若手ランキング上位企業から読み取る「若手が活躍できる組織」とは?

更新日 2023.08.302023.08.30レポート

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Great Place To Work® Institute Japan(GPTW Japan)は、若手ランキングとして「働きがい認定企業」(2021年7月~2022年9月調査実施)の中から、特に若手の働きがいに優れた企業を規模別に上位5社選出しました。

(選出企業一覧)
https://hatarakigai.info/ranking/young/2023.html

その調査結果を踏まえ、GPTW Japan代表の荒川が若手ランキング上位企業の特徴を紐解き、若手の働きがいを高めるヒントについて解説いたします。

※本記事は2023年版 日本における「働きがいのある会社」若手ランキング 記者発表会の抄録です。

若手ランクイン企業では「報酬」のスコアがアップ

GPTWの「働きがいのある会社調査」では、各設問が「信用」「尊重」「誇り」「公正」「連帯感」という5つの要素に紐づいています。これを前提としまして、若手ランキングの傾向を解説してまいります。

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昨年ランクインした15社のスコアの平均値と今年のランクイン企業の平均値を比べると、今年はスコアが全体で4ポイントアップしました。

若手ランキングにランクインされた企業の全体傾向を見てみると、「報酬に対する納得感」「利益が公正に分配されている」「能力開発の機会が豊富にある」などのスコアが、昨年選ばれた企業と、今年選ばれた企業の違いとして表れています。

報酬や利益、能力開発を通じて一人一人の力を引き出す施策に力を入れている企業が、ランキング上位に食い込んだことがわかりました。

「仕事に行くことが楽しみである」の設問でスコア差異が拡大

続いて、ランクインされている企業と、「働きがい認定」に至らなかった企業との違いを見てみます。

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GPTWでは、調査の結果が一定水準を超えた企業を「働きがい認定企業」として認定し、その中からランキングを決めています。調査をしたけれど、認定を取得できなかった企業(便宜上、不認定企業と表現します)もあります。

若手ランキングにランクインした企業と不認定企業を比較すると、どの部分で違いが大きいかというと「仕事に行くことが楽しみである」という問いに対する回答であることがわかりました。

続いて、「仕事に行くことが楽しい」という気持ちはどうしてもたらされるのか相関分析を実施しました。

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着目したのは「この会社で自分らしくいられる」「安心して働ける環境がある」という2つの設問との関係です。上司や周りの同僚と働くことに対してハードルが低く、安心・安全の場で働けることが、「仕事に行くことが楽しみである」という気持ちにつながっていると考えています。

不認定企業では若手は上司より働きがいを実感していない

続いてランクインしている企業と、不認定企業の一般従業員と管理職のスコアを比較します。

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若手ランクイン企業を比較すると、一般従業員と管理職のスコアがともに90%を超えています。これは双方が働きがいを実感していることを意味します。

一方で、働きがい認定を取っていない企業は、管理職のスコアのほうが一般従業員よりも高い傾向があります。特にギャップが大きかったのは、「私は、この会社で働いていることを、胸を張って人に言える」という設問で、16ポイントの差があります。一般従業員は管理職ほど誇りを持っていないことや、管理職ほど公平に扱われていると思っていないことがうかがえます。

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年齢別でも比較しました。ランクイン企業と不認定企業で比較すると、34歳以下のカテゴリーでスコアの差が大きかったのは「この会社の人たちは、仕事に行くことを楽しみにしている」です。「25歳以下」と「26歳から34歳」という2つのカテゴリーに分けて、より詳細に比較しました。

25歳以下の場合は、「私は、この会社で長く働きたいと思う」「私の仕事は、会社の中で『単なる職務』ではなく特別な意味を持っている」という設問のスコアに開きがありました。26歳から34歳のカテゴリーでは、「経営・管理者層の言行一致」「経営・管理者層の運営能力の高さ」の設問で大きなギャップが生まれています。

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表は若手ランキングにランクインしている企業や、働きがい認定企業が取り組んでいる若手の働きがいを高める施策の事例です。豊富な能力開発の機会や自分らしさを把握する機会が用意されていることがわかります。

まとめ

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若手ランキングは激戦のランキングになっています。ランクイン企業と不認定企業の比較では「仕事に行くことが楽しみ」という設問でギャップが見られました。心理的安全性に関連する設問との相関が高いことがうかがえました。

不認定企業では、一般従業員と管理職のスコア差が大きく、「誇り」「正当な扱い」という課題をクリアしていくことが重要であると考えられます。そのためにも、ランクイン企業の施策にヒントを得ていただきながら、高い働きがいの実現を目指していただきたいと思っています。

Great Place To Work® Institute Japan 代表  荒川 陽子 プロフィール

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2003年HRR株式会社(現 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ)入社。営業職として中小~大手企業までを幅広く担当。顧客企業が抱える人・組織課題に対するソリューション提案を担う。2012年から管理職として営業組織をマネジメントしつつ、2015年には同社の組織行動研究所を兼務し、女性活躍推進テーマの研究を行う。2020年より現職。著書に「働きたくなる職場のつくり方」(かんき出版)。

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