ポストコロナ時代を生き抜くカギは理念・ビジョンの再認識

2020.08.04

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国内における新型コロナウイルスの感染拡大が日に日に深刻さを増していた2020年4月1日、世界約60カ国で「働きがい」に関する調査・分析を行う専門機関、Great Place to Work(R) Institute Japan(以下、GPTWジャパン)の代表に荒川陽子氏が就任した。毎年「働きがいのある会社ランキング」を発表する同社は、経済情勢やビジネスマンの働き方、ライフスタイルが大きく変化したこの局面をどのように捉えているのか。ポストコロナにおけるGPTWジャパンの役割について、荒川氏に聞いた。

※本コンテンツはBRAND PRESSの記事(https://www.brand-press.net/gptw-arakawa、2020年6月29日公開)を許可を得て転載したものです。無断転載を禁じます。

ビフォーコロナに比べて“働きやすさ”が進展

北米、欧州、そして日本が未曾有の事態に見舞われていた2020年4月1日にGPTWジャパンの代表に就任した荒川陽子氏は、「時代の転換期を肌で感じている」と話す。

「以前から経営者としての準備は進めていたので、個人的な心境の変化はあまりありませんが、この数カ月で世界は一変しました。この状況下でどのようにお客様に価値を届け、業績を上げていくかという舵取りの難しさを実感しています。その一方で、GPTWジャパンのメンバーはもちろん、『働きがいのある会社』に認定されたベストカンパニーの皆様とともに、新しい仕事のあり方を発信する機会に恵まれたと、前向きに捉えています」

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Great Place to Work(R) Institute Japan 代表
(働きがいのある会社研究所 代表取締役社長)
荒川陽子

多くの企業がリモートワークやオンライン会議を導入したため、大人数が1つの空間で働くというこれまでの“職場”の概念は大きく変化し、政府が主導していた働き方改革の一環である “ 働き方の多様化 ” が大きく進展した。その結果、「仕事のやりがいへの重要度がますます高まっている」と荒川氏は分析する。

「“働きがい”は、働きやすさとやりがいの2つの要素で構成されます。働きやすさの環境整備は、新型コロナウイルスをきっかけに一気に進みました。これからは、もう1つの要素である従業員のやりがいに目を向けなければなりません」

時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方が広がり、従業員がみずから自己実現やキャリアを主体的に選択していく社会になりつつある。そのため組織には、いかにして従業員にやりがいを感じてもらうかが課題になるというのだ。

荒川氏は、「GPTWジャパンは、働きやすさとやりがいを両立している企業の事例を研究し、広く情報発信する役割を担っていかなければなりません」と語る。

働きがいの新たなスタンダードを構築へ

荒川氏は、就任してまず最初に、GPTWジャパンがお客様に提供する価値について改めて見つめ直し、価値創造につながる2つのテーマを設定したという。

「1つは“変化に対応する”こと。新型コロナウイルスが猛威を振るう中で、わたしたち自身が変化に対応し、“働きがいの新たなスタンダード”を発信しなければなりません。現在はメンバー全員で議論して、GPTWジャパンが提供する価値をアップデートしている最中です。もう1つは“ヘルシーに働く”こと。全員がリモートワークになっても、一人ひとりが心身ともにヘルシーに働ける組織づくりを目指しています。

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同社では、4月8日からすべての従業員をリモートワークに切り替え、緊急事態宣言の解除後は、出社する人数を日次で管理し、全従業員の50%以下になるように調整している。その結果、平均70%程度がリモートワークを行っている状態だという。

「リモートワーク中は、会社に出社しているときよりもメンバーとこまめにコミュニケーションをとるように心がけています。チャットツールを活用して会話をしたり、オンライン会議では顔を見せあいながら会話をしたりと、離れているからこそ意識的に向き合うようにしています。また、在宅でも効率的に仕事をこなすための“段取り講座”を開催し、業務効率化のためのナレッジをメンバーとともに共有しあっています」

なかには、朝6時から業務を開始して15時に終業し、自由な時間を楽しむ在宅ならではの働き方をしているメンバーもいるという。リモートワークをきっかけに、メンバーみずからが働きやすさを追求する“自主性”が育まれているようだ。

「もともと、当社では一定の職責以上のメンバーにはリモートワークを導入していましたが、今回は派遣社員も含むすべてのメンバーに一斉にリモートワークを拡大しました。最初の1週間は心配もありましたが、実際には非常にスムーズに実施できました。ベストカンパニー各社も、当社と同じく以前からリモートワークを導入していた企業が多いため、全社規模の導入においても大きな混乱はなかったと聞いています。むしろ、従業員とその家族のウイルス感染予防につながることから、働きがいを高める結果になったという実例もあります」

従業員の働きがいに目を向けている企業には、社会の変化に柔軟に対応できる力が備わっているようだ。

しかし、残念ながら新型コロナウイルスの影響で事業をリストラクチャリングせざるを得ない企業もあることは事実だ。荒川氏は、そうした企業に対して、「自社のビジョンや理念に立ち返ってほしい」とアドバイスを送る。

「業績が厳しくなると、事業構造を再構築しなければならない場面が出てきます。会社を存続させるために苦渋の決断を下すわけですが、組織全体でビジョンや価値観が共有できていないと、従業員はトップの判断が理解できません。その結果、組織を離れるメンバーも残るメンバーも、心が離れてしまいます。大変なときこそ、トップと従業員が理念やビジョンについて語り合う場を設けることが必要です」

「組織の強さは価値観の共有にある」と荒川氏。ポストコロナの世界を生き抜くには、組織全体で原点に立ち返ることがカギになりそうだ。

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