リファラル採用制度とは?導入メリットや手順・成功させるポイントなど詳しく解説

更新日 2024.08.282024.08.26コラム

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リファラル採用とは、自社の従業員から知人・友人を紹介してもらう採用手法を指します。
リファラル採用は求人広告や転職エージェントの利用を必要としないことから、採用コストを抑えられます。また自社のカルチャーにマッチする人材と出会える可能性が期待できるでしょう。ただし、リファラル採用を成功させるには、現場の従業員の協力が不可欠です。

この記事では、リファラル採用のメリットや注意点、運用をスムーズに行うための取り組み事例などについて紹介します。

リファラル採用とは

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リファラル採用は自社の従業員から知人・友人などを紹介してもらう採用手法です。少子高齢化による生産年齢人口の減少によって、業種や職種を問わず人手不足が叫ばれる中、リファラル採用は優秀な人材を採用する手法として多くの企業で取り入れられています。

まずは、リファラル採用の意味や特徴、目的などについて解説します。

リファラル採用の意味 

リファラル(referral)とは、「照会」「委託」「推薦」を表す単語です。リファラル採用は採用手法の一つであり、自社の従業員から知人や友人を紹介してもらい、採用につなげる一連の活動を指します。従業員だけではなく社外の取引先など、日頃から関係の深い信頼できる人から紹介してもらうケースもあります。

リファラル採用の特徴・他の採用手法との違い

リファラル採用は、一般的に費用対効果が高い採用手法と考えられています。その理由は、求人媒体や転職エージェントの利用料がかからないことです。媒体に求人広告を載せる必要も、転職エージェントに手数料を払う必要もありません。「すでに自社とかかわりのある人」を媒体にする点がリファラル採用の大きな特徴です。

リファラル採用では、紹介する側が自社についてすでに知っている状態です。「この仕事であれば〇〇さんが向いている」「うちの社風に〇〇さんが合いそう」というように、事業内容やミッション、組織風土を理解した上で候補者を紹介してくれます。

また、紹介される側の企業にとっては、候補者のスキルや人柄について紹介者を通じて知ることができるというのも大きな魅力です。もちろん、候補者も応募する企業について知人・友人を通じて生の声を聴くことができます。リファラル採用は企業側と候補者側のマッチング精度が高い採用手法といえるでしょう。

リファラル採用と縁故採用の違い

 リファラル採用と縁故採用との大きな違いは、採用への確約度合いです。縁故採用とは、主に役員や従業員が身内や親戚、知人などを紹介する採用手法をいいます。知り合いを紹介するという関係性を利用する点ではリファラル採用と同じですが、縁故採用の場合は自社の採用基準に達していなくても採用するケースが少なくありません。特に社内の有力者からの紹介であれば、候補者の経験やスキルに限らず採用されるという、ネガティブなイメージもあります。

リファラル採用による紹介はあくまでも窓口の一つです。紹介されたあとは、通常の面接ルートを経て採用が決定します。採用基準に満たない場合は不採用になるケースも少なくありません。候補者自身が面接を経て辞退することも考えられるでしょう。リファラル採用では、企業側・紹介者・候補者が対等な関係であるため、従業員もカジュアルに知人や友人を紹介できます。

リファラル採用が注目されている理由・背景

リファラル採用は、もともと欧米で取り入れられていた採用手法です。日本で注目されている背景には、労働人口減少による採用競争の激化、求職者側の意識の変化が関係しています。これまで、就職活動では給与や雇用条件が就職先を決める大きな要因でした。

しかし、近年は働くことで得られる経験や、働きがいを重視する傾向が強まっています。当社が行った調査によれば、求職者の75%が転職活動や就職活動について働きがいを重視しています。

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※出典:企業認定制度|働きがいのある会社研究所(Great Place to Work® Institute Japan

働きがいは働きやすさとやりがいの両方がかね備わった組織で得られるものです。働きやすさについては、育休の取得率や柔軟な勤務制度など、目に見える形で多くの情報が発信されているため、候補者も一般的な転職活動で理解を深められます。一方、やりがいは目に見えにくいものです。この目に見えにくい体験をリファラル採用では候補者が紹介者からの声を通じて知ることができます。

リファラル採用は、仕事でのやりがいや経験についてより深く知り、そして働く先を決めたいという求職者のニーズに合致する採用手法といえます。

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企業がリファラル採用制度を導入する5つのメリット

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企業がリファラル採用を導入する主なメリットは以下の通りです。

  • 自社にマッチする人材を採用できる
  • 採用活動にかかるコストやプロセスを削減できる
  • 転職潜在層の採用につながる
  • 即戦力の採用につながる
  • 従業員のエンゲージメント向上につなげられる

それぞれについて以下に解説します。

自社にマッチする人材を採用できる

企業がリファラル採用を導入するメリットの一つは、自社にマッチする人材を採用できる点です。現場で働く従業員からの紹介のため、自社が求めるスキルや人物像とマッチする人材を採用できる可能性が高くなります。候補者は自社の従業員から仕事内容や社内の雰囲気などの情報を得ており、入社前後のギャップが少ないというのがミスマッチを減らせる理由といえます。

採用活動にかかるコストやプロセスを削減できる

リファラル採用では求人広告を出す必要がありません。転職エージェントも使用しないため、採用コストを大幅に削減できます。転職エージェント経由の採用の場合、採用が成功した際に成功報酬が発生します。多くの転職エージェントでは、年収の30%程度の手数料がかかる見込みです。こうした採用コストと比較した場合、初動で固定費用が発生しないリファラル採用は採用コストの低い手法といえます。

また、セミナーのような説明会を行う必要もなく、ケースによっては面接回数を減らし、採用プロセスを短縮した上で雇用につなげられます。リファラル採用は、採用担当者の負担軽減にも効果がある採用手法です。

転職潜在層の採用につながる

リファラル採用は、転職潜在層にアプローチできる可能性があります。求人媒体や転職エージェントを利用した採用活動では「現在転職活動をしている人」や「転職を考えている人」といった顕在層にしかアプローチできません。

リファラル採用の場合、転職活動を行っていない層にもアプローチが可能です。例えば「あの人からの紹介なら話を聞いてみよう」と普段は転職市場に出てこない人材と出会うことができます。採用活動でアプローチできる層を広げるのに役立つ採用手法といえるでしょう。

即戦力の採用につながる

リファラル採用では、現場で働く従業員と似たような属性を持つ人や、似たようなバックグラウンドを持つ人材にアプローチできる可能性が高まります。紹介者である従業員が働き盛りの中堅社員の場合、候補者が同じような職歴・経歴を経ていることは珍しくありません。「マネジメントができる人材が欲しい」「専門知識を持った人が欲しい」と、自社の採用要件や価値観にマッチする人材に出会う可能性が高くなります。

すでに経験やスキルがある人材を採用した場合、未経験者の採用と比べ育成コストを抑えることが可能です。

従業員のエンゲージメント向上につなげられる

リファラル採用では候補者と紹介者は知り合いであるため、採用活動や入社後の印象について率直な意見を聞けることが多いです。入社後のオンボーディング研修や、採用活動のプロセスについて改善点を取り入れ、より良い職場づくりにつなげられます。

企業の成長にはミッションやビジョンに共感する人材が欠かせません。リファラル採用を導入する過程において、現場で働く従業員に自社のミッションやビジョン、求める人物像を共有することができるため、従業員のエンゲージメント向上も期待できます。

また、知人や友人に紹介するということは、自社について愛着や誇りがなければできないでしょう。その点、リファラル採用で入社した従業員は「この人からの紹介であれば信頼できる職場だ」と、はじめから愛着を持っている傾向があります。すでに社内に自分と関係のある人物がいれば入社後のフォローという効果が期待でき、早期離職を防ぐことにもつながります。

企業がリファラル制度を導入する5つのデメリット

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リファラル採用を導入する上で企業が注意しなければならないこともあります。以下に5つのデメリットについて解説します。

  • 採用から入社までに時間が必要となる
  • 人材配置や人間関係に対する配慮が必要になる
  • 情報の可視化が難しい
  • 採用活動によって従業員に負担がかかる
  • 採用する人材に偏りが出てしまうことがある

採用から入社までに時間が必要となる

前述したようにリファラル採用では、候補者が転職潜在層であるケースが考えられます。現職と折り合いをつけ、都合のよいタイミングで自社に入社を希望した場合、採用決定から入社までに時間がかかることもあるでしょう。

また、リファラル採用を導入してもすぐに欲しい人材に出会えるとは限りません。自社の採用条件や求める人物像を現場の従業員に共有する時間も必要です。現場の従業員にとっても普段の業務が忙しければ、知り合いを紹介する余裕がないということもあるでしょう。リファラル採用の運用には、現場の従業員の協力が不可欠です。組織の成長のために、リファラル採用が重要であるという意識を醸成させる時間が求められます。定期的にリファラル採用を行っている旨を社内に周知し、欲しい人材に出会えるのを待つという姿勢が重要です。

人材配置や人間関係に対する配慮が必要になる

リファラル採用では候補者と紹介者の人間関係を配慮しながら採用活動を行うことが重要です。例えば紹介者が候補者に自社の良い点ばかりをアピールし、候補者の質問に率直に応えないまま採用してしまった場合、入社後「聞いていた話と違う」といったトラブルになる可能性があります。

また、せっかく紹介してもらった候補者と企業側が真摯に向き合わずに不採用とし、候補者の不興を買うケースもゼロではありません。候補者の企業に対する心象が悪くなれば、紹介者自身の職場に対するエンゲージメントが低下する恐れがあります。

さらに、入社前と入社後のギャップが大きい場合、リファラル採用で入社した従業員が、紹介者である従業員に不信感を抱くケースも考えられるでしょう。何らかの理由で紹介者が退職した場合においても紹介された従業員のモチベーションのケアを考える必要があります。

リファラル採用の場合、紹介されたからといって必ずしも採用されるわけではないため、その旨を現場の従業員に事前に伝えておくことも重要です。紹介後、どのようなプロセスを経るのかを明確にしましょう。万が一、紹介した人物が不採用になってもトラブルになるのを防げます。

情報の可視化が難しい

リファラル採用をスムーズに運用する際は、いかに情報を可視化するかがポイントです。通常の求人媒体や転職エージェントを活用する採用においては、人材を紹介された時点で企業は候補者の履歴書を確認できます。

ところが、リファラル採用では「こんな人がいるのですが」と口頭ベースでの紹介になることが少なくありません。口頭ベースでの情報共有は、さまざまな面で温度差を生むことにつながります。企業が思っていたスキルにマッチしていない候補者は「とりあえず話を聞く」程度の温度感で来ているなど、時間をかけても採用に至らないこともあります。

紹介後のプロセスが不明確な場合、紹介者は推薦したつもりでも人事部に届いていないなどリファラル採用が機能しないケースが考えられます。リファラル採用の運用を上手く機能させるには、紹介者と採用担当者間の情報共有が必要です。

リファラル採用を運用する際は、紹介の時点で企業が求める情報を明確にしておくことや、紹介者とヒアリングの場を設けるなど、紹介の時点でのプロセスを確立しておくことが求められます。

採用活動によって従業員に負担がかかる

リファラル採用は従業員が紹介者となる採用活動です。したがって知人や友人に自社を案内する時間や手間が発生します。場合によっては面接に同席してもらうこともあるかもしれません。従業員にとって意味づけがない場合、リファラル採用への参加が負担で終わってしまう危険性があります。

リファラル採用をスムーズに行うには、従業員自身が採用活動に参加するというモチベーションを持ってもらうことが重要です。リファラル採用が組織にとってどのような位置づけを持つのかを全社的に周知しましょう。人事部や経営幹部からメッセージを発信したり、実際にリファラル採用で入社した人の声を届けたりするなどの情報発信を積極的に行います。

また、リファラル採用を行う目的を共有すると同時に、通常業務を考慮し過度な採用活動は避けるとよいでしょう。リファラル採用を周知するタイミングは、繁忙期は避けるといった配慮が重要です。

採用する人材に偏りが出てしまうことがある

リファラル採用のメリットは、既存の従業員と共通する価値観を持った人や、社風に合う人を採用できる点です。しかし、リファラル採用に頼ってばかりいると人材が同質化してしまう可能性が考えられます。同質化を避けるためには、まずは採用する人材要件を明確にすることが重要です。また、リファラル採用だけではなく、採用ターゲットに合わせて求人媒体や転職エージェントなど他の採用手法と組み合わせることも検討してください。

そしてリファラル採用を行いながら「組織の多様性は保たれているのか」「自社が目指すべき組織の在り方はなにか」を常に言語化するように心がけることが大切です。企業としては多様なタイプの人材をバランスよく採用しつつ、自社の価値観の明確化を組織全体に浸透させていくことが重要となります。

リファラル採用の検討がおすすめな企業の特徴

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では、実際にリファラル採用が適している企業はどのような企業でしょうか。多くの企業にとってリファラル採用を行ってみる価値はあるでしょう。その中でも特にリファラル採用の導入をおすすめする企業の特徴について解説します。

企業カルチャーを大事にしている会社

人材採用の場面において能力や経験といった単にスキルの高い人材だけでなく、人柄や信念などカルチャーマッチを求める会社は少なくありません。求人広告などで広く募集する一般的な採用方法を通じて、カルチャーフィットする人材の募集や選考は簡単ではないでしょう。そういう意味でも自社で働く従業員からの紹介を受けられるリファラル採用は適しています。自社の価値観を紹介者から候補者に直接伝えられることで、企業カルチャーに合った人材の選考、採用につながりやすいからです。企業カルチャーを大事にしている会社こそ、リファラル採用を試してみる価値があるでしょう。

従業員エンゲージメントを高めたい企業

リファラル採用では、紹介者となる従業員が自社の魅力について語ります。この、自社の魅力を言語化するという行為そのものが従業員のエンゲージメントを高めるきっかけになるでしょう。組織の一体感を高めたいと願い、従業員のエンゲージメント向上に取り組んでいる企業にとってリファラル採用は採用活動だけでなく、組織作りで副次的な効果が期待できる手法です。採用のミスマッチも起こしにくいため、従業員の定着率向上に悩む企業にとっても検討する価値があります。

業界で人材獲得競争が激しく母集団形成にそもそも悩む会社

昨今の労働人口の減少に伴って人材獲得競争が激しく、自社が求める人材の採用につなげられないという業界は少なくありません。人材獲得競争が激しい業界として例えば技術系専門人材の採用が挙げられます。このような人材確保が難しい業界においては、採用候補者が自社の求める人物像にマッチしているかどうかがポイントになります。リファラル採用を通じて、自社に所属する従業員に直接採用活動に携わってもらうことは母集団形成の観点からも適しているといえるでしょう。

採用コストを抑えたいベンチャー企業

採用コストを抑えつつ優秀な人材を雇用したいと考える企業はリファラル採用に適しています。例えばスタートアップやベンチャー企業などの拡大期にある組織です。「このスキルがある人が欲しい」「この経験がある人に来てほしい」など、拡大期の組織は、ポジションに求める人物像が明確なことが少なくありません。

また、求人広告など費用対効果が不確かなものには多くの予算を投下するのが難しいということもあるでしょう。リファラル採用で1人当たりの採用コストを抑えれば、その分の資金を他の部分に投資することができます。中長期的な採用コストを抑えつつ、自社に適した人材に出会えるという点でリファラル採用は適しています。

リファラル採用に必要な費用とは?

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リファラル採用では求人広告費といった募集に関する活動費用が発生しません。ただし紹介した従業員に対するインセンティブや、従業員の採用活動にかかる実費などを検討する必要があります。

そこでリファラル採用で必要な費用について詳しく解説します。

紹介した従業員に対するインセンティブ

リファラル採用では、紹介者である従業員にインセンティブを支払う形式にすることも可能です。ただしインセンティブを支給する場合、職業安定法や労働基準法に照らし合わせて賃金として就業規則にあらかじめ明記する必要があります。リファラル採用や企業の採用活動に従業員が取り組むという点で労働の一つとして位置づけられるものです。どの時点で報酬が支払われるかという点も含めて明確に規定しておきます。

報酬の相場については、数万〜数十万と企業によって異なります。ただし、高すぎるインセンティブは、従業員の業務の一部ではなく、人材紹介に対する報酬として見なされる恐れがあります。人材紹介に対して報酬が発生する場合、企業の採用活動ではなく、人材紹介業になってしまいます。人材紹介業は国の許認可事業であり、免許のない人や企業が行うことは違法です。違法と見なされないよう、相場に合致したインセンティブを設定しましょう。

また、リファラル採用のインセンティブはあくまで採用活動に貢献した結果支払われるべきものです。インセンティブ目当ての紹介が発生しないよう、リファラル採用の目的を従業員に周知しましょう。

従業員の採用活動に必要な交際費

リファラル採用にかかる実費の扱いについても事前に検討しておきます。リファラル採用では、紹介者が候補者に企業の情報を伝えるために食事をしながら打ち合わせをするケースも少なくありません。その際にかかった食事代や交通費は企業が経費として精算することが望ましいといえます。

リファラル採用制度の促進方法


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リファラル採用を自社で導入する場合の手順について解説します。

1.リファラル採用制度を周知する

リファラル採用の導入を決定したら、まずは従業員に周知します。リファラル採用がどのようなものかも含め、募集するポジションなど詳しく伝えます。合致する人物像や求めるスキルなど箇条書きにしてまとめておくのも一つの方法です。周知する場合、あまりにも長い文章では従業員に読み飛ばされてしまう可能性もあります。求めるスキルなどを絞った上で簡潔に伝え、詳細は連絡を受けたときに話すというようなプロセスにするといいでしょう。

2.動機となる施策を設ける

期待する採用人数に応じて従業員が動きやすい施策を考えます。例えばインセンティブを設ければ従業員の動機付けとなるでしょう。より多くの人材をリファラル採用で雇用することを期待するなら、紹介を待っているだけでは十分ではありません。リファラル採用をプロジェクト化し、エンゲージメントが高い従業員を集めたリファラル採用を行うのも一つの方法です。人脈作りのため、社外の勉強会などへの参加をサポートするのも結果としてリファラル採用につながることがあります。

3.採用広報を強化する

動機となる施策を設けたら採用広報の強化を行います。リファラル採用では、採用広報を強化することで多角的な採用活動につなげられます。採用広報とは、候補者に自社で働くイメージを持ってもらうために自社の情報について積極的に発信する一連の活動のことです。求人媒体などへの掲載だけではなく、SNSや自社ウェブサイトを活用した採用広報があります。情報がまとまっていれば、紹介者の負担を減らすことにもつながります。具体的な方法については詳しく後述します。

4.全従業員に対して情報を共有する

リファラル採用で求める人数や成功事例、採用した人数などを定期的に従業員へ共有するようにします。特に、リファラル採用で紹介された候補者が入社したことや、紹介者との関係などを発信することは、従業員にとってさらなるリファラル採用のきっかけづくりになるでしょう。リファラル採用を行っている旨を浸透させることにもつながります。

リファラル採用で従業員の協力率を上げるポイント

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リファラル採用を成功させるには従業員の協力率を上げることがポイントです。ただ、リファラル採用を導入したものの、従業員の協力率が低いという課題を抱える企業は少なくありません。そこで、リファラル採用を行う上で必要となる従業員の協力率を上げるポイントを解説します。

従業員協力率とは?

リファラル採用における従業員協力率とは、知り合いや友人を自社に誘ったことがある従業員の割合を指します。例えば100人の従業員がいる会社において、知り合いや友人を紹介したことがある従業員が10人存在する場合の従業員協力率は10%です。この従業員協力率はリファラル採用の浸透を把握するために重要な指数といえます。

従業員協力率が低い場合に考えられる要因

リファラル採用において、従業員協力率が低い主な要因として以下が考えられます。

  • 社内におけるリファラル採用制度の認知度が低い
  • リファラル採用制度に心理的負担を感じる、関心のある従業員が少ない
  • 広報活動を強化できていない

それぞれの対処方法を詳しく解説します。

リファラル採用の認知度を高める具体的な方法

リファラル採用を全従業員に周知させる具体的な方法として、社内メールやSNSなどのオンライン発信など複数のツールを組み合わせることが挙げられます。発信する情報として以下の点を参考にしてみてください。

<周知すべき内容>

  • リファラル採用制度の概要
  • 募集している人材に関しての情報
  • 紹介する目的やメリットなど

さらに、人事部が現場の従業員に定期的に声掛けをするといった草の根的な活動も従業員の協力を仰ぐのに効果が期待できます。その際は「誰かいい人いますか?」といった漠然とした問いかけではなく、ポイントを絞って質問します。特定のスキルを求めているのであれば、「〇〇のスキルを持った知り合いはいませんか?」や、同じ職種で人材を探しているのであれば、「同じ職種の友人はいませんか?」と問いかけてみるのがいいでしょう。

紹介者の心理的負担を軽減する方法

リファラル採用では、従業員が紹介するというステップが最初の関門です。紹介者である従業員には少なからず責任が生じます。こうした紹介者の心理的負担を軽減するため、面接からはじめるのではなく、社内見学や社内イベントの参加を最初のステップにするのも一つの方法です。カジュアルな雰囲気であれば、紹介者も候補者も気負いなく参加することができます。カジュアル面談をはさみ、興味を持った人のみ採用プロセスに進んでもらうことが可能です。

広報活動を強化する方法

採用広報活動を強化することも従業員協力率を高めることにつながります。採用広報活動の具体的方法としては、自社で活躍する従業員へのインタビューや、自社のミッション、経営者の創業への思いなど、さまざまなコンテンツを通じて自社の情報を積極的に発信することです。これにより推薦者となる従業員自身が自社の情報を再確認することができるため、従業員エンゲージメントの向上も期待できるでしょう。その結果、従業員協力率を高めることにもつながるのです。

また、候補者が採用広報の情報に触れることで自社についての理解を深めていくことが期待できます。

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リファラル採用の取り組み事例

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最後に、リファラル採用の取り組み事例を紹介します。

1.リファラル採用制度に関する社内広報の徹底

リファラル採用を導入したばかりの場合、社内広報に力を入れることで従業員の協力を促すことができます。例えば、社内向けのリファラル採用サイトは従業員の理解を促すのに役立ちます。社内広報では、導入の背景や協力した場合に従業員が得られるメリットまで、会社としての考え・制度をしっかりと伝えます。どのような人を会社が欲しがっているのか、といった情報に日頃から触れていれば、ふとしたときにリファラル採用につなげようと思うかもしれません。

人事部から全従業員に向けたメッセージなども浸透に効果が期待できます。ガイドラインやQ&Aを整えておくのもいいでしょう。

2.カジュアルな面談の実施

リファラル採用では、従業員が紹介しやすい環境・雰囲気作りも重要です。前例がない、もしくは知らない場合、なかなか友人・知人を紹介するのはハードルが高いものです。

そこで、面接ではなく、ミートアップやランチ会といったカジュアルな場を設定します。カジュアル面談が前段階にあれば、紹介する側と紹介される側、双方が気負わずに参加することができます。こうしたイベントを設定した場合は、イベント前に能動的に現場従業員に声掛けを行い、「〇〇の経験がある知人や友人はいませんか?」と質問したあと、「〇月〇日にランチ会があるので、よければ誘ってみてください」と行動につながるようにします。

また、人事側は候補者が断りにくい雰囲気にならないよう、対等に接することが大切です。

従業員を巻き込む施策としては、紹介者である従業員を表彰する制度や、インセンティブを設けて紹介を促進する取り組みが挙げられます。会社として施策を実施することで、リファラル採用が自社にとって重要な取り組みであるという姿勢を従業員と共有することができます。

3.プロジェクトチームを結成後に全社で展開

現場を巻き込むのがなかなか難しいと感じる場合、まずは小規模のグループからはじめるというのも一つの方法です。リファラル採用に意欲の高い従業員を数名集め、プロジェクトチームを結成します。プロジェクトチームのメンバーが成長すれば、リクルーターとして他の従業員に働きかけられるようになります。

さらに複数のチームが立ち上がることで「チーム内で3カ月に1人紹介する」というような目標を共有できるでしょう。紹介した人数に応じてポイントを設定し、年間のポイントが高いチームや個人を表彰するという取り組みもあります。こうした取り組みは、従業員のモチベーションを高めるのに有効です。

自分たちの仲間を増やすためにどのようなことができるのか、従業員同士がリファラル採用のノウハウを共有するようになれば人事部のみが採用活動を行うよりも、より多くの層にアプローチすることができます。従業員に対しては、メンバーになることでどのようなメリットがあるのかを明確にすることも重要です。

リファラル採用を促進するなら「働きがい認定」

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リファラル採用は採用コストを抑えながら、自社にマッチする人材と出会える採用手法です。リファラル採用の安定的な運用には現場従業員の理解が欠かせません。社内の採用広報活動に注力しつつ、従業員とともにリファラル採用を行いましょう。

また、リファラル採用の採用決定率を上げるには、候補者が「この企業なら大丈夫」と思えるような安心材料が必要です。Great Place to Work®が提供する「働きがい認定」は、その企業の働きがいが高いことを第三者機関が証明するものです。認定されれば、リファラル採用だけではなく、採用活動全般においても重要なアピールポイントになります。

認定を受けるための調査開始後、最短2週間で認定の取得が可能です。今後リファラル採用を検討、強化しようとしている企業にとっておすすめの取り組みといえます。採用の応募数や内定承諾率を高めたいとお考えの人事・人材採用に携わる方や経営者の方はぜひお気軽にお問い合わせください。

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編集ライター 湯浦 孝恵

社会保険労務士事務所にて労務関係業務に携わる。経験を活かしたコラム記事を多数作成。編集ライター歴約10年。2024年現在、多くの企業の人事・労務コンテンツを作成。

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