「東京一極集中」復活の傾向、地域の人口減少待ったなし!地場産業に活気を生む、地域企業ならではの「働きがい」改革とは

更新日 2023.07.062023.06.15レポート

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Great Place To Work®Institute Japan(GPTW Japan)は、2023年版 日本における「働きがいのある会社」認定企業の中から、各地域における「働きがい」の優れた企業を選出。2023年5月30日に、メディア向けに「北海道・東北地域」「関東地域」「中部地域」「近畿地域」「中国・四国地域」「九州・沖縄地域」の各地域における優秀企業を発表しました。

2023年版 各地域における「働きがいのある会社」優秀企業 受賞企業一覧
選出企業3社の取り組み事例
選出企業3社によるトークセッションの抄録

GPTW Japan代表の荒川が各地域における「働きがいのある会社」優秀企業(以下、地域優秀企業)の特徴を紐解き、地方において働きがいを高めるヒントについて解説いたします。

※本記事は2023年版 各地域における「働きがいのある会社」優秀企業発表会の抄録です。

地域優秀企業は東京の働きがい認定企業よりスコアが高い

GPTWの「働きがいのある会社調査」では、各設問が「信用」「尊重」「誇り」「連帯感」「公正」という5つの要素に紐づいています。

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まずは、東京に本社を置く企業(以下、東京企業)と、地域に本社を置く企業(以下、地域企業)を比較しながら、地域優秀企業の全体の特徴を捉えていきます。

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地域企業全体での比較では、東京企業よりもGPTWの調査のスコアは7.2ポイント低い結果となりました。一方で、地域優秀企業と、東京の働きがい認定企業(以下、東京認定企業)を比較すると、地域優秀企業のほうが6.2ポイント高い結果が出ています。

つまり、地域企業と東京企業全体で比較すると東京企業の働きがいが高い傾向ですが、東京と地方のトップ企業群である地域優秀企業と東京認定企業を比較すると、地域優秀企業の方が東京認定企業を凌ぐ働きがいを生み出していることになります。地方でも働きがいが高められることを実証しているのが、地域優秀企業なのです。

地域優秀企業は地域社会に貢献している

続いて要素別の平均値から考察を重ねます。

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「信用」「尊重」「誇り」「連帯感」「公正」という5つの要素で比較した場合、東京認定企業と地域優秀企業とで最もギャップが大きかったのは「誇り」でした。さらに設問ごとのギャップを探っていくと「この会社は地域・社会に貢献している」という設問で、地域優秀企業と東京認定企業の間に17.0ポイントもの差異が見られました。

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地域優秀企業に選ばれた企業で働く従業員のみなさんは、自分の会社が地域社会に貢献している認識が強いことがうかがえます。

それ以外にも、「経営・管理者層が適切に人材を配置している」や「能力開発の機会が与えられている」という設問に対する回答でも、地域優秀企業の健闘が見受けられます。

今回、特に注目したいのは「地域への貢献」についてです。北海道から九州・沖縄エリアまで、全てのエリアにおいて、東京認定企業よりも地域優秀企業が大きく上回っていました。

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スコアが低かった設問は地域によって差がありましたが、スコアが高い設問は共通しています。では、「地域社会への貢献」とは具体的にどんなことなのか、紐解いていきたいと思います。

地域優秀企業の地域貢献活動

「地域社会への貢献」には、2つの方向性があると考えています。まず、1つめは企業活動そのものによる地域貢献です。例えば、法人税の納付や雇用創出です。2つめは、企業活動以外の取り組みによる貢献です。例えば、スポーツチームのスポンサードや、地域イベントやボランティア活動への参加です。report_230615_06.png地域優秀企業の取り組み事例の共通点として、企業活動以外の取り組みによる地域貢献に着目していきたいと思います。

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小規模部門で地域優秀企業に選ばれたWasshoi Labは宮城県にある企業です。「かっこいい、東北」をビジョンに、地方創生のための課題解決を事業としています。事業そのものが地域に深く関わっていることもあり、地域活動にはかなり積極的に参加しているということです。令和元年の東日本台風のときも、社屋も被害を被る中、周辺地域のボランティア活動に取り組まれました。

中規模部門で地域優秀企業に選ばれたヤッホーブルーイングは、長野にあるクラフトビール製造販売会社です。「よなよなエール」などの個性的な商品で知られています。ヤッホーブルーイングも、地域のゴミ拾いや行政主催のフォーラムへの参加、役所の職員向けの研修や講演、職場体験の受け入れなどを実施しています。

大規模部門で地域優秀企業に選ばれたマイクロンメモリ ジャパンは、メモリ製品の開発設計生産をする企業です。毎年高い働きがいを維持しています。

マイクロン財団が主催する「Micron Japan Chip Camp Recap」という取り組みでは、女性の学生を対象にSTEM教育の意識を高めています。ガールスカウト日本連盟と広島大学の協力を得ながら実施されており、60人の女子中学生が参加して、マイクロンチームのメンバーの知識やスキルを生かして、教育のサポートや、授業講演などの支援をしています。

以上のように、地域社会貢献活動のなかでの体験で、自社の知見を役立てることにより、従業員の誇りを醸成していることが、働きがいの原動力になっていると考えています。

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全体的な比較をすると、地域企業は東京企業より働きがいのスコアが低いものの、働きがいを高める余地が大きいことを実感しています。働きがいを高めるためのポイントは、やはり地域社会への貢献です。事業活動以外にも多彩な取り組みを展開すると、活動内容に幅が生まれ、働きがいを高めることにもつながると考えています。

Great Place To Work® Institute Japan 代表  荒川 陽子 プロフィール

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2003年HRR株式会社(現 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ)入社。営業職として中小~大手企業までを幅広く担当。顧客企業が抱える人・組織課題に対するソリューション提案を担う。2012年から管理職として営業組織をマネジメントしつつ、2015年には同社の組織行動研究所を兼務し、女性活躍推進テーマの研究を行う。2020年より現職。著書に「働きたくなる職場のつくり方」(かんき出版)。

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