若手の働きがいを高めるために特に大切なことは?
更新日 2021.08.052021.08.05コラム
先日、GPTWジャパンは2021年版 日本における「働きがいのある会社」若手ランキングを発表いたしました。若手に着目したランキングを発表している理由は、少子高齢化によって優秀な人材の確保・定着は多くの企業で課題となっていること、そのような中で若手の価値観も多様化していることから、彼らが働きがいをもって働ける環境づくりのための情報発信をしていきたいと考えるからです。本日は、若手の従業員が会社に求めることは何か、若手の働きがいが高い会社の特徴、そしてベストカンパニー(働きがいのある会社)ではどのような工夫をしているかについてご紹介します。
若手が会社に求めることは?
以前、若手従業員が職場を選ぶうえで重視することは何かについてアンケートを取った結果、「給与待遇が良いこと(33.5%)」「福利厚生が充実していること(27.0%)」に次いで、「女性が働きやすい環境であること(17.5%)」「働きがいを感じられること(17.0%)」「公正な会社であること(14.5%)」「尊敬できる上司、先輩がいること(12.5%)」「仕事内容に誇りが持てること(11.0%)」などが挙げられました。(参照:https://hatarakigai.info/library/opinion/20180408_123.html)
今回若手ランキングを作成するにあたって、若手のスコアが高い企業とそうでない企業で比べた際も、ランキングに入る企業の若手ほど、仕事に行くことが楽しみで、仕事の割り当てに満足し、経営・管理者層への信用が高いことがわかりました。
報酬や待遇面についてはできる限り対応するとして、若手の働きがいを高めるには、「信用できる経営・管理者層」、「若手や女性といった、年齢や性別に関わらず公正に扱われる職場」、「仕事に対する誇り」が鍵になると言えるでしょう。
「信用できる経営・管理者層」
1点目は、経営・管理者層が信用できると感じられることです。何をもって信用できるかについては様々な観点がありますが、例えば経営・管理者層が会社のビジョンや大切にする価値観を率先垂範できているか、メッセージの発信や言動が信頼できるものか、ついていきたいと思えるリーダーシップがあるか、仕事の割り当てや人員配置に従業員が満足できているかなどが該当します。
昨今は、モノやサービスがあふれる世の中となり、特に若手層は、経済的価値よりも社会的価値を重視する人が増えています。経営層は、何のためにそのビジネスをするのか、どのような考え・価値観を大切にするのか、どのような従業員が求められているのか、そういった考えをこれまで以上に明確にして発信していくとともに、言行一致の姿勢を見せていくことが重要です。
ベストカンパニーでは、そのような会社の考えをできる限り具体化し、採用時に伝える工夫をしている企業が増えています。また、従業員に対しても頻繁にメッセージの発信をし、従業員側からもフィードバックを受け対話を重ねるなど、経営側と従業員の信頼関係を構築するための努力が行われています。
「年齢や性別に関わらず公正に扱われる職場」
2点目は、若手や女性など、どのような立場であっても公正に活躍の場が与えられていることです。近年は、女性や若手だからといってあからさまに差別するような企業はほとんどないとは思いますが、実態として、年齢や性別に関係なく活躍できているかで見るとまだ課題があるというケースも多いでしょう。
昨今は変化の激しい世の中であるため、年功序列のような日本型雇用の中でゆっくり成長・出世すればよいという考えの人は減ってきています。自身が成長できる環境かどうかを重視する人が増えており、言い換えれば、若くても様々な経験を積めるか、チャレンジをさせてもらえるか、成果を出せば評価されるかといったことが重要になってきています。
ベストカンパニーでは、若手従業員であっても、経営会議などの重要な会議に参加できる機会を提供したり、経験の長短に関係なく新規事業などにチャレンジする機会を提供したり、成果を出せば重要なポジションにも就かせるなど、年齢や性別などに関わらず公正な扱いをすることを徹底していることが多くみられます。
「仕事に対する誇り」
3点目は、仕事に対して誇りを持てるかどうかです。誇りには、会社の事業に対する誇り、自身の仕事に対する誇り、周囲の仲間の仕事ぶりに対する誇りなど様々な種類があります。一般的に若手(特に20代)は会社や組織に対する貢献実感が低く、その影響で「仕事に対する誇り」を高めきれない傾向があります。
しかしながら、前述のとおり、社会的価値を重視する人が増えているので、事業そのものに誇りを感じられるかどうかはとても重要です。経営層・管理者層は、事業がどのように社会的価値を持つかを考える必要があり、それが見えにくい場合でも、いかに社会や顧客に貢献しているかを積極的にアピールする必要があります。
また、そのような価値のある事業に個人の仕事がどうつながっているのかを示すことも重要です。ベストカンパニーでは、顧客の喜びの声を積極的に従業員に伝えたり、従業員個人の成果や特別な努力に感謝を示したり、称賛し合う場を設けるなど、工夫がされています。
特に若手の貢献実感を高める取り組みとしては、若手で職務経験が浅いことを逆に生かせるような機会を設けることが行われています。例えば、通常は若手がベテランから指導やメンタリングを受けるケースが多いですが、逆にITツールや最近の流行など若手のほうが詳しいことをベテラン層向けにプレゼンして新しい事業開発に役立てるといった取り組みが行われています。その他、1on1などの場で、期待する役割を具体的に伝え、達成できたら言葉にして認めることや、まだ出せる成果としては小さくても、小さな努力や成果を見つけ出し言葉にして褒めるといったことも重要です。
効力感のある仕事をし、それが上司や同僚からも称賛を受けることで、仕事に対する誇りが高まります。会社に自身が活躍できる場所があると感じられれば、仕事に行くことが楽しみだとも感じられ、最終的に働きがいを実感することにつながります。
【まとめ】自社らしい働きがいを言語化し、優秀な若手に「選ばれる、選ばれ続ける」会社になる必要がある
1つの会社に定年まで勤めるというケースは減り、どんどん人材が流動化する世の中になっています。若手は、自身にとって最適な環境はどこかを常に模索するでしょう。優秀な学生を採用できたとしても、長期にわたって活躍が期待できるかはわかりません。従業員が成長できる場を提供し、個人の価値を高める支援を行い、従業員もまた会社の考えに賛同して力を発揮したいと思える、そのような関係になれることが理想です。
会社側も、優秀な若手に選ばれるための取り組みが必要不可欠です。前述の3点は私共が考える重要なポイントではありますが、それを踏まえて自社らしい働きがいとは何か、特にどのような点が強みになるのか、強化していく予定なのかを言語化し発信していくことが重要です。そのためには、自社の強みや課題を改めて考えた上で、特に取り組むべきポイントを検討してみることを推奨します。