みんなで祝おう!働きがい認定2025年 オンライン表彰イベント開催レポート
更新日 2025.03.312025.03.31レポート

「すべての人にとって“働きがい”を感じられる会社を増やしたい」――そんな思いを掲げるGreat Place To Work® Institute Japan(GPTW Japan)が、このたびオンラインで2025年版調査で「働きがいのある会社」認定を取得された企業を対象に表彰イベントを開催しました。多彩な規模や業種から310社が認定され、初めて認定を受けた企業や、5回・10回受賞を果たした企業、大幅にスコアを伸ばした企業、そして、認定企業の取り組み例について祝福ムードの中で紹介されました。本記事は、イベントの様子をダイジェストでお伝えします。
【第1章】働きがい認定とは
「働きがいのある会社」認定(以下、働きがい認定)は、GPTW Japanが実施する働きがいの調査に基づき、一定水準を満たす企業を公式に認定するものです。企業認定制度としては珍しく、従業員へのアンケートの結果を基に認定を行うため、従業員の声がしっかりと反映されていることが大きな特徴となっています。
GPTWがグローバルで用いている共通のモデルは、
- 経営管理者層(リーダー)と従業員の間の「信頼」 (「信用」「尊重」「公正」を含む)
- 従業員個人と仕事との間にある「誇り」
- チームとの間にある「連帯感」
といった要素によって構成されます。日本を含む世界約150カ国、毎年1万社を超える企業を対象にこのモデルを活用した調査を行っており、その豊富なデータに基づいて、各企業の働きがいの水準を評価・認定しています。
“働きがい”の向上は、組織のカルチャーづくりです。経営管理者層のリーダーシップの発揮が、従業員一人ひとりの体験を創出し、あらゆる立場の従業員が共通した体験を積み重ねることで、その会社らしい素晴らしいカルチャーが形作られます。そして、こうしたカルチャーを持つことが、組織としての継続的かつ持続的なパフォーマンス向上につながるのです。私たちは「働きがい認定」を通じて、組織が働きがいを高めることを当たり前にしていきたい。世の中から注目されることで、働きがいを高める輪を日本全国に広げていけると信じています。
なお、当日のイベントでは、この想いを込めたブランドムービーが初めて公開されました。「誰もが『働く』を考える時代、あなたの働きがいはなんですか?」というメッセージを基点に、信頼できる会社やリーダーの存在、自分の仕事への誇り、仲間との連帯感、働きがいがあふれる社会へ働きがいのある会社を1社でも増やしたいという想いを載せた内容となっています。視聴後は画面越しに「いいね!」アイコンや拍手が飛び交いました。
【第2章】みんなで祝おう!2025年版 認定企業紹介
2025年版は合計310社の企業が働きがい認定を取得しました。当日は「初認定企業」「5回/10回選出企業」「1年で大幅にスコアを上げた企業」など、さまざまな視点からの表彰と称賛が行われました。 本記事ではすべての認定企業を掲載できませんので、詳しくご覧になりたい方は下記リンク先にてご確認ください。
認定企業一覧はこちら:https://hatarakigai.info/ranking/certified_companies/
5回/10回選出企業・初認定企業・大幅スコアアップ企業
(クリックすると詳細が確認できます)
当日は画像が映し出されるたびにオンライン上でスタンプが連打されるなど、互いを称え合い、ねぎらう雰囲気がとても印象的でした。
※働きがい向上企業は、2025年版ランキング選出企業を除く、掲載許可をいただいた企業のみ
今年の全体傾向解説
2025年版の働きがい認定企業を対象とした調査では、下記のような全体傾向が見られました。
1. スコア変化の分布
昨年比で見ると「スコア変化がほとんどない」企業が最も多い一方、低下よりも「改善」を果たした企業がやや上回る結果に。特に、規模が大きい企業ほど改善傾向が増加し、大規模・中規模企業の健闘が目立ちました。
2. 最も改善した設問
「働きに見合った報酬が支払われている」という項目が最も改善。ベースアップや給与改定の流れが組織の満足度向上に大きく貢献しているとみられます。
3. 仕事に行くことを楽しみにしている
「仕事に行くことを楽しみにしている」は日本のスコアが世界平均より低かった設問ですが、 4年で4ポイント上昇と徐々に改善傾向が見られました。今後「楽しみながら働く」というカルチャーを重視する企業が増えていく可能性を感じさせます。
続いて行われた「スコアを大きく伸ばした企業」の経営トップによる実践事例のお話は、多くの参加者の心に響いたようです。
※2025年版調査の詳しい全体傾向についてはこちらからダウンロードいただけます。
https://gptw.hatarakigai.info/public/seminar/view/7294
i-PRO株式会社
セキュリティ機器を開発・製造するi-PRO様は、2019年にパナソニックからカーブアウト(分社化独立)した背景を持ちます。
大幅スコアアップの背景には、直接対話を通じて理念や方針を伝えながら、若手社員の交流会や研修制度も拡充し、従業員一人ひとりが安心して成長できる環境を整えたことがあったようです。
▼代表取締役社長の尾崎様より
セキュリティ機器の業界は、AIなどの新技術が次々と登場し、技術進化のスピードが非常に速い。日々の変化に対応するには、社員一人ひとりがわくわくしながら、技術職だけでなく関連部門も含めて積極的に働ける環境づくりが欠かせません。その結果は必ず業績に結びつくと考えていますし、実際、今年度は非常に良い成果を上げられており、その連動性を実感しています。
具体的な取り組みとして、特別に画期的なことをしたわけではありません。たとえば、これまでは録画配信が中心だった業績発表をFace to Faceに切り替え、四半期に一度は各拠点を巡回して経営状況を直接伝える場を設けました。また、各部門ではマネージャーによる1on1を実施し、そこで出た意見を組織運営に反映。部門長の協力のもと、多様な研修や若手社員の交流会、階層別の交流会などを人事部門が企画することで、学び合いや連帯感の醸成を図りました。こうした地道な一つひとつの積み重ねが、今回の認定につながったのではないかと思っています。
今後も調査を継続しながらさらに取り組みを深化させたいと思います。加えて、経営層と現場の距離をより縮めるべく、ディレクター(部長職相当)との定期的なミーティングも企画しています。経営陣と社員が双方向で信頼を築けるよう、今後もさまざまな施策を続けていきたいと考えています。
株式会社システムズ
また、IT企業として大幅にスコアを伸ばしたシステムズ様は、経営陣だけでなく現場リーダーを巻き込んだユニークな取り組みが注目を集めました。
▼代表取締役社長の小河原様より
当社のスコアが上昇した要因は、大きく3つあると考えています。まず1つ目は、『横串会議』という取り組みを始めたことです。これは役員1名と社員5〜6名ほどの少人数で、ピザ1枚をシェアできるくらいの規模感で行う会議です。役員は会社のビジョンを直接伝え、社員側からは『どう考えればいいのか』など自由に質問してもらう場としています。当社は社員が約250名いますが、1人の役員が年間40回ほど、同じテーマを異なる社員グループに繰り返し伝えることで、より深い理解と共通認識が生まれました。経営層のメッセージを役員自身が直接社員一人ひとりに伝える仕組みを継続してきたことが、ビジョンの浸透に大きく寄与したと感じています。
2つ目は、GPTWの推進リーダーを社内で2名選出し、現場から社員を盛り上げる施策です。特に『誇り』というテーマにフォーカスし、その関連質問項目をすべてピックアップ。理解が不十分と感じられる質問については、補足資料を作成して全社員に共有し、ディスカッションや振り返りを通じて認識を深めました。実施後に再度テストを行うなどPDCAを回すことで、理解が進んだ項目はさらに強化し、伸び悩む項目には追加の施策を講じるというプロセスを続けています。現場のリーダーが社員と同じ目線で進めているため、『自分もやってみよう』という共感が生まれやすかったのではないかと思います。
3つ目は、『社内通貨システム』の活用です。コインをやりとりできるプラットフォームを導入し、『サンクスキャンペーン』や『スマイルキャンペーン』など、さまざまな企画を実施しました。たとえば『笑顔がいちばん良かった人に100円分のコインを贈る』といった取り組みが社内で盛り上がり、ちょっとした報酬でも社員のモチベーションアップにつながりました。
これら3つの施策によって、従来はトップダウン中心だった社内が、ミドル層や現場レベルのメンバーも巻き込みながら動き始めました。その結果として、組織全体で良いサイクルが生まれ、この2年間でスコアが大きく向上したのだと考えています。
【第3章】認定アンケート結果・活用事例共有
働きがい認定の活用結果と事例についてご紹介します。昨年11月から12月にかけて、認定企業のご担当者のみなさまにアンケートへご協力いただきました。ここではその一部を抜粋してご紹介します。
働きがい認定が価値を感じられたか
8割以上の方が「価値を感じられた」と回答。昨年は8割に届きませんでしたが、今年は8割を超え、私たちも非常に嬉しく思っています。
価値を感じている方の具体的な活用シーン
8割以上の方が「採用シーン」で活用。そのほか、「社内コミュニケーション」での活用も意外と多いことがわかりました。「広報・IR」での活用も前年より増加し、約50%の企業が活用中です。
価値を実感する場面・理由
第三者評価として求職者や人材紹介会社へのアピールに活用。自社調査で把握しづらかった率直な意見を匿名で得られ、インナーブランディング強化に役立ったという声もありました。さまざまな施策の成果として、数字で社内外にアピールできるようになっているとのことです。
働きがい認定のユニークな活用事例
私たちは、Great Place To Work®の働きがい認定が、以下の三つのブランディングに生かせると考えています。
- 1. 採用ブランディング
- 2. インナーブランディング
- 3. コーポレートブランディング
実際、広報活動に活用される企業が増えており、その中からとくに印象的だった事例をピックアップしてご紹介します。
沖縄ワタベウェディング様GPTWからの手紙をはじめ、認定キットに含まれるツールをフル活用。自社ニュースリリースだけでなく、弊社のツールを用いることで「客観性」が高まり、説得力のある発信につながっています。
unito様
「note」を活用した発信が増えていますが、unito様もその一社。写真を多用して社内カル チャーを紹介。たとえば「必要なときに休暇が取れる」点数が高かったことを写真付きで伝えるなど、社風を具体的に表現されています。
出典:unito https://note.com/unito_official/n/n0d5be25e266d
Smart HR様
GPTWの調査に加え、独自の詳細アンケートを実施。認定に関するニュースリリースとあわせて、さらに深い内容を社外発信しています。「働きやすさ」を自社でどのように捉えているかを追加アンケートで把握し、それを記事化することで独自の情報発信につなげています。
出典:SmartHR https://smarthr.co.jp/news/press/27057/
キンドリルジャパン様
グローバルで参加されており、8カ国で認定を取得。それを一覧で示すことでインパクトがあり、目を引く魅力的な活用事例となっています。
出典:キンドリルジャパン https://www.linkedin.com/posts/kyndryljapan_efhegzegjegqegr-activity-7275434734212542464-ffNC/
TIS様
統合報告書や中期経営計画に、GPTWの指標を組み込み、積極的に開示。自社の大きな戦略の一環として活用し、どのような取り組みで実績を上げているかをわかりやすく示しています。社外への情報発信としても効果的で、「正しく伝わっている」と実感いただいているようです。
出典:TIS https://hatarakigai.info/tip/interview/20241003_3613.html
あとがき
当日はオンライン開催ながら、画面越しにはたくさんの拍手や「いいね!」アイコンでの盛り上がりが見られ、お互いの取組を称え合う前向きなエネルギーに満ちた時間となりました。参加者からは「他社の成功事例を聞いて刺激を受けた」「自社のやり方を見直すきっかけになった」といった嬉しい感想も寄せられています。
認定企業やプログラムの詳細はGPTW Japan公式サイト からぜひご覧ください。