やりがいは働きやすさより"高めにくい"という誤解

2021.10.12

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コロナ禍で実施されたGPTW調査の最新結果は前年より上昇傾向にあり、特に労働環境やワークライフバランスといった働きやすい環境についての評価が改善されました。多くの企業でテレワーク導入などが一気に進んだことが背景にあるでしょう。一方で、こうした企業努力が従業員のやりがいにつながっているのか、成果は見えにくいという声もあります。“働きやすさは整えやすいが、やりがいとなると難しい”、こうした一般的な見方について今回は考えてみたいと思います。

働きやすさは高めやすい?

GPTWでは、企業が従業員の働きがいを高めていくには、働きやすさ(労働環境・休暇のとりやすさ等)とやりがい(仕事に対するモチベーション、会社への誇り等)の両方を意識して高めていくことを推奨していますが、働きやすさの方がやりがいより高めやすいと感じられているようです。

理由の一つとして施策の着手容易性があるでしょう。労働時間の削減、休暇取得推進など、やるべきことがある程度定型化していて、会社や人事部がトップダウンで進めていけることもあります。

実施後の効果が見えやすいということもあります。実際、過去3年間の調査結果をみると、働き方改革の影響もあり、働きやすさの指標は年々上昇しています。各企業による会社設備・施設の改善、制度改革といった具体的なアクションが従業員の高評価を反映しているといえます。

やりがいはなぜ“やっかい”と思われるのか 

なぜ従業員のやりがい向上には難しさを感じてしまうのでしょうか。一つにはどんな施策を行ったらよいのかすぐにイメージがしにくい、効果を出すにも一定の時間がかかるのではという懸念がありそうです。

実際、働きやすさを高める施策がどの会社もある程度共通であることに対し、やりがいについては他社のやり方を真似してもうまくいかないことが多いのです。自社の従業員がどんなことにワクワクするのか、なにが得られたらモチベーションが高まるのか、会社で働く目的や想いは従業員一人ひとり異なるだろうからやりようがない、他社の事例を参考にしても自社に合う優先課題が決められないという声もよく聞きます。

「ばりばり職場」に見るヒント

そこで、働きやすさはまだ十分に整っていないものの、やりがいはとても高い「ばりばり職場」(下参考図)について少し触れたいと思います。一般的にやりがいを高めていくことは難しいとされているにも関わらず、これらの会社は“働きやすさよりも、やりがいが高い状態になっている”のです。一体なにが違うのでしょうか。

※“働きやすさ”と“やりがい”を2軸にとり、それぞれの高低から職場を以下の4つのタイプに分けています。詳細はこちら

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社長のカリスマ性、製品・サービスの先進性や社会的な価値、ブランド力等、会社独自の持つ優位性が可能性として考えられます。ただ、そういった職場に共通している特徴として、カルチャーが明確で組織のすみずみまで浸透しているということが挙げられます。カルチャーとは、経営理念・事業戦略を実現するための企業文化とも言い換えられます。

カルチャー浸透とやりがいを高めることはどうつながっているのでしょうか。

例えば、ある会社では、世の中に新しいサービスを創出する事業を成功させるために、“オープンでチャレンジできるカルチャー”を意識的に醸成しています。そのために、組織構造をできるだけフラットにする、社内のあらゆる情報を共有する、仲間との交流を支援し職場全体の風通しをよくする、失敗についての社内批判をなくす、等といった取り組みを積極的に推進しています。

日常的にカルチャーが組織の土台に根づいていると、職場にはそれに共感した人が集まり、定着していきます。多くの従業員は自分にとって理想的な環境下で働くことができているので、やりたいことに安心して没頭します。まさによいカルチャーが従業員のやりがいを実現していくのです。

カルチャーはどのように浸透できるのか

カルチャー浸透のための施策は、小さなことから始めればよく、多額の資金が必要とは限りません。例えば前述の“オープンなカルチャー”のために、みんなで毎週1回会議を行う、情報はわかりやすいところに掲示するなどといった取り組みが挙げられます。比較的すぐに実践することができますが、トライアンドエラーを繰り返すことが大切で、うまくいかなければ再度新しい方法を試してみるという柔軟な姿勢が成功につながります。

職場改善のアイデアは従業員の方がいろいろ持っていることも多く、取り組みに参加してもらうことで職場ぐるみの活動とすることも方法の一つです。より多くの人がカルチャーの醸成に関わることで、やりがいアップの好循環サイクルはますます加速化できるのです。

まとめ

多くの場合、やりがいを高めていくことは“やっかい”ととらえられてしまいがちですが、こうして考えてみると、手立てがあることが感じられるのではないでしょうか。ただ、先に紹介した「ばりばり職場」はやりがいは高いものの働きやすさが十分でないという点で今後の課題が残ります。背景として人員・資金不足による環境の未整備などが考えられるでしょう。

従業員が健康で継続的に働く環境をつくる点では働きやすさも整えていくことが大切です。ぜひ、やりがいも働きやすさも両方高い職場づくりを目指していただきたいです。

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