【トークセッション】 「働きがいのある会社」地域優秀企業3社から学ぶ 地域社会に貢献する取り組みの進め方と情報発信の考え方

更新日 2023.07.062023.07.06対談

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2023年版 各地域における「働きがいのある会社」優秀企業に選出された3社をお招きし、地域企業が働きがいを高めるヒントについて、パネルディスカッションを通じて語り合いました。

マイクロンメモリ ジャパンは革新的なメモリおよびストレージソリューションを提供する世界的なリーディングカンパニーです。多様なバックグラウンドや経験、視点を持つチームメンバーが、コラボレーションしながら活躍できる職場環境の整備に力を入れています。

ヤッホーブルーイングは「ビールに味を!人生に幸せを!」とミッションに掲げ、画一的な味しかなかった日本のビール市場にバラエティを提供し、新たなビール文化を創出することでビールファンにささやかな幸せをお届けすることを実現するために働きがいを感じる組織を目指しています。

Wasshoi Labは、宮城県丸森町に本社を置き、「かっこいい、東北」をビジョンに移住定住促進、東北インバウンド観光促進、DMO・地域商社設立支援等、様々な地域活性事業を行っています。

(3社のご講演の様子はこちら:2023年版 各地域における「働きがいのある会社」優秀企業の取り組み事例

今回はGPTW代表の荒川 陽子がナビゲーターとなり3社の取り組みを深掘ります。

※本記事は2023年版 各地域における「働きがいのある会社」優秀企業発表会の抄録です。
※GPTW Japan代表 荒川による、選出企業の傾向解説はこちら:2023年版 各地域における「働きがいのある会社」優秀企業 傾向解説

地域貢献の取り組みを従業員が主体的に「やらされ感」が生じないように推進するためには?

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荒川:早速ですが、マイクロンメモリ ジャパンの青石さんからご意見をうかがえますか。

青石:「チームメンバーの価値観、リーダーも楽しむ」です。地域貢献と言っても、「関わり方」は私たちの考えている以上にたくさんあるので、やっぱり会社としてできる範囲でいろんなアプローチできるチャンネルを準備することが大事だと思います。

メンバーの価値観に加え、リーダーが率先して楽しめることも大事です。その二つが合わさって、「地域貢献って楽しそうだね」という反応も起きてくるのかなと実感しているところです。

荒川:ありがとうございます。ご講演の中にもありましたが、普段の仕事では、業務の話しかしない上司や隣の部署の上司と、地域貢献活動を通じて触れ合う中で、お互いの価値観が共有されていく話が印象的でした。まさにそこでリーダーも楽しむことがポイントなんですね。なかには、「やりたくない」「仕事でいっぱいいっぱいだ」という方もいらっしゃると思うんですが、そういう人を巻き込む工夫はされていますか。

青石:ボランティアなどをした際に、写真を撮ったり、参加したメンバーの声を社内のデジタルサイネージやホームページにアップして、多くの社員に触れるようにしています。

荒川:ありがとうございます。では続きまして、ヤッホーブルーイングの長岡さんから「立候補制」ということでお話をうかがってよろしいですか。

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長岡:当社の地域活動がまさに立候補制なんですね。加えて、地元プロジェクトというカタチでいろんな取り組みをしていますが、全て立候補制でやっているので、基本やりたくない人がいません。

やりたくない人に無理矢理やらせると、全体の空気がしらけてしまったりします。やりたい人が始めて満足感や達成感を感じている姿を見て、最初は興味がなかったメンバーが、「楽しそうだから一緒にやってみようかな」と仲間に加わってくるのかなと。やりたい人から輪を広げていくことがポイントだと思っています。

荒川:ちなみにゴミ拾いもそうですが、地域活動の取り組み内容は会社が決めているんですか。それとも何か従業員の発案がきっかけなのですか?

長岡:会社の業績もよくなってきたので、「地元への還元や地域への恩返しをやっていきたいよね」という話が会社全体から出てきていますし、地域に貢献していく戦略もあります。「何をやりたいか」「何をすべきか」から入っているので、メンバーの納得感が高いと思いますね。

荒川:続いて、Wasshoi Tohoku Groupの吉川さんの回答もご説明いただきたいと思います。「私の仕事・社会」がぐるぐる回っていますが、これはどんな意味なのでしょうか。

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吉川:当グループは事業自体が社会性の高いものも多いですし、移住しているメンバーも多いので、「私の仕事と社会は1本でつながっている」し、「私たちがつくった社会から、自分に返ってくるものがある」と、研修を通じて認識を合わせています。

仕事とは「自分の願望や自分のミッションを体現すること」が共通認識です。社員みんなで自分の願望をまず語り合います。例えば、「30年後こういう人間になっていたい」、あるいは「田舎で家を買って静かに子どもと過ごしていたい」などですね。願望を語り合った後で、その願望を叶えている外部環境、社会の環境ってどんなイメージだったのかという話をするんですよね。

そうすると、例えば、環境汚染が進んで空気が悪い中で願望を描いている人はいないし、まわりが戦争している状況で自分の願望を描いている人もいません。結局、私たちが仕事を通じて社会につくり出しているものは、いずれ外部環境として返ってくるよねというところを、研修で確認しながら進めています。

地域活動をする際、社員が企画をして地域のみなさんにも呼びかけます。例えば「お城の掃除をします」ということで、お城を普段利用されている地域住民の方々にお声がけをして、チームを組んで清掃作業を楽しんでやる様子が見られるので続けていきたいと考えています。

荒川:地域で大切にされているものを掃除するのは素敵な取り組みですね。研修では「なぜそれをやるのか」など話されているのですか。

吉川:そうですね。社員同士で学んでそれをシェアしてもらっています。もともと地域貢献に興味があるメンバーが集まっているので、私たちのほうが気づかされることも多いです。

地域企業が選ばれていく企業になるためには、どのような魅力を発信していくべきか。

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荒川:次のテーマに移りたいと思います。「地域企業が求職者や採用候補者に選ばれる企業になるためにはどのような魅力を発信すればいいか」です。

吉川:「子供は最高未来責任者」ですね。弊社があるのは地方で、子育て世代が多いです。個人的な経験になりますが、私の子どもが少し不登校気味な期間がありまして。自分のキャリアを考え直さないといけないかなど、いろいろ悩んだ時期がありました。

不登校の子どもを家に置いておくわけにはいかないのですが、預け先がないので会社に連れて行って、片隅に場所を取って勉強させていたんですね。あるとき、私が長い会議を終えて執務室のフロアに戻ったところ、娘のデスクの前に「CFO」と娘の名前が入ったネームプレートが置いてあったんです。

その「CFO」はチーフ・フューチャー・オフィサー、「最高未来責任者」という意味で、若手社員のメンバーがそのネームプレートを作ってくれました。子どもも喜んでいましたし、私の心も少し軽くなりました。

子育てに限らず、様々な個人の事情や、社会環境もありますし、ワークライフバランスでは乗り切れない状況が人生に降りかかってくることを実感しています。「ワークもライフも、その組織の一つの要素ですよ」というメッセージを立てている組織だと働きやすいのかなと感じています。

荒川:ありがとうございます。働く場が人生の未来像を実現していく場になるという魅力を発信されているのですね。続いて長岡さんにうかがいます。

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長岡:「働きがいと生きがいの両立」ですね。弊社には移住してくるメンバーが多いので、この観点がとても大事です。地方のコミュニティが初めてであったり、知り合いがいない、お友達がいないのも珍しい話ではありません。そのため、やはりプライベートの充実も含めて、豊かな人生にしていくには、包括的に考えていく必要があると思っています。仕事場だけ楽しいのでは限界があるのです。メンバーが困ったとき、お互い支え合ったり、お互い自己開示をしたりしながら、チームメンバーに話しやすい、そんな心理的な安全性の高い職場づくりに力を入れています。

荒川:人事のみなさんが相談役になるんですか。

長岡:最初は人事が積極的に支援をしていた時期もありますが、それだけでは限界があるんですよね。現場で困っている人のことがわかるのは、現場のメンバーなので。人事総務は人事手続きなど専門的なサポートをしていますが、やはり現場でサポートをし合えることがすごく大事だと思います。

荒川:それでは最後に青石さんお願いします。

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青石:「1人1人がスムーズに働ける環境づくり」です。弊社には外国から日本に来て、自分のキャリアを築いてみたいと考えている人がたくさんいます。ただ、地方で外国の方が生活し始めると不安も多いし、生活の基礎的な部分がわからないわけです。

そのため、メンバーたちが東広島市の生活の仕方について書かれた多言語のハンドブックをつくりました。これはあくまで一例ですが、スムーズに仕事に入っていける環境を整えることを大切にしています。

荒川:3社共通して、従業員の人生まで配慮してサポートしあっていることを感じました。みなさま示唆に富むお話をありがとうございました。

マイクロンメモリ ジャパン株式会社 ハイボリュームマニュファクチャリング シニアディレクター 青石 稔 氏 プロフィール

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兵庫県出身。1998年に株式会社KTIセミコンダクターに入社し、マイクロンテクノロジー社日本工場の前身となる兵庫県西脇工場に装置技術者として勤務。KTIセミコンダクター社のマイクロンへの統合を経てマイクロングループに入社。海外工場立ち上げなどに従事したのち、2014年からマイクロンテクノロジー広島工場に勤務。プロセス装置技術部門や品質技術部門ダイレクターに従事したのち、2021年からはHVM(ハイボリュームマニュファクチュアリング)シニアダイレクタ(現任)。

株式会社ヤッホーブルーイング ヤッホー盛り上げ隊(人事総務ユニット)ユニットディレクター 長岡 知之 氏 プロフィール

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長野県出身。大学卒業後、星野リゾートに入社。6年間勤務し、人事総務などに従事。2009年にグループ企業のヤッホーブルーイングに入社。ファンイベントの企画開発、営業事務、物流に従事し2016年より現職。以来、採用、育成、組織開発、労務、総務といった人事系領域を広く担当しながら、働きがいのある会社づくりに注力。キャリアコンサルタント有資格。
2児の父で、週末は子どもと一緒に出かけたりして体を動かすことが好き。

株式会社Wasshoi Lab 取締役専務 吉川 恵津子 氏 プロフィール

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宮城県仙台市出身。2006年に埼玉大学教養学部卒業後、大手人材サービス会社へ入社。キャリアコンサルタント業務、雇用・労務関連業務に従事。その後、持株会社の財務経理部門で管理会計、財務会計を担当し、2013年に宮城県仙台市へUターン。地方でキャリアコンサルタントに従事する中で、人のキャリア構築のためには成熟した社会を創ることを目指したいという想いが膨らみ、2019年1月より株式会社Wasshoi Labで人事、総務、経理等のバックオフィス業務に従事。成熟した社会を創る担い手となるために組織開発を推進。2022年4月、現職に就任。

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