりがいの両立「『働きがいのある会社』認定」(Great Place To Work(R))
「『働きがいのある会社』認定」は、企業を「職場の働きやすさ」と「従業員のやりがい」の2軸からなる「働きがい」で評価・認定する制度です。この認定は、労働環境の整備や従業員のやりがいを向上させる企業文化を醸成することを目的としています。
評価は従業員が回答する「働く人へのアンケート」と会社概要や企業文化について回答する「会社へのアンケート」の2種類のアンケートを用いて行われます。
この認定を取得した企業は、労働環境や人事制度等からなる「働きやすさ」があるのはもちろん、仕事への誇りやチームの連帯感など、従業員の「やりがい」も兼ね備えた企業であるといえます。
従業員の声を基に、第三者機関での評価・認定が得られる仕組みとなっているため、この認定を取得していることは、特に求職者にとっての安心材料となります。
▼「『働きがいのある会社』認定」の詳細はこちらから
https://hatarakigai.info/ranking_service/
【ホワイトペーパー】広報・ブランディングに使える!働きがい認定活用事例12選
この資料では、GPTWの「働きがい認定」を取得した企業がどのように働きがい認定を活用しているかを実際の例を用いて解説します。働きがい認定の取得を検討している方や、働きがい認定を取得したがうまく活用できていないという方は、ぜひ参考にしてみてください。
企業認定を取得するメリット
これまでに紹介した5つの企業認定制度は、それぞれ異なる側面から企業の取り組みを評価していますが、認定取得によるメリットには共通点も多くあります。ここでは、企業認定取得のメリットを3つの観点から詳しく解説します。
企業イメージと採用力の向上
企業認定を取得することで、企業のブランドイメージが大きく向上します。認定マークを使用することで、企業の社会的責任や従業員への配慮を可視化でき、顧客や取引先、投資家からの信頼を集めることができます。
特に採用活動において、認定取得は大きな効果を発揮します。働きやすい職場環境や従業員の健康に配慮する優良企業としてのイメージを醸成できるため、優秀な人材の確保において有利になります。
●期待できる具体的なメリット
1.企業ブランドの強化:
認定マークの使用により、企業の取り組みを視覚的にアピールできます。
2.求職者からの注目度向上:
就職情報サイトや説明会において認定企業であることを伝えることで、求職者の目に留まりやすくなります。
3.採用活動の効率化:
認定企業であることで企業の魅力を効果的に伝えることができ、採用活動の効率が向上します。
4.ステークホルダーからの評価向上:
顧客、取引先、投資家など、様々なステークホルダーからの評価が高まります。
5.メディア露出の増加:
認定取得をきっかけに、メディアに取り上げられる機会が増加する可能性があります。
これらのメリットは、企業の持続的な成長と発展に大きく寄与します。特に人材獲得競争が激しい現代において、企業認定取得は重要な差別化要素となり得ます。
従業員満足度と生産性の向上
認定取得のプロセスを通じて、企業は従業員の健康や働きやすさ、やりがいを重視した施策を導入することになります。これにより、従業員の健康状態やモチベーションが向上することが期待でき、長期的な定着もにもつながることが考えられます。
働きやすい環境が整備されることで、従業員の満足度が向上し、結果として企業全体の生産性向上にも寄与するでしょう。
●期待できる具体的なメリット
1.従業員の健康増進:
労働環境の見直しにより、従業員の健康状態が改善されます。
2.ワークライフバランスの向上:
従業員のワークライフバランスが改善されます。
3.従業員の定着率向上:
従業員のエンゲージメントが高まり、定着率が向上します。
4.組織の活性化:
多様な人材が活躍できる環境が整備されることで組織全体が活性化します。
5.イノベーションの促進:
従業員の満足度向上により、主体性・創造性が高まりイノベーションが促進されます。
これらのメリットは、企業の長期的な競争力強化につながります。従業員満足度の向上は、単に従業員のためだけでなく、企業の持続的な成長にとっても重要な要素となります。
経済的インセンティブと事業機会の拡大
認定制度の中には、経済的なメリットが付与されるものもあります。例えば、「健康経営優良法人認定」では、認定されることで補助金申請時に加点等の優遇措置が受けられたり、融資で優遇利率が適用されたりするしくみがあります。
また、「ユースエール認定」では、認定企業限定の就職面接会への参加や、ハローワークでの重点的PRなど、採用活動に対するサポートも得られます。
さらに、認定取得により企業の信頼性が向上することで、新たな取引先の開拓や事業機会の拡大にもつながる可能性があります。
●期待できる具体的なメリット
1.公共調達における優遇:
一部の認定制度では、公共調達において加点評価を受けることができます。
2.助成金や補助金の優遇:
一部の認定制度では、関連する助成金や補助金の優遇措置が受けられます。
3.低利融資の利用:
一部の認定制度では、日本政策金融公庫から低利融資を受けることができます。
4.新規取引先の開拓:
認定企業としての信頼性向上により、新規取引先の開拓がしやすくなります。
【ホワイトペーパー】若手が活躍する職場とは ~「働きがいのある会社」ランキング上位企業に学ぶ~
この資料では、若手ランキング企業の特徴を通じて、組織で若手がイキイキと活躍するためのポイントを解説し、「働きがいのある会社」ランキング上位に選出された企業の実際の取り組み事例を紹介します。
企業認定制度のまとめ
企業認定制度は、企業の社会的責任や従業員への取り組みを評価し、認定する重要な仕組みです。これらの認定を取得することで、企業は、ブランドイメージの向上、優秀な人材の確保、従業員のモチベーション向上、公共調達における優遇、経営改善の機会など、多岐にわたるメリットが期待できます。また同時に、認定取得のプロセスを通じて組織の課題を発見し、改善する機会を得ることができます。
企業の社会的責任や人的資本開示への関心が高まる中、これらの認定制度は一層注目されることでしょう。企業は各種認定を対外的なアピールツールとして活用するのはもちろん、企業価値向上のための指針として活用することが重要です。