2023年版「働きがいのある会社」ランキングベスト100 記者発表会
<企業講演>
大規模部門 マネーフォワードグループ
株式会社マネ―フォワード 石原千亜希 様
更新日 2024.10.252023.03.10
2023年版「働きがいのある会社」ランキングベスト100 記者発表会
<企業講演>
大規模部門 マネーフォワードグループ
株式会社マネ―フォワード 石原千亜希 様
Great Place to Work® Institute Japan(GPTWジャパン)は、2023年2月9日に、2023年版「働きがいのある会社」ランキングベスト100 記者発表会・表彰式を開催しました。記者発表会では、初参加にして大規模部門で10位を獲得したマネーフォワードグループの取り組み事例を、株式会社マネーフォワード People Forward本部 本部長 石原千亜希様にご講演いただきました。
<記事のポイント>
✓「働きがいのある会社」調査を活用し「外部の視点」「他社との比較」から課題抽出
✓「行動指針」を改訂し、よりフィットするミッション・ビジョンに進化
✓カルチャーについて従業員全員で深く考え、染み込ませる
※本記事は2023年版「働きがいのある会社」ランキングベスト100 記者発表会・表彰式の抄録です。
※同日に開催された石原様とGPTWジャパン 荒川のトークセッションの様子はこちら:メガベンチャーが取り組む、カルチャー浸透と人的資本開示(マネーフォワード 石原 千亜希 氏×GPTWジャパン 荒川 陽子)
マネーフォワードは2012年に創業し、今年11年目になります。提供しているサービスは、個人向けのマネーフォワードMEにはじまり、法人向け、そして金融機関向けへと広げてきました。かなりの短期間でたくさんのサービスを展開してきたところが、当社の大きな特徴の一つであると思います。現在は、売上としては法人向けサービスの割合が大きくなっており、バックオフィス向けのクラウドサービスが主軸となっています。
私が入社した2016年は、200名に足りないくらいの組織規模でした。そこから急激に増え、現在は2000名近い状況です。売上規模も上場したタイミングで30億円程度でしたが、2022年に200億円を超えました。過去5年間で平均150%程度の成長を実現しており、国内でも珍しい成長率なのかなと考えています。
今回、「働きがいのある会社」調査に参加した理由は、グループとして企業ブランディングの向上をしていきたいことがひとつです。特に採用面での効果を期待しています。もう一つが、人的資本経営への関心の高まりです。自分の会社のどこが強みで、どこが弱みなのか、把握することが大事だと思います。
弊社は高頻度でサーベイを実施していますが、外部のサーベイであったり、「働きがいのある会社」調査に参加することによって、自分たちでは気づくことができなかった視点であったり、他社との比較ができたりすることで、課題の特定や強みの確認ができると考えています。
また、これまで人事が人事施策について語ることをやってきませんでした。ここ1、2年では、社内外への発信を強化しています。今回の調査も、せっかくエントリーするからにはぜひランクインをしたいと考えていました。
続いて働きがいのある会社をつくるために、どのような施策をしているかをご紹介します。マネーフォワードには、会社が好きな社員が多いです。具体的にどんなところが好きなのか聞いたところ、「成長スピードの速さ」「大企業とベンチャーのいいところどり」「とにかく優しくて良い人が多い」などの声が集まりました。我々が大切にしているカルチャーや、バリューに関する言葉が散りばめられているように感じました。
私は人事として、採用面接に出たり、登壇させていただいたりする中で、外部の方からお話を聞く機会があるのですが、「マネーフォワードはカルチャーが浸透していますよね」であるとか「明るくて優しい人が多いですね」などと言っていただくことがあります。
新入社員に向けて、「入社後にサプライズはありましたか?」と聞くとサプライズはなく「思った以上に優しくて暖かくて、いい会社です」のように言ってくれます。
ただ昔から今のようなカルチャーだったかというと、そうではありません。2016年に私が入社する直前まで、当社のミッション・ビジョン・バリューの前身である「行動指針」というものがありました。これは今と同じ言葉で語られていたわけではありません。また、これは多くの企業様にも当てはまることだと思いますが、「項目が多いので覚えられない状態」になっていました。
さらに、ワーディングの面でも、強めの言葉が使われており、社風と合っていない状態でした。創業時は必死なので、その時代には合っていたのかもしれません。しかし、社員が100名を超えてくるなかで、マッチしなくなってきたのかなと思います。
その結果どうなったかというと、当社はチームワークを大事にしており、採用のひとつの基準にもなっているのですが、採用すべき判断基準がぶれてしまい、スキル重視の採用につながってしまったことも。その結果、組織がギクシャクしてしまった経験があります。
そこから、ミッションは「お金を前へ。人生をもっと前へ。」に変わりました。人生を進めていただくために、さまざまなサービスを生み出していくという想いが込められています。
ビジョンは「すべての人の、『お金のプラットフォーム』になる。」です。これは個人だけではなく、法人も含めてビジネスがシフトしていったことにもリンクしています。加えて、当社ではバリューとカルチャーというものを掲げています。バリューとは、社会に対してコミットするもの。カルチャーとは会社の中で大切にする価値観という位置付けです。
当初の行動指針とは内容もワーディングも変わりましたが、それだけで何かが変わるわけではありません。カルチャー浸透のための取り組みも展開しています。
たとえば半期総会では、運営メンバーがカルチャーのエバンジェリストになってもらう目的で、みんな同じ服を着てもらい、カルチャーやバリューの浸透を図りました。また四半期に一度「Culture Hero」を選出し、選出された人がナレッジをシェアしています。これにより、マネーフォワードで賞賛される行動を理解し、実践しやすくなるというわけです。
バリューやカルチャーという言葉は、抽象度が高く理解にブレが生じやすいです。「これってどういうことなんだろう?」という部分を深く考えるためのワークショップもしています。
続いて、人的資本に関する考え方をご紹介します。2020年にESGの重要項目として「Talent Forward」というものを位置付けました。具体的にどんなことをしているのか、直近の取り組みを紹介しますと、2022年に発表した「育休産休ガイドブック」というものがあります。「育休産休の制度がどうなっているのか」「実際に取得した人がどういうやり取りをしたのか」など、すごくリアルな声が入っています。人事施策の作り手の想いを込め、施策の背景やストーリーを社内外に伝えることなど、カルチャーを浸透させる地道な取り組みが大切なのだと実感しているところです。