「地域社会への貢献」と「文化醸成」が地方企業の働きがい向上のカギ 2023年版 各地域における「働きがいのある会社」優秀企業の取り組み事例

更新日 2023.07.062023.06.16インタビュー

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Great Place To Work® Institute Japan(GPTW Japan)は、2023年版「働きがいのある会社」認定企業の中から、各地域における「働きがい」の優れた企業を選出しました。2023年5月30日の記者発表会では、北海道・東北地域のWasshoi Tohoku Group(小規模部門)、中部地域のヤッホーブルーイング(中規模部門)、中国・四国地域のマイクロンメモリ ジャパン(大規模部門)に講演していただきましたので、当日の内容をダイジェストでご紹介します。

※本記事は2023年版 各地域における「働きがいのある会社」優秀企業発表会の抄録です。
※GPTW Japan代表 荒川による、選出企業の傾向解説はこちら:2023年版 各地域における「働きがいのある会社」優秀企業 傾向解説
※三者によるトークセッションの様子はこちら:2023年版 各地域における「働きがいのある会社」優秀企業 トークセッション

青石 稔(あおいし・みのる)
マイクロンメモリ ジャパン株式会社 ハイボリュームマニュファクチャリング シニアディレクター
兵庫県出身。1998年に株式会社KTIセミコンダクターに入社し、マイクロンテクノロジー社日本工場の前身となる兵庫県西脇工場に装置技術者として勤務。KTIセミコンダクター社のマイクロンへの統合を経てマイクロングループに入社。海外工場立ち上げなどに従事したのち、2014年からマイクロンテクノロジー広島工場に勤務。プロセス装置技術部門や品質技術部門ダイレクターに従事したのち、2021年からはHVM(ハイボリュームマニュファクチュアリング)シニアダイレクタ(現任)。


長岡 知之(ながおか・ともゆき)
株式会社ヤッホーブルーイング ヤッホー盛り上げ隊(人事総務ユニット)ユニットディレクター
長野県出身。大学卒業後、星野リゾートに入社。6年間勤務し、人事総務などに従事。2009年にグループ企業のヤッホーブルーイングに入社。ファンイベントの企画開発、営業事務、物流に従事し2016年より現職。以来、採用、育成、組織開発、労務、総務といった人事系領域を広く担当しながら、働きがいのある会社づくりに注力。キャリアコンサルタント有資格。
2児の父で、週末は子どもと一緒に出かけたりして体を動かすことが好き。


吉川 恵津子(きっかわ・えつこ)
株式会社Wasshoi Lab 取締役専務
宮城県仙台市出身。2006年に埼玉大学教養学部卒業後、大手人材サービス会社へ入社。キャリアコンサルタント業務、雇用・労務関連業務に従事。その後、持株会社の財務経理部門で管理会計、財務会計を担当し、2013年に宮城県仙台市へUターン。地方でキャリアコンサルタントに従事する中で、人のキャリア構築のためには成熟した社会を創ることを目指したいという想いが膨らみ、2019年1月より株式会社Wasshoi Labで人事、総務、経理等のバックオフィス業務に従事。成熟した社会を創る担い手となるために組織開発を推進。2022年4月、現職に就任。

マイクロンメモリ ジャパン株式会社

保有特許5万2000件超! イノベーションを生み出すカルチャー

interview_230620_04.pngマイクロン・テクノロジーは、アメリカ・アイダホ州ボイシ市に本社を置く世界で5本の指に入る半導体企業です。世界17カ国、4万6000人のチームメンバーが働いています。AI、5G、IoT、自動車など市場の幅広いニーズに対応してきました。5万2000件もの特許を保有している世界で最も革新的な企業の一つであり、常にイノベーションを生み出し続けることが、当社の人材育成にとって不可欠です。

マイクロンの広島拠点は、最先端の半導体「1ベータ」の設計開発において世界をリードしてきました。世界中から多様性のある人材を求めており、広島で働くチームメンバーの活動も日本の拠点にとどまらず、グローバルネットワークを通じて世界へと広がっています。

多様なバックグラウンドを持つ優秀な人材が、最高の自分を求めてベストを尽くし、日本でそして世界で一つのチームとして協働しています。同僚、顧客、社会のニーズをよりよく満たし、チームとして成功することを目指してきました。地域社会との連携にも力を入れており、さまざまなコミュニティ・パートナーシップ活動も提供しています。

STEM教育を通じて地域の未来を担う子どもたちとつながる

地域社会と連携して、STEM教育(科学・技術・工学・数学)の機会を提供しています。STEM人材を獲得するには、早期にタレント育成のパイプラインに関わることが大切です。現在は、社外の学術機関などと連携して、STEM教育交流プログラムなど、STEM人材の育成に取り組んでいます。STEM教育をより身近なものにすることで、若い頃から興味を持ってもらうことが狙いです。

また、学術研究支援としてSTEM教育への寄付や、学生の講義など不特定多数の学生の将来のSTEMキャリアに繋げる機会を提供することにも取り組んでいます。実際に弊社の技術者が参加し、地元の大学との協力で、より専門的な講義の機会の提供なども行なっています。年齢や性別に関わらず、社外の多様な方々と、STEM教育を通じてつながりを持たせていただくことは、チームメンバーにとってエキサイティングな経験です。

自分らしさを活かすインクルーシブなカルチャーをつくる

多様性が持つ可能性を最大化するためには、インクルーシブな文化創造が必須です。インクルーシブな文化を築くためにマイクロンでは、ERG(従業員リソースグループ)がインクルーシブカルチャーの基盤となっています。インクルージョンの強い文化をつくることは、全てのチームメンバーの責任であるという認識に基づき、多くの人たちがERGの活動に自ら参加し、年間を通じて様々な活動に取り組んでいます。

多様性にあふれるメンバーがインクルーシブ文化を通じて、自分らしさを発揮して活躍することが欠かせないのは、地域の活動についても同じです。年齢、性別、国籍、文化の異なる多様な人がいる中で、それぞれの価値観において大切に思うものや、自分が関わってみたいものを見つけ、さまざまなアプローチで地域とつながることができます。あるチームメンバーは「ボランティアに行くと会社のシニアメンバーと仕事以外の話ができて楽しい」と言っていました。全ての人々の生活を豊かにするインクルーシブな職場環境の構築はこれからも続きます。

株式会社ヤッホーブルーイング

従業員が半減するような苦境からの「働きがいのある会社づくり」

interview_230620_05.jpg当社は1997年にクラフトビールのベンチャー企業として創業しました。現在の業績は国内クラフトビール業界ではトップレベル。「働きがいのある会社ランキング」の中規模部門において7年連続ベストカンパニーに選出されています。

創業当初は「地ビール」ということで、さまざまなメディアに露出することがあったんですがブームが去るとともに売り上げも右肩下がりに。社内の雰囲気が悪くなり、次々と従業員が辞めて半分になってしまったこともありました。「こうした状況からいち早く脱却して、明るく元気な働きがいのある会社になりたいんだ」と我々は心底思い、働きがいのある会社作りに一丸となって取り組んできた歴史があります。

公私共に充実するから心底仕事を楽しめる

働きがいは「やりがい」と「働きやすさ」の両軸を意識して高める必要があると考え、さまざまな施策を通じて取り組んできました。プライベートも含めた私生活の充実、両立があって心底仕事を楽しめると考え、働きがいを高めることを包括的におこなっています。

当社には全国から、個性的な仲間がたくさん集まってきています。長野県は観光資源も豊かで、子育てをする環境としても理想的であるため、子育てをしながら働きたいという方が増えてきました。従業員の声を聞いてみると、「働きがいのある会社で、楽しく働き、成長したい」「好きな会社、好きな製品を扱う仕事ができるなら、移住も苦ではない」と言ってくれています。そして、「せっかく地域に来たので、地域での生活を楽しみながら仕事をしたい」「地域に何かしら恩返しや貢献をしたい」と言ってくれる人が非常に多いです。

働きがいのある会社づくりを経て、過去最高益更新

地域貢献の具体的な内容としては「地元プロジェクト」と題して、従業員が立候補制でプロジェクトに加わり、地元へ貢献する活動を行なっております。例えば、地域の美化活動として道路付近のゴミ拾いを業務内で実施。ちょうど今日も5月30日ということで、ゴミゼロということで、朝から活動をしているところです。

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また、子どもや家庭のイベントの際には、お休みが取りやすい雰囲気、文化があります。男性の育児休業も取得も当たり前であり、休むメンバーをともに支えようという空気が醸成されてきています。

こうした取り組みを通じて弊社は苦しい時代を抜け出してきました。働きがいのある会社づくりは、1年ではなかなか結果が出ません。途中で何度も諦めそうになるんですが、諦めずにやってきた結果、過去最高益を更新することにもつながりました。今まで取り組んできたことが実を結んだと感じています。

Wasshoi Tohoku Group

志・価値観採用で多様な人材を採用

interview_230620_06.jpgWasshoi Tohoku Groupは、宮城県に拠点をおき地方創生事業を展開しています。東北を課題先進地域から持続可能な地域づくりの先進地域に前進させるため、「志を持つ人と人でハッピーな未来を創る」というパーパスのもと活動しています。

当グループは、まちづくりや移住定住促進、DMO(観光地域づくり法人)や地域商社の立ち上げ支援などのサービスを提供している株式会社Wasshoi Labをはじめ6社の企業で組成されています。

2021年より働きがいのある会社ランキングへ参加し、「信用」「尊重」「誇り」「連帯感」「公正」の5つの大項目全てにおいて同規模の認定企業さんたちの平均を上回る結果が出ています。特に「連帯感」「誇り」「公正」という3項目で顕著に高いスコアを記録しました。

これらの結果を踏まえて、私たちの取り組みをご紹介します。まず1つめが価値観を重視した採用プロセスの設計です。志・価値観を重視した採用をしていることを積極的に発信し続け、東北以外の出身者や海外の出身者、経験や職種にとらわれない、多種多様なバックグラウンドのメンバーが集まっています。仲間の中には、元行政職員の転職者や公立高校を定年退職された元校長先生が、第二のキャリアとしてグループに入っていただいたり、6月には中国の大連から大学院を卒業したばかりのメンバーを受け入れる予定もあります。

全従業員が自分の志や、仕事への想いをプレゼン

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2つめの取り組みは人材育成です。当グループは事業自体そのものの社会性が高く、社会性と経済合理性の両方を目指すチャレンジが多い環境です。事業をどのように回すかよりも、目の前の課題に人間としてどう対峙していくかが問われる場面が多いため、人間性や人格の鍛錬と知識やスキルの向上という2軸の成長が重要です。自己理解と他者理解を深めて「自分ごと」を拡大する研修や、全従業員が自分の志や、仕事への想いをプレゼンする「全社員プレゼン大会」を実施しています。

3つめの取り組みは、「パーソナルミッションの探求促進と起業家の輩出」です。私たちの仕事は、組織風土や価値観の異なるさまざまなプレーヤーと共創しながら、1社では解決できない課題解決や価値創造に向けて、携わる関係者たちの中心となってプロジェクトマネジメントをすることが多いです。決まった答えがない中で、ひたすら仮説検証しながら、自分に問い、周りを巻き込み、仕事に向き合うこの仕事の工程そのものがパーソナルミッションの探求につながっていると考えています。

「働きがい認定企業」以降、ミッションマッチする人材との出会い増加

interview_230620_03.pngこうした取り組みの積み重ねが、当法人の「誇り」や「連帯感」につながっていると考えています。2021年から働きがいのある会社ランキングに参加し、2022年には優秀企業にも選出いただきました。当グループの求人募集記事に、「働きがい認定企業」と掲載する前後で明確にコンバージョン率が上がり、ミッションマッチする人材との出会いが増加しました。その出会いによって、グループで活躍する人材が増え、グループパーパスをさまざまなカタチで体現するメンバーが増え、「ハッピーな未来を創る」というミッションが前進していることを感じています。

マイクロンメモリ ジャパン株式会社 ハイボリュームマニュファクチャリング シニアディレクター 青石 稔 氏 プロフィール

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兵庫県出身。1998年に株式会社KTIセミコンダクターに入社し、マイクロンテクノロジー社日本工場の前身となる兵庫県西脇工場に装置技術者として勤務。KTIセミコンダクター社のマイクロンへの統合を経てマイクロングループに入社。海外工場立ち上げなどに従事したのち、2014年からマイクロンテクノロジー広島工場に勤務。プロセス装置技術部門や品質技術部門ダイレクターに従事したのち、2021年からはHVM(ハイボリュームマニュファクチュアリング)シニアダイレクタ(現任)。

株式会社ヤッホーブルーイング ヤッホー盛り上げ隊(人事総務ユニット)ユニットディレクター 長岡 知之 氏 プロフィール

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長野県出身。大学卒業後、星野リゾートに入社。6年間勤務し、人事総務などに従事。2009年にグループ企業のヤッホーブルーイングに入社。ファンイベントの企画開発、営業事務、物流に従事し2016年より現職。以来、採用、育成、組織開発、労務、総務といった人事系領域を広く担当しながら、働きがいのある会社づくりに注力。キャリアコンサルタント有資格。
2児の父で、週末は子どもと一緒に出かけたりして体を動かすことが好き。

株式会社Wasshoi Lab 取締役専務 吉川 恵津子 氏 プロフィール

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宮城県仙台市出身。2006年に埼玉大学教養学部卒業後、大手人材サービス会社へ入社。キャリアコンサルタント業務、雇用・労務関連業務に従事。その後、持株会社の財務経理部門で管理会計、財務会計を担当し、2013年に宮城県仙台市へUターン。地方でキャリアコンサルタントに従事する中で、人のキャリア構築のためには成熟した社会を創ることを目指したいという想いが膨らみ、2019年1月より株式会社Wasshoi Labで人事、総務、経理等のバックオフィス業務に従事。成熟した社会を創る担い手となるために組織開発を推進。2022年4月、現職に就任。

本記事は2023年5月時点の情報です。

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