GPTW「働きがいのある会社」交流会レポート
更新日 2026.04.282026.04.22レポート
「すべての人にとって“働きがい”を感じられる会社を増やしたい」――そんなビジョンを掲げるGreat Place To Work® Institute Japan(GPTW Japan)が、このたびオンラインで「働きがいのある会社」調査企業を対象にした交流会イベントを開催しました!
GPTW調査に参加する企業同士が互いの組織改善の取り組みを共有し、スコアアップに向けたヒントを得ることを目的とし、今回はゲスト企業としてDXCテクノロジー・ジャパン様に登壇いただきました。
このレポートでは、当日のゲスト企業の講演内容に加え、交流の様子をお伝えします!
※本レポートは、2026年3月時点での情報です。
DXCテクノロジー・ジャパンに学ぶ、5年連続認定・スコア11ポイントアップの軌跡
DXCテクノロジー・ジャパンとはどんな会社か
DXCテクノロジー・ジャパン様は、グローバルで約11万5,000人の従業員を擁し、70カ国以上で事業を展開する創業60年以上のITサービス企業です。日本法人は2017年4月、ヒューレット・パッカード エンタープライズのエンタープライズサービス部門とCSCが合併して誕生。現在、従業員数は約1,300名で、東京・京橋と大阪・堂島にオフィスを構えています。
同社は、5年連続でGPTW認定を取得しており、かつ5年間で総合スコアを11ポイント向上させた実績を持っています。今回、人事統括本部HRBPの久保めぐみ氏、および有志のタスクフォースチームメンバーである岩田躍子氏と村田竜二氏の3名に登壇いただき、これまでの歩みを実体験に基づいて語っていただきました。
5年間の歩み――失敗から学んだマインドチェンジ
DXCテクノロジー・ジャパンには、これまで複数の企業が合併・統合を重ねてきた歴史から、組織内には多様なカルチャーやバックグラウンドが混在しています。
物を持たないITサービス企業にとって、人こそが資産。一人ひとりが輝くことがお客様へのサービス品質向上に直結し、それが会社のビジネス成長にもつながる。だからこそ、「働きがいをどう高めるか」は経営課題そのものだと考えています。
参照:働きがい認定でタレントドリブン経営を加速! DXCテクノロジー・ジャパンの事例

第1フェーズ:「とりあえずやってみよう」から始まった
2021年、DXCテクノロジー・ジャパンがGPTW調査に参加した動機は、実は戦略的なものではありませんでした。 当時は認定を絶対に取りたいという強い思いがあったわけではなく、費用的にも大きな負担ではなかったので、試してみようという軽い気持ちで始めました。 しかし初年度で認定を取得すると、社外からの反響が想定以上に大きく、社内のエンゲージメント向上にもつながることを実感し、2年目からは改善活動に力を入れ始めました。
第2フェーズ:担当者退職による「仕切り直し」と失敗の連続
転機となったのは2023年。活動を主導していた担当者が退職し、2022年入社の私が急遽引き継ぐことになりました。ここから、試行錯誤の歩みが始まりました。具体的にいくつかの失敗をご紹介します。
失敗①:深堀りをしない表面的な施策では、改善しない
当時、すべての設問の中で最もスコアが低かった設問は「この会社は、地域や社会に貢献していると思う」でした。そこで、新卒社員含む60名以上を動員して、オフィス周辺のゴミ拾いを実施しましたが、結果は全く改善しませんでした。 自社にとって『地域・社会への貢献活動』とは何か?」を深堀りすることなく、ゴミ拾いと安易に定義して実行するだけでは、本質的な実感の変化には繋がらなかったのです。
失敗②:管理職を集めるだけでは何も動かない
次に管理職層を巻き込み、スコア改善のためのアイデア出しミーティングを開催しました。「ベストプラクティス発表会をやろう」「ビジネスコンテストをしたらいい」など、良いアイデアが次々と出まして、これはいけると思いました。しかし、「誰がやるのか」というオーナーシップが明確にならず、結局どれも実行されませんでした。 管理職に強制的に参加をしてもらうにしても、当事者意識を持ってもらわなければ、何も進まないと学びました。
失敗③:事務局目線で周知をしても、響かない
さらに各設問への取り組みが実際に行われている実感を持ってもらおうと、会社のさまざまな取り組みをニュースレターとして配信も行いました。事務局が文面を毎週作成し、12週連続で配信を行い、かなりパワーをかけました。各レターの取り組み内容は、GPTW調査の設問に合わせるように工夫し、各設問に対して「こうした取り組みをやっている」ことを認識してもらうことがねらいでした。しかし、なかなかスコア改善にまではつながらず、パワーをかかる割には効果が薄かったと感じています。 事務局目線で、「分かってほしい」という想いで周知に働きかけても、受け手に同じ温度感で響くには、レターだけでは不十分でした。それを、心から実感する体験が必要だったのではないかと感じます。
この年もなんとか認定は取得できましたが、これらの失敗を通じて「このままではいけない」と強く感じました。
本質的な変革へ――3つのマインドチェンジ
ここから抜本的に取り組み方を変革しました。
① 「スコア改善」ではなく「自社にとっての働きがいの定義」
全ての設問スコアを底上げしようとするのではなく、「DXCにとって本当に重要な働きがいとは何か」を定義することから始めました。具体的には、経営層とプラスアルファのメンバーで、働きがいを構成する要素を洗い出し、優先順位をアンケート形式でスコアリング。「重要度」と「現状スコアの達成度」の2軸で4象限に整理し、本当に注力すべき領域を絞り込みました。

さらに、DXCらしさを表す「6つのカルチャー」を言語化しました。これは外部から押し付けられた価値観ではなく、「すでに社内に存在しているものを言葉にした」もの。例えば「ちょうど良い温度感」という言葉は、社員同士の議論から生まれました。
カルチャーは耕してこそだと思います。作って終わりではなく、丁寧に育て続けることが大切です。

② 人事主導から「社員有志のタスクフォースチーム」主導へ
「やらされ感からは何も生まれない」という反省から、社員の手上げ制でタスクフォースチームを結成。部門・役職・経験年数を問わず、「会社をよくしたい」「自分自身の成長につなげたい」という思いを持つ社員が自発的に参加する仕組みを作りました。
重要なのは、チーム結成の前に、社員同士がカジュアルに「会社の好きなところ・変えたいところ」を話し合う機会を設けた点です。
チームメンバーの岩田氏「唐突に人事から声がかかるのではなく、ステップを踏んで手を挙げやすい土壌が作られました」
③ 都合の悪いデータも含めた「徹底した透明性」
良い結果だけを発信するのではなく、スコアが低い項目や課題も全社ミーティング(タウンホール)でオープンに共有されました。健康診断のように定点観測し、結果を包み隠さず伝えることで、社員が自分ごととして捉えられるようになったと思います。
タスクフォースの実践――現場メンバーが語る「本音」
2024年チーム:岩田躍子氏(デジタルワークプレイス部門)の場合
私がタスクフォースチームへの参加を決めた理由は、「会社をよくしたい気持ち」と「個人的な成長機会」の両方からでした。
2024年チームが設定したゴールは、数値目標ではなく「参加メンバーが『良くなったね』と感じること」。数値目標があると義務感が生まれる。本当にやりたいものだからこそ、みんなが自分ごととして動けたと思います。活動時間は月2〜3時間程度で、本業との両立を柔軟に運営しました。
主な取り組みとして、社長主催の全社四半期ミーティング(タウンホール)に「部門紹介」を設け、各部門マネージャーが3分でプレゼンしてもらいました。事後アンケートでは「会社のことをよく知れた」「普段関わらない方が身近になった」という声が寄せられました。

2025年チーム:村田竜二氏(データ & AI部門)の場合
自分は、「面白そう」という軽い気持ちで参加しました。スコアが継続して低かった「誇り」という項目に着目し、分析を深めると、「他の部署が何をしているか全く分からない」という声が多数上がりました。
そこで月1回、テーマを決めて社員向けに発信する「ブースター」という取り組みを実施しました。グローバルのレコグニション(感謝・称賛)プラットフォームの使い方を紹介したところ、利用が広がりました。また、福利厚生制度を改めて社内で共有する場も設けました。
普段の業務と全く違う角度で頭を使うのでリフレッシュになりましたし、1年後にスコアが実際に改善したという目に見えるフィードバックがあったことが、やってよかったという実感につながったと思います。
まとめ:5年間で見えてきた改善の本質
1.「重要なギャップ」を特定する:全項目を改善しようとするのではなく、自社にとって重要なギャップは何かに焦点する
2.自社にとっての「働きがい」を定義する:自社ならではのアイデンティティに翻訳する
3.ボトムアップで動かす:人事主導・管理職主導ではなく、社員有志の手上げチームに委ねる。やらされ感なく、自分ごととして動ける土壌を丁寧に作る
4.都合の悪いデータも含めて透明に共有する:経営が長期視点でコミットメントを示し続ける
データと対話を繰り返す地道なサイクルが、最強のエンゲージメント。働きがいの向上は、日々の積み重ね。会社自体の成長も、挑戦と成長の旅だと思います。スコアを上げることは手段であり、目的は『社員一人ひとりが輝ける組織をつくること』。その本質を見失わないことが、継続的な改善の源泉だと思います。
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DXCテクノロジー・ジャパン様が会社全体で行ってきた学びの多い講演に対し、参加者からも大きな反響と質問が寄せられました。その質問に対しても、実例を交えながら回答がされました。
グループ別セッション――各組織での学びや悩み、知恵の交換

その後は、グループごとに分かれての交流セッションの時間が持たれました。
講演内容を受けて自社でも活かしたいことや、今の組織現状を踏まえた悩みが赤裸々に分かち合われ、有意義な交流時間となりました。業種や業態が異なったとしても、人・組織に関する普遍的な課題がどの組織にもあることを痛感した時間となりました。
あっという間に交流時間は過ぎ、グループごとでどのような議論がなされたか、全体共有も行われました。
あとがき
当日はオンライン開催ながら、皆さまカメラをONにして前のめりに質疑応答や自社の課題等についても語ってくださいました。
参加者の皆様からのアンケートでは、93%を超える高い満足度をいただき、「単なる成功事例ではなく、失敗体験談が濃密。自社の学びになった」「企業間での交流は貴重な機会。もっと交流をしたい」といった嬉しい感想をいただいております。
GPTWジャパンとしては、もっとこうした交流機会を積極的に行っていきたいと考えており、今後も様々な企画を検討しております。ぜひお楽しみにお待ちください!
※認定企業やプログラムの詳細はGPTW Japan公式サイト からぜひご覧ください。

