脳の健康の識者による講演「シニア人材の活躍に重要な脳と体の健康の取り組み」

更新日 2022.10.252022.10.25オピニオン

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Great Place to Work® Institute Japan(GPTWジャパン)は、「働きがい認定企業」(2020年7月~2021年9月調査実施)の中から、特にシニア(管理職を除く55歳以上)の働きがいに優れた企業を各企業規模部門別に選出しました。シニアランキングは今回が初めての発表となります。
シニアに対してケアが必要な、「脳の健康」の識者として、株式会社脳活性総合研究所の太田 芳徳様にご講演いただきました。

※本記事は2022年版日本における「働きがいのある会社」シニアランキングオンライン発表会の抄録です。

シニアの活躍には「脳機能の維持」が欠かせない

私たち株式会社脳活性総合研究所は、脳の健康チェックができる「脳活性度定期検査(脳検)」というツールを開発・提供している会社です。脳検により、記憶問題や論理問題に回答することで、自分の脳の働き具合が、健常で年相応であるかどうか確かめられます。都立産業技術大学院大学の佐藤特任教授とともに開発を進めてきました。現在は、個人と企業に脳検を提供しています。

opinion_221025_01.png今回はシニアの活躍支援というテーマで、お話をする機会をいただきました。現在、多くの企業で雇用延長が始まっており、シニア人材をもっと活用していこうという動きがあります。シニア人材は、高いスキルや経験値を活かすことができますが、一方で、根本にある体力や健康が問題になってきます。

若手の人材マネジメントにおいては、スキルや知識をどう高めるか、いかに経験値をつけるかというところに重きが置かれていると思いますが、シニアの人材マネジメントにおいては、健康、こと「脳の働き具合」に注目することが重要だと考えます。目に見えない「脳の衰え」が、年相応に妥当なのか、また毎年維持できているかチェックしたいということで、我々のサービスを活用いただくケースも増えてきました。

認知症の前兆をキャッチすることは難しい

opinion_221025_02.pngシニアの活躍支援で重要なのは「フェアな機会をどう提供していくのか」という問題と、「体と頭のケア」を同時にしていくことだと考えています。少し科学的な話をしますと、アメリカのアルツハイマー協会などの研究によれば、40歳以降年齢とともに脳の働き「認知機能」は低下していきます。これが急激に低下してゆくと、認知症や軽度認知障害になってしまいます。

残念ながら医療機関でおこなっている検査では、認知症やその手前の軽度認知障害になってしまった場合の判定はできますが、その手前の健常時の急激な機能低下をキャッチすることはできません。また医療機関の検査で、認知症や軽度認知障害と判断された場合は手遅れで、現代の医学では完治することができません。「健常児の認知機能の急激な低下」を健常に捉え対策を講じる、ここに我々が脳検を提供する理由があります。認知症の病理は25年前から始まると言われます。75歳で発症するとしたら50歳から。70歳で発症するとしたら45歳から認知機能の急低下が始まります。認知症になってしまったら間に合いません。このことを従業員のみなさまにも知っていただきたいと考えています。

40代、50代からは体と頭の健康管理を

日本では「脳トレ」が流行っておりますが、脳を訓練するようなものが、認知機能の維持向上に効果があるという医学的なエビデンスはまだ残念ながらありません。エビデンスのある有効な対策は、有酸素運動です。こちらもあまり知られていないでしょう。「認知症の兆候を診る」ようにうたっている医療機関での検査もありますが、実際にはその兆候を捉えることは、現代の医学ではまだ難しく、また医学的なエビデンスもありません。

例えば、脳ドックで認知症の検査ができるようにうたうところもありますが、そもそも脳ドックでの脳MRIは動脈瘤の有無を診る検査です。認知症になると脳が縮むから、それを診ている、といいますが、縮んでいるときにはもう認知症になってしまっています。その状態では脳ドックを自身の受けにいくことすらそもそもできなくなってしまっているのです。

現状、脳検のみがその兆候を捉えられる検査であり、40代、50代から脳検を受検し、健康管理のきっかけをつくっていただきたいと考えています。

40代、50代、シニアのみなさんの経験は素晴らしいものがあり、さまざまな見識もあると思います。これを十分に今後も発揮していくためにも、脳の健康チェックを定期的に検査を行うことが大事だと思います。我々がご提供する受検結果レポートを各社の人事でも健康管理や意識醸成に活用していただいております。

繰り返しになりますが、シニア世代にはフェアな機会をつくることと同時に、ケアをしていく必要があると考えます。企業としてどこまでやるかという問題はありますが、脳の健康に関する知識の提供や、考えるきっかけづくりが大事だと考えています。

株式会社脳活性総合研究所 代表取締役 太田 芳徳様 プロフィール

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名古屋大学工学部卒。2019年2月よりクレディセゾングループの株式会社脳活性総合研究所代表取締役に就任。

株式会社脳活性総合研究所

脳の認知機能が年齢相応なのかをチェックする検査「脳活性度定期検査(脳検)」を提供。
脳の状態を早期から把握し、個々の状態にあった対処をすることで、認知症を防ぎ、ひとりでも多くの人の脳を健康な状態に保ち、豊かで健康な生活を送ることのできる社会の実現を目指す。

本内容は2022年9月時点の情報です。

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