徹底的な「若手の働きがい」へのコミットが、競争力の源泉になる

2021.08.16

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2021年版 日本における「働きがいのある会社」若手ランキング新しいタブまたはウィンドウで開きますの発表の場で、同ランキング中規模部門1 位の株式会社コンカー三村社長とGPTWジャパン代表荒川が対談しました。株式会社コンカーは2018年から4年連続でGPTW中規模部門1位、若手部門2年連続で1位、女性部門2021年1位の企業です。コロナ禍で仕事に対する若手の価値観の変化が加速する中、どのような取り組みをしているのかご紹介します。

※本記事は2021年7月6日に開催した『2021年版 日本における「働きがいのある会社」若手ランキング』記者発表の場で行われた対談の抄録です。

1on1は何を話すかより、何を聞くかが重要

talk_210816_01.jpg荒川 対談に先立ち、御社の紹介をお願いします。

三村 コンカーは米国に本社を置く外資系企業です。経費精算、請求書処理、出張業務といった間接業務のクラウドサービスを提供しています。10年前に日本市場に参入し、当初から私が社長を務めております。現在、社員数は317名です。

弊社サービスの導入企業は大手が多く、時価総額トップ100の日本企業のうち、首位のトヨタ様をはじめとして、54社の企業様にご利用いただいています。日本のトップ企業の半数以上がコンカーを使って間接業務の改革を進めている状況です。

GPTWの調査でも非常に高い評価をいただいています。「働きがいこそが最大の経営戦略」と信じて突き進んだ結果です。

荒川 ここからは当社が最近実施した、一般社員・経営者1,039名を対象としたアンケート調査新しいタブまたはウィンドウで開きますをもとにお話したいと思います。その中で「コロナ禍において従業員から経営者への信頼を左右したのは、『従業員への尊重』である」という事が見えてきたのですが、三村さんの実感としてはいかがですか。

三村 経営者への信頼と従業員の尊重は密接な関係だと思います。特に社員の声に耳を傾ける「傾聴」が信頼の原点です。最近は1on1に取り組む企業が増えており、よく経営者の方に「1on1で何を話したらいいんですか?」と聞かれますが、何を話すかというよりは、社員の声に耳を傾けることが大切です。

社員がどんな夢を持って、どんな悩みがあって…ということをよく聞くこと。そこに働きがいを高めるヒントがあると思います。

荒川 なるほど。まず第一に「傾聴」が大事であるということですね。

積極的な情報開示と権限委譲が社員の自立性を高める

三村 傾聴に加えて、社員を信頼しているからこそ積極的に情報を開示し、権限委譲をしています。経営情報も徹底的に社員に知らせています。私どもの株主は海外の本社なので、本社に経営情報の報告を行っていますが、それと同じかさらに詳細な情報を共有しています。

ビジョンの実現に向けてどんな戦略を打ち立てており、実現に向けてどんな課題、どんな制約条件があるのかをしっかりと社員に伝える。これは社員への信頼の一つの証です。経営情報を開示すればするほど、会社に対する信頼感とロイヤリティが高まることを、肌で感じています。

荒川 開示をすると社員のみなさんはどんな反応をされますか。

三村 「こんな情報まで開示してくれるのか」という感じですね。例えば、会社のキャッシュポジションまで社員に開示しています。極めてセンシティブな情報に関してのみ、慎重にコントロールして共有するようにしていますね。

また、経営情報の開示と「権限移譲」が両輪であることが重要です。権限委譲をすると社員が自律的に動き出します。ビジョンの実現に向けて、あれこれ細かい作業指示をしなくても、社員同士で協力する。会社の経営レベルを上げること、ひいては競争力を上げることにつながっています。

荒川 情報開示と権限委譲で、社員が自律的に動き出すというのは素晴らしいですね。

管理職と若手のコミュニケーションの接点を積極的に増やす

talk_210816_03.jpg荒川 続いてのテーマですが、「コミュニケーションや連帯感の減少が帰属意識低下につながる」というデータがあります。コロナ禍のテレワークで各社苦労されていると思いますが、御社ではどのような工夫をされていますか。

三村 去年コロナ禍に、在宅勤務へシフトしました。その初日に、全社員を招集して、Zoomでのオンライン会議をしています。「在宅勤務になっても、いつも通りの仕事を目指そう」と約束しました。

コミュニケーション頻度が下がっても、古株の社員は「“絆”の貯金」があるので心配していなかったのですが、入社1年未満の社員が全体の3割近くいる時期でしたので、「新しい社員をみんなで守ろう」と伝えました。

それから毎週木曜日の朝の30分、コロナ禍の状況の見解や会社としての解釈を私が話すことに。次第に会議の内容がカジュアルにシフトし、社員をゲストとして招くようになり、『笑っていいとも!』(フジテレビ系列)のテレホンショッキングのように、毎回新しい人にスポットライトが当てられる…という内容に変わっていきました。これを我々は「絆ミーティング」と呼んでいます。

コミュニケーションの改善案は他にもありまして、代表的なものに「タコランチ」があります。これは「他部門の管理職とランチをとる制度」で、ランチの費用を会社が補助します。他部門の管理職とのコミュニケーションということで「タコランチ」という呼び名になりました。

最近はコロナ禍でランチができないことから、「タコティー」と称して、さらに気軽に、さまざまな部門の管理職と気軽にお茶を飲みながらオンラインで話す機会をつくっています。他部門の管理職との接点を制度としてつくることによって、上司との関係性の悩みや、キャリア相談など、直属の上司と話しにくいことを話せるようにするのが狙いです。

さらに新たな試みとして「タコ巡り」をつくりました。私を含めた管理職の予定を60分押さえ、20分ずつの3セッションで、大勢の新入社員と話す仕組みです。新入社員も60分の間に3人の管理職と話すことができ、意気投合したら次回は悩みの相談をしてもらうなど、対話の機会を積極的につくっています。

荒川 「“絆”の貯金」という言葉もありましたが、新入社員は絆貯金がありませんから、そのくらい手厚いフォローがあったほうがいいのかもしれませんね。

三村 メンター制度も「タメ制度」というものをつくりまして、1人の新入社員に対して複数のメンターをつけています。例えば、営業なら一人は営業の先輩、もう一人はサポート部門の先輩をつけたりしているんです。仕事と直結しない面での相談相手になってもらうなど、コミュニケーションのチャンネルを増やす工夫をしていますね。

荒川 ありがとうございます。どれも連帯感を高める素晴らしい仕組みですね。

徹底的に人にコミットし、ポテンシャルを引き出すことが競争力に直結する

talk_210816_02.jpg荒川 では次のテーマに移りたいと思います。御社のように組織活性化の取り組みをしている企業の実に72.2%が自社の業績に好影響を与えているとアンケートに回答しています。どうして働きがいにコミットすると、好業績につながるのでしょうか。三村さんはどうお考えですか。

三村 経営資源は「ヒト・モノ・カネ」と言われていますが、当社の場合は「モノ」である製品の開発を本社で行っていますし、「カネ」となる資金も本社から融通できますので、徹底的にコミットすべきは「ヒト」です。社員のポテンシャルを引き出すことが競争力に直結するという仮説を立てて、10年前から取り組んできました。それが右肩上がりの成長につながっています。

外資系IT企業の日本の事業比率は3%から5%、多いところで10%くらいですが、当社は20%を超えています。これはまさに「ヒト」にコミットした経営の賜物です。

荒川 まさに御社の業績が物語っているというわけですね。それではいよいよ最後のテーマです。人材育成やキャリアサポートにも経営者の関心が集まっています。ぜひ御社の取り組みを聞かせていただければと。

三村 トレーニングへの投資額もコロナ禍以前よりも増額しておりますし、さまざまな取り組みをしています。その中でも、当社の特徴としては、管理職への内部昇格率100%であることです。外資系企業では社外からマネージャーがくることが非常に多いですから、珍しいのではないかと思います。

また「インターナルジョブポスティング」という社内公募制度を積極的にやっています。これまでの社員の退職理由を見ると、「自分の成長カーブが鈍化したから、次の職場で自分を伸ばしたい」というものが目立ちました。しかしながら、次の成長の場を社外に求める必要はありません。「会社を辞めるぐらいだったら、別の職種でさらに成長してください」という狙いですね。

少し話が戻りますが、リモートワークの影響についてもご紹介していいですか。

荒川 ぜひお願いします。

「元・出社原理主義者」がリモートワークを称賛する理由

三村 リモートワークを開始して3カ月後に社内アンケートを実施しました。その結果、「生産性が下がった」と回答した社員が35%でした。その1年後のアンケートでは、「生産性が下がった」と回答した社員は7%で、63%の社員が「生産性が上がった」と回答しました。

実は、私はもともと「出社原理主義者」だったんですね。当初リモートワークに対して懐疑的でした。しかしながら今はリモートワークの効果をまざまざと感じています。

リモートワークによって生活の質の変化も見られました。「家族との会話が増えた」が69%、「趣味の時間が増えた」が59%、あとは男性の「家事・育児の時間が増えた」が72%でした。素晴らしいのが「家事・育児の時間が減った」と回答する女性が増えたことです。このようにさまざまなプラス作用がありますのでリモートワークを多くの企業に勧めたいですし、啓発する機会があれば積極的に発信していきたいと思っています。

荒川 素晴らしい成果ですね。御社の話にもありましたように、ただリモートワークをしているだけではなく、「タコランチ」や「タコティー」など、連帯感や働きがいを高める仕組みと組み合わせることによって、より望ましい成果が得られるのではないかと思いました。三村さん、本日はどうもありがとうございました!

株式会社コンカー 代表取締役社長 三村 真宗 氏

2011年10月より株式会社コンカー代表取締役社長。1993年、慶應義塾大学法学部卒業。同年、日本法人の創業メンバーとしてSAPジャパン株式会社に入社。以後13年間に渡り、ビジネス・インテリジェンス事業本部長、社長室長、CRM 事業本部長、製品マーケティング本部長、戦略製品事業バイスプレジデント等を歴任。2006年、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社し、金融、通信、ハイテク企業等の戦略プロジェクトに従事し、IT戦略・ITビジョンの策定、ソフトウェア事業のBPR等を担当。2009年、ベタープレイス・ジャパン株式会社 シニア・バイスプレジデント。2011 年10月から現職。

Great Place to Work® Institute Japan 代表 荒川 陽子

2003年HRR株式会社(現 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ)入社。営業職として中小~大手企業までを幅広く担当。顧客企業が抱える人・組織課題に対するソリューション提案を担う。2012年から管理職として営業組織をマネジメントしつつ、2015年には同社の組織行動研究所を兼務し、女性活躍推進テーマの研究を行う。2020年より現職。

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