【事例あり】オウンドメディアリクルーティングとは?始め方やメリット・デメリットを徹底解説
更新日 2024.11.212024.11.21コラム
人材採用の難易度が高まる昨今、企業の自社メディアを活用した採用手法である「オウンドメディアリクルーティング」が注目されています。
一方で、オウンドメディアリクルーティングとはどのようなものなのか、どのように進めていけば良いのか分からず、なかなか手を出せていない企業担当者も多いのではないでしょうか。
本記事では、オウンドメディアリクルーティングの基本的な概念や既存の採用手法との違い、注目されるようになった背景、運用する際のメリット・デメリットなどを網羅的に解説します。
具体的なコンテンツ例や始め方の手順などもまとめているので、効果的な採用手法を模索している方はぜひ参考にしてください。
オウンドメディアリクルーティングとは何か
まずはオウンドメディアリクルーティングの基本的な概念や定義と、既存の採用手法である求人サイト・人材紹介・ダイレクトリクルーティングとの違いを解説します。
オウンドメディアリクルーティングの基本概念と定義
「オウンドメディア」とは、自社が保有・運営するメディアを指し、これらのメディアを採用活動における広報の手段として活用するのが「オウンドメディアリクルーティング」です。
オウンドメディアの具体例としては、自社が運営するホームページやブログの他、X(旧Twitter)・Instagram・FacebookなどのSNS、TikTokやYouTubeなどの動画配信ツールなどが挙げられます。
オウンドメディアリクルーティングでは、自社のターゲットに合わせて適切なメディアを選定したり、組み合わせたりしながら、採用に関わる情報発信を継続的に行っていくのが大きな特徴です。
従来は他社が運営する求人媒体を主な広報手段としていましたが、使用する媒体によって掲載できる内容にさまざまな制限がかけられていました。しかし、自社が運営するメディアであれば、制限なく自由に自社の強みや職場の雰囲気などを発信できるため、従来の採用手法に比べて採用ミスマッチや早期退職の軽減などが期待できます。
求人サイトとの違い
オウンドメディアリクルーティングと求人サイトの最大の違いは、情報発信を行うメディアの保有者・運営者にあります。
求人サイトは、サイト運営企業がメディアを保有し、そのサイトをプラットフォームとして多くの企業の求人情報をまとめて掲載しています。そのため、掲載内容・文字数・デザイン・フォーマットなどにさまざまな制約が設けられている上、自社の求人広告が他社の求人情報に埋もれてしまいがちです。
一方のオウンドメディアリクルーティングは、求人サイトに代わるメディアを自社で構築し、独自のコンテンツやアプローチで求職者に訴求できる点が大きく異なります。
オウンドメディアリクルーティングは求人サイトと異なり、その企業の社風や魅力を存分に伝えられるのが特徴です。求職者もその企業の考え方や雰囲気などをより具体的にイメージできます。そのため、入社前の情報不足によって起こりがちだった採用ミスマッチや早期退職を軽減し、結果的に採用コストや教育コストなどの削減も期待できるのです。
人材紹介との違い
人材紹介は、企業が求める人材要件や雇用条件をあらかじめ担当のコンサルタントに伝えておき、条件に合致する求職者が見つかった場合に直接紹介する採用サービスで、別名「転職エージェント」とも呼ばれています。
人材紹介とオウンドメディアリクルーティングの違いは、自社で採用メディアを保有しているかどうかと、採用活動の流れにあります。
人材紹介会社もメディアを運営していますが、これは求人情報を掲載するためではなく、人材紹介サービスへの登録を募ることを目的としたメディアです。人材紹介会社は登録者のデータベースを構築しておき、その中から企業の依頼に合致する人材を選び出し、利用企業に直接人材を紹介します。
また、人材紹介は採用活動にかかる手間が少ない代わりに、採用した人材の年収の30~35%程度の成功報酬が発生することが多いです。
オウンドメディアリクルーティングの場合、開始当初は同程度の費用がかかる場合もありますが、自社メディアが認知され運用が安定してくると、1人あたりの採用コストが下がっていく傾向にあります。
ダイレクトリクルーティングとの違い
ダイレクトリクルーティングは、ビジネスに特化したSNSや人材データベースなどを利用して、希望条件にマッチする人材に企業が直接アプローチする採用手法です。
ダイレクトリクルーティングは、自社メディアを保有しない点と企業側から求職者に向かってアプローチする点がオウンドメディアリクルーティングと異なります。
ダイレクトリクルーティングでは、求職者のデータベースを保有するプラットフォーム事業者と契約し、利用企業は求職者データベースから自ら希望条件に合う人材をスクリーニングし、スカウトを送信することで応募を募ります。
その他、SNSや採用イベント、リファラル採用などを利用して企業にマッチした人材にアプローチする手法もあります。
オウンドメディアリクルーティングとダイレクトリクルーティングは異なる性質を持っているものの、相性が良いのが特徴です。具体的には、ダイレクトリクルーティングで直接アプローチした人材をオウンドメディアに誘引し、自社の魅力や求人情報を見てもらうことで、応募意欲の醸成を図ります。
これらの手法をかけ合わせることで採用活動の効率や成功率の向上が見込めるため、両者はしばしば併用される傾向にあります。
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オウンドメディアリクルーティングが注目される理由と背景
オウンドメディアリクルーティングが注目されるようになった理由と背景について、特に大きな影響があったと考えられる3つの要素を解説します。
採用の難易度が上がっている
オウンドメディアリクルーティングが注目されるようになった背景の1つとして、採用難易度の上昇が挙げられます。
全国的に歯止めがかからない少子化に伴い、年々労働者人口は減少し続けており、あらゆる業界で人材不足が深刻な問題となっています。そもそも求職者が減っている中で、自社に合った優秀な人材を採用することや、そのような人材を安定的に確保するのは決して容易ではありません。
従来の求人サイトや人材紹介を活用した採用活動は、その求人サイトや人材紹介サービスに登録している求職者にしかアピールできないため、どうしても募集範囲が限定的になるという課題があります。
一方、オウンドメディアリクルーティングは、さまざまな垣根を超えて、より広範囲の求職者に向けて直接的に情報を届けられる可能性があります。加えて、自社メディアで存分に自社の魅力を発信できるため、自社の特徴や価値観などを十分に理解した、意欲の高い求職者からの応募が期待できるのです。
労働価値観の多様化が進んでいる
労働価値観の多様化もオウンドメディアリクルーティングの広がりに影響を与えています。
ワークライフバランスを重視する考え方が一般化しつつある昨今、リモートワークや時短勤務といった柔軟な働き方が認められるようになってきました。同時に、仕事そのものに対する価値観も変化しつつあり「企業文化」「働きやすさ」「やりがい・自己成長の機会」など、給与以外のさまざまな要素が重要視されています。
求職者による企業選びの基準の変化に合わせて、企業側も独自性や働きやすさといった給与以外の具体的な情報を明示する必要があります。
オウンドメディアリクルーティングであれば、企業文化やビジョンなどの価値観を発信できるため、変化する求職者のニーズにも柔軟かつスピーディーに対応できるでしょう。
情報収集手段が増加している
求職者の情報収集手段が多様化している現状も、オウンドメディアリクルーティングが注目される背景になっています。
例えば、スマートフォンの普及により求職者が情報へアクセスしやすくなったことや、求人サイトの利便性が高まっていることなど、求職者を取り巻く環境は年々変化しています。求職者はインターネットを活用してさまざまなキーワードで情報収集を行い、求人サイトから興味を持った企業のホームページにアクセスし、より詳しい情報を閲覧する求職者も少なくありません。
このような求職者の行動パターンを考慮した場合、オウンドメディアを構築して豊富な情報を提供し、自社の魅力をより多くの求職者に伝えようとするのは、至って自然な流れといえるでしょう。
このように、オウンドメディアリクルーティングは、求人サイトのような従来型の採用手法と組み合わせることでも、企業の認知向上や採用活動の効率化が期待できるのです。
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オウンドメディアリクルーティングを運用するメリット
オウンドメディアリクルーティングを運用する主なメリットは以下の4点です。
- 採用ミスマッチの減少につながる
- 自社の認知度向上戦略につながる
- 従業員のエンゲージメント向上につながる
- 採用コストの削減につながる
採用ミスマッチの減少につながる
オウンドメディアリクルーティングの大きな利点の1つに、採用ミスマッチの減少が挙げられます。
企業にとって、多くの手間と費用をかけてようやく採用できた従業員が早期退職してしまうのは非常に大きな損失です。このような早期退職は、求職者側が入社前に得ていた情報が少なく、入社後に感じる現実とのギャップによって起こりがちです。
オウンドメディアリクルーティングの場合、企業理念やビジョン、企業文化などを制限なく掘り下げて発信できるため、その企業をより深く理解した求職者からの応募が期待できます。結果的に、入社前後のギャップが少なくなることで、早期退職の減少にもつながるのです。
同時に、その企業の価値観や働き方などに共感し、求職者自身のビジョンと照らし合わせた上で入社する人材が増えるため、採用した人材のパフォーマンスの向上や長期的な活躍も期待できるでしょう。
自社の認知度向上戦略につながる
自社の認知度向上戦略(ブランディング)につながるのも、オウンドメディアリクルーティングのメリットです。
オウンドメディアを構築することで、検索エンジン経由でも自社を発見できる可能性が高まります。掲載内容は企業によりさまざまですが、事業内容・社風・職場環境・従業員インタビューなど、求職者が知りたいであろうコンテンツを充実させることで、効率よく幅広い情報を提供できるでしょう。
また、一度オウンドメディアを構築したら、その後は求人サイトやSNSなどにオウンドメディアのURLを記載するだけでさらに露出の機会を増やせます。
オウンドメディアを運用することで自社を知ってもらう機会が増えると同時に、提供できる情報の量や質も高まるため、結果的に企業の認知度向上やブランディング戦略にもポジティブな効果が期待できます。
従業員のエンゲージメント向上につながる
オウンドメディアを構築・運用する過程で、従業員のエンゲージメント向上も期待できます。
例えば、オウンドメディアを構築するチームを編成した場合、コンテンツを作るために自社の価値観について調べたり、従業員インタビューを実施したりすることで、これまでとは違った側面から自社を理解できるからです。
また、従業員インタビューや経営陣からのメッセージをメディア上で公開することで、従業員が改めて所属する組織の方針や、関わる人達の考え方などをより深く理解できる機会にもなるでしょう。
オウンドメディアリクルーティングは単に採用手法の1つと思われがちですが、それだけではありません。オウンドメディアを構築・公開する過程は、社内の一体感の醸成や自社への帰属意識、愛着を高めるきっかけにもなり得るため、結果的に従業員のエンゲージメント向上も期待できるのです。
採用コストの削減につながる
オウンドメディアリクルーティングの構築が一段落し、運用が定着してくると、採用コストを削減できるメリットもあります。
例えば求人サイトの場合、人材を採用できたかどうかに関わらず、掲載期間や使用するオプションに対して費用が発生するのが一般的です。そのため、採用に苦戦して募集期間が延びてしまうと、その分の費用が増していく可能性があります。
人材紹介サービスを利用する場合は、採用した人材の年収の30~35%の成功報酬が発生するため、1人あたりの採用コストが高額になりがちです。
一方、オウンドメディアでは軌道に乗るまでのコストが発生するものの、浸透していくにつれて人材採用に必要なコストが減少していくのが特徴です。
また、一過性の求人広告とは異なり、作成したコンテンツは自社の情報資産として蓄積されていくため、継続的に採用活動の武器として残り続けます。
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オウンドメディアリクルーティングを運用するデメリット
オウンドメディアリクルーティングには多くのメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。ここでは、代表的な以下4つのデメリットを解説します。
- 効果が出るまでに時間がかかる
- 導入・運用にコストがかかる
- サイト運営の知識が求められる
- 社内協力の体制を整える必要がある
効果が出るまでに時間がかかる
オウンドメディアリクルーティングは効果が出るまでに時間がかかるのが一般的であり、短期間で効果を期待するのは難しいといえます。
オウンドメディアの立ち上げやコンテンツの充実には多くの時間と労力を必要とし、コンテンツの公開後もメディアを運用しながら継続的に施策を行う必要があります。検索ユーザーが自社を直接検索するケースが少ないことも考えられるため、導線を構築する必要があるからです。
そのため、オウンドメディアリクルーティングの初期段階では、求人サイトや人材紹介サービスなども併用しながら、短期的な採用ニーズを補うのが現実的でしょう。
公開したオウンドメディアが多くの求職者にリーチできるようになり、求人媒体として効果を発揮するようになるまでには、相応の時間がかかることを理解しておく必要があります。
導入・運用にコストがかかる
オウンドメディアリクルーティングを実施する場合、導入や運用に多くのコストを要します。
主に必要となる費用は、Webサイトの構築やコンテンツの作成などです。コンテンツ作成に必要な機材を揃えるための費用や、作業担当者の人件費などが発生します。技術的な問題で自社で内製化できない作業は、外注を検討する必要もあるでしょう。
また、コンテンツが不足していたり、機能的に使いにくかったりすると期待するような効果が得られない可能性があります。場合によっては、サイトの改修や機能追加も必要です。
オウンドメディアリクルーティングが効果を発揮するようになれば、求人サイトや人材紹介サービスにかかっていたコストを大幅に削減できるものの、成果に至るまでにはある程度の時間や投資が必要になることを理解しておきましょう。
サイト運営の知識が求められる
オウンドメディアリクルーティングを成功させるには、サイト運営に関する専門知識が求められます。
自社の採用ターゲットとなる人材の定義や、ターゲットとなる人材に響くコンテンツの設計には相応の専門知識が必要です。検索経由のアクセスを増やしたい場合や、SNSを併用して集客を行う際には、SEO(検索エンジン対策)やWebマーケティングの専門知識が求められるでしょう。
他にも、見やすいデザインや使いやすいインターフェースを実現するために、それぞれの分野の専門知識やスキルが必要です。社内にこれらを解決できるリソースが不足している場合は、新規採用や外部の専門家や業者への協力を検討しなければならないでしょう。
このように、オウンドメディアの構築には幅広い知識やスキルが必要となります。この点がオウンドメディアリクルーティングを採用する際の課題になるでしょう。
社内協力の体制を整える必要がある
オウンドメディアリクルーティングを実施するためには、通常業務とは別に社内協力の体制を整える必要があります。オウンドメディアに掲載するコンテンツは、自社の企業文化・価値観・従業員のリアルな声などが理想的です。
よりリアルで魅力的なコンテンツを作成するためには、自社の従業員や経営陣の協力が欠かせません。技術的な課題は外注でも解決できますが、社内の協力がなければ企業の魅力を十分に伝えられず、求職者にとって共感しづらい内容になってしまうでしょう。
また、オウンドメディアを構築する過程を工夫することで、従業員のエンゲージメントを向上させる効果が期待できるものの、外注に頼りきりになるとその機会を逃してしまいます。
このような背景から、オウンドメディアリクルーティングの効果を高めるためには、社内の協力体制を整えることが大切です。
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オウンドメディアリクルーティングにおすすめのコンテンツ
オウンドメディアリクルーティングを始める上で悩みがちなのが、メディアに掲載するコンテンツです。ここでは、求職者に自社の魅力や価値観を伝える上で、特に効果的なコンテンツの具体例を5つ紹介します。
経営者の考え方や理念
経営者の考え方や理念の発信は、オウンドメディアリクルーティングにおすすめのコンテンツの1つです。経営者の考え方や理念は求職者の職業観に影響する傾向があります。
経営者が自らの考え方や経営理念を発信することで、自社の姿勢や価値観など柱になる部分を求職者に伝えられるでしょう。経営者のこれまでの実体験や具体例を交えつつ自身の言葉でメッセージを発信することで、共感や企業に対する信頼感を得やすくなります。
経営者自身の考えをどのように事業やサービスに反映しているのか、顧客や社会にどのような価値を提供しているのかなどの現在軸に加えて、今後の展望や目標などの長期的なビジョンまで一貫性あるメッセージを伝えることが大切です。
従業員へのインタビュー
既存従業員へのインタビューもオウンドメディアリクルーティングで取り入れたいコンテンツの1つです。
従業員へのインタビューは、現場で働いている側の目線でその企業の職場環境や文化を知れるため、求職者にとって重要な情報源となります。
インタビュー対象は、自社が求める人物像に近い従業員や、社内のハイパフォーマーを選定するのが効果的です。新卒採用の場合は、数年以内に入社した年齢の近い若手従業員を選定するのも良いでしょう。
インタビュー内容は、社内での役割・日々の業務内容・働きがい・自社やサービスに対する思いなど、入社後の姿をイメージしやすい内容が好まれる傾向にあります。加えて、その人が入社を決めた理由や今後のキャリアパスなどにも触れることで、求職者の視野やイメージが広がりやすくなります。
また、写真や動画を使うことで求職者の目に留まりやすく、親しみやすい印象を与えられるでしょう。
自社サービス・新規事業に関する内容
自社が提供しているサービスや新規事業に関するコンテンツも取り入れましょう。
オウンドメディアリクルーティングでは、求職者が入社後に扱う自社のサービスや商品などの詳細情報を提供することも大切です。
ただし、サービス内容や商品の特徴などを紹介するだけでは不十分です。具体的には、どのような背景や課題意識からそのサービスや商品が生まれたのか、そのサービスが社会や顧客にどのような価値を提供しているのかなどについて、具体例を交えながら紹介すると自社の姿勢や事業に対する熱意が伝わりやすくなります。
あくまでもオウンドメディアを見た人に「この会社で働きたい」と思ってもらうことがゴールです。そのため、顧客向けのセールスポイントだけではなく、自社のビジネスの方向性や意義などを理解できるような視点を加えることが重要です。
社内制度や福利厚生に関する内容
オウンドメディアリクルーティングのコンテンツに社内制度や福利厚生に関する内容も忘れずに取り入れましょう。
社内制度や福利厚生は、会社生活における直接的な居心地の良さや利便性に直結するため、求職者に重視されやすいポイントです。同時に、その企業が従業員に対してどのような姿勢で向き合っているか、従業員をどのように扱っているかを伝える機会にもなります。
単に制度の種類や内容を列挙するのではなく、その制度を設けた背景や意図などにも触れることで、企業がどのように従業員を大切にしようとしているのかが求職者に伝わりやすくなります。
例えば、ワークライフバランスを重視した制度やキャリア支援を目的とした取り組みについて具体的に説明することで、求職者は自身の希望する働き方を実現できそうか、自身が目指すキャリアを後押ししてくれそうかなどをイメージしやすくなるでしょう。
社内イベントに関する情報
社内イベントに関するコンテンツも取り入れると良いでしょう。
社内イベントに関する情報は、実際の職場の雰囲気や従業員の人となり、従業員同士の関係性など、人間性や人間模様にフォーカスする手段として非常に有効です。
具体的には、新年会・忘年会・社内運動会など、実際に実施しているイベントの様子を写真やコメントとともに紹介すると、求職者は職場の明るさや風通しの良さなどをイメージしやすくなります。
業界や業種によっては、社内セミナーや展示会など、レクリエーション以外のイベントの様子を発信するのも効果的です。そのイベントが実施されるまでの舞台裏や、企画から実施までの流れなどを掲載することで、実際の職場環境や働きやすさなどを発信できます。
イベントの運営者や参加者、マネージャークラスや経営陣などの感想や笑顔などが見られるコンテンツにすることで、求職者の安心感や共感を得やすくなるでしょう。
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オウンドメディアリクルーティングの始め方・手順
オウンドメディアリクルーティングを始める手順について、以下5つのステップで解説します。
- ペルソナを設計する
- 採用計画を立案する
- ポジショニングマップを作成する
- ブランディング設計を行う
- CXを策定する
ペルソナを設計する
オウンドメディアリクルーティングにおいて、最初にすべきことは「ペルソナ」の設計です。
ペルソナとは、企業が採用したい理想的な人物像を指し、このペルソナが明確であればあるほど発信するコンテンツやそれぞれの採用プロセスに一貫性が生まれ、求職者とのマッチング精度が向上します。
より具体的かつ効果的なペルソナを設計するには、同じポジションにある既存の従業員やハイパフォーマーを参考にするのがポイントです。実際に働いている人物から現場で求められるスキルや実際の働き方に合致する人物像を描くことで、求める人材を定義しやすくなります。
採用計画を立案する
続いて、設計したペルソナをもとに採用計画を立案します。採用計画とは、実際に採用する人材の人数や募集方法、スケジュールなどの詳細を指します。
採用計画は、実際の事業計画と連動させることが重要です。採用の目的は、企業が目指す事業目標や成長戦略を達成するために、必要な人材を適切に配置することにあるためです。
必要なタイミングで必要な要件を満たした人材を適切に確保できるよう、事業計画や目標から逆算して採用計画を立案する必要があります。さらに採用にかける費用や選考における歩留まり(各採用フェーズに進んだ人数の割合)など、具体的な数値目標も設定しておくことで進捗管理がしやすくなります。
ポジショニングマップを作成する
採用計画を立案したら、採用戦略の方向性を検討するためのポジショニングマップを作成しましょう。ポジショニングマップとは、自社と競合他社との差別化ポイントを明確にするために、自社の製品やサービスの立ち位置を視覚化するフレームワークです。
採用難易度が高まっている昨今において、数ある企業から自社を選んでもらうためには、自社の独自性をアピールすることが必要不可欠です。
ここでの比較対象はもちろん事業上の競合ではなく、採用活動における競合を指します。求職者に向けて自社独自の魅力をアピールできるよう、ポジショニングマップをヒントに自社と採用競合との違いを明確にしておきましょう。
ブランディング設計を行う
オウンドメディアリクルーティングでは、角度の異なるさまざまなコンテンツを作成しますが、どの角度から見てもぶれない「その会社らしさ」を設定しておくことも大切です。
ブランディングを設計する際は、前項のポジショニングマップの結果も参考にしつつ設計図を作成していきます。具体的には以下のような項目を盛り込むことで、スムーズに情報を整理できるでしょう。
- 情報を届けたいターゲット(詳細まで設定したペルソナ)
- ターゲットの内面的なパーソナリティ
- ターゲットが抱える課題や響きやすいポイント
- 一言で価値観を表現するキャッチフレーズ・スローガン
- 自社が提供できる価値、ターゲットが自社に対して価値を感じるポイント
- 発信内容が事実であることを示すエビデンス
上記のような情報をオウンドメディアのコンテンツや発信内容、求人情報などに散りばめることで、発信するメッセージ性に一貫性や信頼感が生まれます。
CXを策定する
最後に、CX(Candidate Experience)を策定します。CXとは、求職者が選考のプロセスから得られる体験全体を指します。
選考に参加する求職者が選考プロセスの各段階においてどのような体験をするか、またはどのように感じてほしいかを考慮することで、採用活動全体の質の向上が図れます。
CXを策定する際は、求職者の体験を可視化する「キャンディデートジャーニーマップ」を作成するのがおすすめです。キャンディデートジャーニーマップは、自社を認知したところから入社を決定するまでの段階ごとに、求職者の行動・思考・感情を時系列に整理したものです。
このように求職者の心模様を時系列で整理することで、必要なコンテンツやその段階で伝えるべきメッセージなどを設定しやすくなります。選考が進むにつれて入社意欲が高まっていくように、それぞれのプロセスを丁寧に設計していきましょう。
オウンドメディアリクルーティングを成功させるポイント
オウンドメディアリクルーティングを成功させる上で特に重要なポイントを3つ解説します。
ジョブディスクリプションを明確にする
オウンドメディアリクルーティングでは、求職者に向けた「ジョブディスクリプション」を明確に提示することが重要です。
ジョブディスクリプションとは、募集職種の具体的な業務内容、求められる知識・スキル・経験、その職務の目的などの詳細情報を指します。
ジョブディスクリプションを明確にしておくことで、求職者自身が応募資格を満たしているかどうかや、自身のスキルや経験を活かせるポジションかどうかを判断しやすくなります。掲載内容を工夫することで、入社後のキャリアパスをイメージする手助けにもなり得るでしょう。
また、求職者に自社や職場での役割や期待していることを正しく理解してもらうことで、応募者の質やマッチングの精度が向上し、採用ミスマッチや早期退職を軽減する効果も期待できます。
転職潜在層へのアプローチ・ブランディングを意識する
オウンドメディアリクルーティングにおいては、「転職潜在層」に向けたアプローチやブランディングを意識することが重要です。
転職潜在層とは、現在転職活動はしていないものの、将来的に、または良い縁があれば就職や転職をしても良いと考えている層を指します。転職潜在層の人たちはすぐに転職する理由はないものの、継続的に情報収集をしながらより良い環境や信頼できる企業を探す傾向にあります。
このような層に有益な情報を提供し続けることで、徐々に自社を知ってもらい、じっくりと信頼関係を構築できる場合があります。関係性が良くなるにつれて、よりその企業を知りたいという思いが強くなり、最終的に「この企業で働いてみたい」という気持ちにつながっていく可能性があるのです。
KGIとKPIを明確にする
オウンドメディアリクルーティングを成功させるには、「KGI」と「KPI」を明確に設定し、成果や進捗を可視化して管理することが重要です。
KGI(Key Goal Indicator)は「重要目標達成指標」を意味するもので、最終的に達成すべき目標を測るための指標です。これに対して、KPI(Key Performance Indicator)は「重要業績評価指標」を意味し、KGIを達成するための過程を評価する中間目標ともいえる指標を指します。
オウンドメディアリクルーティングにおけるKGIは「条件に合致した人材を◯人採用する」や「企業認知度の向上」といった最終的なゴールが該当します。そして、それを達成するためのKPIとして「応募者数」や「オウンドメディアの月間のページビュー」などを設定すると良いでしょう。
【ホワイトペーパー】職種別働きがい向上のポイント ~これを読めば、職種ごとに対応すべきポイントが分かる!~
この資料では、働きがいを高めるうえで起こりがちなネガティブな状態を、職種ごとに分析・解説します。あわせて、職種ごとに起こりがちなネガティブ状態に合わせた対応策も方針として示しているため、ぜひ参考にしてみてください。
成功事例から学ぶオウンドメディアリクルーティング
実際にオウンドメディアリクルーティングに成功している事例と、具体的な施策内容を紹介します。
事例1.充実した採用サイトを活用
ある企業では、採用サイトの充実度を高めることで、求職者に対する自社の魅力や働きやすさを効果的に発信しています。
この事例では、採用ページに「従業員へのインタビュー」「仕事のやりがい」「職場の1日」を紹介するコンテンツを掲載し、求職者が入社後の働き方やキャリアパスをイメージしやすいように工夫しています。
加えて、企業理念や今後の展望、仕事に求められるスキルやキャリアパスといったジョブディスクリプションも詳細に記載されており、求職者が自分の成長につながる職場かどうかを判断しやすい構成です。
また、写真や動画も豊富に活用されており、社内イベントやプロジェクトの様子が視覚的に伝わることで、職場の雰囲気や文化が一目で分かるようになっているのもポイントです。
このように、綿密に作り込まれたコンテンツから求職者が得られる情報は多く、採用ミスマッチや入社後ギャップなどの軽減にも成功しています。
事例2. SNSを通じた企業文化の発信
別の企業では、SNSを活用して日常的に企業文化や職場の雰囲気を発信することで、オウンドメディアリクルーティングを成功させています。
この企業は、SNS上でオフィスや従業員の日常、プロジェクトの様子、社内イベントなどを定期的に投稿しており、企業のリアルな素顔を伝える工夫をしています。このような投稿により、求職者は企業の職場環境や従業員同士の関係性、チームワークなどを身近に感じることができ、「自分もここで働いてみたい」と感じるきっかけになっています。
さらに、SNSは情報の拡散力が強く、求職者が気軽に閲覧できるため、企業の認知度向上にも大きく貢献しています。実際に、SNSで企業の活動をチェックしているうちに興味を持ち、求職者が自然な形で企業のファンになり、最終的に応募につながるといったケースも多いようです。
このように、SNSを活用して企業の文化や価値観を継続的に発信することは、採用活動を円滑に進めるための効果的な手段となっています。
【ホワイトペーパー】広報・ブランディングに使える!働きがい認定活用事例12選
この資料では、GPTWの「働きがい認定」を取得した企業がどのように働きがい認定を活用しているかを実際の例を用いて解説します。働きがい認定の取得を検討している方や、働きがい認定を取得したがうまく活用できていないという方は、ぜひ参考にしてみてください。
オウンドメディアリクルーティングにつながる採用ブランディング「働きがい認定」
オウンドメディアリクルーティングを成功させるためには、他社との明確な差別化や自社の独自性を伝える採用ブランディングが鍵となります。
この差別化の1つとして多くの企業が取り入れているのが、Great Place To Work®の「働きがい認定」です。この認定を取得することで、自社が信頼できる職場であることを客観的にアピールできるため、差別化になると共に求職者に安心感と信頼感を与えられます。
働きがい認定を採用広報に活用し、経営者の理念や従業員の働き方、職場の魅力を具体的に伝えることで、自社文化への共感が深まり、結果として内定承諾率や応募数の増加が期待できるでしょう。
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